MotoGPとは、オートバイのロードレース世界選手権の略称である。2001年までの旧称はWGPだった。
PS4などで同名のゲームが発売されているが、この記事ではその点に触れない。
概要
MotoGPは、アスファルトで舗装された路面で行われる短距離バイクレースをプロトタイプ(レース専用車両)で行うものであり[1]、四輪レースでいえばF1に相当する。
2024年は3月から11月まで世界各地で全21戦が開催される。ヨーロッパ9ヶ国、東南アジア3ヶ国、中近東と南アジアと中央アジアと北東アジアとオセアニアと北アメリカでそれぞれ1ヶ国ずつ、全18ヶ国で全21戦の予定である。
重量級のMotoGPクラス、中量級のMoto2クラス、軽量級のMoto3クラスが存在し、それぞれに世界選手権がかけられている。
四輪レースにおけるF1、F2、F3の各クラスにそれぞれ似ているが、F2やF3があくまでサポートイベントやローカルイベントなのに対して、Moto2、Moto3も同等の世界選手権という扱いになっており、それぞれのクラスで最優秀のライダーは全てワールドチャンピオンとして記録される。もちろん、その格式においては重量級のMotoGPクラスチャンピオンが最も重いのは言うまでもない。
レースの結果が大半マシンの性能で決まってしまうと言われる現代のモータースポーツの中で、空力に頼りにくい・マシンをライダーが全身で操るなどの理由によって、いまだにライダーの個人的技量がレースの結果を大きく左右しうるカテゴリーであり、世界的にはF1に次ぐ人気を獲得している。
クラス区分
MotoGPは、エンジンの排気量により、次の3クラスに分類されている。
MotoGP
最大排気量クラス。英語ではプレミアクラス(the premier class)と呼ばれるので、それを和訳した言葉である最高峰クラスという名で呼ぶ人が多い。4ストローク1000ccエンジンを積んだプロトタイプマシン(レース専用車両)を使用する。
2001年までは2ストローク500ccエンジンを使って争われていた。2ストエンジンは環境負荷が高いので、廃止されることになった。
2002年から2006年までは4ストローク990ccエンジンが使用されていた。なぜ990ccという中途半端な数字かというと、4スト1000ccにすると市販公道車レースのスーパーバイク運営から「市販公道車に多い4スト1000ccエンジンを流用するつもりだ。そういうことをしていいのは我々スーパーバイクだけだ。許さない!」と猛抗議される恐れがあったためである(記事)。抗議や訴訟を恐れるため、わざと990ccという中途半端な排気量にした。
4ストローク990ccエンジンでは最高速度が上昇しすぎて危険であるという理由で、2007年から4ストローク800ccに減らされた。
しかし、諸々の事情により2012年より「800~1000cc」という規定になり、ほとんどのチームが4ストローク1000ccのエンジンを使用することになった。
このときは世界的な不景気で、MotoGPも参戦台数の少なさに苦しんでいた。参戦台数を増やすため、「クレーミング・ルール・チーム(CRT)」が設定され、市販公道車の4ストローク1000ccエンジンの改造による参加が認められた。CRTという参戦形式を作ると市販公道車レースのスーパーバイク運営から猛抗議がくるかもしれない、とMotoGP運営のドルナは身構えていたが、特に抗議はやってこなかった。なお、CRTは2012年と2013年のみ存在しただけで、2013年をもって廃止されている。
2015年までは参戦するメーカーが独自のECUソフトウェアを開発していて、その機能の充実度がマシンの戦闘力を大きく左右していた。そのため、メーカー直営ワークスチーム(ファクトリーチーム)以外のいわゆるサテライトチーム(メーカーからマシンを貸与されて参戦する)にほとんど優勝のチャンスがなくなっていた。高性能のECUソフトウェアを使いこなすには大量の技術者が必要で、それを用意できるメーカー直営ワークスチームが圧倒的に有利だった。
2014年に主催者指定の低性能なECUソフトウェアを使用するオープンクラスが始まり、2016年には全てのチームがオープンクラスに入り主催者指定のECUソフトウェアをワンメイクで使うようになった。
2024年現在はホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、KTM、アプリリアの5メーカーが参戦している。当然ながら各メーカー間の激しい開発競争が起こっている。バルブをニューマチックバルブにしたり、エンジンのミッションをシームレスミッションにしたり、空力パーツを導入したりと、マシンのハイテク化と先鋭化が進んでいる。先ほど述べたECU共通化を始め、ファクトリーチームに属するライダーのテスト日数を厳しく制限するなど、主催者側はそれらを抑える方向に動いているが、それでも開発が止まらないのはモータースポーツの宿命とも言える。
2021年11月には「MotoGPクラスにおいて、2024年から持続可能燃料(地中から取り出さずに得られる燃料)を40%導入し、2027年から持続可能燃料を100%導入する」という指針が発表された(記事)。環境への配慮をするという時代の流れに沿った変革をしていく予定である。
Moto2
4ストローク765ccエンジンの中排気量クラス。詳しくはMoto2の記事を参照。
Moto3
4ストローク250ccエンジンの軽排気量クラス。詳しくはMoto3の記事を参照。
マシン
プロトタイプ
MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスのいずれもプロトタイプ(レース専用車両。レーサーともいう)で争われる。
スーパーバイク世界選手権やスーパースポーツ世界選手権は、「アスファルトで舗装された路面で行われる短距離バイクレース」という点でMotoGPによく似ているが、使用するマシンが市販公道車であるという点でMotoGPと大きく異なっている。
最高速
最高峰クラスのMotoGPクラスのマシンは4ストローク1000ccエンジンを搭載しており、最高速度は350km/hに達する(資料)。これはF1に匹敵する速度である。
ちなみに、MotoGPがF1に及ばないところはコーナーリングである。F1は四つのタイヤで路面に接していて安定しているので、コーナーリング速度を恐ろしく高めることができる。
空力パーツ
かつてのMotoGPは、F1と違い、空力パーツによる空力効果に頼ることがなかった。
ところが最高峰のMotoGPクラスにおいて、2015年3月からウイング形状の空力パーツを取り付ける動きが現れた。2016年6月に安全上の理由もあってウイング形状の空力パーツを取り付けることが全クラスで禁止されたが、2017年8月になって、まるでガンダムのエアインテークのようなダクト形状の空力パーツが付いたカウルが出現している。
MotoGPクラスの空力パーツは、①ダウンフォースを高めてマシンを真下の路面にしっかり押しつけてコーナーリング時やブレーキング時の安定性を高めてコーナーリング速度を速くしたりブレーキングを短距離で行ったりする効果と、②空気の流れを円滑にして直線やコーナーリングの速度を速くするという効果を追求するものである。このうち①の効果は高めれば高めるほど直線速度が遅くなるという短所があるが、②の効果はさほどの短所がなく無限に追求できるものである。2023年~2024年において各メーカーの研究の主眼は②に移っており、ドゥカティとアプリリアがその分野で優勢に立っているとされる。
空力パーツの②の効果によりバイクの後方に乱気流が生まれ、以前よりもパッシング(オーバーテイク、追い抜き)が難しくなったので、ライダーから空力パーツを非難する声がしばしば挙がっている。しかし現行の技術規則は2026年まで有効であり、空力パーツの廃止はどんなに早くても2027年になる。
タイヤ
2024年現在は、MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスのいずれも、主催者指定のタイヤをワンメイクで使用している。
タイヤがMotoGPクラスの車体に与える影響は非常に大きいので、MotoGPクラスにおいて常にタイヤが話題となっている。
MotoGPクラスのタイヤは太く、接地面積が大きい。このため、濡れた路面でMotoGPクラスの決勝が開催されたとき、走行するたびどんどん路面が乾いていくという現象が起こりやすい。また、タイヤ自体の衝撃吸収性が大きいので、縁石(ゼブラゾーン)の段差に乗り上げることも平気であるし、リアタイヤを浮かせたジャックナイフの状態でコーナーに進入することも行いやすい。
2008年までのMotoGPクラスは、複数のタイヤメーカーが競合するコンペ時代で、ミシュランとブリヂストンによる二分状態だった。コンペはコンペティション(competition 競争)という意味。コンペ時代は、タイヤメーカーがバイクメーカーに対して気を遣うという関係にあり、「バイクメーカーがバイクを先に作り、バイクに適合するタイヤをタイヤメーカーが作る」という状態だった。
2008年をもってミシュランが撤退し、2009年から2015年までブリヂストンのワンメイクになった。2015年をもってブリヂストンが撤退し、2016年以降はミシュランのワンメイクになっている。2009年以降をワンメイク時代という。ワンメイク時代は、「タイヤメーカーがタイヤを先に作り、タイヤに適合するバイクをバイクメーカーが作る」という状態になっている。
タイヤの空気圧規制
MotoGPクラスにおいて空力パーツによるダウンフォースが強烈になってきたので、タイヤメーカーのミシュランはダウンフォースに負けない硬いタイヤを作るようになってきた。
硬いタイヤは変形しにくく接地面積が小さくなりやすくコーナーリングが遅くなりやすくブレーキングの安定性が低くなりやすいので、各チームが勝手に空気圧を下げてタイヤを柔らかくするようになった。しかし、いくら硬いタイヤでも空気圧を低くして柔らかくすると走行中に破裂(バースト)する危険が高まってしまう。
このため2023年から空気圧規制が掛けられ、低すぎる空気圧だと罰を与えるようになった。2024年は空気圧規制に違反するとタイム加算ペナルティが与えられる(記事)。
集団の内部で走行してスリップストリームに入ると、フロントタイヤの空気圧が急激に上がってタイヤが一気に硬くなって接地面積が減り、コーナーリング速度が遅くなったりブレーキングの安定性が低くなったりしてしまう。集団の内部で走行することを想定するのなら、空気圧規制の最低限の空気圧にするか、あえて空気圧規制の最低限よりも低い空気圧にするか、のどちらかにする。とはいえ、あえて空気圧規制の最低限よりも低い空気圧にしたのに何らかのミスで集団の内部で走行できなくなったら、そのまま罰則ということになってしまう。
以上のように、空気圧規制は各チームにとって頭の痛い問題である。
MotoGPクラスに参戦するチーム
2024年シーズンにMotoGPクラスへ参戦するチームを挙げていく。チームの並びは2023年のチームランキング順で、チーム内におけるライダーの並びは2023年のライダーランキング順となっている。
ワークスチームとは、バイクメーカーが直々に運営するチームであり、ファクトリーチームと呼ばれることもある。
サテライトチーム(衛星のようなチーム)とは、バイクメーカーに直属しない人物が運営するチームであり、インディペンデントチーム(独立したチーム)とかプライベートチーム(個人のチーム)とかプライベーターと呼ばれることもある。
- プリマ・プラマック・レーシング
- ドゥカティのサテライトチーム。本拠地はイタリアのカーゾレ・デルザ。
ドゥカティのサテライトチームと言うが、ライダーの選択権はドゥカティが握っており(記事)、ドゥカティの影響力の強いチームである。また2台ともドゥカティの最新型のワークスマシンを使用していて、準ワークスとも言うべきチームである。2023年はホルヘ・マルティンの大躍進があり、同選手がライダーズランキング2位になり、プラマックレーシングがチームランキング首位となった。
スポンサーはプラマック(イタリアの発電機メーカー)、プリマ(イタリアの自動車保険企業)、ランボルギーニ(イタリアの自動車メーカー。ドゥカティと同じように、ドイツ企業アウディ社傘下に入っている)。
チームオーナーはパオロ・カンピノティで、プラマック社長と兼任している。チーム監督は、2022年までMoto3クラスのチーム・アスパーの監督を務めていたジーノ・ボルゾイである[2]。ちなみにジーノ・ボルゾイは「チーム・アスパーの方が大所帯で忙しかった」と語っている(記事)。スポーティングディレクターは元MotoGPライダーのフォンシ・ニエト[3]。
ステファノ・ドメニカリという人は長年F1の監督を務め、2016年から2020年までランボルギーニの社長だったが、パオロ・カンピノティと仲が良かった。ステファノ・ドメニカリは2021年からF1のCEOに栄転したのだが、そのあと、「F1のロゴのステッカーをプラマックレーシングのマシンに載せることはできないかな?」とパオロ・カンピノティに要望した。そのお願いが通り、2021年のプラマックレーシングのマシンにはF1のロゴのステッカーが貼られている(記事)。オンボード画像でもちらちらとF1のステッカーが映る(画像)。
ホルヘ・マルティンのクルーチーフはダニエレ・ロマニョーリであり、フランコ・モルビデリのクルーチーフはマッシモ・ブランキーニである。マッシモ・ブランキーニは2022年まで長年にわたってアジョ・モータースポーツに在籍して数々のMoto2クラスチャンピオンを生み出してきたが2023年にヨハン・ザルコの要請を受けて移籍してきた。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
89 | ホルヘ・マルティン | マドリード | 167cm65kg | 1998年1月29日 | |
21 | フランコ・モルビデリ | ローマ | 176cm67kg | 1994年12月4日 |
- ドゥカティ・レノボ・チーム
- イタリアのバイクメーカー、ドゥカティのワークスチーム。2003年からMotoGPクラスに参戦し、2022年に2007年以来2度目のライダーチャンピオンを獲得した。
ジジ・ダッリーニャの指導のもと、強力なエンジンと精密な空力パーツを備えたマシンを作り上げ、2022年以降は向かうところ敵なしの快進撃を続けている。マルク・マルケスやアレックス・マルケスに言わせるとドゥカティのマシンは本当に乗りやすいのだという(記事1、記事2)。
ドゥカティの参戦台数は8台で最も多く、データ量が豊富である。そのデータを完全に共有しているので(記事)、ドゥカティのライダーのセッティングの速度が速い。
監督はダヴィデ・タルドッツィで、スーパーバイク世界選手権のライダーだった人である。
2024年のスポーティングディレクターはマウロ・グラッシーリである。長年にわたってこの地位に就いていたパオロ・チャバッティは退任し、ドゥカティの要職に栄転した(記事)。
ドゥカティのCEOはクラウディオ・ドメニカーリであり、もともとドゥカティコルセ(ドゥカティのレース部門)の技術者だったのでしばしばサーキットにやってくる。そのときはジーンズなどのラフな格好であり、商品のイメージを意識していることを推測できる。
2024年からライダーコーチとしてマニュエル・ポッジャーリが加入した。2001年125ccクラス、2003年250ccクラスの2度のチャンピオンを獲得したが燃え尽き症候群で引退した人である。2023年までグレッシーニレーシングのライダーコーチだったが、腕を買われての移籍となった。おそらくエネア・バスティアニーニから誘われたものと見られる。
スポンサーはレノボ(香港のパソコンメーカー)と、NeTApp(米国のIT企業)と、フィリップモリス(米国タバコ企業でマールボロなどの商品で知られる)である。昨今はタバコ広告への風あたりが強いので、タバコ企業の社名や商品名をチーム名に付けられない。また、ドゥカティはアウディグループに属しているのでアウディグループからの資金や技術の援助を受けている。ちなみにアウディグループはドイツのフォルクスワーゲングループに属している。
フランチェスコ・バニャイアのクルーチーフはクリスチャン・ガバッリーニで、エネア・バスティアニーニのクルーチーフはマルコ・リガモンティである。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
1 | フランチェスコ・バニャイア | トリノ | 176cm67kg | 1997年1月14日 | |
23 | エネア・バスティアニーニ | リミニ | 168cm64kg | 1997年12月30日 |
- プルタミナ・エンデューロ・VR46レーシングチーム
- ドゥカティのサテライトチーム。オーナーはヴァレンティーノ・ロッシで、彼の頭文字とゼッケン46がチーム名となっている。本拠地はイタリアのタヴーリアで、ヴァレンティーノの故郷である。
MotoGPクラス部門のチーム監督はパブロ・ニエト。チームの運営をするのはウーチョとアルベルト・テバルディ(アルビ)で、どちらもヴァレンティーノの古くからの友人である。2024年からアンドレア・ミーニョがライダーコーチに就任した(記事)。
スポンサーはプルタミナで、産油国インドネシアの国有企業であり、石油精製の分野で同国最大手である。プルタミナ・エンデューロとはプルタミナが作るエンジンオイルである。またアメリカ合衆国のオークションサイト企業のeBayもスポンサーである。
2023年までのメインスポンサーはムーニーというイタリアの金融企業であり、欧州有数の金融企業であるインテーザ・サンパオロの支援を受けている企業だった。また、チェコの旅行会社FlyMetoもスポンサーであった。
産油国サウジアラビアにサウジアラムコという世界最大級の石油企業がある。そのサウジアラムコの関連企業と名乗るタナル・エンターテインメントのアブドゥルアジーズ・ビン・アブドゥラ・アル・サウード王子という人物が2021年3月頃からVR46に売り込みをかけていて、4月には「VR46と契約した」と発表した(記事)。ところがサウジアラムコは「弊社はそんな契約があったことをしらない」という(記事)。8月頃には王子が「1800万ドルの計画がある。お金をすぐに振り込む」と言ってVR46側を安心させようとした(記事1、記事2)。ところがお金が振り込まれない(記事)。結局、タナル・エンターテインメントの人物は詐欺師だったようである。このように産油国の石油王を装って欧州のスポーツ団体に売り込みをかけてお金を騙し取ろうとする詐欺師は他にもおり、2016年ごろにはインテル・ミラノが引っかかりそうになったことがある(記事)。
ヤマハが「サテライトチームにならないか」と誘い続けていることもあり(記事)、またドゥカティのワークスマシン製造能力が4台までということもあり(記事)、2024年においてドゥカティの最新型ワークスマシンを受け取れず2023年型を使う。
マルコ・ベッツェッキのクルーチーフがマッテオ・フラミーニで、ファビオ・ディ・ジャナントニオのクルーチーフがダヴィデ・ムニョスであり、どちらも2021年までヴァレンティーノ・ロッシのスタッフだった人物である。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
72 | マルコ・ベッツェッキ | リミニ | 174cm61kg | 1998年11月12日 | |
49 | ファビオ・ディ・ジャナントニオ | ローマ | 175cm68kg | 1998年10月10日 |
- レッドブル・KTM・ファクトリー・レーシング
- オーストリアのバイクメーカー、KTMのワークスチーム。
メインスポンサーはオーストリアのエナジードリンク企業レッドブル。
ブラッド・ビンダーのクルーチーフはアンドレス・マドリッドで、ジャック・ミラーのクルーチーフはクリスチャン・ププリンである。アンドレス・マドリッドはアジョ・モータースポーツに所属してMoto3クラス時代とMoto2クラス時代のブラッド・ビンダーを支えてきた人物である(記事)。クリスチャン・ププリンは長年にわたってドゥカティ陣営のクルーチーフだったがジャック・ミラーの移籍に伴ってKTMワークスに移籍した。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
33 | ブラッド・ビンダー | ポチェフストルーム | 170cm63kg | 1995年8月11日 | |
43 | ジャック・ミラー | タウンズヴィル | 173cm64kg | 1995年1月18日 |
- アプリリア・レーシング
- イタリアのバイクメーカー、アプリリアのワークスチーム。2021年までのチーム運営はプライベーターのグレッシーニレーシングが請け負うセミワークス体制だったが、2022年からはアプリリアがすべてを運営するワークス体制になった。
スポンサーはSKY(イギリス・ロンドンに本社がある衛星テレビ)。
アレイシ・エスパルガロのクルーチーフはアントニオ・ヒメネスで、マーヴェリック・ヴィニャーレスのクルーチーフはホセ・マニュエル・カゾーである。アントニオ・ヒメネスはグレッシーニレーシングのクルーチーフを務めていた。ホセ・マニュエル・カゾーはスズキワークスが解散した後にマーヴェリックに誘われてアプリリアワークス入りした。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
41 | アレイシ・エスパルガロ | グラノリェース | 180cm66kg | 1989年7月30日 | |
12 | マーヴェリック・ヴィニャーレス | フィゲーレス近郊 ロザス |
171cm64kg | 1995年1月12日 |
- グレッシーニレーシング・MotoGP
- イタリアの125ccクラス世界チャンピオンのファウスト・グレッシーニが設立した名門チーム。イタリアのファエンツァに本社を持ち、ミサノサーキットすぐそばのサン・クレメンテに工場がある。
最高峰クラス部門の監督はミケーレ・マシーニである。
2012年から2021年までMoto2クラス部門でフェデラル・オイル(インドネシアの潤滑油メーカー)と提携し続けている。2022年~2023年は最大排気量クラス部門のマシンのカウルにその名が見られる。
オートバイメーカーの支援を受けないプライベートチームの典型であり、ワークスチームに比べて資金力が小さい。マルク・マルケスは2024年において無給で走ると噂されている(記事)。
ホンダやアプリリアとの付き合いも長いので、「ドゥカティと付き合うことしか考えられない」というチームではない。このためドゥカティワークスのライダーがシーズン終盤にチャンピオン争いをしているときも「我々はドゥカティワークスのライダーを負かして優勝を狙いに行く」とハッキリ断言してそのように行動するという力強さを持つチームである。実際に2023年最終盤のカタールGPでグレッシーニレーシングのファビオ・ディ・ジャナントニオが見事にドゥカティワークスのフランチェスコ・バニャイアを負かして優勝した。
アレックス・マルケスのクルーチーフはドナテッロ・ジョヴァノッティで、マルク・マルケスのクルーチーフはフランチェスコ・カルケディである。フランチェスコ・カルケディは2020年にジョアン・ミルのクルーチーフを務め同選手がチャンピオンになることに多大な貢献をしており、スズキワークスの解散とともにグレッシーニレーシングに移籍していた。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
73 | アレックス・マルケス | サルベラ | 180cm65kg | 1996年4月23日 | |
93 | マルク・マルケス | サルベラ | 169cm64kg | 1993年2月17日 |
- モンスターエナジー・ヤマハ・MotoGP
- 日本のメーカー、ヤマハのワークスチーム。
メインスポンサーはモンスターエナジー(米国のエナジードリンク)。
ファビオ・クアルタラロのクルーチーフはディエゴ・グベリーニで、アレックス・リンスのクルーチーフはパトリック・プリマーである。
2024年からアレックス・リンスのテレメトリースタッフ(データ解析員)として島袋雄太が加入した。スズキワークスでアレックス・リンスのテレメトリーを務めていた人物である。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
20 | ファビオ・クアルタラロ | ニース | 177cm64kg | 1999年4月20日 | |
42 | アレックス・リンス | バルセロナ | 176cm72kg | 1995年12月8日 |
- トラックハウス・レーシング
- アプリリアのサテライトチーム。
このチームは2024年に新規参戦を始めたチームであるので本来は最後尾に書くべきだが、スタッフの多くがRNFレーシングの元スタッフであり、2023年にチームランキング8位となったRNFレーシングの後継ともいうべきチームなので、この場所で紹介する。
トラックハウス・レーシングは米国人のジャスティン・マークスが所有するチームである。ジャスティン・マークスはNASCARのドライバーとして活躍した後、富豪の父親の支援を受けてトラックハウス・レーシングを設立して2021年からNASCARに参戦した(記事)。2023年にRNFレーシングが経営破綻したので、その参戦枠を買い取る形でMotoGPに参戦することになった。ドルナや各オートバイメーカーにとって北米市場は非常に重要であり、歓迎された。
チーム監督はヤマハワークスに長く在籍したダヴィデ・ブリヴィオとウィルコ・ズィーレンベルグ。ダヴィデ・ブリヴィオは2024年からの加入である。
マスコミ向け担当者はイギリス人のジェレミー・アップルトンである。この人はアルパインスターズやトライアンフの担当としてMotoGPのパドックで働いてきた人物である(記事1、記事2)。
スポンサーの1つはステリルガルダで、イタリアの牛乳メーカーであり、マックス・ビアッジを支援してきたことで知られる。マックス・ビアッジはアプリリアとの付き合いが長いので、その縁でトラックハウス・レーシングのスポンサーになった。
トラックハウス・レーシングはNASCARでの成績が良くてNASCARにおいてコカコーラやアンハウザー・ブッシュ(バドワイザー)のようなスポンサーに恵まれている(記事)。そしてジャスティン・マークス自身も資産5000万ドルと噂される富豪である(記事)。このためトラックハウス・レーシングの財政的な余裕は十分である。
トラックハウス・レーシングのMotoGP部門は、アプリリアワークスと同じように、アプリリアの本社があるノアーレにチーム拠点を置いている(記事)。トラックハウス・レーシングの本体はテネシー州ナッシュビルを拠点としているが、そのテネシー州ではフラットロック・モータースポーツ・パークというサーキットが建設中である(記事)。ジャスティン・マークスは「テネシー州の新サーキットでGPを開催したい」ということを言っている(記事)。
ミゲール・オリヴェイラのクルーチーフはジョヴァンニ・マッタローロで、ラウル・フェルナンデスのクルーチーフはノエ・エレーラである。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
88 | ミゲール・オリヴェイラ | プラガル | 170cm63kg | 1995年1月4日 | |
25 | ラウル・フェルナンデス | マドリード | 179cm68kg | 2000年10月23日 |
- レプソルホンダ・チーム
- バイク業界世界シェア第1位であるホンダのワークスチーム。
メインスポンサーはレプソル(スペインの石油・ガス関連企業)。ただし2024年はレプソルの面積が小さくなっている。
ルカ・マリーニのクルーチーフはジャコモ・グイドッティで、ジョアン・ミルのクルーチーフはサンティ・エルナンデスである。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
10 | ルカ・マリーニ | ウルビーノ | 184cm69kg | 1997年8月10日 | |
36 | ジョアン・ミル | パルマ・デ・マヨルカ | 181cm69kg | 1997年9月1日 |
- LCR・ホンダ
- ホンダのサテライトチーム。元125ccクラスライダーのルーチョ・チェッキネロが率いる。本拠地はモナコ公国のモンテカルロにある。
スポンサーはカストロール(英国のエンジンオイル企業)、出光(日本の石油企業)など。
2020年まで在籍したカル・クラッチローの車両は数戦おきにメインスポンサーとカラーリングが変わっていて、SNSでその様子を確認できた(黒色、緑色、青色、赤色)。しかし2021年にカル・クラッチローと入れ替わりで加入したアレックス・マルケスのマシンは、全18戦中16戦でGIVIの赤色が目立つものであり(画像)、残りの2戦でカストロールの緑色が目立つものとなっていて(画像1、画像2)、わりと一定のカラーリングだった。
2018年に中上が加入して以降、2台のカラーリングが異なる珍しいチームとなっている。
2022年からのスポーティングディレクターはダコタ・マモラである[4]。
ヨハン・ザルコのクルーチーフはダヴィド・ガルシアで、中上貴晶のクルーチーフはクラウス・ノーレスである。ダヴィド・ガルシアはもともとMarcVDSにいた人物だが、アレックス・マルケスに誘われてやってきて、アレックス・マルケスがグレッシーニレーシングに移籍した後もチームLCRに残留した。クラウス・ノ-レスはドイツ人であり、ホンダのテストチームでクルーチーフを務めていた人物である。このためホンダのテストライダーのステファン・ブラドルとの写真が多く見つかる。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
5 | ヨハン・ザルコ | カンヌ近郊アンティーブ | 171cm68kg | 1990年7月16日 | |
30 | 中上貴晶 | 千葉県千葉市 | 175cm70kg | 1992年2月9日 |
- ガスガス・ファクトリー・レーシング・Tech3
- KTMのサテライトチーム。
本拠地はフランスのボルム=レ=ミモザ。1999年から2018年まで20年間の長きにわたりTech3はヤマハのサテライトチームだったが、2018年シーズン初頭に乗り換えを決断した。チーム監督はエルヴェ・ポンシャラルで、数々の日本人ライダーを世話してきた。また、1980年代の鈴鹿8耐でも活躍したギー・クーロンという名物メカニックが在籍していて、2020年までクルーチーフを務め、2021年からは技術的な相談役の地位についている。2023年のチーム監督は、長年にわたってクルーチーフを務めてきたニコラス・ゴヨンである。
KTMからワークスチーム並みの技術支援を受けていて、KTMワークスと同等のマシンが与えられている。このため「ファクトリー・レーシング」という名前を付けている。とはいえ、KTMワークスと完全に同等のマシンではないようである(記事)。
ガスガスという名前で登録しているが、KTMのマシンである。ガスガスはスペインのバイクメーカーだが、2019年からKTM傘下に入っている(記事)。ちなみにガスガスの企業色は赤と白なので(画像)、その企業色を反映するため、2023年以降のTech3のマシンカラーも赤と白になっている(画像)。
2022年にスズキワークスが解散した後、そこでテレメトリースタッフを務めていた島袋雄太をTech3に雇い入れた。しかしなんと2023年末に島袋雄太がヤマハワークスに引き抜かれてしまった。このため、チームのみんなが最終戦のあとに島袋雄太を温かく送り出している(画像)。Tech3の社風というものがうかがえる画像である。
アウグスト・フェルナンデスのクルーチーフはアレックス・メルハンドで、ペドロ・アコスタのクルーチーフはポール・トレヴァサンである。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
37 | アウグスト・フェルナンデス | マドリード | 180cm72kg | 1997年9月23日 | |
31 | ペドロ・アコスタ | マサロン | 171cm62kg | 2004年5月25日 |
過去のMotoGPクラスワールドチャンピオン
MotoGPを運営する団体
現在のMotoGPは、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が統括し、IRTA(国際ロードレーシングチーム協会)が参戦チームの意見をまとめ上げ、ドルナが運営を行っている。
また、2022年まではクリニカ・モビレ、2023年以降はキロン・プレヴェンシオンという移動診療車が全戦で帯同し、ライダーを支援している。
各国のサーキットが安全対策や観客収容に力を入れ、受け入れ体勢を整えている。サーキットの詳細についてはMotoGPが開催されるサーキットの一覧も参照のこと。
日本において
2003年までは鈴鹿サーキットでもMotoGPが開催されていたが、2003年に死亡事故が発生し、設備の安全性の確保が不十分であることが発覚した。施設そのものが老朽化していることもある為、翌年以降の鈴鹿開催が消滅した。なおこの事故で死亡したのは加藤大治郎。その後、鈴鹿サーキットはF1開催の基準に対応するためもあり大幅な改修を受けたが、依然MotoGPに関してはツインリンクもてぎのみでの開催が続いている。
F1などと比べると認知度は低いと言わざるを得ないが、それでも観戦席には人がちゃんと入る。
過去には多数の日本人レーサーが活躍しており、優勝経験も少なくないばかりか最高峰クラスを除けば世界チャンピオンも誕生している。なおGP250の年間最多優勝記録保持者は前述の加藤。
2024年シーズンはMotoGPクラスに中上貴晶。Moto2クラスに小椋藍、佐々木歩夢。Moto3クラスに鈴木竜生、山中琉聖、古里太陽が参戦している。
日本での地上波TVでの生中継は行われておらず、BS日テレでMotoGPクラス中心のダイジェストが放映されている。全クラスを生で視聴するには、日本テレビ系のCSチャンネルである日テレG+を視聴契約する必要がある。予選や一部のクラスをスカパー!契約者は無料で視聴できるBSスカパー!で平行して放映することもあるので、チャンネル契約を迷っている方はまずそれを視聴してみるのも手である。
MotoGP情報サイト
ネット上にはMotoGPの情報を豊富に提供してくれるニュースサイトが数多く存在する。
ニコニコ大百科に記事があるニュースサイトやジャーナリストは以下の通り。
- MotoGP公式サイト
- Motorsport.com
- Crash.net
- GPOne
- SPEEDWEEK
- マニュエル・ペチーノ (スペイン人ジャーナリスト)
- マット・オクスリー (イギリス人ジャーナリスト)
レースの大まかな流れ
MotoGPのレースが行われるのは金曜日・土曜日・日曜日の週末3日間である。レースがどのように行われるか、大まかな流れを解説する。
2023年から土曜日のスプリントレースが導入され、2022年以前に比べてレースの形式が大幅に変更された。2022年以前の制度については本記事の2022年11月14日の過去ログを参照のこと。
金曜日
金曜日はMoto3クラスとMoto2クラスがFP(エフピー)とP1(ピーワン)を行い、MotoGPクラスがFP1(エフピーワン)とP(プラクティス)を行う。
金曜日午前 | 金曜日午後 | |
Moto3クラス | FP | P1 |
Moto2クラス | FP | P1 |
MotoGPクラス | FP1 | P |
FPはFree Practice(プラクティス)の略で、「自由な練習走行」という意味である。自由というのは、「いくら速く走っても予選のQ2に行けるかどうかにはまったく関係しない」という意味である。各ライダーは、サーキットに慣れるための走行をしたり、新規に導入された部品のテストなどを行ったりする。
P1やPの中の「P」という文字はPractice(プラクティス)の略で、「練習走行」という意味である。予選におけるQ2直行を目指す真剣勝負の場になっている。
Moto3クラスはFPとP1の両方とも35分間で、Moto2クラスはFPとP1の両方とも40分間で、MotoGPクラスはFP1が45分間でPが60分間である(資料)。
2023年第9戦イギリスGPからMotoGPクラスの金曜日午前がFP1になった(記事)。それ以前はMotoGPクラスも「金曜日は午前がP1、午後がP2、どちらも予選におけるQ2直行を目指す真剣勝負」という体制だった。
金曜日に「いくら速く走っても予選のQ2に行けるかどうかにはまったく関係しない」というFPが存在しないのはMotoGPクラスの各チームから大きな不満が上がっており、そうした不満に対応した[6]。
土曜日午前
土曜日の午前中にMoto3クラスとMoto2クラスのP2(ピーツー)がいずれも30分かけて行われる。
また、土曜日の午前中にMotoGPクラスのFP2(エフピーツー)が30分かけて行われる。金曜日のFP1と同じように、いくら速く走っても予選のQ2に行けるかどうかにはまったく関係しない。
土曜日午前 | |
Moto3クラス | P2 |
Moto2クラス | P2 |
MotoGPクラス | FP2 |
土曜日の予選 Q1とQ2
Moto3クラスとMoto2クラスはP1とP2でタイム計測を行い、選手AがP1~P2の中で記録したタイムの中で最も優秀なタイムを「選手Aのコンバインドタイム」と認定する[7]。コンバインドタイムが優秀な順に選手を並べ替え、上位の選手を選ぶ。
MotoGPクラスは金曜日のPでタイム計測を行い、タイムが優秀な順に選手を並べ替え、上位の選手を選ぶ。
Moto3クラスとMoto2クラスは上位14人の選手を選び、MotoGPクラスは上位10人の選手を選ぶ。それらの選手は、予選のQ2(キューツー)に直接進出する。
予選のQ2に直接進出できなかったライダーたちは、予選のQ1(キューワン)に参加する。Q1やQ2のQはQualify(クオリファイ)の略で、「予選」という意味である。Q1は15分間で行われ、Moto2クラスやMoto3クラスなら上位4人がQ2に進むことができ、MotoGPクラスなら上位2人がQ2に進むことができる。
Q2も15分間で行われ、ポールポジション(スタート順位の1番手)を巡って熾烈な争いとなる。
以上のようなQ1・Q2は、MotoGPクラス~Moto3クラス~Moto2クラスの順番で行われる(資料)。
Q1(キューワン) | Q2(キューツー) | |
Moto3クラス | P1~P3における上位14人から外れた下位ライダーたちで行われる。1番手から4番手ライダーはQ2に進むことができ、5番手以下のライダーは決勝グリッド19番以下が確定する。 | P1~P3における上位14人と、Q1を勝ち上がった4名のライダーで行われる。このQ2で決勝グリッド1番から18番が確定する。 |
Moto2クラス | ||
MotoGPクラス | P1~P2における上位10人から外れた下位ライダーたちで行われる。1番手と2番手ライダーはQ2に進むことができ、3番手以下のライダーは決勝グリッド13番以下が確定する。 | P1~P2における上位10人と、Q1を勝ち上がった2名のライダーで行われる。このQ2で決勝グリッド1番から12番が確定する。 |
ここで、余談ではあるがP1~P3やFP1~FP2やQ1~Q2におけるテレビ画面の様子を解説しておく。選手の名前の近くに赤色・オレンジ色・灰色の棒が1~4本並べられている(画像1、画像2)。MotoGPではサーキットを4分割してsector 1(セクターワン)、sector 2(セクターツー)などと呼んでいて(画像)、左から1番目の棒はsector 1の走行状況を示し、左から2番目の棒はsector 2の走行状況を示している。赤色の棒は「『すでに有効となった各選手の区間タイムの中で最速のもの』よりも速いペースで走っている」という意味であり、オレンジ色の棒は「『すでに有効となった自分の区間タイムの中で最速のもの』よりも速いペースで走っている」という意味であり、灰色の棒は「『すでに有効となった自分の区間タイムの中で最速のもの』よりも遅いペースで走っている」という意味である[8]。左から2番目の棒が赤色だったら「sector 2で全選手の中で最速のペースだ」と判断することができ、左から3番目の棒が灰色だったら「sector 3で何かミスをしたのだろう」と推測することができる。また、選手の名前の近くにESTIMATED 1(エスティメイティッド・ワン)と表示されたり(画像)、ESTIMATED 4と表示されたりする(画像)。これは「この調子で走ると1位になるだろう」「この調子で走ると4位になるだろう」という意味である。
土曜日午後のスプリントレース
Moto2クラスのQ2を終えてから、MotoGPクラスのスプリントレースが行われる。
スプリントレースは決勝レースの半分の周回で行われ、与えられるポイントも決勝レースの半分程度である(資料)。
正式名称は「スプリント」であるが(記事)、「スプリントレース」と呼ばれることが多い。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | |
ポイント | 12 | 9 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
決勝レースでは走路外走行を5回行うとロングラップ・ペナルティになるが、スプリントレースでは走路外走行を3回行うとロングラップ・ペナルティになる。
このスプリントレースは「余興」という位置づけであり、スプリントレースでの勝利は正式な勝利として認められない。とはいえかなり多くのポイントを与えられるので真剣勝負になる。
スプリントレースのスタートはQ1~Q2で決まった順位で行われる。そして、スプリントレースでどのような結果を残しても、日曜日の決勝のスタート順位に影響を与えない。つまり、Q1~Q2で決まった順位で2つのレースを行うわけであり、Q1~Q2の重要性が格段に増した。
スプリントレースに関して、ライダーは賛成派と反対派の2つに分かれた。賛成派はマルク・マルケス、マーヴェリック・ヴィニャーレス、ヨハン・ザルコ、ミゲール・オリヴェイラ、ブラッド・ビンダーであった(記事1、記事2、記事3、記事4、記事5)。特にマルクとマーヴェリックとヨハンは「体力勝負ならどんとこい」という感じのフィジカルモンスター(体力お化け)なので、いかにも賛成しそうであった。
日曜日 朝のウォームアップと決勝
日曜日の朝に「朝のウォームアップ(morning warm up)」が行われる[9]。
Moto3クラスとMoto2クラスは行われず、MotoGPクラスは10分間であり(資料)、この時間を使ってマシンの最終調整を行う。2022年までは全てのクラスで朝のウォームアップを行っていたのに、2023年からMoto3クラスとMoto2クラスの朝のウォームアップが廃止され、大きく非難されている[10]。
日曜日の11時頃にMoto3クラス決勝、12時20分頃にMoto2クラス決勝、14時頃にMotoGPクラス決勝が行われる(資料)。どのクラスも決勝レースの走行時間は40分~45分程度である。
土曜日の予選で決まった順位のとおりにマシンを前から並べて、決勝レースがスタートする。1番手から3番手が1列目(ファースト・ロー First Row)、4番目から6番目が2列目(セカンド・ロー Second Row)、といった具合に、3人ずつで1つの列を作る(画像)。
ここで、余談ではあるが決勝におけるテレビ画面の様子を解説しておく。芸が細かいことに、首位を走行するライダーの顔写真は笑顔のものを使い、2位以下を走行するライダーの顔写真は仏頂面のものを使っている(画像)。また、画面左側にライダーのゼッケンと名前が並ぶが、その横に赤いマークや黄色いマークなどが付くことがある(画像、公式サイト記事)。赤い時計のマークはファステストラップ(fastest lap)という意味で、最新の周回において全選手の中で最も速い周回タイムを計測したことを表す。虫眼鏡のマークは調査中(under investigation)という意味で、これから罰が与えられるかもしれないライダーに付けられる。灰色で三角形のビックリマーク(!)は「走路外走行をすでに3回行っている」ということを表している[11]。黄色で丸いビックリマーク(!)は、その選手に何らかの罰が与えられることを表していて、ロングラップ・ペナルティ(long lap penalty)という罰を与えられることが多い[12]。
レースが終わると、ライダーに対して順位ごとにポイントが与えられる。16位以下のライダーにはポイントが与えられない。1位から3位までのライダーは表彰式に呼ばれ、トロフィーやスパークリングワインを渡され[13]、シャンパンファイトをする。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 11位 | 12位 | 13位 | 14位 | 15位 | |
ポイント | 25 | 20 | 16 | 13 | 11 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
年間を通して最も多くポイントを獲得したライダーがチャンピオンになる。
テレビ放送の英語字幕
MotoGPのテレビ放送では画面の下に英語で字幕が流されることがある(画像)。代表的な英語文章を紹介しておく。ちなみに医療関係の字幕についてはクリニカ・モビレの記事の末尾にて紹介されている。
【事故や違反】
Session red-flagged due to oil spillage at Turn 2 2コーナーのオイル流出で赤旗中断
incident 事故。転倒(crash)を婉曲的に表現するもの
illegal manoeuvre 違反の操縦(マヌーヴァ)
not respecting the black flag with orange disk オレンジボール旗(マシンが壊れたライダーに出される旗で、ピットインやコースアウトを勧告するもの)を尊重しなかった
ignored pit in window (バイクの操作パネルに表示される)ピットインの指示を無視した
【調査中】
#93 Marquez's overtake over #26 Pedrosa is currently under investigation #93が#26を抜いたことは現在調査中
incident involving #93 Marquez and #26 Pedrosa currently under investigation #93と#26の接触は現在調査中
incident involving #93 Marquez and #26 Pedrosa to be reviewed after the race #93と#26の接触はレース後調査される
【処分】
#28 Guevara to be dropped 3 position #28は順位を3つ降格
#28 Guevara to be demoted one position #28は順位を1つ降格
#20 Quartararo to be disqualified from race due to technical infringement #20は失格。技術的違反のため
Lap time cancelled for rider #46 Rossi due to exceeding track limit at Turn 6 #46はラップタイムの取り消し。6コーナーにおける走路外走行を行ったため。
【処分せず】
No futher action taken after reviewing incident involving #71 Sasaki and #40 Binder #71と#40の事故を見直した後の判断として、追加の処置(futher action)が行われない。お咎め無し。
【競技における指示】
All rider mandatory bike swap 全てのライダーは、バイク乗り換えを強制的に課される
white flag:All Riders are now allowed to swap bikes 白旗が掲示された。全てのライダーはバイク乗り換えを現時点で許可されている
All rider eligible for restart 全てのライダーは、再スタートに参加する資格がある
【その他】
日本におけるMotoGPクラスの決勝開始時刻
MotoGPの各種イベントの中でもっとも人気を集めるのはMotoGPクラスの決勝である。MotoGPがどこで開催されているかで日本におけるMotoGPクラスの決勝開始時刻が変わる。
ヨーロッパラウンド
MotoGPで最も多いのがヨーロッパラウンドで、そのヨーロッパラウンドの中で最も多いのは中央ヨーロッパ時間の諸国である。その諸国は3月最終日曜日から10月最終日曜日までサマータイムを導入していて、日本との時差が7時間である[14]。
3月最終日曜日から10月最終日曜日までの期間で「中央ヨーロッパ時間諸国の14時開始のMotoGP決勝」を日本で観戦すると21時開始になるので、日本のMotoGP観戦者はとても恵まれた時間帯で観戦できる[15]。
イギリスやポルトガルという西ヨーロッパ時間の諸国でMotoGPを開催することがある。西ヨーロッパ時間諸国は中央ヨーロッパ時間諸国よりも1時間の時差があり、1時間遅れている。「いつもの時間にMotoGPクラス決勝を開催しよう」という運営の思惑が働き、「Moto3クラス→MotoGPクラス→Moto2クラス」の順で決勝が行われ、現地におけるMotoGPクラス決勝の開始時刻が早められることがある。
オーストラリアと東南アジア
オーストラリアや東南アジアでMotoGPが開催されるときは、日本との時差が非常に少ない。現地時間14時にMotoGPクラス決勝を開始する場合、日本時間で15時とか16時にMotoGPクラス決勝が放映される。
「ヨーロッパラウンドのつもりで夕方からMotoGPを見ようとしたが、オーストラリア開催(東南アジア開催)なのですでにレースが終わっていて、愕然とした」というのは、日本のMotoGPファンなら一度は経験することである。
中東のカタール
中東のカタールでMotoGPが行われることがある。ここでのMotoGPクラス決勝開始時刻はしばしば変更されているが、2021年は現地時間20時で、2022年は現地時間18時だった。
日本でのMotoGPクラス決勝開始時刻は2021年なら深夜2時で、2022年なら深夜0時である。リアタイ(リアルタイム)観戦は、体にキツい。
南北アメリカ
南アメリカや北アメリカでMotoGPが行われることがある。これらの大陸でのMotoGPクラス決勝開始時刻は、現地時間14時あたりである。
現地時間14時にMotoGP決勝が開始する場合、日本でのMotoGPクラス決勝開始時刻は、アルゼンチンGPなら深夜2時、サマータイム期間内のアメリカズGP(テキサス州)なら深夜4時、サマータイム期間外のアメリカズGP(テキサス州)なら深夜5時になる。
これは実にキツい。「アメリカ大陸で開催されるときは、リアタイ(リアルタイム)観戦するかどうか悩む。リアタイ観戦するときは翌日の会社を休む」と語るMotoGPファンが多い。
関連動画
関連静画
関連リンク
関連項目
参戦メーカー、ワークスチーム、プライベートチーム
- MarcVDS (Moto2に参戦するチーム)
- Team Monlau (Moto3に参戦するチーム)
- グレッシーニレーシング (MotoGP、Moto2、Moto3に参戦するチーム)
- アジョ・モータースポーツ (Moto2、Moto3に参戦するチーム)
- イタルトランス (Moto2に参戦するチームのスポンサー企業)
- チームLCR (MotoGPに参戦するチーム)
- ミシュラン(MotoGP) (MotoGPクラスのタイヤを独占供給)
- KALEX (Moto2クラスのシャーシ製造企業)
- トライアンフ (Moto2クラスの共通エンジン製造企業)
- アルパインスターズ (レーシングスーツ製造企業)
- ダイネーゼ (レーシングスーツ製造企業)
- SHOEI (ヘルメット製造企業)
- Arai (ヘルメット製造企業)
- HJC (ヘルメット製造企業)
技術
- エンジン(MotoGP)
- オープンクラス(MotoGP) (2014年以降のMotoGPクラスに導入された参戦形態)
- ブレーキ(MotoGP)
- サスペンション(MotoGP)
- 空力パーツ(MotoGP)
- スプーン(MotoGP) (2019年シーズン初頭に大騒動を巻き起こした部品)
- タイヤ(MotoGP)
- クルーチーフ(MotoGP) (MotoGPの車両整備の最高責任者)
操縦方法
- スリップストリーム(MotoGP)
- 後追い走法(MotoGP)
- カウンターステア (MotoGPでもしばしば見られる走行テクニック)
天候とレース規則
- 風(MotoGP)
- 猛暑(MotoGP)
- ヘビーウェット(MotoGP)
- ハーフウェット(MotoGP)
- 旗(MotoGP)
- スタート(MotoGP)
- 重量制限(MotoGP)
- アンチドーピング(MotoGP)
- ワイルドカード(MotoGP)
運営組織
- FIM(国際モーターサイクリズム連盟) (MotoGPを統轄する団体)
- IRTA(国際ロードレーシングチーム協会) (MotoGPに参戦するチームの意見を集約する団体)
- ドルナ (MotoGPを運営する団体)
- クリニカ・モビレ (MotoGPに帯同する移動診療車。2022年をもって退役し、2023年からはキロン・プレヴェンシオンが後継となった)
ニュースサイト
- MotoGP公式サイト
- Motorsport.com
- Crash.net
- GPOne
- SPEEDWEEK
- マニュエル・ペチーノ (スペイン人ジャーナリスト)
- マット・オクスリー (イギリス人ジャーナリスト)
その他
脚注
- *オートバイのレースは「アスファルトで舗装された路面を走る競技」と、「土などの未舗装路面を走る競技」と、「アスファルトで舗装された路面と土などの未舗装路面の両方を走る競技」の3つに大別される。
アスファルトで舗装された路面を走る競技・・・MotoGP、スーパーバイク世界選手権、鈴鹿8耐など
土などの未舗装路面を走る競技・・・モトクロス、ダートトラック、トライアル
舗装路面と未舗装路面の両方を走る競技・・・スーパーモタード
「アスファルトで舗装された路面を走る競技」のことをロードレース(road race)とかロード(road)と呼ぶのだが、この競技が最も高い人気を持っている。
「アスファルトで舗装された路面を走る競技」は、レースの距離によって短距離レースと長距離レースに分類できる。
短距離・・・MotoGP、スーパーバイク世界選手権(どちらも45分ぐらいで終わる)
長距離・・・鈴鹿8耐、ル・マン24時間耐久レース・オートバイ版
- *ジーノ・ボルゾイは元125ccクラスライダーで、1998年にジョホールサーキットで行われたマレーシアGPで、コブラを轢いた(動画)。そのため、あだ名がコブラになり、コブラのステッカーを貼るようになった(記事)
- *フォンシ・ニエトは軽排気量クラスで13回のチャンピオンを獲得したアンヘル・ニエトの甥である。2002年はMotoGP250ccクラスでランキング2位になった(記事)。
- *ダコタ・マモラはMotoGPの500ccクラスでランキング2位を4回記録したランディ・マモラの息子である。ライダーを引退した後はカル・クラッチローの世話役となっていた。
- *WGP時代の2001年にも500ccクラスのタイトル獲得
- *MotoGPクラスは2013年から金曜日のP1・P2と土曜日のP3の結果で予選のQ1行きかQ2行きかを振り分けるQ1・Q2方式を採用した。そのため各ライダーが「P1で速いタイムを出しておくと、P2やP3で雨が降って全てのライダーのタイムが遅くなったときにQ2直行が確定する。ゆえにP1から必死に走ってタイムを出しておこう」と考えるようになった。このためP1~P3が真剣勝負の場になった。
2012年以前はP1~P3をゆっくり走ってもよく、P1~P3で新規部品をテストする余裕があった。2013年以降はP1~P3で新規部品をテストする余裕がなくなってしまった(記事)。2023年第8戦以前のMotoGPクラスでは「P1~P3の結果でQ1行きかQ2行きかを振り分けるのはやめてほしい。せめてP3だけの結果でQ1行きかQ2行きかを振り分けてほしい。そうすればP1やP2で新規部品のテストなどができる」という趣旨の主張をするライダーもいた(記事1、記事2)。
こうした声に押され、2023年第9戦から「金曜日午後のPの結果だけでQ1行きかQ2行きかを振り分ける」という制度が導入された。 - *英語での正式な名称はcombined practice timesであり(資料)、「複数の練習走行のタイムを統合したタイム」という意味である。しかし日テレG+は「コンバインドタイム」という略称で呼んでいる。このため本記事では「コンバインドタイム」と表記した。
- *ルールに従って1周を走りきると4つの区間タイムがすべて有効となる。いくら速い区間タイムを計測していても、まだ1周走りきっていないのならその区間タイムは有効にならない。いくら速い区間タイムを計測していても、1周走りきる前にコースをはみ出すとルールを破ったことになりその区間タイムは有効にならない。
- *正式名称はウォームアップ(warm up)であるが(資料)、MotoGPの運営は「morning warm up」と呼ぶことが多く(資料)、日テレG+も「今朝のウォームアップ」「朝のウォームアップ」と呼ぶことが多い。これはなぜかというと、「タイヤやブレーキを温めるため決勝レースの直前に1周だけ行われるウォームアップラップ(動画)」と混同しないようにするためである。どちらもウォームアップという表現を使っているのでややこしい。
- *日曜日朝のウォームアップは、土曜日の予選で転倒したライダーにとって、マシンの修復の度合いを把握するため非常に重要である。また、大幅な向上を狙って土曜日の夜にマシンのセッティングの大幅変更を行うこともあり、そういうライダーにとってマシンの組みあがりの度合いを把握するため非常に重要である。2023年の開幕戦のポルトガルGPにおいて、日曜日朝のウォームアップを剥奪されたMoto2クラスやMoto3クラスのライダーたちは、決勝直前のサイティングラップをいつになく真剣に走り、マシンの組みあがりを把握しようとしていた。
- *シマシマの模様の縁石(ゼブラゾーン)までがトラックリミット(track limit)で、シマシマの模様の縁石を超えて単色に塗装された路面にタイヤが乗り出すと(画像)、走路外走行(exceeding track limit)と判定される。単色に塗装された部分にはセンサーを埋め込んであり、走路外走行を確実に検知している。走路外走行を合計3回行うとトラックリミットワーニング(track limit warning)が出される。走路外走行を合計5回行うとロングラップ・ペナルティという罰が与えられる。ちなみに最終周は特に走路外走行に対して厳しくなり、最終周(last lap)において走路外走行を1回でも行うと、それだけで「順位を1つ降格(demoted one position)」という罰が与えられる(画像1、画像2)。「ラスト2周までまったく走路外走行を行わず、最終周に1回だけ走路外走行を行った」というライダーにもそういう罰が与えられる。
- *ロングラップ・ペナルティとは、サーキットの中のどこか1つのコーナーの外側に大回りの道を用意して、その道を通ることを強制する罰である(動画1、動画2、記事)。ロングラップ・ペナルティ1回につき3秒~5秒ほどの遅れが生じる。ちなみに、ロングラップ・ペナルティの道はほとんど誰も走行しておらず、タイヤ痕が付いていなくてホコリが溜まっていて滑りやすい。ロングラップ・ペナルティを消化しようとしたら転倒してしまったライダーがいるほどであり(動画)、慎重に走らなければならない。
- *ちなみにドルナは選手の母国における飲酒可能年齢をちゃんと把握しており、母国政府が定めた飲酒可能年齢に達していないライダーにはスパークリングワインを渡さない。そのためそういうライダーはシャンパンファイトに参加できず手持ち無沙汰になる(この動画の一番右の選手)。日本の飲酒可能年齢はご存じのように20歳だが、スペインとイタリアは18歳である。
- *2021年をもってEU諸国のサマータイムが廃止されることが2019年3月26日の欧州議会で可決された(記事)。ただし、実際に各国でサマータイムを廃止するには各国の議会で議決する必要がある。2022年4月の時点で各国議会での議決が進んでおらず、相変わらずEU諸国でサマータイムが導入されている(記事)。「決められない政治」の典型例となっている。
- *ちなみに近年では東南アジアでのMotoGP人気が上昇しているが、3月最終日曜日から10月最終日曜日までの期間で「中央ヨーロッパ時間諸国の14時開始のMotoGP決勝」を東南アジアで観戦するときは19時開始となり、日本と同じぐらいに恵まれた時間帯といえる。
一方、いつまでたってもアメリカ合衆国でMotoGPの人気が盛り上がらないが、3月最終日曜日から10月最終日曜日までの期間で「中央ヨーロッパ時間諸国の14時開始のMotoGP決勝」を米国東海岸で観戦するときは朝8時開始、米国西海岸で観戦するときは朝5時開始になり、観戦に恵まれた時間帯とは言えない。