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ニュースリリース
大学間連携のための認証連携アーキテクチャの開発業績で文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)を受賞
~岡部寿男 京都大教授、西村健 NII特任研究員、佐藤周行 東京大准教授、後藤英昭 東北大准教授、曽根原登 津田塾大教授が共同で受賞~
文部科学省が本日4月9日に発表した「平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」において、「大学間連携のための学術認証フェデレーション(*1)の開発」の業績により、岡部寿男 京都大学教授/情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)客員教授、西村健 NII特任研究員、佐藤周行 東京大学准教授、後藤英昭 東北大学准教授/NII客員准教授、曽根原登 津田塾大学教授/NII客員教授・名誉教授によるグループが「科学技術賞(開発部門)(*2)」を受賞しました。
岡部教授らは、全国の大学の共通の認証基盤として、ウェブ認証連携の国際標準に基づく学術認証フェデレーション「学認」(*3)(図1)、国際無線LAN相互利用規格「eduroam(*4)」による学術無線LANローミング(図2)、オープンドメイン認証局による「UPKI電子証明書発行サービス(*5)」(図3)を組み合わせ、統合的な認証連携アーキテクチャを設計・構築し実用化しました。
これらの技術は、大学の学術コンテンツや学術ネットワーク資源等の安全な共有・共同利用、遠隔講義や単位互換などの大学間学生交流など国内の大学間だけでなく、国際連携や商用サービスなどに活用されています。
〈図1〉学術認証フェデレーション「学認」の仕組み
〈図2〉eduroamの仕組み
〈図3〉 UPKI電子証明書発行サービスの仕組み
受賞に関する情報は以下の通りです(年齢は本年4月1日現在)。
【科学技術賞(開発部門)】
業績名:大学間連携のための学術認証フェデレーションの開発
氏名:岡部 寿男 (おかべ・やすお) 年齢:55 職名:京都大学 学術情報メディアセンター 教授 |
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氏名:西村 健(にしむら・たけし) 年齢:45 職名:情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)特任研究員 |
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氏名:佐藤 周行(さとう・ひろゆき) 年齢:56 職名:東京大学情報基盤センター 准教授 |
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氏名:後藤 英昭 (ごとう・ひであき) 年齢:51 職名:東北大学サイバーサイエンスセンター 准教授 |
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氏名:曽根原 登(そねはら・のぼる) 年齢: 65 職名:津田塾大学 総合政策学部 総合政策学科 教授・総合政策研究所 所長 |
業績概要:
全国の大学の共通の認証基盤として、ウェブ認証連携の国際標準に基づく学術認証フェデレーション「学認」、国際無線LAN相互利用規格eduroamによる学術無線LANローミング、オープンドメイン認証局によるUPKI電子証明書発行サービスを組み合わせた統合的な認証連携アーキテクチャを設計・構築し実用化した。これにより、大学の学術コンテンツや学術ネットワーク資源等の安全な共有・共同利用、遠隔講義や単位互換などの大学間学生交流、商用サービスの利活用を容易にした。
国際標準に準拠しつつ我が国の個人情報保護法制に準拠した適切な本人同意を得る仕組みや仮名性・匿名性を実現する仕組みを開発し、国内大学間だけでなく国際連携や商用サービスとの連携を可能にした。
これらの研究開発の成果はNIIが提供するサービスとして実用化され、学術認証フェデレーション「学認」は220機関、国際無線LAN認証連携であるeduroamは国内249機関、UPKI電子証明書発行サービスは334機関で利用されている。
(機関数は平成31年3月末日現在)
岡部 京都大教授/NII客員教授(筆頭者)のコメント:
この度は、『科学技術賞(開発部門)』という大変名誉ある賞を頂き、光栄に存じます。大学間連携のための全国共同電子認証基盤(UPKI)として十数年前に構想した統合的な認証連携の仕組みが、学認(GakuNin)、eduroam、UPKI電子証明書として実用化され、教育・研究に日常的に用いられるに至ったことをご評価いただきました。今回の受賞は、申すまでもなく各方面での皆様のご支援・ご協力なくしてはあり得なかったものであり、関係されたすべての方々に心より感謝申し上げます。大学・研究機関でのセキュリティ強化やプライバシー保護の必要性が年々高まる中、今後も、学術認証連携をさらに高度化し適用範囲を拡げるための研究開発を続けていく所存です。
関連リンク
平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について(文部科学省サイト)
モバイルシステムの無線資源の利用効率を高める研究業績により NII准教授の金子めぐみが若手科学者賞を受賞 〜平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰〜(NIIサイト)
ニュースリリース(PDF版)
(*2) 「科学技術賞」(開発部門): 我が国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与する画期的な研究開発若しくは発明であって、現に利活用されているもの(今後利活用されることが期待できるものを含む)を行った個人若しくはグループ又はこれらの者を育成した個人に贈られる賞。
(*3) 学術認証フェデレーション「学認」: 大学の認証基盤を学内サービスのみならず、連携する他大学や商用サービスにも活用するための仕組み。インターネット上の学術サービスを、個人や機関を特定する形で安心・安全に提供および利用できる。シングルサインオン(一つのID・パスワードであらゆるシステムが利用可能となる仕組み)により、利用者は一度ログインするだけで、学内・学外の複数のサービスにシームレスにログインできる。全国の大学等とNIIが連携し平成21年度(2009年度)から構築開始した。詳しくはhttps://www.gakunin.jp/参照。
(*4) eduroam: 欧州のGÉANTで開発された、大学等の教育研究機関の間でキャンパス無線LANの相互利用を実現する学術無線LANローミング基盤。無線LANにおける業界標準のIEEE802.1Xに基づいて構築されており、現在、世界約100か国(地域)がeduroamに参加している。日本では平成18年度(2006年度)にNIIの全国大学共同電子認証基盤構築事業の一環として導入され、「eduroam JP」の名称でNIIと東北大学が共同で運用・サポート・技術開発等を行い、平成29年度(2017年)よりNIIで事業化した。詳しくはhttps://www.eduroam.jp/参照。
(*5) UPKI電子証明書発行サービス: 大学や研究機関を対象とする電子証明書を発行するサービス。サーバー証明書(ウェブサーバーの運用者が正規のものであると証明)に加え、クライアント証明書(電子メールへの署名などに利用)とコード署名用証明書(ソフトウェアの開発元の実存性を確認でき改ざんされてないコードと証明)も発行している。平成21年度(2009年度)から検証プロジェクトを開始し、平成27年(2015年)1月よりNIIで事業化した。詳しくはhttps://certs.nii.ac.jp/参照。
※本発表は国立大学法人 京都大学、国立大学法人 東京大学、学校法人 津田塾大学との共同発表です。
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