ソリッド
「ソリッド」とは、固体・堅固なさまのことを意味する表現である。
「ソリッド」とは・「ソリッド」の意味
「ソリッド」とは、固体・堅固なさまなどを意味する言葉であるが、使い方によって様々な意味を持つ言葉に変化する。ファッションにおいては、硬い質感のファッションを表現する時に使われたり、柄のない単一色のデザインに対して使われたりもする。音楽の分野では「ソリッドな音」と表現されることもあるが、これは「硬い音質」を表している。「ソリッド」は、itや物流、建築など様々なビジネスにおいてもよく用いられる言葉だ。梱包材として使用される内部に気泡を含まない合成樹脂製品を「ソリッドシート」、白や赤などの単一カラーの塗装を「ソリッド塗装」などと呼ぶ。it分野においては、ソフトウェア工学の用語に「SOLID(ソリッド)」という言葉がある。サッカーでは、守備が堅い状態を「ソリッド」と表現される。
「ソリッド」の熟語・言い回し
ソリッドなとは
「ソリッドな」とは、堅い物や状態を表す時に用いられる言葉である。例えば、堅い材質を見た時に、「これはソリッドな材質だ」というように表現される。
ソリッドなデザインとは
「ソリッドなデザイン」とは、ファッション業界やit分野でよく用いられる言葉である。斬新なファッションや無地・単色のシンプルなファッションを、「ソリッドなデザイン」と表現する。また、サイズが固定されたWebデザインのことを、「ソリッドなデザイン」もしくは「ソリッドデザイン」と呼ぶ。
アパレルソリッドとは
「アパレルソリッド」とは、アパレル業界において用いられる「ソリッド」のことである。アパレル業界では無地の生地や単一のカラー、斬新なファッションなど様々なものを「ソリッド」と表現する。
メタルギアソリッドとは
「メタルギアソリッド」とは、1998年に発売されたプレイステーション用ソフトである。コナミコンピュータエンタテイメントジャパンが開発、コナミが発売したゲームソフトで、メタルギアシリーズとしては3作目に当たる。プレイステーションの性能を存分に活かした美しい映像、映画のような重厚感あるシナリオが注目を集め、日本で約78万本、世界で約603万本を売り上げる大ヒットとなった。派生作品の「メタルギアソリッド インテグラル」や、「メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス」も発売された。
インター ソリッドとは
「インター ソリッド」とは、2022年に発売された三浦透子の楽曲である。テレビ東京で放送されたドラマ、「何かおかしい」の主題歌として採用された。CRCK/LCKSのメンバーとして活躍する小田朋美が、楽曲提供とサウンドプロデュースを担当している。
ソリッドするとは
「ソリッドする」とは、何かを硬くしたり固形物にしたりする時に用いられる表現だ。3Dモデルを制作する時、ワイヤーフレームをソリッド化する作業があるが、この工程を「ソリッドする」と呼ぶ場合もある。
ソリッドカラーとは
「ソリッドカラー」とは、自動車塗装でよく使われる言葉である。自動車塗装においては、カラーの種類を表現するために様々な名称が使われている。メタリックベースを含むカラーを「メタリックカラー」、パールベースを含むカラーを「パールカラー」と呼ぶが、メタリックベースもパールベースも含まれていないカラーを「ソリッドカラー」と呼ぶ。
ソリッドステートとは
「ソリッドステート」とは、「半導体」や「機械的な可動部のない電子機器」などを意味する言葉である。ICやトランジスター、ダイオードなども「ソリッドステート」に分類される。
ソリッド感とは
「ソリッド感」とは、硬さや堅実な印象を感じる物に対して使われる言葉である。例えばあまり硬そうに感じられない車を見た時に、「この車にはソリッド感がない」というように表現される。「ソリッド」には「斬新」という意味もあるため、斬新なファッショを見た時に「このファッションはソリッド感がある」と表現することもできる。
solid
「solid」の基本的な意味
「solid」は、「固体」を意味する名詞であり、「固体の」「硬い状態の」を意味する形容詞である。形容詞としては「立体の」、「中身が詰まっている」、「(物体が)密で強固である」、「揺るぎない」、「確かな手応えがある」といった意味も持つ。solidの意味の覚え方としては「固体」なので「硬い」、「固体」なので「強固である」、「固体」なのでゼリーや液体と違って物体そのものが「揺るぎない」「確かな手応えがある」と言った形で、「固体」がもつ様々な特徴と関連付けるのが良いだろう。
「solid」のスラングとしての意味
solidは、スラングとして使用されることもある。主に褒め言葉として、「しっかりしている」「素晴らしい」といった意味合いで使用されることが多い。また、「硬い」から転じて「歯がたたないほど難しい」「手強い」といった意味合いでsolidと表現するケースもある。
褒め言葉として使用されている例文を一つ挙げると、「What a solid soccer player he is!」で「彼はなんて素晴らしいサッカー選手なんだ」という意味になる。また、「難しい」「手強い」という意味合いで用いる場合は「This exam is solid.」で「この試験は難しい」、といった意味合いになる。同様に「難しい」という意味を持つ「hard」よりもワンランク上の難しさといったニュアンスになるだろう。
「solid」の発音・読み方
「solid」の発音としては「ソァリッドゥ」と発音することになる。語頭の母音部分が「ア」と「オ」の中間の形となるのがポイントだが、「ア」または「オ」のどちらかに多少寄せても通じる。アクセントについては、語頭を強く、以降を一息に発音するのがよいだろう。ちなみにカタカナで表記する場合は「ソリッド」となるが、カタカナ英語としての発音においても「ソ」を強調する形で発音するのが一般的である。
「solid」を含む英熟語・英語表現
以下では、「solid」を含む熟語や「solid」を使った表現について解説する。
solid colorとは
solid colorは、原色を混合することで作り出せる色を指す。いわゆる「べた一色」と呼ばれるもので、迷彩柄のような紋様やラメ・金属に見られる光沢がないものが「solid color」に該当する。
solid 原則とは
solid原則とは、ソフトウェア工学における用語で、オブジェクト指向プログラミングを行うにあたって、変更・理解・再利用が容易なプログラムを作る際に守るべき5つの原則の総称である。「Single Responsibility Principle(単一責任の原則)」「Open-Closed Principle(開放閉鎖の原則)」「Liskov Substitution Principle(リスコフの置換原則)」「Interface Segregation Principle(インターフェイス分離の原則)」「Dependency Inversion Principle(依存性逆転の原則)」のそれぞれの頭文字を取って「solid原則」となる。いわゆるアクロニムであり、solidという英単語と直接関連付けられる意味合いは薄い。
solid stateとは
solid stateは、元来の意味は「固体状態」という意味である。ここから転じてIT関係・電子工学関係の文脈で「機械的な可動部が存在しない電子機器・電子装置」、即ち「半導体を用いた機器や装置」といった意味で用いられる。この表現が用いられる代表例としてsolid state drive、即ちSSDが挙げられるが、これは磁気ヘッドという機械装置とディスクという記録装置が組み合わさったハードディスクドライブと比較して、半導体のみで構成された記録装置という意味が込められているのだ。
We are solidとは
We are solidとは、「自分たちの間にはなんのわだかまりもない」「我々の絆は強固である」という意味合いの慣用句である。「solid」の「中身が詰まっている」や「揺るぎない」という意味から転じて、「人との結束を邪魔するものがない」「わだかまりがない」「絆に揺るぎがない」というニュアンスで「solid」が使用されている。
You are solidとは
You are solidとは、「あなたは素晴らしい」をスラング的に表現したものである。また、「あなたは頼りになる」「信頼できる」といった賞賛の意味でも用いられることが多い。
solidsとは
solidsは、solidの複数形である。solidは名詞として扱う場合は可算名詞のため、語尾に「s」をつけて複数形とすることが可能となる。また、複数形の「solids」は、「液体の中の塊」や「固形食」という意味で用いられるケースも少なくない。
solidityとは
solidityは、プログラミング言語のひとつである。ブロックチェーン上で実行されるスマート・コントラクトの処理を記述するために用いられる言語で、イーサリアムなどのブロックチェーンプラットフォームで利用されている。
solidarityとは
solidarityとは、「結束」「連帯」「団結」を意味する名詞である。形容詞としての「solid」は「団結した」「固く結ばれた」という意味合いで用いられることがあるが、これを名詞形にしたものが「solidarity」となる。
solidemoとは
solidemoは、2013年から2022年にかけて活動していた男性ボーカルグループである。グループ名は「solid」と「emotional(感情的)」を組み合わせた造語であり、「最高にクールで女々しい」という意味を持つ。メンバー全員が高身長であるという特徴があった。
「solidworks(ソフトウェア)」とは
solidworksは、Dassault Systèmes SolidWorksが開発・販売している3DCADソフトウェアである。低価格帯で提供されるCADソフトの先駆者として知られている。基本的には機械設計向きの作りとなっているが、操作性がよく使いやすいことからデザイン用途で使用するユーザーも少なくない。有料のソフトウェアではあるが、オンライントライアルという体験目的の無料版が存在し、Webブラウザ上で動作するsolidworksを無料で最大120分利用することができる。
「solid」を含むその他の用語の解説
solid edge(ソフトウェア)とは
solid edgeは、SIEMENS PLM Softwareによって開発されている3DCADソフトウェアである。Windows完全準拠であることに加えて、ヒストリ系CADとノンヒストリ系CADの長所を併せ持っているという特徴を持っている。
solid(Tシャツ)とは
Tシャツにおける「solid」は、「無地」であることを指す言葉である。素材や加工、色味などで個性付けを行う工夫がされていることが多く、無地であるがゆえに着こなし方のバリエーションが豊富なことが長所として挙げられる。
ソリッドキューブ(企業名)とは
株式会社ソリッドキューブは、モーションキャプチャーを中心とした事業を展開する企業である。映像制作会社の株式会社スタイルキューブの子会社であり、ダンスやキャラクターモーションの実績に関しては業界でもトップクラスを誇っている。
ソリッド【solid】
ソリッドディスク
ソリッド
中空のない、または、単板の、という意味。
エレクトリックギターにおける「ソリッド」は、ソリッドボディ(中空のないボディ)を指すことが多いが、アコースティックギターにおける「ソリッド」は、単板を意味することが多い。
SOLID
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 01:57 UTC 版)
SOLID(ソリッド)は、ソフトウェア工学の用語であり、特にオブジェクト指向で用いられる五つの原則の頭字語である。ソフトウェア設計をより平易かつ柔軟にして保守しやすくすることを目的にしている。その特徴はインターフェースを仲介にしての機能の使用と、インターフェースによる機能の注入である。
この五つの原則は、アメリカのソフトウェア技術者ロバート・C・マーティンが提唱していた数々の設計原則の中からチョイスされたものである。マーティンが提唱していた原則は、例えば2000年に発表されたレポート『Design Principles and Design Patterns』[1]の中で紹介されている[2][3][4]。そのうち五原則をSOLIDという語呂合わせの頭字語にして普及させたのは、ソフトウェア技術者マイケル・フェザーズであり、2004年以降に広く知られるようになった[5]。SOLIDはオブジェクト指向設計由来であるが、アジャイルソフトウェア開発や適応的ソフトウェア開発といった方法論の哲学にもなっている。
五つの原則
SOLIDは、次の5つの原則からなる。
- 単一責任の原則 (single-responsibility principle)
- 開放閉鎖の原則(open/closed principle)
- リスコフの置換原則(Liskov substitution principle)
- インターフェース分離の原則 (interface segregation principle)
- 依存性逆転の原則(dependency inversion principle)
単一責任の原則 (single-responsibility principle)
There should never be more than one reason for a class to change.[6](→変更するための理由が、一つのクラスに対して一つ以上あってはならない)
これは、every class should have only one responsibility.(→各クラスはそれぞれ一つだけの責務を持つべきである)とも言い換えられる。ここでの責務とは提供機能と同義である。この原則は、clientに特定の機能を提供する役割(role)役者(actor)としてのserviceのクラスに焦点を当てている。
この原則下のserviceは、それぞれ一つの機能または一つの役割しか持てない。この原則下のclientは、機能別に担当serviceを変更することになる。
開放閉鎖の原則(open/closed principle)
software entities (classes, modules, functions, etc.) should be open for extension, but closed for modification.[7](→ソフトウェアの実体(クラス、モジュール、関数など)は、拡張に対して開かれているべきであり、修正に対して閉じていなければならない)
この原則下のinterfaceはその構成が不変になり、serviceは構成の変化が許される。serviceの構成変化は、継承によるサブクラス定義でなされるのが普通である。
リスコフの置換原則(Liskov substitution principle)
Functions that use pointers or references to base classes must be able to use objects of derived classes without knowing it.[8](→ある基底クラスへのポインタないし参照を扱っている関数群は、その派生クラスのオブジェクトの詳細を知らなくても扱えるようにしなければならない)
この原則下のclientは、一つのinterfaceを通して、様々なserviceクラスを利用することになる。
インターフェース分離の原則 (Interface segregation principle)
Many client-specific interfaces are better than one general-purpose interface.[9](→汎用なインターフェースが一つあるよりも、各クライアントに特化したインターフェースがたくさんあった方がよい)
この原則下のinterfaceは、様々に機能分化されて細かな用途ごとに定義されることになる。
依存性逆転の原則(dependency inversion principle)
High-level modules should not import anything from low-level modules. Both should depend on abstractions (e.g., interfaces), [not] concretions.[10](→上位モジュールはいかなるものも下位モジュールから持ち込んではならない。双方とも具象ではなく、抽象(インターフェースなど)に依存するべきである)
この原則は、Mix-inをモチーフにして依存性の注入などのベースになっている。
この原則下のclientは、専門機能が分離されたモジュールにされる。その下位モジュールは専門機能の扱い方を変えたものにされる。専門機能とは、clientがinterfaceを通して利用するserviceであり、上位clientと下位clientは共に、専門機能interfaceに依存することになる。ここでのclientは具象であり、interfaceは抽象である。
関連項目
出典
- ^ Robert C. Martin (2000年). “Design Principles and Design Patterns”. objectmentor.com. 2015年9月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月14日閲覧。
- ^ Robert C. Martin. “Principles Of OOD”. butunclebob.com. 2014年7月17日閲覧。
- ^ Robert C. Martin. “Getting a SOLID start”. objectmentor.com. 2013年8月19日閲覧。
- ^ Sandi Metz (2009年5月). “SOLID Object-Oriented Design”. 2019年8月13日閲覧。 Talk given at the 2009 Gotham Ruby Conference.
- ^ Fenton, Steve (2017). Pro TypeScript: Application-Scale JavaScript Development. p. 108. ISBN 9781484232491
- ^ “Single Responsibility Principle”. objectmentor.com. 2015年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月5日閲覧。
- ^ “Open/Closed Principle”. objectmentor.com. 2015年9月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月5日閲覧。
- ^ “Liskov Substitution Principle”. objectmentor.com. 2015年9月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月5日閲覧。
- ^ “Interface Segregation Principle”. objectmentor.com (1996年). 2015年9月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月5日閲覧。
- ^ “Dependency Inversion Principle”. objectmentor.com. 2015年9月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月5日閲覧。
固体
連続体力学 | ||||||||
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液体や気体と比較して、変形あるいは体積変化が非常に小さい。変形が全く起こらない剛体は理想化された固体の一つである。連続体力学においては、固体は静止状態においてもせん断応力の発生する物体と捉えられる。液体のように容器の形に合わせて流動することがなく、気体のように拡散して容器全体を占めることもない。
固体を扱う物理学は固体物理学と呼ばれ、物性物理学の一分野である。また物質科学はそもそも、強度や相変化といった固体の性質を扱う学問であり、固体物理学と重なる部分が多い。さらに固体化学の領域もこれらの学問と重なるが、特に新しい物質の開発(化学合成)に重点が置かれている。
今まで知られている最も軽い固体はエアロゲルであり、そのうち最も軽いものでは密度は約 1.9 mg/cm3 と水の密度の530分の1程度である。
微視的特性
固体を構成する原子、分子、イオンは、整然と繰り返すパターンで並ぶ場合と、不規則に並ぶ場合がある。規則的パターンで並んで構成されている物質は結晶と呼ばれる。規則的な配列が大きなスケールで続く場合もあり、例えばダイヤモンドの粒は単結晶である。目に見えて手でつかめる大きさの固体が単結晶ということは滅多になく、無数のクリスタリットと呼ばれる単結晶で構成される多結晶ということが多い。ほとんどの金属や多くのセラミックスは多結晶である。
それら以外の物質には原子の配列に大きな規則性がない。そのような固体をアモルファスと呼び、例えばポリスチレンやガラスなどがある。
固体が結晶となるかアモルファスとなるかは、それが形成されるときの条件に依存する。ゆっくり冷却されて凝固すると結晶になる傾向が強く、急速に冷却されるとアモルファスになる傾向が強い。同様に形成時の要因によってどんな結晶構造をとるかも決まる。
氷や硬貨といった物体は全体が同じ化学組成だが、一般的な素材はいくつかの異なる物質で構成されている。例えば、岩石はいくつかの鉱物や準鉱物でできており、化学組成は一定ではない。有機素材の1つである木材は、セルロース繊維が有機性のリグニンの基質に埋め込まれた形になっている。材料科学では、複数の物質を組み合わせた複合材料で必要な特性の材料を生み出す。
固体の微視的な特性は次のようなものである。
- 固体を構成する原子または分子は、熱振動(格子振動)よりも強い力で結合し、密に詰まっている。
- 原子や分子は相対的な位置関係が空間的に固定されている。これが固い性質の原因となる。鉱物学や結晶学的には、固体の中で独特の原子配列を持ったものが結晶構造と呼ばれる。結晶構造は三次元のユニット単位の周期的な繰り返しである。結晶の構造や対称性は、へき開や電子的、光学的な性質を決定する。
- 十分に大きな力が加わると、これらの特徴は失われる。
- 固体は熱エネルギーを持つため、原子は振動している。しかし、この動きはとても小さく、通常の状態では観測できない。しかし、熱振動が原子間の結合に打ち勝つようになると、液体、気体へと相転移していく。
様々な固体
固体における原子間の力には様々なものがある。例えば、塩化ナトリウム(食塩)の結晶はナトリウムと塩素のイオン結合でできている。ダイヤモンドやシリコンは原子間で電子を共有する共有結合でできている。金属では金属結合という形で電子を共有している。有機素材などでは個々の分子において電荷が局在する極性があり、それがファンデルワールス力を産んでいる。固体の種類の相違点は、それらの結合の違いに起因している。
金属
一般に金属は強く稠密で、電気についても熱についても良導体である。周期表においてホウ素からポロニウムに引いた直線から左側にある元素はおおよそ金属である。2つ以上の元素を含み主成分が金属のものを合金という。
先史時代から人々は金属を様々な用途で使ってきた。金属は強度と信頼性が高いことから、建物などの建設や乗り物、道具・管・標識・線路(軌条)などに使われている。このような用途では鉄とアルミニウムが最もよく使われており、これらは地殻に最も豊富に存在する金属と言える。一般に合金の形で使うことが多く、鋼には最大2.1 %の炭素が含まれていて、それによって純粋な鉄よりも硬さが増している代表例が工具鋼である。
金属は電気の良導体でもあるため、電気器具にもよく使われており、電力の長距離伝送にも金属が欠かせない。送電網には金属でできた電線が必須となっている。電気伝導率が高く加工が容易であることから、屋内配線などには銅がよく使われている。また金属の熱伝導率の高さから、調理で火にかける容器の多くは金属製になっている。
金属元素や合金の研究は、固体化学/物理学、材料科学/工学といった学問分野の大きな部分を占めている。
金属の固体は非局在化した電子を共有する「金属結合」でその形を保持している。金属の原子はその最も外側の電子が自由電子となって離れ、陽イオンになっている。自由電子は固体全体に拡散して存在し、その電子の雲と陽イオンとなった金属原子との間の静電相互作用によって強く結合する[1]。自由電子が多数存在するため、金属は電気と熱の伝導率が高くなる。自由電子があるため、金属は可視光線を通さない不透明な物体となり、同時に表面が光沢を帯びることになる。
より進んだ金属の特性のモデルでは、陽イオン核の非局在化した電子群への影響を考慮する。ほとんどの金属が結晶構造であり、陽イオンは格子状に配置されているのが普通である。数学的にはイオン核のポテンシャルは様々なモデルで扱うことができ、最も単純なものとして「ほとんど自由な電子」モデルがある。
鉱物
鉱物は自然界に存在する固体であり、高圧の地質学的過程によって形成される。真の鉱物[独自研究?]に分類されるには、全体に均一な物理特性を持ち、結晶構造になっていなければならない。鉱物の組成としては、純粋な元素や単純な塩といったものから非常に複雑なケイ酸塩まで、数千種類が知られている。これに対して岩石は鉱物や準鉱物が無作為に集合したもので、均一な化学組成にはなっていない。地殻を構成する主な岩石は、石英(結晶質の SiO2)、長石、雲母、緑泥石、カオリナイト、方解石、緑簾石、カンラン石、普通輝石、普通角閃石、磁鉄鉱、赤鉄鉱、褐鉄鉱などの鉱物で構成されている。中でも石英、雲母、長石が最も一般的で、それ以外の鉱物は地球上の限られた場所にしか存在しない。鉱物における最大のグループはケイ酸塩鉱物で(ほとんどの岩石は95%以上がケイ酸塩鉱物でできている)、その主成分はケイ素と酸素であり、そこにアルミニウム、マグネシウム、鉄、カルシウムといった金属が加わっている。
セラミックス
セラミックスは無機化合物でできており、通常酸化物で構成されている。化学的に不活性であり、酸性や腐食性の化学物質にも耐性があることが多い。一般に1,000 ℃から1,600 ℃の高温にも耐えることができる。例外として酸化されていない無機物があり、窒化物、ホウ化物、炭化物などがある。
伝統的な陶磁器の原料はカオリナイトなどの粘土鉱物を含み、最近のセラミックスではアルミニウム酸化物(酸化アルミニウム)などを含む。最近では高機能セラミックスとして炭化ケイ素や炭化タングステンなどもある。これらは耐摩耗性に優れており、例えば鉱山での掘削機の先端部分などに使われている。
酸化アルミニウムやその化合物のようなセラミックスは非常に細かい粉末が原料であり、非常に微細な多結晶マイクロ構造となるため、可視光線を散乱することで不透明になる。しかし最近ではゾルゲル法などの製法で多結晶ながら透明なセラミックスも製造でき、高出力レーザー機器の部品などに使われている。高機能セラミックスは医薬品、電子部品などにも使われている。
セラミック工学は、セラミックスの製造や応用を研究する工学分野であり、それに対応した産業分野が窯業である。セラミックスの生産には熱を使う場合や化学溶液の常温での沈降反応を使う場合がある。原料の精製、関連する化合物の製法などの研究、セラミックスの形成法、その構造・組成・特性の研究などが含まれる。
力学的には、セラミックスは脆く、硬く、圧縮に強いが、切断と引っ張りには弱い。もろい素材であっても、静的な負荷にたいしては強度を発揮することがある。じん性は素材が破壊されるまでにどれだけのエネルギーに耐えられるかを示し、破壊じん性 (KIc) は欠陥(割れ)の成長に抵抗する素材の能力を意味する。素材の破壊じん性が高い場合、破壊力学の基本原則によれば、延性破壊を生じる可能性が高い。セラミックスやガラスセラミックスはぜい性破壊を生じることが多く、一般に KIc は低い。
セラミックスの応用例として、ジルコニアは極めて硬いことからナイフの研磨や産業用切削工具などに使われている。酸化アルミニウム、炭化ホウ素、炭化ケイ素などのセラミックスは、防弾チョッキに使われている。窒化ケイ素はその硬さと耐磨耗性から玉軸受の部品に使われている。一般にセラミックスは化学的な耐腐食性に優れているため、鋼の軸受では酸化する(さびる)ような湿度の高い環境でも利用可能である。
セラミックスの他の応用例として、1980年代初めにトヨタ自動車は約 3,300 °Cで動作するセラミック・エンジンを研究したことがある。セラミック・エンジンは冷却機構が不要なため軽量化でき、燃費が向上することが期待されていた。通常の金属製のエンジンでは融けてしまうのを防ぐために熱を常に放出する必要がある。似たような考え方で、セラミックス製のガスタービンエンジンの部品も開発されている。タービンエンジンをセラミックスで作れば、効率が向上すると考えられた。しかし、セラミックスの部品を十分な精密さと耐久性をもって大量生産することが難しいため、量産には至っていない。セラミックスでできた部品には微視的なヒビが無数に存在し、エンジン部品のような用途ではそれが大きなヒビに成長して故障の原因になりやすい。
ガラスセラミックス
ガラスセラミックスは、非晶質のガラスと結晶質のセラミックスの両方の性質をあわせ持っている。まずガラスとして形成し、熱処理することで部分的に結晶化させ、アモルファスと結晶が混在した状態にしたものである。
ガラスセラミックスは耐熱性に優れ透水性が低いことから、調理器具(CorningWare)や調理用上板に使われている。セラミックス相は熱膨張率が負であり、ガラス相の正の熱膨張率と釣り合いがとれ、全体として熱膨張が極めて小さくなる。セラミックス相とガラス相の割合をうまく調整すると(結晶質が約70 %)、全体の熱膨張率はほぼゼロになる。このようなガラスセラミックスは力学的特性も優れており、約1,000 ℃までの急激かつ反復的な温度変化にも耐えられる。
自然界で砂浜の砂に雷が落ちたとき、石英などの結晶質の粒子によってガラスセラミックスができることがある。落雷による急激な加熱(約2500℃)によって中空の根のような形で形成され、閃電岩と呼ばれる。
有機固体
有機化学は、炭素と水素を主成分とし、窒素・酸素・ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含む化合物の構造・組成・反応・合成などを研究する。リンや硫黄などの元素を含む有機化合物もある。有機固体としては、木材、パラフィン、ナフタレン、様々な重合体やプラスチックなどがある。
木材
木材は天然の有機素材であり、リグニンの基質の中にセルロース繊維が埋め込まれた構造になっている。繊維は引っ張りに強く、リグニン基質は圧縮に強い。そのため木材は古くから建材や船の材料として使われてきた。建築に使われる木材は一般に材木と呼ばれる。建築においては、構造材としてだけでなく、コンクリートの型枠としても使われてきた。
木質材料は段ボールなどの包装資材や紙にもよく使われており、どちらも木材から作られたパルプを原料としている。化学パルプはリグニンを化学物質と熱を使って分離し、繊維だけを取り出したものである。
重合体
有機化学における炭素の重要な特性の1つとして、個々の分子が互いに結合して鎖状または網状の化合物を形成できる点が挙げられる。これを重合反応と呼び、単量体を原料として重合体を形成する。重合体は化学的に合成したものと自然界に存在するもの(生体高分子)の2種類に分類される。
単量体には様々な置換基や官能基のものがあり、合成された化合物の化学特性(可溶性、反応性)や物理特性(硬さ、密度、強度、耐摩耗性、耐熱性、透明度、色など)に影響を与える。タンパク質ではそれらの違いが立体構造の違いを生み、生物学的活性の違いを生む。
蝋やシェラックなどの生体高分子物質は古くから人間が利用してきた。これらは熱可塑性の重合体である。植物由来の重合体としてはセルロースがあり、天然繊維やロープなどの引っ張り強度の源泉となっている。また、19世紀初めごろから天然ゴムが広く使われるようになった。重合体はいわゆる合成樹脂(プラスチック)の原料である。プラスチックは1つ以上の重合体に添加物を加えて処理され、形成される。現在よく使われている重合体としては、炭素をベースとするポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、シリコンをベースとするシリコーンがある。
複合材
複合材料は2つ以上の微視的相を含む。セラミックスを微粒子や繊維の形で使ったりする。
複合材の用途は、鉄筋コンクリートのような建築要素からNASAのスペースシャトルの外面を覆っている耐熱タイルまで多岐にわたる。例えば 1,510 °Cの熱に耐えられる炭素繊維強化炭素複合材料 (RCC) はスペースシャトルのノーズキャップと翼の前端部分を守っている。RCCはグラファイト・レーヨンの布にフェノール樹脂を吹き付けてラミネート加工したものである。高圧釜内で高温で硬化処理した後、ラミネートを熱分解して樹脂から炭素に変換し、真空室でフルフラール・アルコールを染み込ませ、さらにそれも硬化/熱分解されて炭素となる。酸化への耐性を持たせるため、RCCの外層は炭化ケイ素に変換する。
家庭用品での複合材料の例としては、テレビや携帯電話などのプラスチック製外装がある。それらのプラスチック製外装は一般に熱可塑性のABS樹脂などを基質として、炭酸カルシウム、滑石、ガラス繊維、炭素繊維などを加えて強度を増して静電気対策を施している。
したがって、基質となる材料が補強材を取り囲み、相対的位置を保持する。そうすることで基質の力学的・物理的特性を強化する。そうすることで個々の素材では得られない性質を生み出す。設計者は様々な基質と補強材を選んで最適な組み合わせを得ることができる。
半導体
半導体は、金属導体と非金属不導体の中間の電気抵抗(伝導率)を持つ物質である。周期律表においてホウ素から右斜め下の線上にある半金属がほぼ相当する。その左側が電気伝導体(金属)であり、右側が不導体である。
半導体はラジオ、コンピュータ、電話機などの電子機器によく使われている。半導体デバイスとしては、トランジスタ、太陽電池、ダイオード、集積回路などがある。太陽電池パネルは大きな半導体デバイスであり、光を直接電気エネルギーに変換する。
金属導体では電流は電子の流れだが、半導体ではその物質のバンド構造における電子および正孔が電荷担体となる。主な半導体素材としては、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウムがある。
ナノ素材
多くの固体はナノメートルレベルにまで小さくなると、通常とは異なる性質を示すようになる。例えばケイ素は通常灰色だが、ナノ粒子になると赤くなる。金のナノ粒子は金塊(融点は 1064 °C)よりもずっと低温(2.5 nm の大きさで 300 °C)で融け始める[2]。金属のナノワイヤは同じ元素の金属の塊よりも強度が優れている[3][4]。またナノ粒子は体積に対して相対的に表面積が大きいため、エネルギー場の特定用途にとって非常に魅力的である。たとえば白金のナノ粒子は自動車燃料の触媒を改良し、燃料電池のイオン交換膜 (PEM) にも使われている。また、ランタン、セリウム、マンガン、ニッケルのセラミック酸化物は固体酸化物形燃料電池 (SOFC) に使われている。リチウムイオン二次電池では、リチウム、チタン酸リチウム、タンタルなどのナノ粒子を使うものもある。ケイ素のナノ粒子やナノワイヤはリチウムイオン二次電池の寿命を劇的に延ばすことが判明している。ケイ素のナノ粒子は太陽電池にも使われている。薄膜状のケイ素量子ドットを太陽電池の多結晶ケイ素の基板上に置くことで、入射した光に対応してナノ粒子(薄膜)が蛍光を発し、出力電圧が最大で60 %も増強される。ここでもナノ粒子の表面積が大きいことが役立っている。
生体材料
自然界には特異な力学的特性を持つ生物由来の複雑な化合物が数多く存在する。数億年もの進化によって生まれたそれらの複雑な構造を研究することで、新たな素材が生み出されている。生体材料は、構造的階層性、多機能性、自己回復機能などを特徴とする。自己組織化も生体材料の基本的特徴であり、分子レベルから構造が組み立てられていく。そこで、高機能生体材料の化学合成において自己組織化が新たな戦略として注目されている。
分子自己組織化は生体によく見られ、様々な生体の構造の基礎となっている。例えば、常温常圧で無機素材を結晶化させるといったことが生体内で普通に行われており、極めて精密で複雑な構造を作り上げる。そのような無機素材を成長させる過程を生命がどうやって制御しているのかを理解することで、材料科学が大きく進歩し、ナノスケールの複合材を合成する技法を生み出すきっかけとなった。
生体における構造の基本的な材料は20種類のアミノ酸に始まり、ポリペプチド、多糖、ポリペプチド糖類などがある。これらから基本的なタンパク質が作られ、それが細胞の主要な構成要素になっており、多くのバイオミネラルにも存在する。タンパク質はコラーゲン、キチン質、ケラチン、エラスチンなど1000種類以上ある。硬い生体材料は主に鉱物を使っており、生体内の環境で大きさ・形状・個々の結晶の配置などを制御されて成長していく。生体で重要な鉱物としては、ハイドロキシアパタイト(水酸燐灰石)、シリカ、アラレ石がある。例えば、ハイドロキシアパタイトは骨の主成分である。
よく研究された生体材料として、アワビなどの貝に見られる真珠層の微細構造がある。天然素材としては金属以外では最も力学的強度と破壊じん性が高い。電子顕微鏡による観察で、鉱物でできたタイルが有機素材のシートを挟んで何層も重ねられた微細構造が明らかとなっている。初期の研究で真珠層を構成する有機成分は5%にすぎないことがわかっている。それでも複雑な階層的構造によって、無機の CaCO3 結晶に比較すると3000倍もの力学的強度があることがわかっている[5][6]。
物理的性質
臭い、色、体積、密度、融点、沸点、比熱容量、常温での物理形状(固体・液体・気体の別、結晶構造など)、硬さ、孔隙率、反射率といった物体の物理特性は、その化学組成や元素を特定する確証を提供する。ここでは固相の物質の物理的性質の一部を解説する。
力学的性質
力学的性質とは、個々の固体素材の強度や変形への耐性といった性質である。例えば、鋼材は強度が高く変形しにくいことから建材としてよく使われている。
力学的性質としては、弾性、塑性、引張強さ、圧縮強さ、せん断強さ、破壊じん性、展延性、押込硬さなどがある。固体力学は様々な固体素材が外力や温度などの外的条件の下でどう振る舞うかを研究する。
固体は液体のような流動性を示さない。元の形から変化することを変形 (deformation) と呼び、原形からの変形の割合をひずみ (strain) と呼ぶ。加えられた応力が十分低ければ、ほとんど全ての固体でひずみと応力は比例する(フックの法則)。その比例係数を弾性率またはヤング率と呼ぶ。フックの法則が成り立つ変形の範囲を「弾性域」と呼ぶ。固体が応力に対してどう反応するかについては、3つのモデルがある。
- 弾性 - 加えられた応力がなくなると、元の形状に戻る。
- 粘弾性 - 弾性的に振る舞うが、その際に若干の摩擦のような時間差がある。加えられた応力がなくなると、ゆっくりと元の形に戻ろうとし、その際に熱が発生する。応力とひずみをグラフに表すと、一種のヒステリシスが現れる。また、その力学応答は時間依存性を有する。
- 可塑性 - 降伏値より低い応力を加えた場合は弾性を示す。応力が降伏値を超えると可塑性を示し、元の形に戻らなくなる。すなわち降伏によって不可逆な塑性変形を起こし、その状態がずっと続く。
多くの素材は高温では弱くなる。高温でも高い強度を示す素材を耐火物と呼び、様々な用途に使われている。例えばガラスセラミックスは 1000 °C 程度までの急激な温度変化の繰り返しにも強度を保つ性質がある。航空機や宇宙機の外装には熱衝撃に強い高機能素材が使われている。有機高分子や複合材料でできた合成繊維などがそういった用途向けに設計されている。
熱的性質
固体は熱エネルギーを持っているため、その原子は格子内の平均位置を中心として振動している。結晶質やガラス質のネットワークにおける格子振動のスペクトルは、固体分子運動論の基礎となっている。この運動は原子レベルで起きており、分光法などの非常に専門的な機器でないと観察・検出できない。
固体の熱的性質としては熱伝導率があり、個々の素材の熱伝導能力を示す。また、比熱容量はその素材が熱(格子振動)の形でエネルギーを蓄える能力を示す。
電気的性質
電気的性質としては、電気伝導率、抵抗値、インピーダンス値、静電容量値などがある。金属や合金などの導体もあれば、ガラスやセラミックスなどの絶縁体もある。半導体はそれらの中間の性質を示す。金属の電気伝導性は電子によるものだが、半導体ではそれに加えて正孔も電流を担っている。また、固体電解質では陽イオンも電流を担う。
極低温状態で超伝導を示す物質も多く存在する。スズやアルミニウムなどの金属元素、各種合金、大量にドーピングした半導体、ある種のセラミックスなどが超伝導を示す。多くの導体(金属)の抵抗値は温度を低くすると低下していくが、有限の値を示し続ける。しかし超伝導体では、臨界温度以下になると突然抵抗値がゼロになる。超伝導体の環に電流を流すと、電源なしで無限に電流が流れ続ける。
誘電体や絶縁体は電流に対して大きな抵抗を示す。プラスチックなどの誘電体は電場を印加されるとそれを蓄える性質があり、コンデンサにその性質が使われている。コンデンサは少しだけ隙間を空けた電極間の電場にエネルギーを蓄えるデバイスである。コンデンサに電圧を印加すると、両方の電極に互いに逆の極性の比例した電荷が蓄えられる。コンデンサは電気回路におけるエネルギー蓄積装置として使われるだけでなく、高周波と低周波の信号を区別するフィルタ回路にも使われている。
電気-力学的性質
圧電効果とは、結晶に力学的応力を加えると電位差を発生する現象である。圧電効果を示す結晶に電圧を印加すると、逆に結晶の形が若干変化する。ゴム、羊毛、髪の毛、絹など重合体は電石として振る舞うものが多い。例えばポリフッ化ビニリデン (RDVF) は水晶(SiO2 の結晶)よりも数倍強い圧電性を示す。約0.1%の変形で大きな圧電効果が得られることから、高電圧源、スピーカー、レーザー、各種センサーやトランスデューサーに応用されている。
光学的性質
固体にはガラスのように透明なものと金属のように不透明なものがある。
特定の波長だけを透過させる素材も多い。例えば、窓ガラスは可視光線を透過させるが、紫外線の周波数帯はそれほど透過しない。このような性質は周波数選択性の光学フィルターなどに使われている。
用途によっては、光学的性質と力学的性質の両方が重視される場合もある。例えば、赤外線追尾式(熱探知式)のミサイルでは、赤外線センサのカバーは赤外線を透過させる素材でなければならない。このため現状の赤外線追尾式ミサイルではサファイアの単結晶がその用途に使われている。サファイアは中赤外線帯域(3–5 μm)を全部透過するわけではなく、常温では 4.5 μm より長い波長を透過しない。しかし常温で赤外線を透過する物質の中では最も強度が高く、600 °C 以上になるまで強度が保たれる。このように強度と光学特性を両立させることは長年の課題となっており、透明セラミックスや光学ナノ複合材といった新素材がよりよい性能を示す可能性がある。
導波光伝播では、光ファイバーなどを使って様々な周波数の光で複数の信号を同時に伝播する。光導波路は光集積回路や光通信システムの光伝送媒体として使われている。
光-電子工学的性質
太陽電池は光を電気に変換する。基本的には2つの機能が必要である。1つは光を吸収する素材で光から電荷担体(電子と正孔)を生成できることで、もう1つは電極にそれら電荷担体を極性によって分離して移動させて電流を発生させることである。これを光電効果と呼び、太陽電池に関わる研究分野としては光起電力学 (photovoltaics) がある。
太陽電池には様々な用途がある。僻地や宇宙空間など電力網がない場所での電力源として使われており、他にも電卓、腕時計、無線電話、ポンプなどに組み込まれている。最近では住宅などに太陽電池を設置して発電し、その電力を電力網に供給するということも行われている。
光子を吸収することで自由電子を発生させているため、太陽電池には光を吸収する素材が必要とされる。太陽電池の原料には地球の地表に到達する太陽光の波長を吸収する特性のものが優先的に採用されているが、中には大気圏外での発電に最適化された太陽電池もある。
脚注
- ^ Mortimer, Charles E. (1975). Chemistry: A Conceptual Approach (3rd ed.). New York:: D. Van Nostrad Company
- ^ Buffat, Ph.; Burrel, J.-P. (1976). “Size effect on the melting temperature of gold particles”. Physical Review A 13 (6): 2287. doi:10.1103/PhysRevA.13.2287.
- ^ Walter H. Kohl (1995). Handbook of materials and techniques for vacuum devices. Springer. pp. 164–167. ISBN 1563963876
- ^ Shpak, Anatoly P; Kotrechko, Sergiy O; Mazilova, Tatjana I; Mikhailovskij, Igor M (2009). “Inherent tensile strength of molybdenum nanocrystals” (free-download pdf). Science and Technology of Advanced Materials 10: 045004. doi:10.1088/1468-6996/10/4/045004.
- ^ Lin, A.; Meyers, M.A. (2005). “Growth and structure in abalone shell”. Materials Science and Engineering A 390: 27. doi:10.1016/j.msea.2004.06.072.
- ^ Mayer, G. (2005). “Rigid biological systems as models for synthetic composites”. Science 310 (5751): 1144. doi:10.1126/science.1116994. PMID 16293751.
関連項目
- 結晶 - 準結晶 - ガラス - アモルファス
- 相 - 液体 - 気体
- 相転移 - 凝固点 - 融点 - 沸点 - 臨界点 - 昇華
- ガラス転移点
- 融解熱 - 気化熱
- 化学 - 物理学 - 物性物理 - 連続体力学 - 固体力学
外部リンク
固有名詞の分類
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