慰安婦(いあんふ)とは、戦時時に軍人相手に売春業を行なっている女性のことである。
戦場に設けられる性行為を行う施設を「慰安所」と呼び、そこで兵士の相手をする女性が慰安婦である。
概要
「慰安婦」の「慰安」とは、「心を慰め労い、安心させること」である。慰安婦は主に戦場の兵士を性的に慰めるために作られた役職である。慰安婦の制度は世界中で行われており、日本もかつての大戦では慰安婦の制度をとっていた。
従軍慰安婦問題
日本は第二次世界大戦中、朝鮮半島・台湾等の外地やフィリピン・インドネシアの占領地から慰安婦を募集していた過去があり、70年代から90年代にかけて、「慰安婦」に関する問題が大きくクローズアップされ、政治問題に発展した。最終的にこの問題は「河野談話」という形で決着を見ている。また、慰安婦に対する(道義的な)償いの事業として、女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)を設置した(現在は終了)。
日本の立場
日本政府の立場は河野談話によって代表される。以降の内閣は全て、河野談話を引き継いでいる。
いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により 設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請 を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これ に加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島はわが国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを 問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げ る。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考え る。
われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このよ うな問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。
2007年の安倍内閣の閣議決定(「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」)と、それに伴う批判、米国下院121号決議(謝罪要求決議)を契機として、慰安婦に関する議論が再び国際的に巻き起こった。その後、日本と韓国の間で、両外相による共同記者発表が行われている。
1. 岸田外務大臣
日韓間の慰安婦問題については,これまで,両国局長協議等において,集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき,日本政府として,以下を申し述べる。
(1)慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。
安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。(2)日本政府は,これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ,その経験に立って,今般,日本政府の予算に より,全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には,韓国政府が,元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し,これに日本政府の予 算で資金を一括で拠出し,日韓両政府が協力し,全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復,心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。
(3)日本政府は上記を表明するとともに,上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で,今回の発表により,この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
あわせて,日本政府は,韓国政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える。韓日間の日本軍慰安婦被害者問題については,これまで,両国局長協議等において,集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき,韓国政府として,以下を申し述べる。
(1)韓国政府は,日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取組を評価し,日本政府が上記1.(2)で表明した 措置が着実に実施されるとの前提で,今回の発表により,日本政府と共に,この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は,日本政府 の実施する措置に協力する。
(2)韓国政府は,日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し,公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し,韓国政府としても,可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて,適切に解決されるよう努力する。
(3)韓国政府は,今般日本政府の表明した措置が着実に実施されるとの前提で,日本政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える。
大百科という万人が見うる性質上、左右思想関係なく事実のみの表記とする(※疑問に思ったら各自で調べること)
- 基本的に日韓の間では、日韓基本条約によって法的な責任は解決済とされる
- 韓国側政府が日韓基本条約による日本からの経済援助金(交渉中に賠償に充てることを理由に北朝鮮の分まで韓国側が要求)による個人賠償が全く成されていない為、それを憂慮した日本政府は戦後の見舞金を払うアジア女性基金を設立した
- 1993年に出された河野談話(閣議決定された談話ではない)は2014年の再調査により、韓国側の意向を一部事前に汲み取った形で出されており、さらに韓国側の慰安婦の証言検証は全く成されていない為、日本国内の一部で談話の正当性に関する論争がある
日本国の基本的な立場は、アジア女性基金のサイトからたどることが可能
”日本人慰安婦"について
話題になりやすいのは外国人の慰安婦だが、従軍慰安婦の半数以上が日本人であるとされる。彼女たちの経緯については、当人たちが出てこないためあまり話題にならない。歌手の美輪明宏が、かつて満州慰安婦から聞いた経緯によれば、おおよそ以下のとおりである。
- もともと人身売買で売られた遊女が遊郭に居たが、戦時中にカフェや遊郭が閉鎖された
- 大政翼賛会より、カフェや遊郭が満州にあるといって誘われた。行ったら慰安婦にさせられた
- 流れ弾に当たって死んだ場合、日本人の不名誉になるため中国服に着替えさせられ、放り出された
- 終戦後は軍が逃げたため、他の移民団や開拓団と一緒に、必死に帰国した
- 娘の過去が知られたら家の恥になるため、追い出された。よって、表に出てこない
- 以上の経緯を踏まえ、美輪明宏が日本人慰安婦に捧げる曲「祖国と女達」を作成している(48:00から)
”性奴隷”の呼称について
2014年7月、国連の自由権規約人権委員会は、1966年に採択された自由権規約条約の奴隷に関する記述に基づき、本人の意思に背いて募集・移送・管理させられた点を持って慰安婦を性奴隷と定義付け、国家の責任を求める批判を行った(外務省による和訳)。なお、奴隷制に関する近代的定義は、1998年の国連人権委員会 マクドゥーガル報告書に記載されており、「奴隷状態とは、所有権を伴う権力の一部もしくは全部が一個人に対して行使されている状況もしくは状態である」とされ、奴隷制の定義では「自己決定権、移動の自由、自己の性活動に関する事柄の決定権の制限などの概念も内在している」とされる。また「すべてではないとしても大半の形態の強制売春も含まれる。「強制売春」とは一般に、他人に支配されて性的行為を強要される状態を意味する。原則として、武力紛争下では、強制売春と呼びうる実態はたいていの場合、性的奴隷制に相当する。」という記載がある。
これに対し日本政府は、河野談話に沿った強制性とアジア女性基金の活動を説明しつつ、1926年の奴隷条約に基づいた定義では慰安婦は奴隷に当たらないとして、慰安婦を性奴隷と呼称するのは不適切であるというコメントを出している(外務省資料)。なお、日本は戦前・戦後とも、本奴隷条約を批准していない。
韓国の動向
韓国内では、強制的に自国の女性が連行され性奴隷にされたとされており、竹島領有権問題、天皇陛下の戦争関与と並び戦時中の日本の大罪として認識されている。1993年、金泳三大統領は「従軍慰安婦問題に対し日本に物質的な補償は求めない方針だ」と明言しており、日韓の間で問題はおおよそ解決していると見て良い。
なお韓国は、米国に対する特殊慰安隊と呼ばれる慰安婦を戦後に編成し、国内にて募集を行った。こちらも深刻な人権侵害である。実際に被害者だと主張する慰安婦本人の発言では、戦後の米軍に対する韓国軍慰安婦の話と混同されているような例も見られる。日本軍の慰安婦の件と異なり、こちらはまだ十分調査されているとは言いがたいようだ。
インドネシアの立場
インドネシア政府は、上記償い事業のため日本から3億8千万円を受け取った。インドネシア政府は問題の複雑さから、これを「従軍慰安婦」個人には渡さず、高齢者社会福祉推進事業、身寄りのない老人のための老人ホームなどの建設などに使用することで、日本と和解した。
関連動画
↑(実際に慰安婦を利用していた落語家春風亭柳昇の慰安婦について語る動画)