源氏名
「源氏名」とは、主に水商売に勤める女性などが仕事の上で名乗る仮名(実名ではない呼び名)を意味する表現である。いわゆるキャバ嬢、ソープ嬢、バーやクラブのママやホステス、あるいはホストクラブのホストやゲイバーのママなどの、芸名のこと。
「源氏名」はかつては芸妓や舞妓が名乗る芸名を指す意味で用いられた。現代では、「源氏名は遊女が用いるもの」という認識に基づき、芸子や舞妓の名前は「源氏名」ではなく「芸名」と呼ぶべき、とする見解がある。
「源氏名」の基本的な意味
源氏名は、おおまかに言えば、風俗業に従事する女性や男性が接客をする上で用いる名称である。芸名、愛称、ニックネームのようなものである。男性の相手をする遊女や芸妓が、「源氏物語」の巻名に因んだ名を仮名として用いたため、「源氏名」という呼び名になったとされる。源氏名は、その成り立ち上、基本的には女性が名乗る仮名を指す言葉であったが、今日では男性(ホスト)が名乗る芸名も「源氏名」と呼ばれるようになっている。
源氏名は「姓と名」で構成される場合もあれば、姓を持たず名前だけの場合もある。西洋風の名前もあれば、およそ人の意表を突くような攻めた名前もある。実名をそのまま源氏名として用いる場合もあり得る。
源氏名は自分で考えて名乗る場合もあれば、所属する店舗の上役から命名されることもある。源氏名に求められる要素としては、愛嬌や格好良さが感じられる好印象の語感があること、客に憶えてもらいやすい語呂であること、そして店内で源氏名が被らないこと、などが挙げられる。
「源氏名」の発音・読み方
源氏名の読み方は基本的には「げんじな」である。ただし通俗的には「げんじめい」と呼ばれることもある。「源氏名」の語源・由来
源氏名は、歴史的には宮仕えする女官や女中が名乗ったり呼ばれたりした通称のことであり、源氏物語に因んだ名であったため「源氏名」という呼び名になったとされる。近世(江戸時代頃)になると、遊女が用いる芸名・仮名を指して「源氏名」と呼ぶようになった。この頃には「源氏物語に因んだ名前」という前提は取り払われている。
現代では「源氏名」は水商売の女性が愛称や芸名として用いる仮名を指すようになり、「源氏物語」との関連性もなくなり、「女性の芸名」という暗黙の前提もなくなった。
げんじ‐な【源氏名】
源氏名
- 遊女の仮名のことをいふ。女郎は本名を匿す為めに、源氏物語の題名に在る、夕顔・若紫・葵・松風・初音・若菜・夕霧など、みやびた粋な仮名をつけるから。〔花柳語〕
- 遊女は本名を使はず、源氏物語にある夕霧、葵、初音等の粋な名を用ひるので、その仮名を源氏名といふ。〔花柳界〕
- 遊女のかりの名。
- 遊女の仮名のことをいふ。女郎は本名を匿す為めに、源氏物語の題名に在る、夕顔・若紫・葵・松風・初音・若菜・夕霧など、みやびた粋な仮名をつけるから。
- 遊女はすべて本名を使はずに源氏物語の題名にあるやうな夕顔とか若紫・松風・初音などと仮りの名をつけて使ふ事を源氏名といふ。
- 遊女がそれぞれ名乗る名のこと。即ち本名をかくして、源氏物語の中に出て来るようなやさしい女の名をつけるからである。もとは源氏物語の五十四帖の題名に因んでつけたものである。
源氏名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/07 13:30 UTC 版)
源氏名(げんじな[注 1])は
概要
源氏名とは、『源氏物語』にちなんで女性に付けられた(あるいは女性が名乗った)名前のことである。源氏名を歴史的に見ると、元来は『源氏物語』の巻名で、最初は名歌の題材や投扇興の点数の名称に使ったり、後に女官や遊女が自らの出世、輝かしい未来を願い、源氏のように勝負に勝ちたいと本名を隠し源氏名を名乗ったことがことの始まりである。当初は中世から近世にかけて公家に仕えた女官の名のことだったが、後に武家の奥女中などにおいても用いられるようになった。「源氏名」を使用したことが確認できる最も早い事例は、『実隆公記』に記載されている、「梅枝」という名の三条西実隆に下女として仕え永正2年(1505年)11月6日に死去した女性である[3]。源氏名とされるための条件は以下のようなものである。
- 最狭義には、五十四帖の巻名のいずれかそのものに限られる。
- 狭義にはそれに加えて、巻名になっていない『源氏物語』の登場人物にちなむものを含む。
- 広義には、『源氏物語』とは直接の関係ないが『源氏物語』を連想させるような雅な名前を含む。
もともと遊女には、古くは平安時代から本名とは異なる雅な名前を名乗る慣習があり[4]、江戸時代の遊廓で遊女が源氏名を使用した。この段階で『源氏物語』とはあまり関係のない「源氏名」が多くなったとされる[5]。
さらに時代が下り、水商売や風俗店で働くホステスやホスト、及びコスプレ系飲食店(メイド喫茶など)の従業員は、やはり仕事の上で本名ではない名前を使うことが多いが、『源氏物語』とは特に関係ないにもかかわらず、それらをも源氏名と呼ぶようになった[6]。現代ではマスコミも使用している[7]。
本来の「源氏名」の使用例
- 徳川和子の入内(1620年)に付き添った女性[8]
- 寛政年間江戸城本丸奥女中一覧より[9]
- 和宮様附女中分限帳より[10]
- 『色道大鏡』より(遊女の源氏名)[11]
- 『色道大鏡』より(禿(かむろ)の源氏名)[12]
- 「軒端」「こてふ」「あかし」「關屋(関屋)」「すま」
脚注
注釈
出典
- ^ “ホストクラブや水商売の業界用語を解説!【あ~さ行】”. ニコニコチャンネル. ホストワークチャンネル(ホストワーク編集部) (2016年8月8日). 2022年12月19日閲覧。
- ^ “か - ガールズバー用語集”. GirlsBarWalker. 2022年12月19日閲覧。
- ^ 秋山虔、渡辺保、松岡心平 編「植木朝子『源氏名』」『源氏物語ハンドブック』新書館〈ハンドブック・シリーズ〉、1996年10月25日。ISBN 978-4-4032-5019-4。
- ^ 「西山松之助『源氏名』」『国史大辞典 第5巻(け - こほ)』吉川弘文館、1985年。ISBN 978-4-642-00505-0。
- ^ 角田 2006, pp. 290–296.
- ^ 荻生待也 著「源氏名」、荻生待也 編『日本人名関連用語大辞典』遊子館、2008年6月27日、77頁。ISBN 978-4-946525-89-6。国立国会図書館サーチ:R100000002-I000009403388。
- ^ 井崎圭 (2019年10月24日). “中洲「朝キャバ」流行する理由 背景に福岡特有の事情も 昼下がりに記者が行ってみた”. 【西日本新聞me】. 西日本新聞者. p. 2. 2022年12月19日閲覧。
- ^ 角田 2006, pp. 262–264.
- ^ 角田 2006, p. 324.
- ^ 角田 2006, p. 576.
- ^ 角田 2006, pp. 557–561.
- ^ 角田 2006, pp. 561–563.
参考文献
- 角田文衛『日本の女性名 歴史的展望』教育社〈教育社歴史新書〉(上・中・下)1980年 - 1988年。
- 角田文衛『日本の女性名 歴史的展望』国書刊行会、2006年4月。ISBN 978-4-3360-4745-8。
関連項目
源氏名
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「鳥海浩輔・安元洋貴 今夜は眠らせない…禁断生ラジオ」の記事における「源氏名」の解説
ゲスト出演者(禁生ファミリー)の番組オリジナルネーム。 放送中のゲストの発言などからピックアップされ、リスナーのコメントやメールを通じて決定されていく。 ゲスト源氏名備考保村真 平成の光源氏 またの名を「声優界の坂本龍馬」、「若鷹ジェット真(まこと)」。 前野智昭 バッチコイ将軍 吉野裕行 ご無沙汰流星群 読み方は「ごぶさたりゅうせいぐん」。略称は「ごぶりゅう」。 てらそままさき キャミそまさん 羽多野渉 おなもみクローバーZ 略称は「おなクロ」、「おなもみ」。 津田健次郎 ツダイソン 諏訪部順一 鬼ショコラ 岸尾だいすけ プロ魚雷岸部 鷲崎健 痛い風 速水奨 ショ万兄様 読み方は「しょまにいさま」。またの名を「Dr.HAYAMI」。 高橋広樹 なまたまっちょ 「おんたまっちょ」と呼ばれる場合もある。 梶裕貴 揉みてすQ 「揉むてすQ」と呼ばれる場合もある。 置鮎龍太郎 KARICo 読み方は「カリコ」。 杉田智和 たまふぐり杉MAX 宮野真守 鴨川チョモステル 浪川大輔 ドリンドル輔川 江口拓也 益黄門 読み方は「ましこうもん」。 伊藤健太郎 ポークフレンド(肉) 読み方は「ぽーくふれんどかっこにく」。略称は「ぽくふれ」。 森久保祥太郎 森久 保 読み方は「もりひさたもつ」。 谷山紀章 性春18禁切符 鈴村健一 カルク・ローガン 柿原徹也 太陽の右折エンジェル 日野聡 オーマイ・サトシ 高橋直純 ぬるNY 読み方は「ぬるにい」。 西山宏太朗 尻弟子→Siri師匠 2019年10月15日の禁断尻ラジオにて、Siri師匠に昇格した。 細谷佳正 オネーザ様 中村悠一 う巻・F・サバ夫 読み方は「うまきえふさばお」。 KENN 暴れんNu将軍 ランズベリー・アーサー アーサー王 石油王と二人合わせて「GLG(グッドルッキングガイ)」こと「円卓のアジフライ」と呼ぶ。 杉浦ジュリアン 石油王 アーサー王と二人合わせて「GLG(グッドルッキングガイ)」こと「円卓のアジフライ」と呼ぶ。#89ではトム・フライと名付けられた。 増田俊樹 獣王(工事中) 読み方は「じゅうおうかっここうじちゅう」。 堀江由衣 大天使ホリエル(17)or堕天使カロリエル(17) 時と場合によって使い分ける。 梅原裕一郎 U-MEN 遊佐浩二 パンパン大佐 寺島拓篤 キャミシマ・ダウニーJ r キャミそま様が父親 檜山修之 まZだの赤備え 下野紘 戯乳隊長 岡本信彦 現金(リアルゴールド) 森川智之 ファ裸王 立花慎之介 CE-King 福山潤 ベン・潤ソン 平川大輔 ブロッコ・リー
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