人工知能はDeepSeekに続け!中国で過熱するAI教育、“国産”人材輩出に企業も親も躍起に(Wedge ONLINE)
メディアでこうした経歴が披露されると、中国の保護者たちは沸き上がった。SNSには「彼はアメリカ留学組ではないのか。国内で学んだだけでここまですごいことができたとはすばらしい。中国の宝だ」「こんな逸材がいたなんて、やはり、我々はアメリカに負けていない」といった意見がさかんに飛び交った。
梁氏の会社の主要メンバーである羅福莉氏も1995年生まれ、四川省の田舎出身で、北京大学大学院で修士号を取得した「天才少女」と呼ばれた女性だが、留学は未経験者だ。2人に共通するのは地方出身であること、そして、学歴は高いものの、それほど恵まれた環境で育ったわけではないという、たたき上げの人物であることだ。こうした経歴が、アメリカにライバル意識を持つ人々を喜ばせた。
先月は"DeepSeek"という中国企業開発のAIが話題を呼びました。私の勤務先でも速やかに使用禁止令が通達されるなど、日米欧各国からは少なからぬ驚異と見なされていることが分かります。かつてのHuaweiがそうであったように、品質や性能面で欧米製品を上回れば上回るほど政治的な排除は強まるところですが、その結果は何をもたらすのでしょうか。確かにHuawei製品は日米欧のスマートフォン市場からは一掃されたかも知れません。にもかかわらずHuawei社自体は確実に成長し独自の製品開発も続いているわけです。
中国への半導体及び関連製品の禁輸措置は強まるばかりであり、日本もまた忠実にアメリカの指令に従っています。最先端の半導体を中国の研究者や企業は手にすることが出来なくなったはずですが──その結果として中国は独自の技術研究を推し進め、ついには半導体の性能面での不利を覆しかねない技術を実現させつつあります。振り返れば日本も世界第二位の超大国であった当時はアメリカから諸々の圧力もかけられました。そこで日本と中国は別々の対応を選んだわけですが、綺麗に明暗が分かれたと言えるでしょうか。
ともすると日本の大学は母国語ではなく英語で授業をやっているのが自慢、まるで英会話学校のようなカリキュラムを誇り、教育よりも語学留学の斡旋に力を入れているような類いが幅を利かせるようになりました。宗主国で認められているかどうかこそが成功の尺度であり、MLBでは散々な成績でも元メジャーリーガーとして「メジャー挑戦」前よりも高額の年俸を勝ち取る野球選手の存在も今となっては当たり前です。一方の中国では留学組ではなく国内大学の出身者が欧米から脅威と見なされる成果を上げているところで、これは率直に羨むほかありません。
教授言語の母国語化は独立国であるための必須要件で、これを達成できない即ち宗主国の言語でしか高等教育が行えない国というのはどうしても、教育が語学のハードルをクリアした一部の人間だけの特権となり研究水準を底上げできない、宗主国のおこぼれに預かるばかりの国となってしまいます。日本も近代化にあたって外国の概念を日本語に落とし込む先人の営為が続いて今に至るのですが、近年は逆に教授言語の英語化が推し進められ日本語の拡張も行われなくなりました。今や何か新しい概念が国外で生まれてもそれは新たな日本語として落とし込まれることはなく、カタカナ英語として箔を付けるのに使われるだけ、文理双方の分野で日本の教育は退行を見せていると言わざるを得ません。
国公立大理系でも定員満たず全員合格 高校生に支持が広がらない「女子枠」の理想と現実(産経新聞)
女子枠は、出願者を女子に限定した入試制度で、主に理工系学部の総合型・学校推薦型選抜で行われている。大学によって志願動向に大きな差があるといい、人気の大学もある半面、志願者が募集人数に満たないケースや志願者が全員合格というケースもあるという。
24年入試の女子枠では、東北工業大で募集人員17人に対し志願者ゼロ。国公立でも琉球大工学部で募集人員20人に対し志願者数は2人で合格者が2人、北見工業大工学部で募集人員16人に対し志願者は13人で全員合格だったという。
そんな我が国では女性の活躍に期待するというのが既定路線として続いてきたのですが、いかがなものでしょうか。医学部では学力試験で女性の受験者が優位に立つ傾向が見られ裏で調整があったり等々と問題になった一方、医学部以外の理系学部に女性はあまり興味を見出していないようです。医学部入試で合格点をとれるならば他の学部なんて余裕、わざわざ下駄を履かせる必要もないと言えますけれど、しかるに女性限定の特別枠を設けてもなお女性の志願者は集まらず定員割れすら起こっている有様とのこと、代わりに排除された男性受験者からの憤りが強まるとしても致し方ないところでしょう。
理工系の「女子枠」が拡大しても“やっぱり受験しない”と決めた女性たちのリアルな本音 「ほぼ男子大学はイヤ」「女が行っても仕方がないと親に刷り込まれて」(マネーポストWEB)
Aさん(神奈川県/20代)は、工学部に行った姉の姿を見て、自身は別の学部に進学を決めたという。
「2つ年上の姉が地元の大学の工学部に進学しました。姉を見ていると、工学部は、大学生活で“損”をする気がしたんです」
なぜ、大学生活が“損”になるのか。これは個人の考え方に大きく関わる部分だが、Aさんは「大学ではそこそこ遊びたかったから」だと本音を明かす。
「姉は、入学当初はメイクもおしゃれも頑張って通っていたみたいですが、夏休みが明けてからはほぼすっぴん、普段着に変わっていきました。聞くと『おしゃれをしても見せる相手がいないし、必修も多くて化粧や服装にこだわっている時間はない』とのこと。理系はどこも忙しいとは聞きますが、姉は『工学部はもはや“男子大学”だし、女子扱いされない』と言っていたので、それは嫌だなと思って、工学部は選択肢に入りませんでした」(Aさん)
医学部入試で女性受験者の方が高得点と言うからには、その気にさえなれば女性が理工系の学部入試を突破するのは簡単なはずです。後は女性側の気持ちの問題ですね。大学で学んで専門家になるよりも、メイクもおしゃれも頑張る人間が理想の自分であるならば、それはもうどうしようもないでしょう。大学を勉強する場所ではなくメイクやおしゃれを楽しむキラキラした場所に作り替えることで女性の志願者は増えるとしても、今度は教育が意味を失うだけの話です。国として教育水準を引き上げようとするのなら、女性の方を変えなければなりません。
一方でイスラム教が支配的な国の中には理工系の進学者に占める女性比率が高いところもあったりします。とりわけイランは女性の方が進学率が高い、一時は理工系の学部で女性が70%に達したとも伝えられるところです。日本では専ら、イランは女性が抑圧される世界と報じられてきました。しかるにイランでは日本の女性が望むような代物が制限されている一方で、むしろ学問の世界では日本よりも社会規範による矯正が少ない、男だから、女だからという理由で学部選択にバイアスがかかることが少ないのだとも考えられます。
イランもまたアメリカに長らく敵視され中国のそれよりもずっと重い制裁を科されてきた、日本も少なからずそこに加担してきたわけです。そうしたなかでもイランは自国による技術開発に取り組み、アメリカやイスラエルにとって警戒を緩められない国であり続けています。もし中国やイランが日本のように宗主国べったりで、宗主国から睨まれれば自国による独自開発を捨て去るような国であったなら、今日の発展はなかったことでしょう。逆に日本が周回遅れでも再び成長の道に戻ろうとするのであれば、そこで見習うべき相手は宗主国ではなく、アメリカに立ち向かう独立国の方にあります。