
あなたが「撤退」を決めたきっかけは? 行ける・行けないを決める11の理由とは
これまでの山行で、やむなく撤退をしたことはありますか? 撤退の判断に至るには、天候や体調など様々な要因が考えられますが、みんなが撤退を決めた理由は何なのでしょうか。今回は、登山の記録を共有できるコミュニティサイト「ヤマレコ」ユーザーの体験談と共に、撤退のきっかけをご紹介します。また、安全登山を考える上で役立つ本もピックアップしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
2020/09/22 更新
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目次
みんなが「撤退」を決めた理由はなに?
登山を長年経験していると、1度は経験したことがあるであろう『やむなき撤退』。様々な状況があると思いますが、みんなが撤退を決めた理由はどんなことなのでしょうか。今回は、登山の記録を共有できるコミュニティサイト「ヤマレコ」ユーザーの体験談から、撤退を決断する11の理由を見ていきましょう。
撤退理由で1番多い!? 残念だけど悪天候…
撤退理由で最も多いのは、雨や霧、風、雷などによる「悪天候」です。そのうち落ち着くかなと期待したけれど、状況は悪化。身の危険を感じて、やむなく撤退…となった経験者が多いようです。また、気象要因はいくつもが重なって襲ってくる場合も多いため、早めに撤退を決断することも大切です。
【1】雨・霧
『雨霧』で地蔵ケ岳のみで撤退(鳳凰三山)
それにしても1日雨、そして凄いガス。雨の日の登山も嫌いではないが、今日ほどしつこいとさすがに山行意欲が失せる。すっきりと晴れていれば、もっとペースが上がったと思う。本当は絶景を満喫できるコース。次回は晴天の日を狙ってリベンジだ。 by JiroDaiさん
【2】風
『爆風』のため撤退(稲子湯~硫黄岳~箕冠山)
稲子湯からしらびそ温泉~本沢温泉を経由して硫黄岳~根石岳~天狗岳を縦走しよう。というのが今回の企画でしたが、根石岳手前の鞍部で爆風により撤退。初めて体験するレベルの風でした。 by katsukatyさん
【3】雷
『雷』が目の前に落ち一時撤退(常念岳~蝶ヶ岳)
道中雹が降り始め、痛みを感じるほどです。常念岳登頂したとき、上高地方面から雷の音が。だんだん近づいてくる。頂上にある鉄線が雷の影響か振動している。横尾の谷間に落雷が。一目散に逃げだしました。前かがみになり、ストックもたたみ降ります。
少しせり出た岩陰あったので避難しましたが、スマホで調べると安全ではないとわかりました。近くで落雷と爆音。あとはもう祈りながら降りるだけです。小屋に着いたときは生きてて良かったとそれだけです。手足も震え、知らないうちに擦り傷できてました。 by ksm2301さん
【4】雪
天気は良いが『猛吹雪』だったため撤退(旭岳)
天気は良いのに結構荒れました。朝早くから登りましたが、早朝から昼ぐらいまでは吹雪が続き、自分は撤退しました。 by Yajnavalkyaさん
【5】ホワイトアウト
千畳敷カールを超えたけど『ホワイトアウト』で撤退(木曽駒ケ岳)
残念ですが頂上小屋を目前に撤退。ホワイトアウトでほとんど見えません。良い経験になりました。サングラス、ゴーグルの凍結対策。呼吸のし易いバラクラバが必要だと体感できました。 by ashshelljpさん
山行記録/ashshelljpさん
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登山道の状況が! こりゃ危険だ…
悪天候の日が続いた後は、登山道の状況が良くないこともしばしば。台風後は倒木や崩壊の危険があります。雪山の雪庇やクレバスのようにみんなが意識しやすい危険もあれば、天候の変わりやすい春の山で起こりやすい雪崩のように目に見えにくい危険も潜んでいます。気象情報や雪崩情報、山小屋などから発信される登山道の状況も事前に確認してみましょう。
【6】登山道の状態
お気楽ハイクと思ったら『危険度MAX』で撤退(湯殿山 南西尾根)
初めは緩やかな登りで高度が上がると大雪原が広がり、こりゃ簡単に登れそうと思っていた。しかし尾根が徐々に狭まってくると状況は一変。大きな雪庇が崩れクラックが覗いていた。尾根筋をそのまま登ろう考えたが、雪の付き方がいやらしい、登れそうで登れない。尾根の雪は薄く足元はスカスカ、これでは進めそうにない。崩れた雪庇に移動して巻いたりもしたが、この先もう暫くこの状態が続きそう。 これは無理と判断、撤退を決めた。 by manimaniさん
山行記録/manimaniさん
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あ、持ってこなかった! 装備が足りない…
「うっかり雨具を忘れた…」「登ってみたら、アイゼンが必要だった…」など、装備が足りずに撤退を余儀なくされた経験者もいます。志半ばで退いた経験談から、「装備には、余念なく!」という教訓が得られますよ。
【7】装備不足
『装備不十分』につき力尽き撤退(念丈岳)
雪はある程度ある事は知っていましたが、大島山から烏帽子の間で足首程度なら、トレランシューズでも十分対応できると考えていました。 ところが全く甘かった。本高森山で積雪20㎝くらいあり、しかもそこを超えると一気に積雪が増えたのです。大島山を越えた頃には膝上ラッセルになり、ワカンやスノシューがない事より、失敗したのはトレランシューズでした。いくらゲイター付きのウインターランニング用とはいえ、長時間のラッセルには耐えれるはずもなく、モンスター達に道を阻まれた時には、あっさり撤退を決意出来ました。 by rupmoさん
山行記録/rupmoさん
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思わぬ誤算!? タイムオーバー…
予想以上の積雪量や急登によって行く手を阻まれ、大幅に時間をオーバー。やむ終えず、途中で引き返す羽目になることもあります。思わぬ誤算にショックを受けないためにも、事前の情報収集・登山計画は念入りに!
【8】時間切れ
『時間切れ』途中で撤退(将棊頭山)
残念ながら山頂まで、いえ胸突八丁の頭までも到達できずに時間切れで撤退でした。力不足ですねえ(/ω\)
この日初めてワカンを使ったのですが、家で2度ほど試し履きした際、アイゼンを装着した上にワカンをつけると固定する紐の長さがぎりぎりになってしまうことは確認済みでした。いざ現地で厚い手袋で作業すると、とても紐が届きません。インナー手袋の下の薄い手袋のみで紐を元からきっっっっちりと詰めて行くように作業してようやくワカンを装着できましたが、帰ってからログを確認すると40分ほどもその場に留まっていたようです。窮屈な姿勢で作業してると腰は痛くなるし、ワカン装着できずに諦めて撤退なんていうことも頭に浮かぶ始末でした。
残念で悔しい気持ち引きずっていましたが、この記録を整理して少し学ぶことがあったと思い返しているところです。家に帰ってからワカンの装着用の紐を少し調整してみました。 by QuincyBowさん
山行記録/QuincyBowさん
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こんなはずではなかったのだが、元気が出ない…
体調不良やケガは、撤退の要因になります。体調管理が不十分だったり疲労が溜まっていると、ケガをしたりバテてしまうことも。十分なパフォーマンスを発揮するためにも、身体のメンテナンスは重要です。
【9】疲労
新雪の『ラッセル疲れ』で途中撤退(不忘山)
久々の登山で、身体がなまってしまっているかなと心配でした。しかも結構な新雪のラッセルを進むのは初めてでしたが、よく頑張ったと思います。 山頂まで行きたかったのですが、ラッセルに時間がかかりこの分では下山の時間が遅くなると思い止めました。もう一人男性の仲間がいれば交換でラッセル頑張れたのかな~。 トレースがあるというのはとても楽なんだと改めて思いました。 by moontopazさん
【10】体調不良
『体調不良』で出合小屋で撤退(赤岳 ツルネ東陵からキレット越え)
どうにもお腹の調子が冴えず、ほとんど行動食も受け付けず、かろうじてハイドレーションで水分だけは摂りながら、これではシャリバテになると思いつつペースが上がらないまま、軽いラッセルとは言え、4時間掛けてやっとのことで出会小屋にたどり着きました。
相変わらずまるで食事が喉を通らず、さすがにこれ以上エネルギー補給が出来なければ動けなくなる可能性があるし、そもそもこれから待ち受ける核心部での踏ん張りが効かなくなる気危険性が高いと考えて、このまま撤退を決意しつつ、明るくなるまで寝たり起きたりを繰り返していました。体調管理の重要性を身をもって知らされた山行でした。 by uztさん
【11】ケガ
『ケガ』して撤退(大山)
駒鳥小屋への道で事故は起きてしまいました。 ここは苔むした石ばかりの枯れ沢のような道。 先々週にも歩いてるので記憶に新しく、滑ることもわかっていました。 滑落というようなものでなく、ちょっと腰を落とした状態で一、二段ズルッといった程度のことでした。 相方が、前かがみになった時にザックが重みで重心が頭の方へいったようです。
コンと打っただけでしたが、出血してしまいました。 こんなに!?という出血量。あわててタオル・ガーゼで圧迫止血。頭部のケガなので心配していたのですが、 しばらくしても相方の様子に悪い兆候は見られなかったので、自力下山することに決めました。 by fli-flaさん
山行記録/fli-flaさん
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今一度、安全登山について考えよう!
登山をする上で、緊急事態に遭遇した際の対処法を知っているのと知らないのとでは結果に大きな差が生まれます。 大自然の中では教科書通りにはいかないことも多いですが、安全登山について考える時間も大切ではないでしょうか。ここでは、おすすめの本をご紹介します。
事前の準備は万全に!撤退経験から大きな学びあり!
みなさん様々な理由での撤退経験をされていることが分かりました。山頂を踏むことはできずとも、大事に至らず無事に下山できたことが何よりです。身の危険を感じたら、迷わず撤退することも大切。しかしながら、多くの経験談から、回避できる要因が多いことにも気づいたのではないでしょうか。準備不足によって、せっかくの計画を途中で諦めるのは悔しいですよね。山行を安全に、そして楽しく成し遂げるために、事前の準備は万全にしておきましょう。
また、万一のときの状況判断や対処法、それを実行できる知識や技術の習得など、山との向き合い方を日頃から考えておくことも必要ではないでしょうか。