現役の上場企業経営者だが10月2日会見で明らかにされた藤島ジュリー氏の経営判断は経営者としてパーフェクトであったと思う。
まず一番素晴らしいのはファンドや他企業からの出資や買収提案を断り自分一人100%個人株主の体制を保ったことだ。第三者に買収してもらえれば法律上は一切の責任から免除され手元には大金だけが残るので、私利私欲に走る経営者であればここぞとばかりに買収提案に乗ったことだろう。
ここでもし他の株主を入れていたらどういうことが起こったかシミュレーションしてみよう。
言うまでもないが株式会社は株主の所有物だ。企業とは公器であるとか社員のものだとかいろいろ意見はあるが少なくとも法律上はあくまで株主の私物なのである。従って株式会社の財物を補償のために被害者救済に使うことは過半数の株主の承認を得る必要がある。承認を得るためには臨時株主総会を開いて決議を取らなければならない。ここで財産処分の対象となる財物とは、具体的には会社が保有する現金や不動産などのほか、所属するアーティストやタレントに関する各種の権利も財産に該当する。従って、たとえば新会社設立してタレントのマネジメント権を新会社に無償で譲渡することや、会社の財産を処分して十分な補償金を被害者に支払うことは会社に損害を与えることになるから他の株主がいると難しいのだ。一人でも反対する株主がいれば株主代表訴訟で代表取締役が損害賠償請求される可能性もある。補償金を作ったり、会社の主要な財産である所属タレントのマネジメント権を新会社に譲渡するにも臨時株主総会でも開いて過半数株主の承認を得なければならない。こんなことをやっていたら補償開始までに何か月も時間がかかるし、一般的に男性への性加害の賠償金なんてたかが知れているからそれを超えた金額の補償は利益相反になり他の株主がいると難しくなる。
これが株主一人の個人企業であれば、すべての判断は一人でできるし、世間相場なんてのを無視して大幅に手厚い補償も可能になるのだ。
藤島ジュリー氏がいう「法を超えた補償ができなくなる」というのはそういう意味である。まさに被害者のためを思った判断だといっていいだろう。
本来、親族がやったこととはいえ、藤島氏だって被害者だ。ここまでやっているのにこれ以上理不尽に攻め立てることは子供がやる「いじめ」と同じである。良識のある大人になろう。
補償が終わった後に残った金を国庫返納するか寄付するかして一文なしになったら認めてやる
書類上の経営者がジュリーになってるだけで本当にワンマン経営してるわけではない