円乱高下、一時1ドル160円台 その後一転155円台に上昇
29日の外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル=160円台と1990年4月以来およそ34年ぶりの円安・ドル高水準を付けた。日銀の政策維持を受けて幅広い通貨に対して円売りが膨らみ、対ユーロでは1ユーロ=171円台と1999年に単一通貨として成立してからの最安値となった。その後は一時1ドル=155円台を付けるなど、円相場は荒い値動きとなっている。
日銀が26日まで開いた金融政策決定会合で政策金利の現状維持を決定した。その後の記者会見で植田和男総裁が円安について「基調的な物価上昇率への大きな影響はない」と言及したことで、円安を理由にした追加的な利上げの時期は遠いとの見方が円全面安につながっている。
29日の日本は祝日だが、海外市場では外国為替は平常通り取引されている。円は26日に日銀が金融政策の現状維持を公表する前には155円台半ばで推移しており、日銀の決定を経て26日のニューヨーク市場では158円台まで下落していた。急激な円安進行を受けて政府・日銀が円買い為替介入に踏み切るとの警戒感も強まっている。
円は対ユーロでも下落し、一時1ユーロ=171円台を付けた。2008年に付けた1ユーロ=169円台後半を下回り、1999年のユーロ成立後では最も円安・ユーロ高の水準となった。
対ドルの円相場は日本時間午後1時ごろから急激に買い戻され、一時1ドル=155円台を付けるなど荒い値動きとなった。祝日で取引主体が少ないなかで円買い為替介入への警戒感が根強く、相場が大きく振れやすくなっている。
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