年をまたぎそうですが続きです。
私は株や投資信託を勧めるのは多少なりとも罪悪感を感じてました。人に株を勧めて損をさせる恐怖に怯えてました。
株は勿論、株式投資信託も損をする可能性が高い。地合いが良いのに何で株式投資信託の運用成績が悪いのか。
当時、証券会社で運用して失敗したら投資信託に組み入れると言う話を聞いていたのですが、そうとしか思えない大損の投資信託が結構ありました。これなら私が運用した方がどう考えたって儲かる。事実、私が考え勧めた株で儲けさせていましたから。
でも、私には自信が無い。損をさせたらどうしよう。支店長は「三回買わせて一回儲けさせれば客は付いてくる」と言っていましたが、私は誰にも損をさせたくはない。一度たりとも損をさせたくはない。そんなのは無理だ。
でも、見学さんなら可能だ。見学さんの推奨する株はピタりと当たる。その見学さんが「世界長が来る」と言っている。
信頼している見学さんが言うのだから絶対に上がる。そう確信すると不思議なものでお客さんも私の言う通り世界長を買ってくれます。私は親にも買わせた。結果はどうなったか。
1987年10月。かの有名なブラックマンデーが発生しますが、その1年前から株価の動きがおかしくなっていました。
私が株に興味を持ち始めたのは高校生の時ですが、その当時の日経平均株価は7000円台。その5年後には18000円に迫る勢い。高過ぎる。ピッチが速過ぎる。
そんな訳で株価の振幅が激しくなっていたのですが、来たのです。ガクンとした大暴落が。
世界長は仕手株。仕手株は根無し草。下がる時はとんでもなく下がります。
当時、私は茫然として記憶が薄れていたのですが、ストップ安で中々値段が出なかったのを覚えています。そして1日で親に買わせた世界長で400万円以上の損を出した。更に3日間で700万円以上の損。そして客に買わせた世界長も5000万円近い損を出したのです。
茫然。茫然自失。どうして良いのか分からない。I主任も言葉を失っている。あの自信満々の頼もしいI主任が青白い顔している。
株の前では誰もが素人。神と信じた見学さんでも株と言う魔物の前ではただの人間。私は確信しました。株を売るのはディーラーとしてならOKだけど、勧めて売るのはダメ。やっていけないと。
その後、I主任が赴任してから影が薄かった支店長が勢力を盛り返し、I主任の影響力は影を潜めました。
世界長の株は仙台支店で大量に買っていましたが、損切させろと支店長の鶴の一声で投資信託や別の株式に買い換えていました。
ただI主任と私だけは持っていました。買値位は戻すと思っていたので。
結果、私は全然損切せずに多少の利益を出して売り抜けました。しかし、私はもう懲り懲り。もう株を売りたくない。客に大損させる前に辞めるべき。そう考えました。一年ちょうどで3月いっぱいで退職しました。
続く。
私は株や投資信託を勧めるのは多少なりとも罪悪感を感じてました。人に株を勧めて損をさせる恐怖に怯えてました。
株は勿論、株式投資信託も損をする可能性が高い。地合いが良いのに何で株式投資信託の運用成績が悪いのか。
当時、証券会社で運用して失敗したら投資信託に組み入れると言う話を聞いていたのですが、そうとしか思えない大損の投資信託が結構ありました。これなら私が運用した方がどう考えたって儲かる。事実、私が考え勧めた株で儲けさせていましたから。
でも、私には自信が無い。損をさせたらどうしよう。支店長は「三回買わせて一回儲けさせれば客は付いてくる」と言っていましたが、私は誰にも損をさせたくはない。一度たりとも損をさせたくはない。そんなのは無理だ。
でも、見学さんなら可能だ。見学さんの推奨する株はピタりと当たる。その見学さんが「世界長が来る」と言っている。
信頼している見学さんが言うのだから絶対に上がる。そう確信すると不思議なものでお客さんも私の言う通り世界長を買ってくれます。私は親にも買わせた。結果はどうなったか。
1987年10月。かの有名なブラックマンデーが発生しますが、その1年前から株価の動きがおかしくなっていました。
私が株に興味を持ち始めたのは高校生の時ですが、その当時の日経平均株価は7000円台。その5年後には18000円に迫る勢い。高過ぎる。ピッチが速過ぎる。
そんな訳で株価の振幅が激しくなっていたのですが、来たのです。ガクンとした大暴落が。
世界長は仕手株。仕手株は根無し草。下がる時はとんでもなく下がります。
当時、私は茫然として記憶が薄れていたのですが、ストップ安で中々値段が出なかったのを覚えています。そして1日で親に買わせた世界長で400万円以上の損を出した。更に3日間で700万円以上の損。そして客に買わせた世界長も5000万円近い損を出したのです。
茫然。茫然自失。どうして良いのか分からない。I主任も言葉を失っている。あの自信満々の頼もしいI主任が青白い顔している。
株の前では誰もが素人。神と信じた見学さんでも株と言う魔物の前ではただの人間。私は確信しました。株を売るのはディーラーとしてならOKだけど、勧めて売るのはダメ。やっていけないと。
その後、I主任が赴任してから影が薄かった支店長が勢力を盛り返し、I主任の影響力は影を潜めました。
世界長の株は仙台支店で大量に買っていましたが、損切させろと支店長の鶴の一声で投資信託や別の株式に買い換えていました。
ただI主任と私だけは持っていました。買値位は戻すと思っていたので。
結果、私は全然損切せずに多少の利益を出して売り抜けました。しかし、私はもう懲り懲り。もう株を売りたくない。客に大損させる前に辞めるべき。そう考えました。一年ちょうどで3月いっぱいで退職しました。
続く。