2011年4月28日 木曜日
北京愛知行研究所:新疆にストリートチルドレンを連れ帰るときには、必ず法律に基づき人権を尊重しなければならない
張春賢新疆ウイグル自治区共産党委員会書記は、4月21日にすべての自治区外で放浪している新疆戸籍のストリートチルドレンを連れ帰り、必要な学習教育条件を提供し、彼らが健康に成長できるようにすると宣言しました。
張春賢はその日に行われた「内地派遣活動打ち合わせ会」の席で、4月23日から5月1日までの期間、新疆から19か所のカウンターパート援助省(市)に代表団を派遣することについて発言し、その重要な議題の一つが、行った先の省(市)で「すべての新疆籍ストリートチルドレンを連れ帰る」と宣言することだ、という内容を語りました。
北京愛知行研究所は新疆ウイグル自治区のこの行動を非常に重視します。私たちは自治区政府の児童保護についての約束を歓迎します。しかし、私たちは児童保護事業は必ず中国の法律に従い、人権を尊重しなければならないと考えます。私たちは、自治区外にいるストリートチルドレンの連れ帰り事業は、児童の知る権利と自己決定権を尊重しなければならず、また放浪グループの複雑な環境を考慮しなければならず、自治区外にいるストリートチルドレンの連れ帰りが、集中弾圧であってはならず、自治区外で仕事と生活をする新疆ウイグル人の追放行動でないことを保証しなければならない、ということを特に注意喚起します。
一、ストリートチルドレンの保護は中国法の要求であり、国際社会への公約である
「中華人民共和国未成年者保護法」(1991年9月4日第7期全国人民代表大会常務委員会第21回会議可決、2006年12月29日第10期全国人民代表大会常務委員会第25回会議改正)
第3条
未成年者は生存権、発展権、保護を受ける権利、参加権などの権利を保障され、国家は未成年者の心身の発達の特徴に応じて特殊かつ優先的な保護を提供し、未成年者の法益が侵害されないよう保障する。
〔上の条文で〕未成年者が教育を受ける権利を有すること、国家・社会・学校・家庭が未成年者の教育を受ける権利を尊重することを保障しています。
第41条
未成年者の人身売買、誘拐、虐待を禁止し、未成年者に対する性的侵害を禁止する。
〔上の条文で〕脅迫、誘惑、未成年者を使った物乞いもしくは未成年者にその心身の健康に有害な演技などをさせる活動は禁止されています。
第43条
県級以上の人民政府及びその民政行政機関は必要に応じて救護場所を設置し、放浪・物乞いなど生活のあてのない未成年者を救護し、臨時監護責任を負わなければならない。公安機関もしくはその他の関係機関は放浪・物乞いもしくは家出した未成年者を救護場所に護送し、救護場所が救護と世話をし、かつ速やかにその両親もしくは他の監護人に対し引き取るよう通知しなければならない。
孤児、両親もしくは他の監護人を探し出せない児童、およびその他生活のあてのない未成年者は、民政行政機関が設置した児童福祉施設で養育する。
「子供の権利条約」(国連総会1989年11月20日可決)
第20条
1、一時的若しくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する。
2、締約国は、自国の国内法に従い、1の児童のための代替的な監護を確保する。
第32条
1、締約国は、児童が経済的な搾取から保護され及び危険となり若しくは児童の教育の妨げとなり又は児童の健康若しくは身体的、精神的、道徳的若しくは社会的な発達に有害となるおそれのある労働への従事から保護される権利を認める。
第33条
締約国は、関連する国際条約に定義された麻薬及び向精神薬の不正な使用から児童を保護し並びにこれらの物質の不正な生産及び取引における児童の使用を防止するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置をとる。
第34条
締約国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。
第35条
締約国は、あらゆる目的のための又はあらゆる形態の児童の誘拐、売春又は取引を防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。
二、内地に大量の新疆出身ストリートチルドレンがいる
ウイグル人知識人で記者のガイラット・ニヤズ氏は、2010年7月23日に新疆ウルムチ市の裁判所で「国家安全危害罪」で15年の懲役判決を受けました。ガイラット・ニヤズ氏は法廷で無罪を主張し、上告すると表明しました。
ガイラット氏は2009年1月26日に「新疆ウイグル自治区政府はこれ以上行政不作為を続けてはならない」と題するブログ投稿で、次のように書いています。
「内地のウイグル人スリの問題、内地の新疆籍ストリートチルドレンと人身売買、児童に対する犯罪教唆の問題、内地でのウイグル人の薬物販売・薬物中毒・売春問題、内地でのウイグル人ギャング問題……、これらはすでに単純な社会問題や民族問題ではなく、国内の民族間関係と経済発展、社会の安定に重大な影響を与える重要な政治問題である。新疆ウイグル自治区政府はこれ以上見て見ぬふり、無関心を決め込むことはできず、これ以上行政不作為を続けることはできない。」
新疆籍ストリートチルドレンの状況は複雑です。なぜなら彼らには両親や家族がいますが、人身売買されたり誘拐されたりして内地に行き、家族から離れ、犯罪活動に従事しているからです。現在学界には新疆籍ストリートチルドレンについての統一概念は無いといえます。多数は新疆籍ストリートチルドレンは人身売買で内地に連れて行かれ犯罪活動に従事する未成年者の集団とみなしています。これらのストリートチルドレンは売られてから成人の暴力と脅迫によって犯罪活動を行うことを強制され、たとえ一部の児童は16歳以上で、一定の刑事責任能力があるとはいえ、言葉の壁や民族の違いなど客観的要因により自分を救い出すすべがなく、外から救われることもなく、ある意味で彼らは被害者であって、犯罪者ではありません。
北京市収容返送所だけでも、1998年と1999年にウイグル人ストリートチルドレンを382人と515人収容し、それは当該年の被収容16歳未満児童の12%と11%を占めています。
三、ストリートチルドレンの保護には児童の人格尊重と児童優先の原則が必要である
「未成年者保護法」第5条
未成年者の仕事を保護し、以下の原則を順守しなければならない。
1、未成年者の人格尊重。
「子供の権利条約」第3条
児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
四、ストリートチルドレンの保護には法律順守と人権尊重が必要である
児童保護事業は必ず中国の法律に従い人権を尊重しなければなりません。自治区外にいるストリートチルドレンの連れ帰り事業は、児童の知る権利と自己決定権を尊重しなければならず、また放浪グループの複雑な環境を考慮しなければならず、自治区外にいるストリートチルドレンの連れ帰りが、集中弾圧であってはならず、自治区外で仕事と生活をする新疆ウイグル人の追放行動でないことを保証しなければならない、ということを特に注意喚起します。とりわけ、自治区政府と現地政府は全戸調査を行ってすべての内地で生活しているウイグル人家庭の子供を調査したりしてはならず、警察が所持している犯罪証拠、ストリートチルドレンの状況にのみ基づき、自治区外にいるストリートチルドレン連れ帰り事業を行わなければなりません。
「未成年者保護法」第43条
県級以上の人民政府及びその民政行政機関は必要に応じて救護場所を設置し、放浪・物乞いなど生活のあてのない未成年者を救護し、臨時看護責任を負わなければならない。公安機関もしくはその他の関係機関は放浪・物乞いもしくは家出した未成年者を救護場所に護送し、救護場所が救護と世話をし、かつ速やかにその両親もしくは他の監護人に対し引き取るよう通知しなければならない。
孤児、両親もしくは他の監護人を探し出せない児童、およびその他生活のあてのない未成年者は、民政行政機関が設置した児童福祉施設で養育する。
五、ストリートチルドレン保護事業にはウイグルなど少数民族の社会組織の発展が必要である
「未成年者保護法」第27条
国家は社会団体、企業・団体組織およびその他の組織と個人が、多様な方式で未成年者の健康な成長に役立つ社会活動を行うことを奨励する。
内地の新疆籍ストリートチルドレン(主にウイグル人の児童)は非常に周縁化された社会環境下にあり、少数民族が自民族の社会団体を発展させ、少数民族社会団体が児童保護における役割を発揮することを奨励支援する必要があります〔実際は新疆ウイグル自治区においては民間の社会活動は内地に比べて格段に厳しく禁圧されている〕。
六、ストリートチルドレン保護事業には、ウイグル民族の優れた知識人を保護する必要がある
ガイラット・ニヤズ、51歳、新疆ウイグル自治区チョチェク市出身、ウイグル人の著名なジャーナリスト、元新疆経済報記者は、2009年10月1日に警察によってウルムチ市内の自宅から連行され、10月4日に家族は公安機関の拘留通知書を受け取りました。それによると拘留の理由は「国家安全危害罪」であるとされ、警察はまたガイラットが7・5事件の後多くの海外メディアの取材に応じたことまで取り上げています。ガイラットは法廷で海外メディアの取材に応じたことを認めたが、それは市民として、記者としてなすべきことであると主張しています。
香港の『亜洲週刊』2009年7月23日号に掲載されたインタビューによると、ウルムチのガイラット・ニヤズという一人の知識人が、7月4日午後8時に、関係当局に対して警告していました。また7月5日午前10時前後に、自治区政府の主な指導者に会って、直接以下の3点の提案を行っています。第一、新疆ウイグル自治区主席ヌル・ベクリが昼の12時前に声明を出す。第二、少数民族居住区の漢人商人に対して、早めに店を閉めて家に帰るよう通知する。第三、動員できる軍・警察をすべて動員して少数民族居住区を隔離し、主な交差点を封鎖・巡回し、退勤時間後に戒厳令を出す。ガイラットが会った政府指導者は電話で〔共産党指導部の〕指示を仰ぐと述べたが、結果として3つの提案はすべて採用されなかったということです。〔これはガイラットが平和的なデモの計画に乗じて暴動を起こそうとしているウイグル人グループがあるという情報をつかんで当局に警告したが、聞き入れられなかったという事件。一記者ですら事前にそのような情報を入手したのだから、ウイグル人の中にもスパイ網を張り巡らしている中国共産党が事前に把握していなかったとは考えられない。2008年のラサ暴動でもそうだが、中国共産党はわざと警備の空白を作って暴動を誘発したり、暴動被害を拡大させて、少数民族のイメージを悪化させるという卑劣な行為を得意としている。暴動グループの中に中国共産党の挑発者がいた可能性も否定できない。〕
ガイラットも早くからウイグル人の内地ストリートチルドレン問題と社会問題に関心を寄せ、新疆ウイグル自治区政府に対して積極的に行動して子供たちを守るよう呼びかけていました。私たちは、新疆ウイグル自治区政府が速やかにガイラット氏を釈放し、ウイグル民族の良心的人士を監獄から社会に返し、自民族のために貢献させるべきだと考えます。
七、ストリートチルドレンを保護するために、心身の健康問題に責任ある対処をする必要がある
私たちは、新疆ウイグル自治区政府が、連れ帰ったストリートチルドレンに教育と訓練の機会を提供すると述べていることに注目します。私たちは、これは非常に重要な措置であり、これらの児童の社会復帰と生計の手段の取得に役立つと考えます。しかし私たちが自治区政府に注意を促したいのは、教育と訓練の機会提供だけでは不十分であり、自治区政府はストリートチルドレンの中に存在する深刻な心理的健康障害とその他の心身の健康問題を考慮しなければならないということです。それにはエイズウイルス感染、結核、ウイルス性肝炎および深刻な薬物依存が含まれます。私たちは、すべての連れ帰ったストリートチルドレンに基本的な医療支援、薬物更生治療などを提供することが喫緊に必要であり、またそれが政府の支援事業の成否を決定すると考えます。
北京愛知行研究所は公衆衛生と人権に関心を寄せる民間社会組織です。2006年以降、私たちは積極的にストリートチルドレンを含む内地ウイグル人グループに関心を寄せてきました。2010年初、北京愛知行研究所は1名のストリートチルドレンを薬物密売集団の支配から解放し、故郷に返しました。2010年初、私たちはまたエイズと結核を併発したストリートチルドレンに入院治療の機会を提供しました。2010年8月20日、米国議会行政機関中国事務委員会〔?〕の中国の人身売買に関する円卓会議の席上、北京愛知行研究所所長の万延海は愛知行の事業の中で人身売買に関する問題について紹介し、その中で特にウイグル人の内地ストリートチルドレンの人身売買と犯罪問題について言及しました。
私たちは、自治区政府の児童保護に関する約束を歓迎しますが、児童保護事業は必ず中国の法律に従い人権を尊重すべきものと考えます。
--
北京愛知行研究所
電話:010-88142132 ファックス:010-88142133
爱知行動 LOVE KNOWLEDGE ACTION
http://www.aizhi.net/
Twitter: @azxing
原文
〔 〕内は訳注
転載自由・要出典明記
北京愛知行研究所:新疆にストリートチルドレンを連れ帰るときには、必ず法律に基づき人権を尊重しなければならない
張春賢新疆ウイグル自治区共産党委員会書記は、4月21日にすべての自治区外で放浪している新疆戸籍のストリートチルドレンを連れ帰り、必要な学習教育条件を提供し、彼らが健康に成長できるようにすると宣言しました。
張春賢はその日に行われた「内地派遣活動打ち合わせ会」の席で、4月23日から5月1日までの期間、新疆から19か所のカウンターパート援助省(市)に代表団を派遣することについて発言し、その重要な議題の一つが、行った先の省(市)で「すべての新疆籍ストリートチルドレンを連れ帰る」と宣言することだ、という内容を語りました。
北京愛知行研究所は新疆ウイグル自治区のこの行動を非常に重視します。私たちは自治区政府の児童保護についての約束を歓迎します。しかし、私たちは児童保護事業は必ず中国の法律に従い、人権を尊重しなければならないと考えます。私たちは、自治区外にいるストリートチルドレンの連れ帰り事業は、児童の知る権利と自己決定権を尊重しなければならず、また放浪グループの複雑な環境を考慮しなければならず、自治区外にいるストリートチルドレンの連れ帰りが、集中弾圧であってはならず、自治区外で仕事と生活をする新疆ウイグル人の追放行動でないことを保証しなければならない、ということを特に注意喚起します。
一、ストリートチルドレンの保護は中国法の要求であり、国際社会への公約である
「中華人民共和国未成年者保護法」(1991年9月4日第7期全国人民代表大会常務委員会第21回会議可決、2006年12月29日第10期全国人民代表大会常務委員会第25回会議改正)
第3条
未成年者は生存権、発展権、保護を受ける権利、参加権などの権利を保障され、国家は未成年者の心身の発達の特徴に応じて特殊かつ優先的な保護を提供し、未成年者の法益が侵害されないよう保障する。
〔上の条文で〕未成年者が教育を受ける権利を有すること、国家・社会・学校・家庭が未成年者の教育を受ける権利を尊重することを保障しています。
第41条
未成年者の人身売買、誘拐、虐待を禁止し、未成年者に対する性的侵害を禁止する。
〔上の条文で〕脅迫、誘惑、未成年者を使った物乞いもしくは未成年者にその心身の健康に有害な演技などをさせる活動は禁止されています。
第43条
県級以上の人民政府及びその民政行政機関は必要に応じて救護場所を設置し、放浪・物乞いなど生活のあてのない未成年者を救護し、臨時監護責任を負わなければならない。公安機関もしくはその他の関係機関は放浪・物乞いもしくは家出した未成年者を救護場所に護送し、救護場所が救護と世話をし、かつ速やかにその両親もしくは他の監護人に対し引き取るよう通知しなければならない。
孤児、両親もしくは他の監護人を探し出せない児童、およびその他生活のあてのない未成年者は、民政行政機関が設置した児童福祉施設で養育する。
「子供の権利条約」(国連総会1989年11月20日可決)
第20条
1、一時的若しくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する。
2、締約国は、自国の国内法に従い、1の児童のための代替的な監護を確保する。
第32条
1、締約国は、児童が経済的な搾取から保護され及び危険となり若しくは児童の教育の妨げとなり又は児童の健康若しくは身体的、精神的、道徳的若しくは社会的な発達に有害となるおそれのある労働への従事から保護される権利を認める。
第33条
締約国は、関連する国際条約に定義された麻薬及び向精神薬の不正な使用から児童を保護し並びにこれらの物質の不正な生産及び取引における児童の使用を防止するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置をとる。
第34条
締約国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。
第35条
締約国は、あらゆる目的のための又はあらゆる形態の児童の誘拐、売春又は取引を防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。
二、内地に大量の新疆出身ストリートチルドレンがいる
ウイグル人知識人で記者のガイラット・ニヤズ氏は、2010年7月23日に新疆ウルムチ市の裁判所で「国家安全危害罪」で15年の懲役判決を受けました。ガイラット・ニヤズ氏は法廷で無罪を主張し、上告すると表明しました。
ガイラット氏は2009年1月26日に「新疆ウイグル自治区政府はこれ以上行政不作為を続けてはならない」と題するブログ投稿で、次のように書いています。
「内地のウイグル人スリの問題、内地の新疆籍ストリートチルドレンと人身売買、児童に対する犯罪教唆の問題、内地でのウイグル人の薬物販売・薬物中毒・売春問題、内地でのウイグル人ギャング問題……、これらはすでに単純な社会問題や民族問題ではなく、国内の民族間関係と経済発展、社会の安定に重大な影響を与える重要な政治問題である。新疆ウイグル自治区政府はこれ以上見て見ぬふり、無関心を決め込むことはできず、これ以上行政不作為を続けることはできない。」
新疆籍ストリートチルドレンの状況は複雑です。なぜなら彼らには両親や家族がいますが、人身売買されたり誘拐されたりして内地に行き、家族から離れ、犯罪活動に従事しているからです。現在学界には新疆籍ストリートチルドレンについての統一概念は無いといえます。多数は新疆籍ストリートチルドレンは人身売買で内地に連れて行かれ犯罪活動に従事する未成年者の集団とみなしています。これらのストリートチルドレンは売られてから成人の暴力と脅迫によって犯罪活動を行うことを強制され、たとえ一部の児童は16歳以上で、一定の刑事責任能力があるとはいえ、言葉の壁や民族の違いなど客観的要因により自分を救い出すすべがなく、外から救われることもなく、ある意味で彼らは被害者であって、犯罪者ではありません。
北京市収容返送所だけでも、1998年と1999年にウイグル人ストリートチルドレンを382人と515人収容し、それは当該年の被収容16歳未満児童の12%と11%を占めています。
三、ストリートチルドレンの保護には児童の人格尊重と児童優先の原則が必要である
「未成年者保護法」第5条
未成年者の仕事を保護し、以下の原則を順守しなければならない。
1、未成年者の人格尊重。
「子供の権利条約」第3条
児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
四、ストリートチルドレンの保護には法律順守と人権尊重が必要である
児童保護事業は必ず中国の法律に従い人権を尊重しなければなりません。自治区外にいるストリートチルドレンの連れ帰り事業は、児童の知る権利と自己決定権を尊重しなければならず、また放浪グループの複雑な環境を考慮しなければならず、自治区外にいるストリートチルドレンの連れ帰りが、集中弾圧であってはならず、自治区外で仕事と生活をする新疆ウイグル人の追放行動でないことを保証しなければならない、ということを特に注意喚起します。とりわけ、自治区政府と現地政府は全戸調査を行ってすべての内地で生活しているウイグル人家庭の子供を調査したりしてはならず、警察が所持している犯罪証拠、ストリートチルドレンの状況にのみ基づき、自治区外にいるストリートチルドレン連れ帰り事業を行わなければなりません。
「未成年者保護法」第43条
県級以上の人民政府及びその民政行政機関は必要に応じて救護場所を設置し、放浪・物乞いなど生活のあてのない未成年者を救護し、臨時看護責任を負わなければならない。公安機関もしくはその他の関係機関は放浪・物乞いもしくは家出した未成年者を救護場所に護送し、救護場所が救護と世話をし、かつ速やかにその両親もしくは他の監護人に対し引き取るよう通知しなければならない。
孤児、両親もしくは他の監護人を探し出せない児童、およびその他生活のあてのない未成年者は、民政行政機関が設置した児童福祉施設で養育する。
五、ストリートチルドレン保護事業にはウイグルなど少数民族の社会組織の発展が必要である
「未成年者保護法」第27条
国家は社会団体、企業・団体組織およびその他の組織と個人が、多様な方式で未成年者の健康な成長に役立つ社会活動を行うことを奨励する。
内地の新疆籍ストリートチルドレン(主にウイグル人の児童)は非常に周縁化された社会環境下にあり、少数民族が自民族の社会団体を発展させ、少数民族社会団体が児童保護における役割を発揮することを奨励支援する必要があります〔実際は新疆ウイグル自治区においては民間の社会活動は内地に比べて格段に厳しく禁圧されている〕。
六、ストリートチルドレン保護事業には、ウイグル民族の優れた知識人を保護する必要がある
ガイラット・ニヤズ、51歳、新疆ウイグル自治区チョチェク市出身、ウイグル人の著名なジャーナリスト、元新疆経済報記者は、2009年10月1日に警察によってウルムチ市内の自宅から連行され、10月4日に家族は公安機関の拘留通知書を受け取りました。それによると拘留の理由は「国家安全危害罪」であるとされ、警察はまたガイラットが7・5事件の後多くの海外メディアの取材に応じたことまで取り上げています。ガイラットは法廷で海外メディアの取材に応じたことを認めたが、それは市民として、記者としてなすべきことであると主張しています。
香港の『亜洲週刊』2009年7月23日号に掲載されたインタビューによると、ウルムチのガイラット・ニヤズという一人の知識人が、7月4日午後8時に、関係当局に対して警告していました。また7月5日午前10時前後に、自治区政府の主な指導者に会って、直接以下の3点の提案を行っています。第一、新疆ウイグル自治区主席ヌル・ベクリが昼の12時前に声明を出す。第二、少数民族居住区の漢人商人に対して、早めに店を閉めて家に帰るよう通知する。第三、動員できる軍・警察をすべて動員して少数民族居住区を隔離し、主な交差点を封鎖・巡回し、退勤時間後に戒厳令を出す。ガイラットが会った政府指導者は電話で〔共産党指導部の〕指示を仰ぐと述べたが、結果として3つの提案はすべて採用されなかったということです。〔これはガイラットが平和的なデモの計画に乗じて暴動を起こそうとしているウイグル人グループがあるという情報をつかんで当局に警告したが、聞き入れられなかったという事件。一記者ですら事前にそのような情報を入手したのだから、ウイグル人の中にもスパイ網を張り巡らしている中国共産党が事前に把握していなかったとは考えられない。2008年のラサ暴動でもそうだが、中国共産党はわざと警備の空白を作って暴動を誘発したり、暴動被害を拡大させて、少数民族のイメージを悪化させるという卑劣な行為を得意としている。暴動グループの中に中国共産党の挑発者がいた可能性も否定できない。〕
ガイラットも早くからウイグル人の内地ストリートチルドレン問題と社会問題に関心を寄せ、新疆ウイグル自治区政府に対して積極的に行動して子供たちを守るよう呼びかけていました。私たちは、新疆ウイグル自治区政府が速やかにガイラット氏を釈放し、ウイグル民族の良心的人士を監獄から社会に返し、自民族のために貢献させるべきだと考えます。
七、ストリートチルドレンを保護するために、心身の健康問題に責任ある対処をする必要がある
私たちは、新疆ウイグル自治区政府が、連れ帰ったストリートチルドレンに教育と訓練の機会を提供すると述べていることに注目します。私たちは、これは非常に重要な措置であり、これらの児童の社会復帰と生計の手段の取得に役立つと考えます。しかし私たちが自治区政府に注意を促したいのは、教育と訓練の機会提供だけでは不十分であり、自治区政府はストリートチルドレンの中に存在する深刻な心理的健康障害とその他の心身の健康問題を考慮しなければならないということです。それにはエイズウイルス感染、結核、ウイルス性肝炎および深刻な薬物依存が含まれます。私たちは、すべての連れ帰ったストリートチルドレンに基本的な医療支援、薬物更生治療などを提供することが喫緊に必要であり、またそれが政府の支援事業の成否を決定すると考えます。
北京愛知行研究所は公衆衛生と人権に関心を寄せる民間社会組織です。2006年以降、私たちは積極的にストリートチルドレンを含む内地ウイグル人グループに関心を寄せてきました。2010年初、北京愛知行研究所は1名のストリートチルドレンを薬物密売集団の支配から解放し、故郷に返しました。2010年初、私たちはまたエイズと結核を併発したストリートチルドレンに入院治療の機会を提供しました。2010年8月20日、米国議会行政機関中国事務委員会〔?〕の中国の人身売買に関する円卓会議の席上、北京愛知行研究所所長の万延海は愛知行の事業の中で人身売買に関する問題について紹介し、その中で特にウイグル人の内地ストリートチルドレンの人身売買と犯罪問題について言及しました。
私たちは、自治区政府の児童保護に関する約束を歓迎しますが、児童保護事業は必ず中国の法律に従い人権を尊重すべきものと考えます。
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北京愛知行研究所
電話:010-88142132 ファックス:010-88142133
爱知行動 LOVE KNOWLEDGE ACTION
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Twitter: @azxing
原文
〔 〕内は訳注
転載自由・要出典明記