入門書がお好きということでしたら、新書(講談社現代新書やちくま新書など)の類は大体読んでおられるのでしょうか。だとすれば以下はほとんど既に知っておられるかも知れませんが、取り合えず解説本を中心に。
ちくま新書から出ている「ニーチェ入門」「カント入門」ほか、哲学者の解説本シリーズがあります。それぞれによって難しさも異なりますが、「ニーチェ入門」は竹田青嗣さん、「カント入門」は石川文洋さんがそれぞれ出来る限りかみ砕いて解説しています。他に同じ新書から、笹川豊「自分の頭で考える倫理」が、これは倫理思想に注目しながら、カント・ヘーゲル・ニーチェを論じています。具体的な例や哲学者の生き方の紹介もあって、私は面白く読みました。
また、PHP新書から少し前に堀川哲著「エピソードで読む西洋哲学史」が出ましたが、西洋哲学史全体を哲学者の人生などを交えつつ非常にかみ砕いて解説した、とっかかりとしてはそれなりに役に立つ書物が出ています。読み物としても面白いと思います。その他、コンパクトな新書類では哲学入門や解説書の類がたくさんありますので、探してみるのが良いでしょう。古い岩波新書なんかにも結構良いものがあります。
また、講談社学術文庫から岩崎武雄著「哲学のすすめ」「正しく考えるために」が出ていますが、平明な文体でありながらさすが侮りがたい内容です。岩崎さんはカント学者ですから、カントがお好きならその著書は読んでおいても損はないかと思います。
ニーチェでは上にあげた竹田さんの本の他に、湯山光俊「はじめて読むニーチェ」はドゥルーズのニーチェ理解を下敷きにしているのですが、個人的になかなか面白い内容でした。人生論的な観点では西尾幹二「ニーチェとの対話」があります。
単行本ではポール・ストラザーンの「90分でわかるカント」などの90分哲学者シリーズがありますが、これは哲学解説書というよりは評伝のような感じです。といっても各哲学者の思想にもちゃんと言及していますし、読み物として大変面白いと思います。また、マイケル・マクローン「西洋思想」はコンパクトな一冊ながら、西洋思想の重要な項目をことごとく平明洒脱な語り口で解説した便利な本です。レベルとしては大体高校倫理にプラスアルファといったくらいで哲学初学者にはありがたい本だと思います。
解説書というよりも、最近の哲学者が過去の哲学者達の説を紹介したり踏まえたりしながら自身の思想を述べた本もたくさんありますが、これは各人好みもありますので紹介は難しい。
受け入れていただけるかどうかは判りませんが、アンドレ・コント・スポンヴィルの「哲学はこんなふうに」は個人的お勧めです。語り口も平明ですし、過去の哲学者たちの考え方をよく消化して思索に取り入れています。私たちの生きてゆく上での課題や身の回りのことを思索の対象としていますので、いきなり抽象的なテーマから入ってゆくよりはずっと取っつきやすいと思います。
あと、多少チープな感じになってしまいますが「この一冊で哲学がわかる!」みたいな題名をつけた本が結構ありますので、それを読んでみるのも一手です。専門外の人が何もかも解説しようとして学説を単純化しすぎたり、判りやすくしようとするあまり浅薄化・歪曲してしまったりすることもしばしばですが、初歩的なガイダンスには良いと思います。気になった哲学者がいたら、その関係書籍を探して読んでみれば良いでしょう。
他にも探せばたくさん良書があるでしょうが、長くなりましたのであとは他の回答者の方にお任せします。お役に立てたかどうか判りませんが、焦らず探してみてください。
お礼
いろいろ紹介して頂きありがとうございます。紹介して頂いた本をこれから読破していこと思います。ありがとうございました。