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タイごはん 泉州屋台(せんしゅう やたい)/芝公園

お昼時に港区役所の裏手に出現する謎の大行列の原因は「タイごはん 泉州屋台(せんしゅう やたい)」。ランチタイムに怒涛のように売り上げ、夜営業は金曜日の予約のみという独特の営業形態のタイ料理店です。
行列は長いですが回転は速く、学食や社食のお会計の列を待っている程度のストレスです。その日の料理が5種ほど用意されており、選んだブツや品数によって金額が変動する仕組み。プレートにゴハンを盛り、オカズをドーンドーンと乗っけるだけのぶっかけメシですが、これがタイの屋台さながらで実に美味しそう。
店内はタイの気軽な食堂そのもので、プラスチックのイスやテーブルなど、敢えての安っぽさを狙い現地の雰囲気を演出しています。私は一時期バンコクにしょっちゅう出張していた身なので心なごみます。
私は千円で「ガパオごはん」「ガイトード」「ヤム・ウンセン」の3種盛りをオーダー。千円を超えるプランも検討したのですが、お釣りの小銭を増やしたくなかったので千円ピッタリのチョイスとしました。しかし、このあと私は大きく長い後悔を抱えることになる。
こちらは「ガイトード」。タイ語で「ガイ」は鶏、「トート」は揚げるという意味で、いわゆるフライドチキンです。ナンプラー(?)や香辛料で下味が付いており、ビールが欲しくなる味覚です。
こちらは「ヤム・ウンセン」。タイを代表する春雨サラダです。なのですが、四捨五入すると春雨であり、量も少なく、これで他の料理と同じ価格設定なのかあ、というお気持ちです。これならカレー類を選択すれば良かった。人生は決断の連続である。
「ガパオごはん」は日本の日常にも浸透しつつありますが、当店のそれは本場さながらの辛さであり、真冬だというのに身体中の毛穴という毛穴から汗が噴き出てきました。これはすごい、日本社会に全く忖度していません。
ライスは当然にタイ米で、香りが豊か。かなりの量を盛り込んでくれるのですが、細長くパラパラとした口当たりなので、テンポ良くスイスイと食べ進めることができました。プラス50円で目玉焼きを乗っけてもらえるのですが、お釣りの関係で今回は断念。
ところで周りを見渡すと、ほぼ全てのゲストが「カオマンガイ」を楽しんでおり、ネットで調べてみると「カオマンガイ」が一番人気で正午には売り切れるメニューとのこと。「お釣りで小銭が増えるのが嫌だ」という安直な理由で除外したことにつき、心の底から悔恨の念に苛まれました。次回は絶対に「カオマンガイ」かつ目玉焼きをトッピングだ。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化し◎〇△×と記した

年間を通じて外泊が多いので、ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化しました。

◎〇△×と記していますが、これは私が滞在した時点における感想であり、価格や為替の変動、混雑度合い、当時のスタッフの対応など偶然に因る部分も多いので、話半分に捉えてください。また、ハイアットやヒルトンは最上級会員であり、ひらまつは株主なので、素で予約する場合とは対応が異なるかもしれません。

費用対効果も重要視しています。お金に糸目をつけないお金持ちの方々とは観点が異なることをご承知おきください。

ところで、私は子連れ客とそれをコントロールできない宿泊施設を憎んでおり、そういった客層が支配的なホテルは自然と△や×が多くなります。しかしながら、これは見方を変えれば家族旅行に向いたホテルを選ぶ指標となり得るかもしれません。


【ハイアット】
<北海道>

<関東>
△:ハイアットリージェンシー東京ベイ

ドミニク ブシェ キョート ル レストラン (Dominique Bouchet Kyoto Le RESTAURANT)/蹴上(京都)

蹴上駅から歩いてすぐの「ウェスティン都ホテル京都」のメインダイニング。「ドミニク ブシェ キョート ル レストラン (Dominique Bouchet Kyoto Le RESTAURANT)」。東京でも彼が監修する店が展開されており、ミシュランの星を獲得しています。
エントランスから店内へと続くアプローチ、ダイニングエリアに至るまで全てに余裕のある設計です(写真は公式ウェブサイトより)。子連れNGですが個室であればOK。ドレスコードとして「男性のお客様にはジャケットの着用をお薦めします」と記載されていましたが、Tシャツの外人も普通に通していました。
京都を代表するラグジュアリーホテルながら、ワインの値付けはかなり良心的。ペアリングでお願いすることも可能ですが、相場をご存じなのであればボトルでの注文が良いでしょう。サービス料は15%と背筋が伸びるのですが、全て込み料金なのが精神衛生上とても良い。
アミューズから凝っていて、程よく塩気がきいてシャンパーニュが進みます。豚足のコロッケみたいなやつがとりわけ心に残りました。
アミューズに「雲丹とキャビアを添えたオマール・ブルーのジュレ」。高級食材フルコンボといった贅沢なひと品。それでも決して下品ではなく、それぞれの食材が持つ個性を最大限に引き出しながら互いを引き立っており、計算されたバランスを感じました。
パンは数種類が提供され、いずれも素朴な味わい。全体を通してソース強めな芸風なので、これぐらいのシンプルなものでちょうど良い。
「野菜のシンフォニー:冬」。その名の通り冬野菜が交響曲さながら見事に調和しています。ある意味では素朴な料理なのにとても美味しい。世の野菜嫌いに食べてもらいたいひと品です。
「オマールのパルマンティエ ブール・オ・キャビア」もフレンチ2大スターが共演する料理ですが、フワフワと仕上げたジャガイモが全体を上手く取りまとめています。ソースはコッテリとしつつ酸味も感じられ、完成度の高い料理です。
お魚料理は「ほうれん草を纏ったクエとホタテのブーダン ソース・アグリューム」。クエとホタテをブーダン(ソーセージ)に見立ててホウレン草で包んで蒸し上げたもの。ふっくらとした食感と上品な甘みが際立ち、白身魚の王者といった味わいです。    
メインは選択制で、私はスペシャリテの「牛テールの煮込み トリュフ入りじゃがいものピュレ」をチョイス。なのですが、まっ茶色でとにかく映えない。美味しいは美味しいのですが、ビストロならまだしも高級レストランで食べるにはロマンに欠けるひと品でした。
ちなみに連れが注文した「亀岡牛のロティ アール・ブリュットスタイル:冬」は色々とロマンティックで羨ましい限りです。
アヴァンデセールにミカンを用いた氷菓。これが思いのほか美味しくって、そのへんのレストランで雑に出されるグラニテとは一線を画す味わいであり、これ単体で立派なスイーツとして成立しています。
メインのデザートはイチゴとレモン、ココナッツを駆使したひと品。イチゴの甘酸っぱさ、レモンの爽やかさ、ココナッツの豊かな風味が組み合わさり、多彩な表情が感じられます。さっきから当店の甘味は素晴らしいですね。パティシエが凄腕に違いない。
お茶菓子はワゴンから好きなものを好きなだけ。焼き菓子程度と思いきや、オペラのようなややこしいケーキまでミニサイズで用意されており、そのいずれもが美味。やはり当店のパティシエは凄腕である。握手したいくらいだ。
食後のお茶を楽しんでごちそうさまでした。以上のコースにワインやらなんやらと楽しんでひとりあたり4万円。ラグジュアリーホテルの、トップシェフが監修するレストランでこれだけ楽しんでこの支払金額は実にお値打ち。旅行者は皆、日本料理を食べに出るのか良くも悪くも空いており、京都高級レストラン界隈の穴場と言えるでしょう。オススメです。

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ヒロカリー(hiro curry)/前島(那覇)

那覇市前島の「ヒロカリー(hiro curry)」。元々は台湾の国民食である「魯肉飯(ルーローハン)」などを提供する居酒屋さんだったようですが、途中でスパイスカレー専門店へと業態転換したそうです。 
店内は明るく健康的な雰囲気。カウンターに5-6席とテーブルもいくつかあります。沖縄風のブロックを積み上げた仕切りの壁がかわちい。 
たまたま6周年イベントの日に訪れたので、もちろん特別メニューの「ヒロカリースペシャルプレート三種盛り」を注文。1,700円です。 
こちらは「烏賊とやんばる若鶏のココナッツイエローキーマカレー」。鶏の挽肉とイカを合わせて食べるのは面白い試みで、噛むほどに烏賊の旨味が口の中に広がり、鶏肉の風味をより一層引き立てます。ココナッツミルクのまろやかな甘さと香りがどこまでも優しい。
ゴハンはターメリックライスかな。香りが良く、どこか柑橘を感じさせる味覚です。スパイシーながら辛さは控えめなチキンカレーと良く合う。また、ゴボウやニンジン、ジャガイモなどの付け合わせも見逃せない美味しさです。
たんかんポークビンダルー。あぐーのうで肉と沖縄の冬を代表するフルーツ、たんかんを使ったスパイシーでフルーティーなカレーです。甘酸っぱ辛いカレーであり、私にはちょっと甘みが強すぎるように感じました。ただ、連れは美味しい美味しいと光の速さで食べていたので、好みは人それぞれでしょう。
以上のカレーが1,700円。沖縄のカレーとしてはちょっと高いかなと感じましたが、まあ、6周年のご祝儀含みという意味では妥当かもしれません。何よりスパイスへのこだわりと沖縄の食材を活かした新規性のあるスタイルが面白いですね。次回は是非ともスペシャリテの「沖縄魯肉飯(ルーローハン)カレー」を試してみたい。なんせ私は台湾から帰ってきたばかりなのだ。

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寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
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てんぷら 味覚(みかく)/六本木

芋洗坂を下って脇道に入ったところにある「てんぷら 味覚(みかく)」。ごま油の良い香りが目印。創業は1931年の老舗であり、じいちゃんたちが元気に切り盛りしています。
店内はカウンター席が7-8席にテーブルがいくつか。お座敷もあるようで、宴会利用している常連もいました。天ぷら屋で飲み会って大人だなあ。
一休から5千円のコースを予約したのですが、キレイな生ビールも1杯付いてきて大変お値打ち。六本木で天ぷら食べて酒まで付いて5千円ってすごない?
最初にサラダがでます。ちなみに当店は自家農園を保有し、店主みずから汗を流して栽培したお野菜をお出し頂けます。
一品料理として、この日はアンキモも出てきました。ねっとりとした舌触りに口の中に広がる濃厚な旨味。まさしく海のフォアグラです。
さっそく天ぷらが始まりました。まずは海老の脚で、大人のスナック菓子。程よい旨味がビールの苦味を誘います。
才巻海老が2尾。ぷりぷりとした弾力にごま油の香り。酒を呼ぶ揚げ物です。
海老のすり身をシイタケに詰めて揚げました。椎茸の肉厚な食感と、海老のすり身の弾力のある食感が、絶妙な調和を生み出します。
イカ。サクサクとした独特な食感。シンプルながらも奥深い味わいです。
ブロッコリー。揚げることで、特有の青臭さが和らぎ、甘みが引き立ちます。
メゴチ。ふっくらとした白身と、カリッとした骨の食感が楽しい。
カボチャ。天ぷらにすることでホクホクとした食感が際立ち、甘みがさらに引き立ちます。
三陸産の牡蠣。豊かな海で育った牡蠣は、身が大きく磯の香りがたっぷり。濃厚なミルクのような旨味が堪りません。
レンコン。シャキシャキホクホクとした歯触りが心地よい。
フグ。上品な白身を天ぷらにすることで旨味が凝縮され、格別の味わいに。冬の味覚の王様です。
ナス。とろけるような食感とジュワっと広がる旨味が心地よい。
キス。ほのかな甘みと潮の香りが春の海辺を想わせます。
海老のかき揚げは天丼にしてもらいました。 丼の上に広がる黄金色の世界。プリプリとした海老がゴロゴロと入っていて、甘辛いタレが、衣とゴハン沁み込んで、 何とも言えないハーモニーを奏でます。
芋ブラ。サツマイモの天ぷらにブランデーをかけたもの。揚げたて熱々のところにブランデーをジュッとかけ、禁断の香りが漂います。
オマケで果物もお出し頂けました。冒頭に記した通り、以上を食べてビールも付いて5千円ってすごない?ここ六本木ですよ六本木。

ちなみにランチタイムは塩天丼が有名で、お得なランチとして行列が生じるのですが、ディナータイムも勝るとも劣らない費用対効果の良さ。冬は鴨鍋もやっているそうなので、次回は飲み仲間と大勢でお邪魔したいと思います。

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天ぷらって本当に難しい調理ですよね。液体に具材を放り込んで水分を抜いていくという矛盾。料理の中で、最も技量が要求される料理だと思います。

てんぷら近藤の主人の技術を惜しみなく大公開。天ぷらは職人芸ではなくサイエンスだと唸ってしまうほど、理論的に記述された名著です。スペシャリテのさつまいもの天ぷらの揚げ方までしっかりと記述されています。季節ごとのタネも整理されており、家庭でも役立つでしょう。