アップ‐ストア【App Store】
App Store
別名:iPhone App Store
App Storeとは、AppleのiPhone(iPhone 3G)およびiPod touch向けに開発されたサードパーティ製のアプリケーションを配信する専用の配信チャネルの名称である。
App Storeでは、サードパーティによるアプリケーションを一元的に集め、配信する窓口となっている。携帯電話、および、Wi-Fiによる無線通信に対応しているため、どこからでもアクセスでき、好きなアプリケーションを見つけたらその場でダウンロードとインストールを行うことができる。アプリケーションの中には有償のソフトウェアもあれば、フリーソフトもある。
App Storeで配信されるアプリケーションの種類は、ゲームやビジネス向けツール、地図、ショッピング関連など、多岐にわたる。eBayのようなPC向けのWebサイトが、iPhone対応版として登場している例もある。マルチタッチやGPS、加速度センサといった、iPhoneならではの機能を活用したアプリケーションも提供可能となっている。
App Storeは、PCからアクセスしてアプリケーションをダウンロードすることもできる。その際はiTunesを通じてiPhoneにデータを転送することで、インストールできる。ちなみに、App Storeにおけるアプリケーションの価格(あるいは無償にするか)は、提供者側が任意に設定できる。
2008年7月11日にiPhone 3Gが世界21ヵ国で一斉発売されて後3日間で、App Storeのダウンロード数は1千万本を突破した。
なお、アプリケーション開発のためのソフトウェア開発キット(SDK)としては「iPhone SDK」が無償で配布されており、動作検証や審査プロセスとして「iPhoneデベロッパプログラム」が有償で提供されている。
参照リンク
App Store
App Store
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/12 23:09 UTC 版)
作者 | Apple |
---|---|
開発元 | Apple |
初版 | 2008年7月10日 |
対応OS | OS X iPhone 2.0 以降 |
プラットフォーム | iOS、iPadOS[1]、watchOS、tvOS、visionOS |
対応言語 | 40言語[2] |
サポート状況 | 開発中 |
種別 | アプリケーションストア |
公式サイト | appstore |
App Store(アップ・ストア)は、Appleが運営するiPhone、iPod touch、iPad向けアプリケーションのダウンロードサービスである。Mac OS X 10.6.6以降を搭載したMacにも類似のサービスがあるが、こちらは Mac App Store を参考のこと。
概要
2008年7月10日、iPhone 3G発売とともにサービスを開始し人気を博している。iPhone、iPod touch、iPadのアプリケーションを入手する方法は公式にはApp Storeの利用のみであり、独占的な市場を形成している。世界中の開発者によるアプリケーションが登録されており、無料のアプリケーションも多い。ここで扱われるのは単独のアプリであり、電子書籍はiBooks内のiBookstoreで取り扱う。
App Storeの開設以前、iPhone、iPod touchにアプリケーションをインストールすることは不可能であったが、ハッカー達がiOSのセキュリティホールを利用したJailbreakを行い、独自にアプリケーションをインストールしていた。なお、現在もJailbreakすることで、Cydia から非正規のアプリケーションのダウンロードおよびインストールが可能であるが、この行為をAppleは認めていない。Jailbreakを行っている利用者はマルウェアの標的にされる危険性があり、Appleから問題発生時のサポートを受けられなくなる。
2012年7月時点でアプリケーション数は65万本、サービス開始からの累計ダウンロード数は300億ダウンロードを超えている。2008年7月から2012年3月までの売上は、3割の決済手数料を引いたあとで、累計40億ドル[3]。
App Store はNTTドコモのiモードを研究して作られているという意見がある[4]。
沿革
- 2008年7月10日、iPhone 3Gの発売とともにサービスを開始。
- 2009年
- 2010年
- 2011年
- 2015年6月、ダウンロード数が1,000億本突破。アプリケーション数は約150万本[13]。
- 2016年
- 2017年、アプリ総数は約210万本[注 1]。
利用
App StoreはパソコンのiTunes、またはiPhone、iPod touch、iPadの「App Store」アイコンからアクセスできる。前者はiTunes App Storeと呼ばれる場合がある。
iTunes App Storeのトップページには「ニューリリースと注目作品」や「Whats' Hot」「Today」などのコーナーがあり、App Storeが選んだお薦めのアプリケーションが並んでいる。人気アプリは「トップチャート」に掲載される。「有料App」や「無料App」は人気順、「トップセールスApp」は売上高順に配列される[16]。各アプリケーションの詳細ページを開くと、スクリーンショットやカスタマーレビューを見ることができる。
アプリケーションの購入にはiTunes Storeのアカウントが必要である。無料アプリケーションのダウンロードも手続上「購入」と呼ばれる。
購入・ダウンロードしたアプリケーションは、原則としてiTunesとiPhone(またはiPod touch、iPad)を同期すれば両方に保存される。ただし削除した場合の挙動は若干異なる。
- iTunesライブラリからアプリケーションを削除したあと、削除したアプリケーションがホーム画面に存在するデバイスと同期した場合は、処理方法を尋ねるダイアログボックスが出現する。「転送」を選ぶとアプリケーションがデバイスからiTunesライブラリに転送されライブラリ上に復活する。「転送しない」を選ぶとデバイスからも完全に削除される。
- デバイス上でアプリケーションを削除したあと、削除したアプリケーションがライブラリに存在するiTunesと同期した場合は、iTunesに表示されたデバイス内のアプリケーションタブにある管理画面で削除したアプリケーションのチェックが自動的に外れ、以後は同期されない。ただしアプリケーション本体はiTunesライブラリに残っているため、前述の管理画面でチェックを入れ直すと、アプリケーションがiTunesライブラリからデバイスに転送され、再び使えるようになる。
開発
App Storeは、外部の開発者の出品を受け入れている。
開発者はまずMax OS X v10.5以降のオペレーティングシステムを搭載したIntel Macを保有していることが当初は前提であったが、2012年1月現在ではiOS 5向けのソフトを開発するにはMac OS X v10.6.8以降とXcode 4.2以降が必要である[17]。また、Apple Developer ConnectionにApple Developerとして登録(無料)、その後、年会費99ドル(税込みで8,400円)の「iOS Developer Program」に加入することが必須である。開発に使うMacにiOS SDKをダウンロード・インストールする。必要に応じて動作検証用のiOSをダウンロードしてiTunes経由で実機(iPhone、iPad、iPod touch)にインストールする。
Mac上でXcodeを使ってアプリケーションを作成。iOS Developer Program会員のみアクセスできるウェブサイト「iTunes Connect」でアプリケーションを登録。Appleが行う審査を通過すれば、App Storeに出品される。価格は開発者が自由に設定でき、有料の場合は売上げの3割を手数料・ホスティング料としてAppleが徴収し、残り7割が開発者の取り分となる。
メリットと問題点
個人開発者や小企業にも一攫千金のチャンスがあるとされ[18]、開発者が急増[19]。2009年9月時点でのAppleの会員制開発者組織「iPhone Developer Program」登録者数は約12万5,000人に及び[20]、スタートとともに、さながらゴールドラッシュの様相を呈した。
この仕組みの長所は以下の通り。
- Androidよりは厳しいが、日本の携帯電話への出品と比べると事前審査が簡易的で、企画段階での事前交渉が不要[21]。
- 外国製のアプリも日本市場に多数入ってくるが、すでに売上げが飽和した日本市場以外に電話機や制度の違いを考えずに販売できる[22]。
- 技術的・倫理的な問題のあるアプリケーションは事前の審査により排除されるため、ユーザーにとっても安心感がある。
問題点・不満点は以下の通り。
- 「In App Purchase(アプリ内課金)のアイテムが最大1,000個」という制限があり、電子書籍アプリにとっては制約が多い[23]。アイテム数の制限は、2010年6月に3,000個、2012年6月に1万個と拡大されている。
- 消費者の利用が短期で、広告モデルが難しい[24]。
- 細かい仕様が不明[25]。
- 審査プロセスの進度にばらつきが大きく、早い場合もあれば遅々として進まないこともある[26]。
- 大量のアプリケーション(2015年6月現在150万以上)に埋没してしまう[25]。
- 単価の低下[27]。
- 大半のアプリが不人気[28]でインストールすらされず、元が取れないと言われ、儲かるのはごく一部という意見もある[29]。
- ベータ版やプレビュー版など未完成状態でのリリースが禁止されており[30]、アプリが完成するまでは審査してもらえない。却下されると修正を迫られ、リリースが遅れ開発費がかさむリスクがある。
- 審査が通って公開したあとも、Appleが公開を取り消すことがある。
- ウェブブラウザはWebKitを使わないといけない、ストリーミングはApple HTTP Live Streamingを使わないといけないなど、技術面でも制約をかけている。そのため、たとえば、標準ブラウザよりも高速なブラウザを作っても公開できず、技術的なイノベーションに抑制をかけている。
2010年2月ごろからアプリケーションの選別(審査基準)が厳しくなり、性的なコンテンツを含んでいたり[8]、非公開APIを使用するなど、技術上問題があるアプリケーションがApp Store上から姿を消した。また、2021年に「アプリのトラッキングの透明性」(ATT)のプロンプトの導入を義務付けたため、導入を拒否した約42万個のアプリがストア上から削除されている[31]。
商標か普通名詞か
アマゾンが2011年3月、Android向けに「Amazon Appstore for Android」というサービスを立ち上げると、Appleが商標権の侵害を主張し、アマゾンが「app store」という用語をアプリケーションポータルの名称として使うことを禁止させる裁判所命令を求めた。これに対し、アマゾン側は「app store」は普通名詞に過ぎないと反訴した[32]。
同7月、米連邦裁判所はApple側の要求を却下。しかし、その裁定はあくまで、Apple側が「各種競合ブランドとの間にある混乱の可能性を実証していない」という理由に基づくものであり、「app store」は純粋に汎用的な用語だとするアマゾン側の主張に同意するわけではないともしている[33]。
海賊版販売問題
- 2010年11月上旬ごろからApp Storeにおいて、村上春樹や東野圭吾等の小説や漫画を権利者に無断で電子書籍化した海賊版が、Appleの事前審査を通り販売されはじめた。権利者が海賊版の削除要請しても大半が違法配信され続ける、ひとつの海賊版が削除されてもまた新たに(Appleの審査を通り)配信されるなど、Appleの権利侵害行為に対する対応に関して、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本電子書籍出版社協会、デジタルコミック協議会の4団体は2010年12月14日に声明を発表[34][35]。
著者や出版社以外からの提供は強く疑われるべきものとし、アプリの内容について事前審査(暴力や性的なものなど)しているにもかかわらず明白な著作権侵害行為をチェックしていない、権利侵害が発覚しても削除されず海賊版の販売が続けられている、削除要請窓口や削除手順を公開していない、違法配信によって直接利益を得ているにもかかわらず販売データを公開しないなどの問題点を上げ、「違法行為のほう助であり、それ自体が違法と判断せざるを得ない」と強く非難している[36]。
Appleは「知的所有権を保護する重要性を理解している」と見解を示したうえで、申し立てがあれば対処するが、確認に手間と時間がかかるため、著作権侵害かを事前審査する考えはない(Appleの日本法人の関係者)としている[37]。
- 2012年3月18日、中国の作家団体がApp Storeで著作を無断販売されたとして、Appleに損害賠償を求めた訴訟の請求額が計5,000万元に達したと新華社通信は報じた。Appleは「知財権保護の重要性は理解している」とし、提訴には「適切に対応する」としている[38]。
- 2012年12月28日、App Storeでの海賊版販売に対し中国の作家8人と企業2社によるグループが1,000万元の損害賠償を求めていた裁判で、中国の裁判所はAppleがApp Storeで海賊版の作品を販売したとして、Appleに100万元の賠償金支払いを命じる判決を下した。判決に関してグループの広報担当者は「判決には失望している。作家の中にはたった7,000元しか得られないのもいる。判決は海賊版を助長するシグナルだ」と述べた。Appleは著作権侵害の訴えを「非常に深刻に」受け止めているとし、広報担当者のキャロライン・ウーは「われわれは常に、著作権者の権利を守るためにサービスの向上に努めている」と述べた[39]。
類似サービス
脚注
注釈
- ^ Appfiguresの調査より。
出典
- ^ iOSとiPadOS - 利用できる機能 - Apple(日本)
- ^ iPhone 12とiPhone 12 mini - 仕様 - Apple(日本)
- ^ Apple の App Store からのダウンロードが250億本を突破
- ^ アップル「iPhone」に続く、グーグルやノキア:日経ビジネスオンライン この App Store、実は日本のiモードを研究して作られたプラットフォームである。
田原総一朗×夏野 剛「カネ、人、技術の揃ったニッポン企業はこうやれば浮上する」 立ち上がれ!ガラケー日本!! vol.2 田原総一朗のニッポン大改革 現代ビジネス 講談社 でもね、これ、実はもともとiモードのモデルなんです。iモードもそうやって作ったんです。アップルの連中はiモードのビジネスモデルを相当研究してますからね。
Steve Jobs は本当に「ビジョナリー」だったのか? | まつひろのガレージライフ またしつこく他社を研究するのもアップルです。私は iPod に関わっていた頃、東京のオフィスに頼んで、i-mode をはじめとする日本や韓国で流行っている面白い製品を片っ端から送ってもらいました。そして、その頃にはもう上級副社長に昇進していたファデル氏みずからが、それらの製品を実際に手に取って使ってみて、バラして、みんなであーでもないこーでもないと何度となくディスカッションしていました。
アップル元社員「ジョブズは他人の成果を自分のものに…」 ビジネスジャーナル 昔はアップルのほうが「追いつき追い越せ」でしたが、今はもう眼中に入っていません。かつて私も、日本メーカーの携帯電話やミュージックプレイヤーを片っ端から買って、本社に持って帰って分解していました。その数も100や200では収まらない。 - ^ 坂本純子 (2009年1月23日). “iPhone/iPod touchのゲームアプリが好調--App Storのアプリケーション数は1万5000本に”. CNET Japan. 2009年12月21日閲覧。
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- ^ “電子書籍の海賊版「Appleに重大な責任」「それ自体違法」 出版4団体が強く抗議”. ITmedia (2010年12月14日). 2010年12月21日閲覧。
- ^ アップル社「アップストア」におけるデジタル海賊版の問題について 共同声明(日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本電子書籍出版社協会、デジタルコミック協議会)
- ^ “アップル「申し出あれば海賊版対処」 事前審査は否定的”. 朝日新聞 (2010年11月27日). 2012年3月16日閲覧。
- ^ 中国作家、アップルに6億円超請求 著作権侵害訴え 日本経済新聞 2012-3-18
- ^ 中国の裁判所、著作権侵害でアップルに100万元の賠償命令=新華社 ロイター 2012-12-28
関連項目
- iTunes Store
- アプリケーションストア
- モバイルアプリケーション
- Mac App Store
- iOS
- iPadOS
- Jailbreak - Apple非公認のアプリケーションを動作させる
外部リンク
- App Store - Apple(日本)
- App Store - Apple サポート 公式サイト
- App Storeを最大限に活用する - Apple Developer
- App Store Japan (@AppStoreJP) - X(旧Twitter)(2012年3月22日 08時43分55秒 - )
- App Store (@AppStore) - X(旧Twitter) (2009年9月16日 08時47分10秒 - )
アプリケーションストア
アプリケーションストア(英: app store、app marketplace)とはモバイルアプリケーションに対応したデジタルディストリビューションプラットフォームの一種である。
概要
ストアのアプリケーションは端末自身に最初から搭載された機能は基本的に除く特定の機能を提供していて、さらに特定の端末やオペレーティングシステム[注 1] で動作するように開発されている。パーソナルコンピュータでの使用を想定して開発された複合的な機能を持つソフトウェアは例として、携帯端末での使用を想定して開発された関連アプリケーションに転用することができる。このようなアプリケーションはコンピュータ上で完全動作するソフトウェアと比べて同等もしくは限られた機能を提供することができる。また、画面に表示されるデータの外観を最適化したり、端末のディズプレイサイズや解像度を考慮している。2種類以上の端末の機能的な継続性を提供する他に、このようなアプリケーションはまた2つの異なる端末間、2つの異なるオペレーティングシステムプラットフォーム間のファイル同期も可能である。アプリケーションストアは一般的にアプリケーションの機能[注 2]、所持端末がアプリケーションで動作するか、オペレーティングシステムが対応しているかと言った理由に基いてアプリケーションを提供している。
基本的にユーザーがこれら複数のカテゴリに分けられた各アプリケーションの情報[注 3] を確認した上で入手[注 4] することができるオンラインストアの形式をとっており、選んだアプリケーションは自動的にダウンロードされインストールされる。一部のストアではユーザーをマルウェアから保護する目的で一定の条件の下端末からインストールしたプログラムを自動的に除去することもある[1]。
多くのストアでは承認プロセスを通す必要が有る申請されたアプリケーションは運営者によって選定されている。このようなアプリケーションは、アプリケーションを有料にする場合は手数料が必要などを含む特定のガイドライン(品質管理や検閲)に基づく審査を受ける。21世紀に入り、iOS(App Store)やAndroid(Google Play)が登場したことでアプリケーションストアは提供アプリの使いやすさやほとんどの端末への対応により急速に普及した。他のオペレーティングシステムでもパッケージ管理システムとグラフィカルフロントエンドを使用した同種のアプリケーション配布システムも存在する[注 5]。
歴史
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黎明期
The Electronic AppWrapper [2] が暗号の一括管理やアプリケーションとデジタルメディアのデジタル著作権提供を担う最初の商用電子ソフトウェア配布カタログとされる[注 6]。NeXTWORLD Magazine編集長のシムソン・ガーフィンケルは正式なレビューでThe Electronic AppWrapperに5点満点のうち4と3/4点を付けたが、Paget社のElectronic AppWrapperは1993年1月、レベルの高いInVision Multimedia '93アウォードでファイナリストに残り、同年5月にNeXTWORLD ExpoにてBest of Breed award for Content and Informationを受賞した[4]。
多くのLinuxディストリビューションや他のUnix系システムでは、ユーザーがコマンドラインツールを使用して自身のシステム[注 7] にインストールしたソフトウェアを自動的に管理できるようになるパッケージマネージャーで知られるツールを提供しているが、新たなソフトウェアや適切な動作に必要なパッケージは単一プロセスでローカルもしくはリモートミラーから取り出したり自動インストールすることができる。Unix系オペレーティングシステムにおいて有名なパッケージマネージャーといえばpkgsrc、DebianのAPT、YUM、GentooのPortage(ほとんどのパッケージマネージャーと異なり、実行ファイルに代わって自動的にコンパイルされるソースコードで構成されるパッケージを配布している)。一部のパッケージマネージャーには利用可能なパッケージを閲覧したり操作を実行したりできるSynaptic[注 8] のようなグラフィカルフロントエンドソフトウェアが搭載されている。
1996年、SUSE Linuxディストリビューションに、自身のアプリケーションリポジトリに対応したYaSTが搭載された。Mandriva Linuxには、Rpmdrakeと呼ばれるGUIフロントエンドを付けたurpmiが搭載された。2003年にはYUP[注 9] の後継としてYUMがFedoraとRed Hat Enterprise Linuxに搭載された。
1997年、BeOSに対応したサードパーティ製ストアとパッケージマネージャー(SoftwareValet)でありBeDepot[注 10] がスタートし、2001年まで運営された。BeDepotは商用、無料両方のアプリケーションの提供や更新処理に対応していた。
2002年、商用LinuxディストリビューションであるLinspire[注 11] はClick'N'Run (CNR)というストアを立ち上げた。年会費を払えばユーザーはCNRを通じてワンクリックで無料・有料アプリケーションをインストールすることができた。ドク・サールズは、CNRの使いやすさがデスクトップLinuxを更に普及させるだろうと予測していた[5]。
2003年、Handangoがスマートフォンでソフトウェアを検索、インストール、購入することができる初めての端末搭載ストアを立ち上げた。アプリケーションのダウンロードや購入をコンピュータとの同期する必要がない状態のまま直接スマートフォンのみで可能となった。また、ストアであアプリケーションの説明、レーティング、スクリーンショットが掲載されていた。
2005年、Nokia 770 Internet Tabletに簡単にインストールできるアプリケーションのリポジトリに対応したグラフィカルフロントエンドが搭載された[注 12]。
有名LinuxディストリビューションであるUbuntu[注 13] はバージョン9.10でSynapticの代替であるUbuntu Software Centerというグラフィカルソフトウェアマネージャーが搭載された[6]。2010年10月公開のUbuntu 10.10ではSoftware Centerは自身のリポジトリにある既存のソフトウェアのみならず特定のアプリケーション[注 14] を購入できるようになった[7]。
AppleとApp Store
2007年、アップルコンピュータ(現・Apple)は自社初のスマートフォンであるiPhoneをリリースした。発売当初、サードパーティー製ソフトウェアに対応しておらず、アップルのスティーブ・ジョブズCEOはウェブアプリケーションをインターネット上のクラウドで配布することでほとんどのユーザーへ必要な機能を十分に提供できると考えていたが、開発者はiPhoneを脱獄しInstaller.app[注 15] やCydiaといったパッケージマネージャーを通してサードパーティー製アプリケーションを配布し始めた[8]。
アップルは2008年7月、iPhone OS 2.0を公開した時、アップルが正式にサードパーティー製アプリケーションの開発と配布に対応したプラットフォームであるApp Storeをオープンした。ユーザーは対応端末上のApp Storeやデスクトップ対応ソフトウェア版iTunes上のiTunes Storeで新たなアプリケーションの購入とダウンロードが可能になった。アップルはアプリケーション開発者への多数の制限について、提出された全アプリケーションは自社社員よる審査の対象となりもし自社が定めた技術やコンテンツに関するガイドラインに違反している場合はリジェクトできるとしている。加えてストアで配信されている有料アプリケーションの利益の30%を徴収している。アップルによる公式アプリケーションストアがオープンされて以降はCydia[注 16] といった脱獄したiOS端末に対応した競合ストアでは代替プラットフォームとしての役割を担っており、アップルによってリジェクトされたり最初からApp Storeでの配信を考えていないアプリケーションの配布を可能としている[8][9]。
App Storeの運営方法に関してアップルへの批判がいくつかあったものの、自社にとって主要な収益的成功の一つとなり、2013年時点で400億以上のダウンロード数に、80万本以上のアプリケーションが配信されている[10]。この成功により、競合するオペレーティングシステムでも同等のストアが導入されることに繋がり、2008年9月に初のAndroidスマートフォン[注 17] の発売時にAndroid Marketが導入され[11]、2009年4月にBlackBerryがApp Worldをオープンした[12][13]。2011年1月、アップルはMacintosh上で動くMac OS X(現・macOS)に対応した同種の配布プラットフォームであるMac App Storeをオープンした。開発者は従来の方法でMacで動くアプリケーションを配布することはできるものの、Mac App Storeでは安全性と信頼性を確保するためにiOSと同様の認定要件が適用されている[8][14]。
"App Store" 商標問題
App Storeの人気により「app store」(最初に使用したのはアップルによるiPhone、iPod touch、iPadに対応したApp Storeである)という用語は普通名称として携帯端末やスマートテレビのような他のプラットフォーム上の同環境で動く他の配布プラットフォームで頻繁に使用されるようになった。このビジネスモデルは企業独自のアプリケーションストアが開発、展開され始めた消費者市場で幅広く認識されるようになったが、2008年、アップルは商標であると主張し、「App Store」を商標登録申請した。2011年、アップルは「app store」の名を、自社のサービスとして使用することは商標権侵害と偽装表示にあたるAmazon.com[注 18] とGetJar[注 19] を提訴した[15]。マイクロソフトはapp storeという用語は既に普通名称化しているとしてアップルが商標登録申請をしていることを複数回にわたって批判している[16]。
2013年、アメリカ合衆国地方裁判所判事はAmazonがアップルのサイトや広告を真似たり、大衆がアップルのApp Storeや製品に期待している特徴や品質がある証拠がないことを理由にアップルの訴えを退けた[17]。2013年、アップルは訴えを取り下げた[18]。
主なアプリケーションストア
- スマートフォン・タブレット向けアプリストア
- Google Play - グーグルが開発した世界最大のAndroid向けストア。GMSを搭載したAndroidスマートフォンとChromebookに標準インストールされている。
- App Store - アップルが開発したiPhone標準搭載のiOS向けストア
- Amazon アプリストア - アマゾンが開発したAndroid向けストア。Windows 11でも使用可。
- Huawei App Gallery - ファーウェイが開発したHarmonyOS及びAndroid向けストア。
- Galaxy Store - サムスンが開発したGalaxy標準搭載のストア。
- パソコン向けアプリストア
- Microsoft Store - マイクロソフトが開発したWindows用ストア。
- Mac App Store - アップルが開発したmacOS用ストア。
脚注
注釈
- ^ 例えばiOS、macOS、Windows、Androidなど
- ^ ゲーム、マルチメディア、仕事効率化など
- ^ レビューやレーティングなど
- ^ 有料もあるが多数は無料
- ^ 特に1990年代初めのLinuxディストリビューション
- ^ #3ではスティーブ・ジョブズがNeXTWorld EXPOでオリジナルのAppStoreのデモンストレーションを行ったとされる[3]
- ^ オペレーティングシステムコンポーネントとサードパーティー製ソフトウェアの両方
- ^ APTに対応したフロントエンドとして使用されることが多い
- ^ Red Hat Linuxのためにデューク大学が開発した
- ^ 後にBe Inc.が買収した
- ^ かつてMP3.comの創設者であるマイケル・ロバートソンが立ち上げたLindowsOSとして知られていた
- ^ 搭載OSのMaemoはDebianを元にしている
- ^ これもDebianが元になっている
- ^ 創設時にはFluendoのDVDコーデックが購入できなかった
- ^ APTがベースになっている
- ^ 有料アプリケーションの配信が可能
- ^ HTC Dream
- ^ Android端末対応のAmazon Appstoreを展開
- ^ 2005年からサービスを提供
出典
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- ^ Bostic, Kevin (2013-07-09), Apple drops 'App Store' lawsuit against Amazon, says no need to pursue case, Appleinsider.com 2014年1月2日閲覧。
関連項目
- 電子商取引
- コンピュータゲームのダウンロード販売
- 主なモバイルソフトウェア配布プラットフォーム
- Amazon Appstore
- Apkmiroow
- Apkpure
- BlackBerry App World
- DMM.com(DMM GAME PLAYERやDMM GAMESストア)
- F-Droid - オープンソース
- Fossdroid - オープンソース
- Google Play Store
- App Store
- SlideME
- Windows Phone Store
- デスクトップソフトウェア配布プラットフォーム
App Store
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 05:05 UTC 版)
「モバイルアプリケーション」の記事における「App Store」の解説
詳細は「App Store」を参照 AppleによるiOS対応のApp Storeは2008年7月10日にスタート、2011年1月時点でダウンロード数が10億を突破した。同年6月6日時点で425,000本のアプリケーション数があり、約2億人のiOSユーザーがダウンロードした。アップルによる2012年のWorldwide Developers Conferenceにてティム・クックCEOはApp Storeには650,000本のアプリケーションがダウンロード可能なだけでなく、この日までに驚異的なことに30億ものアプリケーションがダウンロードされたと発言した。
※この「App Store」の解説は、「モバイルアプリケーション」の解説の一部です。
「App Store」を含む「モバイルアプリケーション」の記事については、「モバイルアプリケーション」の概要を参照ください。
「App Store」の例文・使い方・用例・文例
- あなたの請求が確定し次第App Codeをメールで送信いたします。
- は Apple の A.
- 同社は1977年に史上初の個人用コンピュータ「Apple Ⅱ」を発表した。
- ソフトバンクモバイルとタカラトミーエンタメディアはスマートフォン用の無料アプリ「Family Apps(ファミリーアップス)」を共同開発し,提供している。
- Family Appsは,さまざまなゲームや活動を通して言葉や数字を学ぶ機会を子どもたちに与えている。
- 子どもたちはまた,Family Appsで仕事について学ぶこともできる。
- Family Appsに協賛している企業の1つ,日本ケンタッキー・フライド・チキンは,このアプリによって自社の食品に対する認識が高まることを期待している。
- Apple Japan(アップルジャパン)は,ますます多くの子ども向けアプリが市場に登場するだろうと予想している。
- ユーザーは音楽や動画を同社のiTunes Store(アイチューンズ・ストア)からiPodにダウンロードできる。
- ラジオのリスナーが聴いている曲を簡単に購入できるように,iTunes Store(アイチューンズ・ストア)がiTunes Radioにリンクされる予定だ。
固有名詞の分類
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