>株式会社で取締役会についてですが、通常役員と監査員の全員が参加して行われると思いますが、参加しない役員の認証なしで開いた場合の決定事項は効力があるのでしょうか?
取締役会の招集権者が出席義務のある役員全員に対して、適法な取締役会招集の手続をなし、かつ、定足数を満たせば、有効な議決をすることができます。
取締役の一部に招集の通知をしなかったような場合は、通知を受けなかった取締役もその取締役会に出席して、かつ、異議を述べなければ別ですが、そうでなければ取締役会決議は原則として無効です。もっとも、通知を受けなかった取締役が欠席した場合でも、仮にその取締役が出席したとしても、決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情がある場合は、取締役会決議は有効となるという判例があります。
>また、代表取締役が役員会を開かずに独断で行った借り入れは役員にも責任はあるのでしょうか?
具体的な状況によります。仮に借入行為自体に役員の責任がないとしても、是正措置を講じる必要があります。例えば、取締役会で代表取締役への責任追及をしたり、業務監査権を有する監査役がいる場合は、その監査役への報告等をする必要があります。これらを怠れば、任務懈怠になり得ます。
(招集手続)
第三百六十八条 取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
会社法
(取締役の報告義務)
第三百五十七条 取締役は、株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならない。
2 監査役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、「監査役会」とする。
(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
5 大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。
(取締役会の決議)
第三百六十九条 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5 取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。