ダイバーシティ
英語:diversity
「ダイバーシティ」とは、「組織や社会において、性別・民族・文化・価値観・ライフスタイルなどの違いを積極的に肯定・尊重し、人材として受け入れること」を意味する語である。特にビジネス・経営・雇用の文脈で用いられることが多い。
偏見や差別の意識にとらわれずに、平等に均等に、雇用機会や待遇を提供する、という理念
「ダイバーシティ」の考え方の土台には、個人の多様性を尊重し、マイノリティ(少数派)を排除しない、という意識がある。また、「マイノリティへの配慮」という社会的な意義だけでなく、組織内に多種多様な視点や考え方を持つ人材を置き、適材適所で実力を発揮させることにより、柔軟かつ創造的な企業活動の実現が期待できる、という実利的な意義も期待される。
この「ダイバーシティ」の概念は、欧米(英語圏)では一般的に「Diversity and Inclusion」(D&I)という呼び名で扱われている。その意味では「ダイバーシティ」は「ダイバーシティ・アンド・インクルージョン」の略とも捉えられる。
「ダイバーシティ」と「インクルージョン」の意味と違い
「ダイバーシティ」という言葉そのものは、英語の名詞「diversity」をカタカナ書きした外来語表現である。この diversity は、diverse(様々な / 諸々の) という形容詞に接尾辞 ‐ity が付いて抽象名詞化された語彙である。単語だけ和訳する場合は大抵「多様性」と訳されるが、熟語としては「a diversity of languages(さまざまな言語)」とか「a diversity of opinion(多種多様な見解)」のように色々な表現に訳せる。同じく「インクルージョン」は英語の名詞「inclusion」に由来する外来語であり、おおむね「包含-すること」と訳される。inclusion は動詞 include(含む)に接尾辞がついた抽象名詞である。
「Diversity and Inclusion」を素朴に直訳するなら、「多様性と包含」といったところである。
「ダイバーシティ」と「インクルージョン」の違いは、着眼点が「多種多様であること」に留まる(ダイバーシティ)か、それを踏まえて「多種多様な個性が(同じ組織に)含まれている」(インクルージョン)ことまで見越すか、という点にあると言える。「インクルージョン」は「ダイバーシティ」を前提しつつ人材の活用にも目を向けている考え方であり、その意味でダイバーシティに取って代わる概念である。とはいえ「ダイバーシティ」の概念を前提にしないと意味不明でもある。そして、日本語における「ダイバーシティ」は、ダイバーシティとインクルージョンの両方の要素を兼ねた概念として扱われている。
ダイバーシティ経営とは
ダイバーシティ経営とは、簡単にいうと「多様な人材が適材適所で能力を発揮することにより創造的な成果につなげていく」ということである。つまり「ダイバーシティの考え方を理想的に実現する経営」ということである。日本では経済産業省が「少子高齢化社会における人材確保」と「多様化する市場ニーズやリスクへの対応力の強化」という観点から「ダイバーシティ」および「ダイバーシティ経営」の充実に力を入れている。
欧米のダイバーシティ(D&I)は、人種・民族・宗教の違いによるマイノリティ排除の是正が大きな使命となっているが、日本では人種・民族・宗教の違いによるマイノリティ排除という問題はさほど大きくなく、むしろ性別・年齢・学歴・国籍といった要素が是正対象として主に扱われる。性的指向(いわゆるLGBT)も大きな要素である。
diversity
「diversity」の意味
「diversity」とは、多様性や異なる要素が存在する状態を指す言葉である。文化、人種、意見、考え方など、様々な分野で用いられる。例えば、企業においては、従業員の年齢、性別、国籍、スキルセットなどの多様性が重要視されることがある。また、生物学においては、生態系の種多様性が環境の健康や持続可能性に寄与するとされる。「diversity」の発音・読み方
「diversity」の発音は、IPA表記では /dɪˈvɜrsɪti/ であり、IPAのカタカナ読みでは「ディヴァーシティ」となる。日本人が発音するカタカナ英語では「ダイバーシティ」と読むことが一般的である。「diversity」の定義を英語で解説
Diversity is defined as the state of having many different forms, types, ideas, or characteristics. It can be applied to various fields such as culture, race, opinions, and ways of thinking. In a business context, diversity may refer to the variety of employees' ages, genders, nationalities, and skill sets. In biology, the diversity of species in an ecosystem is considered to contribute to the health and sustainability of the environment.「diversity」の類語
「diversity」の類語には、variety(バラエティ)、multiplicity(多様性)、heterogeneity(異質性)、pluralism(多元主義)などがある。これらの言葉は、それぞれニュアンスや使用される文脈に違いがあるが、全て多様性や異なる要素が存在する状態を表す。「diversity」に関連する用語・表現
「diversity」に関連する用語や表現には、cultural diversity(文化的多様性)、racial diversity(人種的多様性)、gender diversity(性別の多様性)、biodiversity(生物多様性)などがある。これらは、それぞれ特定の分野や対象における多様性を指す言葉である。「diversity」の例文
1. The company values diversity and inclusion in the workplace.(その会社は職場での多様性と包括性を重視している。) 2. The diversity of opinions leads to a more creative and innovative environment.(意見の多様性が、より創造的で革新的な環境を生み出す。) 3. The city is known for its cultural diversity.(その都市は文化的多様性で知られている。) 4. The university promotes diversity among its students and faculty.(その大学は学生と教員の間の多様性を促進している。) 5. Biodiversity is essential for maintaining a healthy ecosystem.(生物多様性は、健全な生態系を維持するために不可欠である。) 6. The diversity of the team's skill sets contributed to the success of the project.(チームのスキルセットの多様性が、プロジェクトの成功に寄与した。) 7. The festival celebrates the diversity of the community.(その祭りは、コミュニティの多様性を祝っている。) 8. The diversity of plant species in the area is remarkable.(その地域の植物種の多様性は注目に値する。) 9. The company is committed to increasing gender diversity in leadership positions.(その会社は、リーダーシップポジションにおける性別の多様性を高めることに取り組んでいる。) 10. The diversity of the menu offers something for everyone.(メニューの多様性は、誰もが何かを見つけられるようになっている。)ダイバーシティ
「ダイバーシティ」の基本的な意味
ダイバーシティとは、多様性や異質性を意味する言葉である。主に人々の性別、年齢、人種、文化、価値観などの違いを受け入れ、それらを活かすことを指す。組織や社会において、ダイバーシティを重視することで、新たなアイデアや視点が生まれ、創造性や競争力が向上することが期待される。「ダイバーシティ」の語源
ダイバーシティは、英語の「diversity」が語源である。diversityは、ラテン語の「diversitas」から派生し、その意味は「異なる」や「多様な」である。英語圏では、主に人々の違いや多様性を指す言葉として用いられている。「ダイバーシティ」の類語
ダイバーシティに類似した意味を持つ言葉として、「多様性」「異質性」「バリエーション」などがある。これらの言葉も、人々や物事の違いや多様性を表す際に用いられる。「ダイバーシティ」に関連する用語・知識
インクルージョン
インクルージョンとは、ダイバーシティを受け入れ、異なるバックグラウンドを持つ人々が共に働く環境を整えることである。インクルージョンを実現することで、組織内でのコミュニケーションや協力が向上し、ダイバーシティが持つポテンシャルを最大限に活用することができる。マイノリティ
マイノリティとは、社会や組織内で数的に少ない立場にある人々のことを指す。ダイバーシティの観点からは、マイノリティの意見や視点を尊重し、彼らが活躍できる環境を整えることが重要である。エクイティ
エクイティは、公平性や正義を意味する言葉である。ダイバーシティを推進する際には、異なるバックグラウンドを持つ人々に対して、公平な機会や待遇が提供されることが求められる。ジェンダー平等
ジェンダー平等とは、性別による差別や偏見をなくし、男女が平等に権利や機会を享受できる状態を指す。ダイバーシティの一環として、ジェンダー平等の実現に向けた取り組みが行われている。グローバル化
グローバル化とは、世界各地の国や地域が経済や文化、情報などの面で緊密につながり、影響し合う現象である。グローバル化が進む中で、異なる文化や価値観を持つ人々と協力して働くことが求められるため、ダイバーシティの重要性が高まっている。「ダイバーシティ」を用いた例文
1. この企業はダイバーシティを重視し、様々なバックグラウンドを持つ人々が働く環境を整えている。 2. ダイバーシティの観点から、新しいプロジェクトチームでは異なる専門分野や経験を持つメンバーが集まっている。 3. 社会のダイバーシティを反映させるため、広告キャンペーンでは多様な人々が登場するように企画されている。ダイバーシティ
英語:diversity
(1) 主に「多様性」と和訳される英語の名詞。英語では diversity と綴る。英語の形容詞 diverse(さまざまな)を名詞化した語。それぞれ異なる趣のものが多く含まれる、多種多様である、という意味合いを多分に含む。「diversity of (名詞)」で「さまざまな(名詞)」と表現できる。類義語にバラエティ(variety)がある。
日本語では「ダイバーシティ」は、「生物多様性」「遺伝的多様性」「文化多様性」あるいは労働における「人材の多様さ」といった概念を指す語として用いられる。たとえば動労環境における人材の多様性は、年齢や性別はもちろん学歴・職歴、国籍・人種・民族、性的指向・性自認といった側面から人を制限しないこと、むしろ積極的に採用していく取り組みなどを指す意味で用いられている。
ビジネスシーンにおいては、労働人口の減少や様々なニーズに対応するために、高齢者や外国人の雇用を増やす「ダイバーシティ経営」という言い回しが知られる。元々は、幅広く性質の異なるものが存在しているという意味で用いられていた表現。
(2) 東京の台場(お台場)にある複合商業施設の名称・通称。正式な名称は「ダイバーシティ東京」であり、これは三井不動産株式会社の登録商標である。英語では「DiverCity」(DiverCity Tokyo)と表記される。
ダイバーシティー【diversity】
ダイバーシティ
ダイバーシティ
ダイバーシティ

ダイバーシティという考え方は、60年代の米国で公民権運動など人権問題への取り組みのなかで生まれました。「黒人と白人女性」に対する差別的な人事慣行(採用、業績評価など)を撤廃しようという動きが発端になりました。やがてマイノリティ(障害者、高齢者など)をすべて包括する考え方に変わり、企業社会の中に浸透していきました。現在は企業競争力の観点から重要性を増しています。
日本でも変化に強い組織づくりの考え方として注目を集め、マネジメント手法として採用する企業が増えています。ソニーは2005年7月にダイバーシティ・プロジェクト(DIVI@Sony)を発足、女性社員の「就業継続支援」や「一担当者からマネージャーや経営職へのキャリアアップをサポート」する活動などを推進しています。08年2月にはダイバーシティ開発部を新設し、取り組みを強化しています。このほか富士フイルムホールディングス、丸紅、野村證券、東京電力、帝人、日産自動車など、多くの大企業が積極的に取り入れています。
背景には社会の大きな構造変化があります。少子化により十分な労働力が確保できない状況に移行しつつあるなか、企業は女性や高齢者、外国人などの労働力を生かす必要に迫られています。またニートやシングル・ペアレントが増加するなど、家族観も様変わりしています。
多様な顧客ニーズに応えられないような企業は、経営が成り立ちにくい時代になってきました。多様なニーズに応えるには、多様な人材を育てることがカギになります。従来のように男性社員は幹部候補、女性社員は補助職と画一的に処遇するのではなく、それぞれの個性を最大限に引き出し、それらを経営に生かす知恵や工夫、戦略が重要になっています。
団塊の世代でチームを組織し、同世代向けの製品・サービス開発を行うといったマネジメント手法は、その一例といえるでしょう。同様の手法は外国人向けや女性向けの商品開発にも応用できます。「100年に一度」といわれる不況期には社員のさまざまな能力を引き出し、モチベーションを高いレベルで維持できるかどうかが、成長の分かれ目になります。
日本の企業には伝統的に職場の「和」や社員の「同質性」を大事にする文化があります。競争力の源泉である「現場力」を維持するためには重要な価値基準かもしれません。ただ、ともすれば「出る杭は打たれる」ではありませんが、一人ひとりの個性や可能性を切り捨ててしまうことになりかねません。ダイバーシティという考え方はもっと評価され、経営に取り入れられてよいでしょう。
(掲載日:2009/04/25)
ダイバーシティ
ダイバーシティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/07 00:35 UTC 版)
ダイバーシティ
- 多様性
- ダイバーシティ (無線通信技術)
- ダイバーシティ東京 - 東京都江東区青海にある複合商業施設およびオフィスビル。
ダイバーシティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/10 09:48 UTC 版)
「リュッセルスハイム・アム・マイン」の記事における「ダイバーシティ」の解説
リュッセルスハイムは、企業における家庭と仕事の両立や機会均等を推進する企業構造に対して「ゾフィー賞」を授与している。この賞の選考は「女性と家庭に優しい職場」コンクールで、企業はコンセプトを明言し、互いに競い合う。リュッセルスハイム市は2007年に第1回ゾフィー賞を授与した。2012年にこのコンクールはその対象地域を拡大した。
※この「ダイバーシティ」の解説は、「リュッセルスハイム・アム・マイン」の解説の一部です。
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