テンテンコ、ハルメンズを歌う!! しかもサエキけんぞう本人プロデュースーーコミケで販売された音源を独占ハイレゾ配信スタート!!
戸川純や野宮真貴らもレパートリーにしていたことで知られる伝説的なニューウェイヴ・バンド、ハルメンズの名曲3トラックをテンテンコが歌った音源『テンテンコ sings ハルメンズ』。ハルメンズのオリジナル・メンバーであるサエキけんぞうが自らプロデュースを担当。シンガー・ソングライターしずくだうみの音源やゲーム音楽などを手がける吉田仁郎がアレンジ、レコーディング、ミックス・マスタリングを担当。1曲目「モーターハミング」では、下川諒(挫・人間)がヴォーカルで、makojet(boogie the マッハモータース)がギターでゲスト参加している。1980年代と2010年代が交錯した本作を独占ハイレゾ配信するとともに、テンテンコ、サエキけんぞう、吉田仁郎を迎え、本作について話を訊いた。世代を超えたコラボレーションをお楽しみいただきたい。
「コミックマーケット88」で発売された音源をハイレゾ配信スタート
テンテンコ / テンテンコ sings ハルメンズ(24bit/48kHz)
【配信形態】
WAV / ALAC / FLAC(24bit/48kHz)、AAC
【配信価格】
単曲 200円 / まとめ価格 1,000円(税込)
【Track List】
1. モーターハミング
2. 母子受精
3. リズム運動
4. 昆虫軍
5. モーターハミング(JY REMIX) (※アルバムまとめ購入のみのボーナストラックとなります。)
INTERVIEW : テンテンコ × サエキけんぞう × 吉田仁郎
テンテンコがハルメンズを歌う。しかもなんと、プロデュースをハルメンズのオリジナル・メンバーであるサエキけんぞうが担当! 1980年代から2015年、30年以上の時を超えた、まさに夢のようなコラボレーションが実現した。所謂サブカルチャーに多大な影響を受け、戸川純がきっかけでこの世界に入ったと公言するテンコがサエキに強い思いを抱いていたことは想像に難くないが、サエキの方もBiS加入以前からテンコに注目していたという。
当初はコミケなどの手売りのみで販売していたこの音源を、OTOTOYでハイレゾ配信開始。それを記念して、そんな"相思相愛"なふたりに、アレンジやレコーディングなどを担当した吉田仁郎をくわえてインタビューを実施。テンコが見る80年代ニューウェイヴ・シーンや、サエキいわく「日本のポップス史上では事件」だというテンコの魅力、BiSやアイドル論など、ファンならずとも必見の濃厚な内容となった。このコラボ、果たしてどこへ向かっていくのか…。
インタヴュー & 文 : 前田将博
写真 : 箪笥
逆ナンプロデュース! いいですね!!
ーーテンコちゃんはもともとサエキさんのことはご存知だったと思うんですけど、実際に会ったのはいつが最初なんですか?
テンテンコ(以下、テンコ) : BiS時代に、新宿LOFTプラスワンで〈サブカル×アニメナイト〉っていうぐしゃ人間のイベントで共演したんです。私とサエキさんは2部からの出演だったので、出番を待っている間に楽屋でめちゃくちゃしゃべって。
サエキけんぞう(以下、サエキ) : 松永天馬くんやJOJO広重さんもいてね。ただ、僕はその前からテンコちゃんを知っていたんですよ。2009年~11年くらいにかけてディアステージとよく関わっていたので、そのあともたまに顔を出していたんです。それで、もふくちゃんに「すごいおもしろい子が入ったから、絶対に会っておいた方がいい」って言われたから、その2ヶ月後くらいに行ったら、すでにBiSに入ったあとだった。
テンコ : 2013年の2月にディアステージに入って、すぐにBiSのオーディションを受けて。
サエキ : 普通に考えるとディアステージからBiSに入ることってないですよね。お店のローテーションに影響するし。ただ昔からあの店には自由な気風があるので、テンコちゃんだからやらせてみるかっていう部分もあったんじゃないですかね。
ーー仁郎さんとは、どういう繫がりがあったんでしょう。
吉田仁郎(以下、仁郎) : 自分はずっと2005年くらいまでひとりで18禁ゲームの音楽を作っていたんですけど、2006年くらいからニューウェイヴ・バンド、ピノリュックに入って活動していたら対バンにBoogie the マッハモータースがいたんですよね。その縁もあって一時期、音楽制作会社でエンジニアの仕事をしていたときに、Boogie the マッハモータースのアルバムのレコーディングを担当することになって。で、彼らはサエキさんのバック・バンドをやっていたので、その頃にサエキさんがコミケ用に音源を作るからってことで声がかかった。それが、去年の末くらいですかね。
サエキ : まず僕がやっていたハルメンズの30周年ということで、Boogie the マッハモータースと幻の3枚目を作ろうっていう企画があった。ハルメンズの3rdとして『21世紀さん sings ハルメンズ』を作ったんですよ。で、そのあとさらに、オリジナル・メンバーのドラマー、泉水敏郎が加わり、コミケで音源を2枚売った。そして3枚目の『HS-5』をつくるときに仁郎くんに頼んだんですね。メンバーにエンジニアできる人がいなかったので。そのときに非常にスムーズにいったので、またやってもらいたいなと。
仁郎 : もっとも僕は、高校生くらいのときには戸川純さんとか野宮真貴さんとかが大好きで、ハルメンズも聴いていましたからね。
ーーそのあたりのアーティストは、テンコさんも大きく影響を受けていますよね。
テンコ : そうですね。私は後追いで知ったので、いい時代だなって憧れています。
ーー今回の音源は、コミケに向けて作られたものなんですよね。
サエキ : 僕がやっている「ハロニュー!」っていうユースト番組にテンコちゃんを呼んで、「母子受精」を歌ってもらったんですよ。それの反応が良かったので、いいなと思ったのがはじまりですかね。そのあと7月19日にテンコちゃんのイベントがあって、そこで作ることを発表して、8月のコミケで売りました。7月のイベントでは、サイバーディーヴァsingsハルメンズのカラオケで「昆虫軍」を歌ったんですけど。
ーーユーストには、サエキさんが声をかけて出てもらったんですか?
サエキ : そうですね。ずっと気になる存在ではあったので、そろそろ会ってみたいな、くらいの感じで。
ーーテンコちゃんがソロになってからのインタヴューで、一緒に音楽を作りたい人にサエキさんの名前を挙げたりしていたので、てっきり最初はテンコちゃんから声をかけたのかと思っていました。
テンコ : そうなんですよ。なにか人に作ってもらったりするんだったら、サエキさんにお願いしたいとずっと思っていましたね。
サエキ : 逆ナンプロデュース! いいですね!!
一同 : あははは!
サエキ : でも、たまに女の子の方からプロデュースしてほしいっていうのもあるんですけど、「とにかく私をどうにかしてほしい」っていう感じで、ちょっと困るなってケースが多いんです。その点、テンコちゃんはものすごく声と歌唱法と存在感が一貫していて、すでに自己プロデュースができているので、どうやればいいかっていうのが見えるんですよ。今回は、ハルメンズを歌うっていうのもありましたし。
日本のポップス史上では事件だと思うんですよね
ーー今回の音源には、先ほど挙った2曲も入っていますよね。
サエキ : 「母子受精」と「リズム運動」は戸川純ちゃんのレパートリーでもあるので、野宮真貴ちゃん絡みの曲も1曲ほしいなと。それで、野宮真貴ちゃんがアレンジして歌っている「モーターハミング」を入れて。もともとブロンディみたいなテクノ・ディスコになっているんですけど、あの時代のディスコみたいなものをやるのがおもしろいと思ったんですよね。
ーーアレンジは仁郎さんが担当しています。
仁郎 : 任せてもらいましたね。原曲が体に馴染んでいるので、違うものにしなきゃいけないというので悩みました。でも別の打ち合わせでサエキさんが「原曲を大事にしていないアレンジは嫌いだ」って言ってたんですよ。それが自分のなかに残っていたので、原曲を残しながらいままでの音源にないタイプにしたいなと。一応、達成できているんじゃないかなと思いますねl。
ーーじゃあ、特にサエキさんから注文はなかった。
サエキ : アレンジの指定は一切していないですね。
仁郎 : ゲストも僕が好き勝手に選びました。挫・人間の下川諒はどうですかって感じで。
サエキ : ハマっていましたね。最初、声が入っていないんじゃないかと思った。テンコちゃんと似てるんですよね。
テンコ : 変わった声で良いですよね。
仁郎 : 下川には結構、好きに歌ってくれって言ったんですけど、Boogie the マッハモータースのmakojetも好きに弾いてもらって。ふたりともキャラが立っているから、やりやすかったですね。
ーーテンコちゃんは、ハルメンズを歌ってみていかがでしたか?
テンコ : まず、歌えることがめちゃくちゃうれしかったですね。あと、すごく歌いやすかったです。この前はじめてライヴで歌ったんですけど、最初はだいたいすごく緊張して半分パニックになることが多いんですが、そういうこともなく入り込んで歌えました。だから4曲とも、すごくいいものになったなっていう自信がありますね。
ーーこれまでソロでやってきた曲とかと比べても、今回の音源は自然な流れにあるように感じました。
サエキ : それはうれしいですね。
テンコ : もともと聴いていた曲だったので自然と自分のなかに入っていたっていうのと、アレンジも歌いやすくしてくれていたのかなって思います。
仁郎 : アレンジするときに、テンコちゃんに「Good bye,Good girl 」のMVをみせてもらったら80年代のエレクトロみたいなやつだったので、もっとキラキラしたアレンジでもこの人の声はすごくよく乗るんだろうなって思ったんです。そういうイメージで作ったので、歌ってもらったときに思った以上にハマるなってサエキさんとふたりで話していました。
サエキ : 歌入れはすごくスムーズでしたね。声が映えるというか、よく乗るタイプの声なんですよね。純ちゃんとテンコちゃんというのは30年違うわけですけど、やっぱり時代は変わっていて、いまの呼吸をしていて、いまの歌になっている。テンコちゃんみたいな人は特殊で、BiSみたいなものを経ているっていうこと自体が、日本のポップス史上では事件だと思うんですよね。だから、頭の中にああいうビートがあるわけですよ。地下アイドルでビジュアル系みたいなものを歌っている人はいるんだけど、洋楽ロックみたいなものを歌っている人は少ないんですよね。それはそれでありだとは思うんですけど、考えてみたら僕は洋楽ロックの方が好きなわけで。テンコちゃんは洋楽の頭も持っているというか、BiSでそういう訓練もされたていたと思うんです。だからこういうオケで歌ったときに、きちっと歌えるんですよ。
仁郎 : 踊りながら録っていましたからね。
サエキ : 体を動かしながら歌うことに慣れているのも、BiSの活動があってのことだと思うんですよね。だから、すごくいい状態で録れたと思います。
テンコ : BiSはギリギリ歌えないような感じで、わざとキーを高くしたりとかもしていましたからね。それはそれで楽しかったんですけど、いまの話を訊いてどっかに残っているのかなと思ってうれしいです。
サエキ : BiSはスピリットがロック寄りなんだよね。ゴールデンボンバーみたいなものじゃないですかね(※サエキはゴールデンボンバーをロック的なグループととらえている)。彼らは歌謡曲寄りに見えるけど。楽器を持たずに歌だけでああしたヤバい感じを出すのって難しいんですよ。元のコンセプトがしっかりしていないと躍動感=ロック感が出ない。でも、BiSって外人が見てもロックっぽく見えると思うんですよね。
このまま突き進むしかない、やるしかないっていうのはめっちゃあります
ーーテンコちゃんは、BiSのなかでも際立ってみえましたか?
サエキ : 背が低いから目立つんですよね。
テンコ : みんな小さいんですけど、私が飛び抜けて小さいんです(笑)。
サエキ : アイドル・グループってそのあたりのバランスにすごく気をつかうんですよ。誰を真ん中におくとか、どういう役割にするかとか。テンコちゃんはBiSのなかでもどうみても異質な感じがあるので、それを渡辺(淳之介)さんはどう思っていたのかな。
テンコ : 私の想像ですけど、こういうふうにやったら綺麗にまとまるっていうことを敢えてやらなかった気がします。
サエキ : でも、BiSって不思議と結構まとまっているんだよね。メンバーがすごく入れ替わっているわりには、その傷みたいなものもなくて、最後の6人がベストだったのかなと思うし。
ーーBiSは、いかにメンバーがもともと持っている個性を覚醒させるかみたいな部分もあった気がします。
サエキ : 鶏を放し飼いする養鶏方法があるんですけど、珍しくその方法を採用しているグループでしたね。それが研究員さんによって共有されていて、自然発生的な個性の伸び方を楽しんでいた感じで。
ーーファンもどんどん新しい楽しみ方を見つけていましたもんね。
テンコ : 自由というか… ぐちゃぐちゃでしたね(笑)。
サエキ : 最後の横浜アリーナでは客席の上の方から見ていたんですけど、アリーナ席はみんなぐるぐるまわって台風9号みたいに巨大なやつができていて、すごかったですね。MCはまったくないし見応えがありました。テンコちゃんも根性がついたというか、シルエットだけでも伝わってくるものがありましたね。
ーーBiS解散からちょうど1年くらいですよね。テンコちゃんは元メンバーのなかでも一番独自路線を貫いていて、やりたいことをやっているイメージがあります。
テンコ : 私はいま3つくらいやっていることがあって。最初はDJをやっていて、そのうち機材とかを買って自分でもノイズとかをやるようになって。あとは作ってもらった曲なり、自分で作った曲なりを歌うっていう。ノイズもポップな曲も違うんですけど、自分のなかではどっちも無理がないんです。BiSが終わってから、自分がやりたいこととやれることしかやっていないから、ぶれている感じがいまはなくて、このまま突き進むしかない、やるしかないっていうのはめっちゃあります。あとは、もうちょっと腹を括らなきゃいけないなと。
ーーでは充実している。
テンコ : 充実というよりは、そうするしかないなって感じです。あのときこうした方が良かったのかなって思う時があるんですけど、そういう気持ちはいらないなって最近すごく思うので。
ーー映像や音源以外に、自主企画も何度か開催しています。
テンコ : イベントはこれまで3回やっているんですけど、これからも続けたいですね。いままではライヴハウスでやっていたんですけど、それ以外のところでやりたいなと。まだ秘密ですけど、誰もやっていないようなところを探し中です。
僕ね、自慢なのはアイドルと付き合ったことがないんですよ
ーー80年代ニューウェイヴの流れをテンコちゃんが継承している部分もあると思うんですけど、サエキさんはいまの彼女の活動をどう見ていますか?
サエキ : 80年代ニューウェイヴっていう部分だけを見ても、当時は本当にいろんなものがあったからね。テクノ・ポップっていうのはその要素のひとつでしかなかったから、もっといろんなことに挑戦してもらえたらいいなと思う。フロリダとかを見ると、アバンギャルドなものをやっているなと思うけど。
テンコ : 勝手なイメージなんですけど、80年代って、そのいろいろあるものがまとまっていたイメージがあるんですよ。いまもなんでもあるし、それぞれ盛り上がってはいるけど、みんなバラバラな気がするんです。だから私は80年代のなんだかよくわからないけどひとつになって盛り上がっている感じにすごく憧れがあって。それで自分がやっているイベントはいろんな人を呼んで、みんなバラバラだけどつながりがある感じを出したいとずっと思っていて。
サエキ : 80年代のニューウェイヴの特徴はシンセサイザーが多く入っているんですけど、それをオペレートするのが死ぬほど大変で。お金も労力もかかるのに、それが成功するとは限らない。異様な集中力をもってしないとどうにもならなかった。そういった意味で、テンコちゃんのいうまとまりみたいなものができていた部分もあると思うんですよね。いまは機材もPC一台で済んだりするから、やっている環境が全然違うんですよ。で、よくないのは知らないうちにいろいろ変わっちゃっていることで。昔のなにがおもしろいかっていう着眼点を補正しないと、やる側としては結局表面的なものになっちゃうんだろう気がしてしまいますね。テンコちゃんに関しては、はっきりと中間にいるんですよ。親御さんの躾とか、家庭の状態とかもあるのかもしれないけど、いまの普通の子ではない。所謂普通のアイドルとも違うし。
ーーいまはもはや、アイドルでもないですもんね。
サエキ : そう思うじゃないですか。でも僕のアイドル・チェックがいくつかあるんですけど、テンテンコちゃんは、それを満たしているんですよ。アイドル・グループを辞めたり、ロック的な活動をやっていくうちにダメになっちゃう人が多いんですけど。
仁郎 : サエキさんのアイドルの条件を満たしていると(笑)。どういった部分なんですか。
サエキ : しゃべり方とか受け答え、身のこなしですね。 テンテンコちゃんは、サブカルにきてはいるけど、アイドルを続けている風情がある。それが大事なんです よ。それがなくなると、僕は興味がなくなっちゃうから(笑)。アイドル性っていうものは意識してキープするものなんです。だから絶対に失ってほしくない!
一同 : あははは!
サエキ : こういう公の場でプレッシャーをかけていかないとね。
テンコ : 私も「アイドルではないです」とは敢えて言っていなくて、よくわからない感じにしようって。自分でもよくわからないから、このままでいいかなって思いますね。
サエキ : そういうのに安心した部分もあって。いまのサブカルの人はポリシーをがしっと出すというか、トゲみたいなものがあるじゃないですか。昔は生きる爆弾みたいな女の人みたいなのはいたけど、自分がどうしたとかじゃなくて、その人が生まれてきたことそのものが爆弾なのであって。本当に昔のニューウェイブっていうのは、そういう人たちだったんですよ。例えば小川美潮さんとかは、人にどう思われようとか考えていないんですよね。もう小川美潮として生まれてきてしまったっていう。天然そのものというか、ある意味自分のことしか考えていない。世間の人がニューウェイヴの人と付き合っていくのは、僕も含めて大変と思いますが(笑)。
仁郎 : そういう人たちは、みんな独特のオーラがありますからね。
サエキ : そうなんですよ。仁郎くんと付き合っているのはそういう時代のことを知っているっていうのもあるんです。主催イベントに小川美潮を呼んだりしている んだもんね。そういう人たちと付き合える珍しい若者なの。
仁郎 : だから僕はテンテンコちゃんもそっち系の人だったらどうしようって少しビビってたんですよ(笑)。
サエキ : いまの若い人は、そういう怖さがあると生きていけないからね。誰も近寄ってくれないから。
仁郎 : 昔の人は動物っぽいですよね。
サエキ : サイは自分がサイであるなんて思っていないですから。でも、いまのサブカルの人は自分がサブカルだって知っている。それがつまんない。でもテンコちゃんは、アイドルかもしれないけどそれをことさら否定しないし、自分からアイドルとも言わないっていう。よく直感的にそういうものをつかんでいるなと思うんですよね。自己プロデュースできるアイドルって言うのは、こういう人のことなんですよ。自分がない人も多いなかで、最低限自分がないとこういう作品づくりはできないよね。
ーー今後またこの3人で、音源を作ったりライヴをやったりすることはあるのでしょうか。
サエキ : ライヴくらいはやってもいいかなって思っていますけど、未定ですね。
仁郎 : この音源の第2弾的なものとか。
サエキ : やってもいいけど… 応相談って感じですよね。2枚目を作るとなると、制作にプレッシャーというか、気をつかわなきゃいけない部分も多いですからね。同じものをもう1回やっても仕方ないし。
仁郎 : 今度やるときは、テンコちゃんのノイズを入れましょう。
サエキ : さすが、いいこと考えるね。
仁郎 : さっき言っていたように、やるならポップとノイズの間みたいな場所に落とし込みたいですね。
ーーテンコちゃんは、またやりたい気持ちはありますか?
テンコ : それは、もちろん。
ーー話を聞いていると相思相愛な感じはしますが(笑)。
サエキ : 僕ね、自慢なのはアイドルと付き合ったことがないんですよ。
一同 : あはははは!
テンコ : なんの話(笑)!?
サエキ : 作詞家生活35年になるんですけど、それは信用というかプライドというか。オタクのみなさんにそう思われることほど嫌なことはないので、安心のブランドとして。… 真逆の人もいますからね。
テンコ : うふふふふ(笑)。
RECOMMEND
フロリダ / FLORIDA
2014年に解散したオルタナティヴ・アイドルBiSのメンバー、テンテンコと、あらゆる楽器を用い形式にとらわれない活動を行うシンガー・ソングライター滝沢朋恵によるエレクトロ・ユニット、フロリダ。フィールド・レコーディングやおもちゃのようなキーボード音、はたまたチャント的楽曲など、とにかく実験精神と意欲に溢れた彼女達が、初のミニ・アルバムをリリース。OTOTOYでは、デジタル歌詞ブックレットとともに配信。音で、そして言葉で彼女達の世界観に触れていただきたい。
サエキけんぞう&クラブ・ジュテーム / ジュテーム! ハイレゾ LIVE 〜ディープ・フレンチの饗宴〜 (5.6MHz dsd+mp3)(Live at 下北沢・音倉)
知られざるディープ・フレンチの世界へようこそ。テクノ・ユニット「パール兄弟」のヴォーカリストとして知られ、作詞家、音楽プロデューサーとしても活動するサエキけんぞうが、高音質ライヴ音源を独占リリース。ヴォーカル、ピアノ、ギター、カホン、アコーディオンといった編成により、ゲンスブールを中心とするフレンチ・グルーヴを独自に再構築している。ライヴは2014年6月23日(月)、下北沢・音倉でおこなわれたもの。
BiS / うりゃおい!!!
3年5ヶ月という短い活動期間ながら常識破りの破天荒で過激な活動でアイドルシーンのみならず日本の音楽シーンにセンセーショナルな話題を振りまき傷跡を残した活動の歴史と、その活動故の度重なるメンバーの脱退&加入劇を繰り返し辿り着いた最終形態とも言える現6人体制による”アイドルとは?”という問いに対するBiSなりの最終回答が詰まったBEST ALBUM。
PROFILE
テンテンコ
ex.BiS。2014年7月8日に横浜アリーナにて解散。解散後はソロ、フリーランスでDJとして活動を開始。自由気ままに何にも縛られない予測不能なスタイル。自作トラックに歌をのせるライヴ的DJをする。DJ以外にもお仕事募集中!
サエキけんぞう
ミュージシャン、作詞家、プロデュー サー 1958年7月28日 千葉県出身。千葉県市川市在住。 1977年千葉県立千葉高校卒。1985年徳島大学歯学部卒。 大学在学中に『ハルメンズの近代体操』(1980年)でミュージシャンとしてデビュー。 1983年「パール兄弟」を結成し、『未来はパール』で再デビュー。 『未来はパール』など約10枚のアルバムを発表。 1985年より1992年頃まで歯科医師として日大松戸歯学部補綴学第一教室に勤務経験もあり。 1990年代は作詞家、プロデューサーとして活動の場を広げる。 2003年にフランスで「スシ頭の男」でCDデビューし、仏ツアーを開催。 トッド・ラングレン、セルジュ・ゲンスブールなどのトリビュート事業も手がけ、 2008年にクロード・フランソワのトリビュート盤を日仏同時発売。 2009年、フレンチ・ユニット「サエキけんぞう&クラブ・ジュテーム」を結成し オリジナル・アルバム『パリを撃て!』を発表。 2010年、デビュー・バンドであるハルメンズの30周年を記念して、 オリジナル・アルバム2枚のリマスター復刻に加え、 幻の3枚目をイメージした『21世紀さんsingsハルメンズ』 (サエキけんぞう&Boogie the マッハモータース)、 ボーカロイドにハルメンズを歌わせる『初音ミクsingsハルメンズ』ほか計5作品を同時発表。 2011年より加藤賢崇とともに「ニューウェイヴほぼ30周年祭」を立ち上げ、 名盤の復刻、コンピ盤、ボーカロイドによる企画盤のリリースのほかライヴも開催。 その他、「伊豆田洋之ボールマッカートニーを歌う」のプロデュース、 ライヴ・アイドルのプロデュースなど、さまざまな企画を勢力的に展開している。 また作詞家として沢田研二、小泉今日子、モーニング娘。、 サディスティック・ミカ・バンド、ムーンライダーズ、パフィーなど 多数のアーティストに提供しているほか、アニメ作品のテーマ曲も多く手がける。 大衆音楽(ロック・ポップス)を中心とした現代カルチャー全般、 特に映画、マンガ、ファッション、クラブ・カルチャーなどに詳しく、 新聞、雑誌などのメディアを中心に執筆も手がけ、 立教大学、獨協大学などで講師もつとめる。 その他、TV番組の司会、映画出演など多方面で活躍。著作多数。
吉田仁郎
サウンドクリエイター。2001年より主にPCゲームミュージックのサウンド制作として活動開始。 ニューウェイブ・バンド「ピノリュック」を経て、「野獣のリリアン」「ヤング100V」「なの小夕子と天国さま」「microLlama」など数々バンドで都内を中心に活動。 レコーディング・ディレクター、エンジニアとしてboogie theマッハモータース「Hi!Erectus!」、しずくだうみ「泳げない街」「透明コンプレックス」等。