TVアニメ『慎重勇者』特別EDに込めた“リアルな感情”──安月名莉子2ヶ月連続インタヴュー後編
安月名莉子が11月6日にリリースしたニュー・シングル「be perfect, plz!」。放送中のTVアニメ「慎重勇者〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜」のOPテーマにもなっている今作のカップリング曲「さいしょからずっと」は安月名が作曲を担当した。
前作「Glow at the Velocity of Light」から引き続き、タナカ零と共に彼女が作り上げた本楽曲には、アニメ本編の展開を受け止めて綴った彼女の想いが溢れている。2ヶ月連続掲載となった安月名莉子へのインタヴューの後編、ぜひアニメと共にお楽しみください。
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INTERVIEW : 安月名莉子
11月6日に発売した安月名莉子の最新シングル「be perfect,pliz!」には、彼女自身が作曲した作品がカップリングに収録されている。それが「さいしょからずっと」だ。彼女にとってこの曲が、はじめてアニメの中で流される自作曲となる。アニソン・シンガーとしてデビューし、この一年間で様々な曲にトライしてきた安月名。そんな彼女がようやくこの曲で才能を発揮する。制作秘話、そしてワンマン・ライヴ〈Memories Live 2019〉への意気込みを語ってもらった。
インタヴュー&文 : 荻原梓
写真 : 西村満
こんなにゆっくりなテンポの曲は今まで書いたことがなかった
──カップリング曲「さいしょからずっと」は、表題曲とは打って変わって重厚感のある楽曲ですね。
この曲は私が作曲させていただきました。こんなにゆっくりなテンポの曲は今まで書いたことがなかったので新鮮な気分です。
──安月名さんが作曲することは最初から決まってたのでしょうか?
はい。「アニメの11話で流すエンディング用に作曲にチャレンジしてみてほしい」と、チャンスをいただきました。その11話というのが、物語上の重要な事実が明かされる回なんです。主人公の聖哉がなぜこんなにも慎重なのかには実は理由があって、その真実が明かされる瞬間に流れる曲なんです。それまで聖哉とリスタルテちゃんのテンポの良い掛け合いでギャグが炸裂してた空気がガラリと変わる場面でもあり、曲を作った私としてはすごく緊張するんですけど、視聴者の皆さんには刺さるんじゃないかなってちょっと自信があります。(※取材日は11話の放送前)
──反応が楽しみですね。
急に!? みたいになると思います(笑)。私、原作をそれまで笑いながら読んでいたので、その分感情移入も強くてそのページで泣いちゃったんです。「は〜〜リスタルテ〜〜!!」ってなって。そういう素敵なシーンで使っていただけるので嬉しいです。
吐息の長さとか、感情の出し方、リアルなものを込めた
──作曲はどのように?
まず、ワンコーラスくらいの簡単なデモを3パターン作ってみて、その中から選んでいただきました。3つの中では私自身もこれが一番しっくり来ていたので、そこは意見が合致していたと思います。最初はサビから作り始めて、それから一音一音、ゆっくり言葉が際立つようにメロディを加えていきました。地声と裏声のミックスあたりの自分の中でもギリギリの音を狙ったり……。自分で作っておきながら歌うのがすごく難しいんですけど(笑)。
──デモの段階でもここまで遅かったのでしょうか?
ギターの弾き語りでデモを作ったんですけど、その段階ではもう少し速い曲でした。それで「もっとゆっくりにしてみたら」というアドバイスをいただいたので、遅くしてみたら本当にドンピシャで、これだ! となったんです。編曲は表題曲に引き続きタナカ零さんがしてくださったのですが、編曲の段階でかなり曲の印象が変わり、これぞ“タナカ・マジック”!って驚きました。
──“タナカ・マジック”、良い表現ですね。具体的にどんな変化を感じましたか?
なんだろう……。不思議な世界観に変わったんです。コードも、私がデモで使っていたコードよりもずっと淋しさを演出するようなものが多くて、タナカさんのアレンジによってさらに曲全体に“悲しさ”が加わったというか。作詞もタナカさんが担当してくださり、それもまた美しくて。1番はリスタちゃん目線なのですが、後半になるに連れて聖哉とも重ね合わせられる感情が出てくるんです。
──単純にリスタ目線から聖哉目線に移るわけではないんですね。
そうなんです。気持ちが“二重”になるような、最後はデュエットみたいな気持ちで歌いました。あと、自分が書いてきた曲の中で一番、音数が少ない曲になったかもしれません。
──文字数が少ないとその分、一文字に込められる思いや意味がより濃くなりますよね。
はい。音数も少ない上に、トラック数も少ないので、そうなると吐息ですらマイクに乗ってしまうんです。歌い手の感情が直に伝わるので、レコーディングの時には一文字一文字を大切に歌うように心がけていました。あと、他の曲だとある程度“こう歌いたい”というイメージを持ってから臨むのですが、この曲は小さな声の変化もマイクが拾っちゃうので、生っぽさを活かした歌い方が良いと思って。吐息の長さとか、感情の出し方、リアルなものを込めたくて、毎テイクその時の気持ちで歌いました。
──なるほど。
よく「口からCD音源」って言葉があるじゃないですか。それみたいに、丸々CDと同じ歌い方をせい! って言われてもそうならない曲です。それほど繊細な曲ですね。その意味では表題曲の「be perfect, plz!」と真逆なので、この2曲をひとつのシングルで連続で聴くとどう感じてもらえるんだろう……。一枚でまったく違う世界観を味わえると思います。
やっと“レディーパーフェクトリー”
──発売後のファンの方の反応も楽しみですね。デビューから1年が経ちますが、ここまで色々な方と関わってきて、ご自身もかなり成長できたんじゃないでしょうか?
そうですね。やっと“レディーパーフェクトリー”といった感じで(笑)。
──アニメで自分が作曲した曲が流れるのもはじめてですもんね。
はい。一つ一つ願いが叶っている実感があります。なので、この曲を私が作曲していることに色んな方が気付いて下さると嬉しいです。
──こうして取材してるこちらも、ミュージシャン・安月名莉子が着実に前へ進んでるのを感じます。それでは、12月のワンマン・ライヴへ意気込みを聞かせてください。
前回のワンマン・ライヴははじめてだったので、皆さんのリアクションも分からないまま、ずっとドキドキでした。今回はこうして新たな楽曲も加わったので、その曲を歌えることがまず楽しみで、ワクワクしています。ライヴ当日が近づくに連れてまたガチガチに緊張するとは思いますが(笑)。ただ、今回は「よ〜し頑張ってやる!」と意気込むというよりは、みなさんと一緒に楽しむライヴにしたい。そうすれば、皆さんの反応も見ながら歌えと思います。今回の会場はより近くで皆さんの表情が見られるので、当日が待ちきれません。
インタヴュー前半も公開中! こちらも併せてチェック!
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編集 : 伊達恭平
LIVE INFO
Cole Clark Guitars presents 安月名莉子〈Memories Live 2019-Osaka-〉
2019年12月28日(土)@心斎橋VARON
時間 : OPEN 19:00 / START 19:30
前売りチケット : 2,800円(オールスタンディング)
協賛:イシバシ楽器
ライヴ詳細はこちらから
https://www.azuna-riko.com/live
安月名莉子の過去作はOTOTOYにて配信中!
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PROFILE
幼少よりミュージカルやTVへの出演を通し、役者としての表現を学ぶ。
大学進学と同時に自身の思いを形に残すためシンガーソングライターとしての活動を開始。 2018年10月放送TVアニメ『やがて君になる』のOPテーマ「君にふれて」でメジャーデビュー。同時に『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』の挿入歌「Memories」の歌唱に抜擢される。
2019年2月、TVアニメ『ブギーポップは笑わない』のEDテーマ「Whiteout」をリリース。本作のMVではコンテンポラリーダンスを自ら踊り注目を集める。
さらに5月にはゲーム『夢現Re:Master』では「ニエ」役として声優としてのデビューを果たす。
その才能はアニソンシンガーにとどまらず、シンガーソングライターとしてもギターテクニック、繊細な歌唱力が認められオーストラリアのギターメーカー Cole Clarkとエンドース契約を果たし、2019年3月Cole Clark Guitar presents東名阪のツアーを敢行する。また、2019年12月にはCole Clark 安月名莉子シグネチャーモデルの発売を予定。
11月6日(水)、TVアニメ『慎重勇者』EDテーマ「be perfect,plz!」の発売が決定している。
卓越したギター演奏と寄り添う声で、こころを歌い上げる。
安月名莉子 オフィシャルサイト
https://www.azuna-riko.com/
安月名莉子 公式twitterアカウント
https://twitter.com/azuna_riko