静岡駅に降り立った増田。目の前には晴れた空と富士山の美しい姿が広がっている。
「なんか、こういう景色見るとさ、俺みたいな貧乏な弱者男性でもちょっと前向きになれる気がするよな」
34歳、独身で将来のことを考えると不安ばっかり。そんな出張ついでの旅だ。
「まあ、とりあえず飯だな。静岡っていったら、美味いもん多そうだしな」
歩きながら静岡の街を見て回る。地元感溢れる商店街を見つけて、ふらりと入った。
店の暖簾をくぐると、店主が「いらっしゃい!」と笑顔で迎えてくれる。温かい雰囲気にホッとしつつ、メニューを見た増田は目を輝かせた。
「静岡おでんか~! これ絶対食わなきゃだろ。あ、しらす丼もある。いや、富士宮焼きそばも捨てがたい……」
気づけば勢いでこんな注文をしてしまった。
店主が「すごいボリュームですね」と苦笑いしてくるのを見て、増田もちょっとだけ不安に。でも、「出張の記念だから」と自分を納得させる。
最初に来たのは静岡おでん。濃い黒いスープに浸った大根と黒はんぺんを食べて、増田は感動した。
「これ、うまっ! 出汁がしっかりしてて、染みてるわ~……」
続いてしらす丼にかきこみ、桜えびのかき揚げをサクッと食べる。
でも、焼きそばを食べ進めるうちにテーブルの残りの料理を見て、冷や汗が出る。
「やばいな……これ、焼きそばと丼で炭水化物がダブっちゃったよ……完全に頼みすぎたわ」
「頼んじまったもんは食うしかねぇ……弱者男性の俺でも、このくらいは責任持たなきゃな」
最後に静岡茶のジェラートを一口食べた瞬間、緑茶の爽やかな香りが広がって、全てが報われた気がした。
「これ、めっちゃうまい……。これだけで静岡来た甲斐があったわ」
「頼みすぎて失敗したけど、こういうのも人生ってやつなんだよな。弱者男性でも、こんなちっぽけな幸せを大事にしていけばいいんだよな」
「それにしても……この先どうなんだろうな。34歳で年収700万、貯金3000万しかない。老後や病気に備えるには全然足りない気がする」
富士山をバックに、満腹で重い足を引きずりながら、また一歩を踏み出す。
おでんと焼きそばを一緒に出す店ってどんな店
キッチンカー