続きです。
その魔のシーフードの正体。それは烏賊です。日本人が一番食している魚介類の烏賊。烏賊でビールのイカです。
1パック250円。結構大きめのイカが5匹入っている。1匹50円。安い、決め。決めました。イカにします。イカです、イカ。
イカ5匹なら十分な量です。でも1匹50円は安い。イカポッポなら400円はする。うーん、うーん、よし、2パック買おう。合計10匹。イカずくしだ。これは凄いぞ。
材料は揃った。まずは玉葱大玉8個をスライスして狐色になるまで炒めます。削ったリンゴと蜂蜜を少々入れて。
それが終わったら、東北博で変なインド人から買った3種のスパイスをフライパンで炒ります。このスパイスは多分、ターメリック、グラムマサラ、クミンだと思います。チョット唐辛子が入ったものもありました。全部辛いです。
ここで問題なのはどれだけの分量を入れたら良いのか。うーん、判らない。一袋1キロあります。これだけあると凄い量です。再三悩みましたが3種とも多めに炒る事にしました。10匹のイカに香りで負けないように。
次に10匹のイカをさばく。イカは胴体だけ使います。ワタと足はイカ飯で使いたいと思います。
あっ、そうだ。イカ飯について語って置きますね。先ずイカを細かく切ってフライパンにオリーブオイルを引いて炒めます。そこにイカのワタを投入。更に匂い消しの為、おろした生姜を適量入れ、ご飯を投入。味付けは醤油を少々入れ、かき混ぜれば出来上がり。お好みで山椒をかけると大変美味しくいただけます。お暇な方はお試しください。
話をカレーに戻します。
10匹のイカは輪切りにしてそのままソテー。肉の場合はヨーグルトやとろろ芋につけて柔らかくするのですが、イカはそこまでしなくても良いと思いました。結構大量ですし。まっ、煮込むと少しは縮むだろうから、こんなもんですかね。
そして鍋に水を入れ沸騰したところでイカ、スパイス、カレールウ、炒った玉葱、大きい缶詰のマッシュルーム、そして少々のコンソメを投入。煮込みます。
うーん、良い薫り。良い感じです。これは美味しそうです。そして味見。
うーん、カレーが勝ち過ぎでコクが無い。カレー粉の辛さと玉葱の甘さが喧嘩している。美味しくない。これは困った。
まろやかさを出す為に牛乳とバターを入れます。うーん、まだ駄目。それではとコンソメを再度投入。うーん、まだコクが無い。
もっとコンソメを入れたら良いのでしょうけど、これ以上入れたらコンソメの塩分でしょっぱくなる。困った。今からスーパーに言って手羽先でも買って来るか。
いやいや、そこまでしたくない。私は以前にもブログで書きましたが、鶏が怖いのです。手羽先が生々しくて入れたくない。だったらどうするか。困った。
困った、困ったと思いふと目に入ってきました。取り分けた10匹分のイカの大量のワタが。
「そうだ、このイカのワタならカレーがしょっぱくならない。イカのシーフードカレーなのだからイカで出汁を取るのが自然ではないだろうか。そうだ、何で気が付かなかったのだ」と思い、10匹分の大量のワタをカレーに投入しちゃいました。
「うーん、我ながら良いアイディアだ。こりゃ美味しくなりそうだ。でも何で誰も気が付かなかったのだろう。このカレーで店を開いたら受けるぞ。フランチャイズ展開して大儲けも夢じゃない。あっははははははっ」とニヤニヤしながら火を弱火にして更に煮込みます。
10分程煮込んだでしょうか。完成しました。イカづくしのカレーが。
命名はイカレーとしようか。イカレー。センス悪いかな。イカデビル。これは仮面ライダーの怪人だ。駄目だな、そんなの。
まっ、そんなことはどうでも良い。美味しければ良いのです。さあ、味見です。
カレーをご飯少な目の皿に多めにかけます。プーンとイカの匂いがします。それ以上にカレーの薫りが漂う。うーん、いいねぇー。いいよ、いいよ。
そしてカレーのみを口に運ぶ。
ミョッ、OX#!????、ぼぇぇぇぇぇぇー、ま゛ぁぁぁぁぁっ、ゲペェ、ゲべェェェェェ、ミャアッ、ペェ、ペェッッー、ゲッペッペペペペッ、ゲロロロロロッ。
もう一気に吐いちゃいました。吐く瞬間目を瞑ったのですが、脳裏に笑っている骸骨? しゃれこうべ? 否、髑髏です。今でもハッキリと覚えていますが、笑っている髑髏が浮かびました。
飲み込んじゃたカレーを私の心や頭脳では無く、細胞が毒だと察知し吐き出した感じです。私が考える前に吐いたのです。何だこりゃぁ~~~~と。
うぁー、凄い不味さです。物凄い生臭さ。これはカレーではなく毒ですよ。これは酷い。
一言では説明できませんが、イカの塩辛とカレーを1:1の割合で混ぜた感じの味です。本当に食えたものではない。こんなに不味いカレーになるなんて。世界一の不味さです。髑髏味のカレーです。いやいやいやいや、こんなの作っちゃったよぉー、チクショー。
私は断じて食べ物を粗末にしないタイプの人間ですが、躊躇無く全部の髑髏カレーを捨てました。これは犬も食わない。犬も臭いで死ぬんじゃないかという臭さです。こんなもの捨てるしかないですよ。
そしてその夜、私は素晴らしく美味しいシーフードカレーを食べるつもりだっのに、焼いたイカの足にマヨネーズをかけ、それをおかずにしてご飯を食べましたわ。何なんだよ、これわよ。もうやだ、やだ。
まぁーね、食べ物は普通に食べれればそれで十分。私はこの髑髏味のカレー、イカレーを作り、つくづくそう思いました。
私はグルメを追及したからこんな事となった。料理人じゃないのだから、美味しさを追求して生きてもしょうがない。貧しくて食べれない人もいる。お腹をすかした野良猫もいる。それなのにグルメぶって食で贅沢してはいけないなと思いましたね。
美味しい料理を食べることは嬉しい事です。でもそればかり考えていては駄目。普通に食べれれば十分。あの髑髏カレーを作り、つくづくそう思う様になりました。
だから行列のお店には並ばないし、食にはこだわりません。栄養重視、健康重視で普通に食べれればそれで十分。
あの時の髑髏カレーがなかったら今頃糖尿病も大変なことになっていたかも知れないし、体重も100キロを優に超えていたかも知れない。
今考えたら、良い教訓になったとあの髑髏カレーに感謝さえしています。これも正負の法則なのかも知れませんね。
ではでは。