『Re:ゼロ』主題歌での鮮烈デビュー。──いまだ謎多き新人シンガーnonocの素顔を暴く!
人気アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』待望の新作エピソードの主題歌として鮮烈なデビューを果たしたnonoc。作・編曲を中沢伴行が担当したハードなロック・サウンドが特徴的な「Relive」と、作詞・作曲をヒゲドライバーが担当した優しく暖かいバラード・ソング「White White Snow」の2曲を歌い上げ、その強烈な印象をアニソン界のど真ん中に打ち付けました!
ここまでインパクトのある登場ながら、いまだ謎の多いnonocの素顔を探るため、OTOTOYではskypeインタビューを実施。これまでの経緯や、デビュー曲となった2曲に関しても語ってもらいました。今後の活動も大注目のnonoc。彼女がこれから見せてくれる景色に、期待せずにはいられません!
nonocデビュー作 『OVA「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」Memory Album』
INTERVIEW : nonoc
まだ高校を卒業して間もないという新人アーティストnonoc。デビュー曲はなんと、アニメ映画「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」のエンディング・テーマとイメージ・ソングだというから驚きだ。nonocは小・中学校時代からニコニコ動画で音楽を聴き、自らも音楽を発信。後にデビューへとつながる、藍井エイルや綾野ましろを発掘したプロデューサー安田史生との出会いも、音楽アプリへの投稿がきっかけだったという。そんな”新世代”のシンガーnonocとは、いったい何者なのか。デビュー翌日の10月25日、まだ地元・北海道に住んでいる彼女に、Skypeインタビューで話を聞いた。
インタヴュー&文 : 前田将博
このまま勉強を続けて自分は何になりたいんだろうって考えたときに、全然思い浮かばなかった
──デビューおめでとうございます!
nonoc (以下 : n) : ありがとうございます! 昨日はじめてお店をまわって、はじめてサインもさせてもらいました。
──実際に並んでいるのを見て、実感は湧いてきましたか?
n : アニメイトさんはプライベートでもよく行っているので、自分のサインを飾っていただけるのはびっくりしましたね。楽曲の配信もはじまっているので、Twitterのリプライで「買いました」って言ってもらえたのもうれしかったです。
──すでにインタビューもいくつか公開されています。
n : 取材はまだまだ全然慣れないですね(苦笑)。緊張するし、喋ってるうちに「質問なんだっけ?」ってなったり。話すのはすごい好きなんですけど。
──Skypeも慣れている感じがします。
n : SkypeはLINEが出るまではずっと使ってました(笑)。ニコニコ生放送をやっていたので、自分から発信するのも好きですね。
──nonocさんは昔から音楽が身近にあったそうですが、どんな家庭環境で育ったんでしょう。
n : 片親でシングルマザーなんですけど、お母さんが音楽を聴くのがすごく好きなんです。家ではお母さんが好きなL'Arc~en~Cielさんや藤井フミヤさんのライヴ映像が流れていましたね。1歳とか2歳とか字が読めない頃からカラオケにも連れて行ってもらっていたので、お母さんが歌っているのを耳で覚えて、私も自然と歌っていました。幼稚園の頃に歌っていたのは、ミニモニ。とか浜崎あゆみさんとか矢井田瞳さんとか。
──では歌うのが好きなのも、お母さんの影響が強いんですかね。
n : お母さんは、私が生まれる前にバンドのヴォーカルをやっていて、歌手を目指していたんです。いまの私くらいの年のときに、札幌とかでライヴをしていたみたいで。だから私の夢もスムーズに応援してくれましたね。いまでも仲良くてカラオケに行くんですけど、当時とあまり声は変わらないって言ってました。
──中学生までは、北海道の田舎の方に住んでいたそうですね。
n : 交通機関はほぼないし、バスも1時間に1~2本で、目的地につくまで大変でした。遊びに行こうと思っても、親に頼んで車を出してもらわないと遊べない。中学校へも毎日車で送ってもらっていましたね。
──それだと、自然にインドア派になっちゃいそうですね。
n : その頃はWi-Fiが普及し始めていたので、持ってる子は一緒にオンラインでゲームをやっていましたね。
──友達同士で遊ぶのもオンラインなんですね。
n : 誰かの家に一回集まっちゃうと、帰りに車で送ってもらわないといけなくなっちゃうから。
──自分はずっと東京に住んでいるので、なかなか想像できないですね。
n : うらやましいです。家族全員、東京への憧れが強いんですよ。特に、おばあちゃんが(笑)。KinKi Kidsさんが好きで、東京にコンサートを観に行って、ディズニーランドに行って帰ってくるんです。その楽しみのためにジムに行って、ムキムキに鍛えてる。それで東京から帰ってくると、飛行機を降りた瞬間に「帰ってきちゃった…」って、すごいため息つくんです(笑)。
──すごい若いおばあちゃんですね(笑)。
n : ネットにも強いですし、フットワークも軽いです。
──ネットをやるようになって、自分で音楽を聴くようになってからは、どんなものを聴いていましたか?
n : 小学校5~6年からニコニコ動画を見ていて、「歌ってみた」とかボーカロイドとか、アニソンも聴いていましたね。その頃はパソコンのモニターがドラム缶みたいに分厚いタイプ(ブラウン管)だったんですけど、横にガラケーを置いて、パソコンで好きな曲を流してはボイスメモに録音して聴いていました。
──どんな曲を入れていたか覚えてます?
n : 歌い手さんだと、バルシェさんにハマっていました。あとは歌ってみたのささくれPさんの「ぼくらの16bit戦争」って曲をすごく聴いていましたね。
──ニコ動が一番盛り上がっていた時代ですよね。
n : そうですね。米津玄師さんが「ハチ」名義でやっていた頃で、2011年から14年くらいまですごい盛り上がっていましたね。いまはYouTubeも盛り上がっていますけど、あの時代のニコ動はほんと楽しかったし、曲は全部好きです。
──その頃は、さすがにまだ投稿はしていない?
n : していました! いろいろ調べて、フリーソフトで動画と音声をくっつけたり、マスタリングみたいなものもやったりして。一番最初の投稿は、たしかハチさんの「マトリョシカ」を歌ったんですけど、中学生になったばかりか小学生くらいのときですね。それしかやることがなかったので(笑)。
──アニメを見たりとかは?
n : 中学生のときは深夜アニメを見すぎて、そのせいで成長が止まったんじゃないかと思っています(笑)。身長は156センチなんですけど、親と比べると低いので。
──どんな作品を見ていたんでしょうか。
n : 人生で一番好きなアニメは「東京喰種トーキョーグール」ですね。ほかにも「ソードアート・オンライン」「君と僕。」「テガミバチ」とか、「進撃の巨人」も1期から見ていました。日常系のギャグアニメを見ることもあるし、本当にオールジャンルにいろんなものを見ていますね。今期だと「ゾンビランドサガ」が激推しです。
──そんなにがっつり見ていたら、学校は大変だったのでは?
n : 成績は良かったですね。勉強もめっちゃしてたし、塾に通ってピアノも習っていました。部活と生徒会もやっていたし。
──優等生ですね!
n : 中学生までは(笑)。部活はテニス部だったんですけど、そもそも人数が少なくて2人しかいなかったので、強制的に部長をやっていました。でも後輩をめっちゃ入れたので、最終的に8人に増えて。生徒会も兼任が多くて、副会長や文化委員会をやっていましたね。
──では学校生活はだいぶ充実していたんですね。
n : はい。いろんな催し物の代表を決めるときに誰も手を挙げない時間が嫌で、引き受けちゃうんですよ。それでどんどん増えていったので、わりと忙しかったですね。
──高校から札幌に出て、音楽の学校に進学したんですよね。
n : 地元市内に高校がないので、みんなバラバラになるのは決まっていたんですよ。高校を潰して中学校にしていたので、地元に中学までしかなくて。内申点も良かったし勉強も嫌いじゃなかったんですけど、このまま勉強を続けて自分は何になりたいんだろうって考えたときに、全然思い浮かばなかったんですよね。それで、普通の高校に入るのは違うんじゃないかって。
──それで音楽の学校に行くことにした。
n : どうせ勉強するなら自分が楽しいことをやりたいし、歌うのが好きだったので、高等課程コースがある専門学校に進学しました。札幌に出たかったのもありますけど(笑)。
──では、本格的に歌手の道に行こうと思ったのもこのときだったんですね。
n : 歌でお金を稼ぎたいと本気で思ったのは、そのときだったかもしれないですね。でも小学6年生のときの卒業文集かなにかに、「将来の夢は歌い手」って書いてるんですよ(笑)。
──歌手じゃなくて歌い手なんですね(笑)。
n : 歌い手さんの方が、活動が幅広い気がしていたんですよね。クリエイティビティみたいなものが溢れてる人が多かったし。ただそのときは、ニコニコ出身でCD出している人みたいになりたいなって、なんとなく思っている程度でした。
私が求めているものと中沢さんが求めているものは一致していた
──ピアノもずっと習っていたとのことですが、自分で作曲したりはしなかったんですか?
n : クラシックピアノだったので、作曲につなげるのはなかなか難しくて。でも高校のときからちょこちょこ作曲も勉強してはいるので、いつか自分の音楽につなげていけたらなと思っています。作詞も少しずつ挑戦しています。
──高校では、どんなことを学んでいたんでしょう。
n : 最初の頃は洋楽の勉強をしていましたね。毎週ジャズとかロックとかポップスとかジャンルが決まっていて、楽器専攻の子の演奏に合わせて課題曲を歌っていました。発表会もあるので、とにかくいろんな曲を聴いて歌ってって感じでしたね。
──その頃はニコ動ではなく、アプリで歌を投稿していたそうですね。
n : 高校のときは住まいが札幌に移動したこともあって、環境的になかなか家で大きな声で歌えなくなってしまったんですよ。それで歌ってみたは離れていたんですけど、「nana」っていうアプリでボカロやJ-POPをいろいろ歌っていました。
──プロデューサーの安田史生さんと出会ったのも、そのアプリがきっかけだったとか。
n : Twitterとリンクできたので、一緒に投稿していたんですけど、そのページを見てくださったみたいで。高校2年生くらいだったかな。それで学校経由で連絡がきて、声をかけてもらいました。
──ほかの生徒もふくめて、そういう連絡は来るものなんですか?
n : 「ピアノが弾ける子」「ダンスができる子」みたいな感じでオファーはあって、私もお話をする機会はありました。でも自分に直接っていうのはなかなかなかったので、びっくりしましたね。
──そのあと安田さんが学校に来て、実際にお会いしたんですよね。
n : 最初はどんな曲聴くかとか、どんな歌が好きとか、ざっくりした感じの話をしました。それからカラオケに行って歌を録って作曲家の方に聴いてもらったり、歌わせてみたいって話がきたときにはスタジオでデモのレコーディングをしたりしていましたね。
──安田さんと出会ってから、どんなことを学びましたか?
n : それまでは自分の声を客観視することがなかったんですけど、すごく声を褒めていただいて、その声を生かすような歌い方を教えてもらいました。それから自分の声や歌に対する気持ちも変わりましたね。感情を込めたり、スタミナの部分を意識するようになったり、ボイトレもより真剣に取り組むようになりました。
──そして今回、KADOKAWAからオファーがあってデビューが決まりました。
n : KADOKAWAさんっていうのは聞いていたんですけど、なんの作品でデビューするかはあとから知ったんですよ。2カ月くらい経ってからかな。それが「Re:ゼロから始める異世界生活」でした。サウンドトラックアルバムに私の曲を入れてもらって、それでデビューになるって決まったのもそのときだったので、すごくびっくりしましたね。最近になって、やっと実感が湧いてきました。
──しかも映画ですもんね。
n : そうなんです!
──まずはイメージ・ソング「Relive」の方をいただいたそうですね。川田まみさんやKOTOKOさんの曲でおなじみの中沢伴行さんが作・編曲ですが、力強いロック調の中沢さんらしい楽曲です。
n : いい意味ですごいアニソンっぽいですよね。ちゃんと作品をつくりあげるのは今回がはじめてだったんですけど、レコーディングがものすごく大変でした。私が求めているものと中沢さんが求めているものは一致していたんですけど、音程の高低差が激しくて、形にするのが難しかったです。サビの高いところは地声で苦しい感じを出したりするために、何度も録り直しました。「息の感じとかめっちゃかっこいいけど、もうちょっと行ける!」って熱血指導していただいて。あと”勝負服”を着てたんですよ。レコーディング2日目のコーラス録りのときに着ていた服がレムの服で、それも上着の下に着ていたので、最初は見えなかったんです。それが途中でちらっと見えて(笑)。
──その思いを受け取って歌ったと(笑)。
n : 歌いました(笑)。
──中沢さんに言われて印象に残っていることはありますか?
n : ちょっと高めのギリギリに出した声は、苦しそうでちょっと中2病ぽい感じですごくいい、って褒めてくださったのが印象的でした。
──「Relive」でもそれが生きている気がしますね。
n : はい。私もかなりお気に入りの曲になりました。
やりたいことはたくさんありますし、自分の可能性を狭めたくはないので
──エンディング・テーマの「White White Snow」は一転して美しいバラードですよね。曲調はもちろん、歌い方や声の出し方もまったく違っています。
n : 先に「Relive」をいただいていたので、自分でもすごく考察して、差をつけるように意識しました。映画のイメージ画像を見させていただいたので、エミリアの笑顔とか雪とかを思い浮かべながら、優しくきれいに包み込むように歌いましたね。
──歌詞もせつないですよね。
n : 優しくやわらかい感じではあるんですけど、最後のサビではエミリアが泣いていたり。映画はテレビ・シリーズの11話と12話の間の話で、エミリアは映画のあとですごく大変な思いをする。1年後があるか、明日があるかわからない状況っていうのは、エミリアもそうですけど、みんな変わらないことなので、平穏な日常が大事で、それが続きますようにって思いを込めて歌いました。エミリアの気持ちとマッチするように。
──作詞・作曲のヒゲドライバーさんもレコーディングに立ち会われたんですよね。
n : ヒゲさんはニコニコ出身の方なので、私がニコニコが好きだったって話をしたら、めちゃくちゃ盛り上がりました。
──映画が公開されて、実際にエンディングで流れているのを聴いていかがでしたか?
n : 最後のシーンからつながるように、ふわっと流れるんですけど、作品の一部になれたのがめちゃくちゃうれしかったですね。エミリアとスバルのデートを見守るような歌になったのかなって思います。どちらの曲もリゼロの世界観がたくさんつまっているので、どこのシーンを歌っているのかなとか、こういう気持ちで歌ってるのかなとか、想像しながら聴いてもらえるとうれしいですね。
──歌手としての目標はありますか?
n : やりたいことはたくさんありますし、自分の可能性を狭めたくはないので、数ある人のなかで私を選んでいただいたお仕事があるなら、それは全力でやっていきたいなって思います。ライヴもやりたいので、いただいた曲を続けて歌うための体力づくりも、がんばっていきたいですね。
──ほかに挑戦したいことなどはありますか?
n : ファッションやミュージック・ビデオのアートワークなどにもすごく興味があるので、そういった分野にも挑戦していきたいな。MVやアーティスト写真を撮るときも、自分が好きなものやこだわっている部分を突き詰めながら、ひとつひとつの仕事をがんばっていくのが、いまできることかなって思っています。
──現在は北海道在住ですが、今後上京の予定は?
n : まだ10代ですし、お仕事も慣れていないので、まずは地元でいろんな経験をしたいです。これからいろんなことに挑戦して、多くの人に自分の歌を届けていきたいなと思っています。
『OVA「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」Memory Album』のご購入はこちらから
PROFILE
nonoc
北海道出身・在住のシンガー。高校在学中に楽曲投稿アプリで歌声を披露し始めたところ、札幌を拠点とするプロデューサー安田史生氏と出会い、本格的に音楽活動をスタート。2018年、高校卒業を機にその歌声がKADOKAWA制作陣の耳に届き、OVA「Re:ゼロから始める異世界生活」のイメージソングとエンディングテーマのボーカルとして2曲同時に抜擢された。
【nonoc 公式Twitterはこちら】
https://twitter.com/nonoc_doll