地方議員年金、復活の動き 自民本部検討「人材確保に」(朝日新聞)
いったん廃止された地方議員の年金制度が「復活」に向けて動き出している。自民党本部に地方議員の年金を検討するプロジェクトチーム(PT)が発足。全国都道府県議会議長会が7月、地方議員が年金に加入できるよう法整備を求める決議をした。一方、大阪府議会では22日、自民党府議団が「白紙撤回を求めるべきだ」と反対する方針を打ち出した。
地方議員の年金制度は、議員の掛け金と自治体の負担金によって運営されてきた。だが、市町村の「平成の大合併」に伴う急激な議員数の減少で年金財政が悪化。民主党政権下の2011年6月に廃止された。
しかし、昨年発足した自民党本部のPTは、地方議員の年金の新制度の検討を開始。年金制度の「復活」には法整備が必要で、全国都道府県議会議長会は決議で、地方議員のなり手不足が大きな問題になっているなどとして、「年金制度を時代にふさわしいものとすることが、人材確保につながっていく」と法整備を求めた。
野党の体たらくに比べればマシなのかも知れませんが、自民党も人材不足が深刻と見えるところ、その辺を自覚してかはさておき地方議員の年金制度を復活させようという動きがあるようです。確かに今時の議員と言ったら「家業を継いだだけ」の世襲議員か働く必要のない資産家の生まれか、そうでなければ良くも悪くも「奇特な人」ばっかりみたいな印象もあります。自分の人生設計を真面目に考える実直な、良くも悪くも「普通の人」を議会に呼び込むためには、年金制度の復活は多少なりとも有用なのかも知れません。
とかく厚遇であるかのように言われがちな政治家稼業ですが、しかし待遇目当てに議員になった人って、実際どれだけいるのでしょうね。その辺は調査しようとしたところで正直に答える人もいないとは思われます。ならば、自分に置き換えて考えてみるのはどうでしょうか。市議会議員、県議会議員の地位は今の仕事を辞めてでも就く価値があるのか、落選のリスクその他を鑑みれば損なのか得なのか――あるいはもしあなたが家族を養う立場にいるなら、家族に「仕事を辞めて選挙に出ようと思うんだ」と相談してみたらいかがでしょう。もし賛成が得られるなら、議員とは「おいしい仕事」なのだと言えますが。
実際のところ、現役の議員が執着しているのは金銭とは別の何かであるような気もします。「身を切る改革」などと称するふざけた政党もあるわけですが、それは要するに議員にとって金銭的な部分などは「切り捨てても惜しくはない」ものだから、ではないでしょうか。これ見よがしに切り捨ててみせるものこそ、実は当の議員にとってはダメージの小さい部分であって、彼らが本当にしがみついている対象は、もっと別にあるように思えるのです。
その辺は別の機会に譲るとして、まず実情として日本では議員を兼業することが難しい、マトモな収入の得られる仕事と議員活動の両立は、それこそ企業側の全面的な協力でもないと不可能なわけです。要するに、現実的ではない、議員になるなら議員報酬だけで食べていく、議員報酬だけで家族を養っていく、議員報酬だけで己の人生の将来設計を立てる覚悟が必要になるのです。そのような状況で、どれだけの真人間が議員になりたがるのかどうか? ならば日本の労働慣習を改めていくのも良い手ですが、それはあまりにも遠い道のりでもあります。当座の実現しうる改善案としては、議員向けの年金制度の復活ともなるのでしょう。