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ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[11月29日(金)~12月1日(日)]

2013-12-03 19:42:51 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 先週金曜日、岩波ホールに行きました。観客が殺到という状態は緩和されているのかなと思ったら甘かったです。11:30の回を目当てに11:00頃行ったらダメで、14:30のチケットを購入。ま、それで正解。1時間前までには行かないと買えないみたい。(19:00の回はまだマシかも。)
 で、その「ハンナ・アーレント」は良かったです。それにしても、ずいぶんと思弁的なテーマの作品をあんなに多くの人が観にくるとはねー。わかりやすい描き方をしているというのが大きいのかも。私ヌルボとしては、韓国の人ならどう見るか、ということを考えました。今年5月に開かれた<ソウル国際女性映画祭 2013>で上映されてはいるのですが・・・。
 日本人の場合、「アイヒマンは反ユダヤ思想の狂信者とか怪物的な殺人鬼ではなく、ごくふつうの人間だった」というアーレントの見解は理解しやすいのではないでしょうか? そして、アーレントを非難するユダヤ人たちの方が「凝り固まっている」ようにみえるのでは?
そういう図式が、日本の歴史認識を糾弾したり、「日本人は元来侵略的な意図を持った悪いヤツラ」と言う人もいる韓国人に対して、日本人は「自分たちがふつうの人間であることはよくわかっている」からです。
 ・・・ということで、韓国でのこの映画にたいする反響や、ハンナ・アーレントの「イェルサレムのアイヒマン」の読まれ方等を探ってみました、・・・って、それをここに書くと確実に字数オーバーになるので(常套手段の)またいずれ。

 大分前に紹介した脱北者を扱った張律(チャン・リュル)監督の「豆満江」が、今<中国インディペンデント映画祭2013>(atオーディトリウム渋谷)の中で上映されています。あと12/13(金)14:50の1回だけですが・・・。昨晩も上映されましたが、イメージフォーラムでやっていたポーランド映画「夜行列車」の方を優先したからなー。(あの妙に印象的な主題曲が半世紀以上(!)脳裏に浮かんでは消えしてきたのです。)

           ★★★ Daumの人気順位(12月3日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー  9.6(37)
②あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.6(25)
③八月のクリスマス(韓国)  9.5(526)
④ニュー・シネマ・パラダイス  9.4(493)
⑤道の上で(韓国)  9.2(65)
⑥コアラ(韓国)  9.1(89)
⑦完全に大切な愛(韓国)  9.1(165)
⑧大統領の執事の涙  9.1(25)
⑨キャプテン・フィリップス  8.9(283)
⑩ブルー・ジャスミン  8.8(77)

 ②と⑧が新登場です。
 ②「あまり者たちのヒッチハイキング」の原題は「잉여들의 히치하이킹(剰余たちのヒッチハイキング)」。この잉여(剰余)という言葉が今の韓国でどのような意味で用いられているかについては、先々週の記事(→コチラ)を参照されたし。ここではとりあえず<あまり者>と訳しました。この映画の主役はその<あまり者>といわれる4人の20~24歳の若者たち。80万ウォンとカメラ1台持って飛行機でヨーロッパへ。彼らは宿泊施設の広報映像を撮る代わりにタダで泊めてもらって1年間でヨーロッパを一周するというねらいでまずはパリへ。しかし計画通りにうまくいくはずもなく、結局は寒さを避けてローマまでヒッチハイク。そうするうちに予想外のチャンスが・・・。彼らの旅はイスタンブール、そして最後の終着駅であるイギリスのロンドンまで続きます。
 ⑧「大統領の執事の涙」の主人公セシル・ゲインズは1952年から1986年まで34年間もホワイトハウスで執事を務めた実在の人物。トルーマンからレーガンまで8人の大統領に仕えました。1952年は黒人は選挙権がないどころか差別がふつうにあった時代。いろんな施設等が「白人専用」でした。その後60年代に公民権運動が展開され、キング牧師の暗殺等もありましたが、少しずつ黒人の権利が認められていく・・・そんなことを大統領が決定してサインするのを、ゲインズは横で見てきたのです。そして彼が世を去る少し前にオバマが大統領に就任。そんな1人の執事の人生とアメリカ現代史を重ねて描いた作品。TBSラジオ『たまむすび』の中で町山智浩氏が解説していましたが、これがとてもおもしろいです。(→コチラ参照。)
 「レイプされて頭がおかしくなっちゃう」というゲインズのお母さんを演じてるのがスッピンのマライア・キャリーだとか、ゲインズを初めてホワイトハウスの主賓としてディナーに招待したレーガン夫人を演じてるのが(反体制の) ジェーン・フォンダだとか、ホワイトハウスで働いている人たちはみんな黒人なんだとか・・・。韓国題は「버틀러:대통령의 집사」。日本公開は2014年2月15日です。

【専門家による順位】

①蜂蜜  8.5(2)
①楽園の瑕  8.5(2)
③ゼロ・グラビティ  8.2(5)
④ヒミズ(日本)  8.0(2)
⑤恋するリベラーチェ  7.6(3)
⑤イントゥギ(韓国)  7.6(3)
⑦ブルー・ジャスミン  7.5(6)
⑧ブエノスアイレス恋愛事情  7.3(3)
⑧ミスター・ノーバディ  7.3(3)
⑧あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  7.3(3)

 ①「楽園の瑕」と⑧「あまり者たちのヒッチハイキング」が新登場です。
 ①「楽園の瑕」は1994年の王家衛(ウォン・カーウァイ)監督作品の再上映です。韓国題は原題と同じ「동사서독(東邪西毒)」。(この作品は、金庸の武侠小説に基づいているんですね。全然別の話になってるようですけど。金庸の小説はどれもおもしろいですよ。)
 ⑧「あまり者たちのヒッチハイキング」については上述しました。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[11月29日(金)~12月1日(日)] ★★★

         韓国製SFスリラー「11時」が1位

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(43)・・11時(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・11/28・・・・・・・・・・・・・377,164 ・・・・・・・・・449,088・・・・・・・・3,217・・・・・・・・512
2(3)・・結婚前夜(韓国)・・・・・・・・・・・・・11/21・・・・・・・・・・・・・233,137・・・・・・・・・841,561 ・・・・・・・・5,780・・・・・・・・421
3(2)・・ハンガーゲーム2・・・・・・・・・・・・11/21・・・・・・・・・・・・・206,550 ・・・・・・・・・869,226・・・・・・・・6,069・・・・・・・・416
4(新)・・チャンス(韓国) ・・・・・・・・・・・・・11/28・・・・・・・・・・・・・201,911 ・・・・・・・・・256,240・・・・・・・・1,902・・・・・・・・414
5(1)・・友へ、チング 2(韓国)・・・・・・・・11/14 ・・・・・・・・・・・・・197,199 ・・・・・・・2,752,877・・・・・・・20,236・・・・・・・・445
6(4)・・くもりときどきミートボール2 ・・11/21・・・・・・・・・・・・・・194,587 ・・・・・・・・・491,847・・・・・・・・3,372・・・・・・・・490
        フードアニマル誕生の秘密
7(55)・・リディック:ギャラクシー・バトル・・11/28 ・・・・・・・・・・・・73,758 ・・・・・・・・・・93,786 ・・・・・・・・・670・・・・・・・・275
8(新)・・大統領の執事の涙 ・・・・・・・・・11/28 ・・・・・・・・・・・・・・44,521 ・・・・・・・・・・53,731 ・・・・・・・・・386・・・・・・・・178
9(5)・・マイティ・ソー/ダーク・ワールド・・10/30・・・・・・・・・・・・44,048・・・・・・・・3,015,153・・・・・・・22,350・・・・・・・・173
10(7)・・ゼロ・グラビティ・・・・・・・・・・・・・10/17 ・・・・・・・・・・・・・・29,099 ・・・・・・・3,140,905・・・・・・・30,515 ・・・・・・・・・55
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「11時」、「結婚前夜」が1・2位ですが、観客数をみるとイマイチかな? 6位までドングリの背比べですね。
 新登場は1・4・7・8位の4作品です。
 1位「11時」は、韓国ではめずらしいSF。具体的にはタイムスリップ物なんですが、時代を超えて、というのではなく、24時間後。1日差のタイムスリップといえば、真木よう子や上野樹里が出ていた「サマータイムマシン・ブルース」という佳作が思い出されますが、ソチラはコメディ。コチラはスリラー。タイムスリップを研究中の物理学者ウソク()。理論的には成功するが、投資企業は24時間後という点や同じ場所に移動することを理由に研究の中止を告げる。ウソクは研究を続けるためタイムスリップに自ら挑戦する。しかし今持っているエネルギーで未来に滞在できる時間はたった15分だけ。弟子格のヨンウン(キム・オクビン)と共にタイムマシンを乗って24時間後である<明日午前11時>に向う。ところが、彼がそこで目撃したのは火の海になった研究棟。研究員たちは皆消えていた。その上ウソクは何者かから攻撃に遭う。かろうじて現在に戻ってきた彼は、次々に現実化していく不幸を防ごうと孤軍奮闘する・・・。チョン・ジェヨンはホント芸域が広いです。原題は「열한시」。
 4位「チャンス」のタイトルは、英語のchanceではなくて名前です。そういえばボクサーの元セカイチャンピオン徳山昌守もチャンス(창수)でしたね。で、この映画の主人公チャンス(イム・チャンジョン)は孤児院育ちの服役代行業者。つまり監獄に代わりに入る代価で金を得る底辺暮らしの人物。そんな彼がある日美しい女性に出会って人生は180度逆になるが、幸福が続かないのが世のさだめ。それどころか結局チャンスは破局に突き進む・・・。原題は「창수」。
 7位「リディック:ギャラクシー・バトル」はアメリカのSFアクション。圧倒的戦闘能力を誇る極悪人リディックが、モンスターたちがひしめく惑星からの脱出を図る・・・。韓国題は「리딕」。日本公開は2014年3月8日です。
 8位「大統領の執事の涙」については上述しました。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(7)・・MUD -マッド-・・・・・・・・・・・・・・・・11/28・・・・・・・・・・・・・12,470 ・・・・・・・・・・・・・・17,370 ・・・・・・・・・130・・・・・・・・113
2(15)あまり者たちの・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/28 ・・・・・・・・・・・・・2,934 ・・・・・・・・・・・・・・・4,872 ・・・・・・・・・・36 ・・・・・・・・・31
       ヒッチハイキング(韓国)
3(新)・・花様年華・・・・・・・・・・・・・・・・2000/10/20 ・・・・・・・・・・・・・2,624 ・・・・・・・・・・・・・・・7,587 ・・・・・・・・・・54 ・・・・・・・・・33
4(6)・・アンニョン?! オーケストラ(韓国) ・・・11/28 ・・・・・・・・・・・・・1,998 ・・・・・・・・・・・・・・・6,332 ・・・・・・・・・・41 ・・・・・・・・・47
5(4)・・イントゥギ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・11/14 ・・・・・・・・・・・・・1,093 ・・・・・・・・・・・・・・15,128・・・・・・・・・109・・・・・・・・・・26

 1~4位が新登場です。
 1位「MUD -マッド-」は、アーカンサスに住む14歳の少年エリスが友人ネックボーンとともに大河の小島にボートに乗って探検に行き、そこでマッドという男と遭遇する。エリスは彼の不思議な魅力に心を動かされるが、実はマッドは罪を犯して追われる身だった。最愛の女性に会いたいというマッドの願いをかなえようとエリスは奔走するが・・・。現代版「スタンド・バイ・ミー」というふれ込み。なるほど。韓国題は「머드」。日本公開は2014年1月18日です。
 2位「あまり者たちのヒッチハイキング」は前述しました。
 3位「花様年華」は、王家衛監督の2000年の作品の再上映。
 4位「アンニョン?! オーケストラ」は今年の釜山映画祭に出品されたドキュメンタリー。リチャード・ヨンジェ・オニルは、アメリカに養子縁組された韓国人の母とアイルランド系米国人の祖父母によって育てられたヴィオリスト。そんな彼が<多文化家庭>、つまり国際結婚等による家族のの子どもたち24名でオーケストラを結成し、ややもすれば差別されがちな子どもたちを音楽が持つ治癒と疎通の力で支えてきた・・・。原題は「안녕?! 오케스트라」です。
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