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2025-01-30

5090パソコン工房事変の記録と考察

1月30日午後11時、NVIDIAの新GPU、RTX5090/5080シリーズが発売される。

世界的に品薄が懸念されるこの商品争奪戦が予想されたが、東京秋葉原パソコン用品店「パソコン工房」でも混乱が起きた。抽選開始となった15時には、近隣の幼稚園に柵を乗り越え侵入する者が現れ、怒号が飛び交うなど、現場は騒然とした状態に。15時20分ごろにはパトカー現場に到着する事態となった。これを受け、パソコン工房は、16時から予定していた5080シリーズ抽選販売を中止。今後の対応については未定だという。3110時に店頭での抽選販売を予定していたソフマップは、ウェブ抽選への変更を発表。この事態を受けての対応とみられる。

まずは私が自分で見聞きしたこと及び店舗から公式情報に限って時系列事実関係をまとめ、その後、本案件について考察する。

<29日までの状況>

40シリーズなどの通例では、前日に販売方法等が各店舗から発表される。29日には、秋葉原PCパーツショップとしてツクモeXが早々に深夜販売をせず、ウェブによる抽選販売にすると発表。一方でドスパラソフマップアーク特に告知をしないまま、30日を迎えることとなった。問題となったパソコン工房では、「明日開店時以降に告知致します。」とXに投稿した。

<30日の状況>

10:45ごろ:現場到着。十字路に人が集まっている。店側が事前の列形成禁止していたため、なんとなく店の周りに人がいる状態しか店舗入り口脇に小さい列もできていた。

11:00:開店時間店舗スタッフ抽選販売概要が書かれた看板店舗前に設置。待機していた人が殺到した。店舗スタッフは「押すなよ」「並んでも確率変わんねーんだからよ」「写真を撮ったら散れ」など、乱暴な口調で対応していた。

11:00すぎ:抽選権が先着100名であるため、幼稚園前に行列形成される。

11:20ごろ:大通りに達するまでに行列が伸びる。店舗スタッフが出てきて、「15時前の列形成無効」と行列の人々を促し、解散させる。

〜〜

14:30ごろ:再び、店舗前十字路付近に人が集まり始める。列形成ポイント指定された幼稚園前の歩道で待機すると無効扱いとなるため、十字路近辺や、幼稚園かいの(株)メディセオ東京中央FLCあたりに人がたむろするようになる。周辺の影響を懸念してか、店舗スタッフ複数出てきて、場所をあけるよう要請しかし15時に向けて、急速に人が増えていく。ざっと見た目でも100は優に超える数であった。

15:00前:抽選時間を前に、現場は列形成地点となる歩道だけぽっかりと場所を開け、それ以外には人がひしめくという事態に。

15:00〜:抽選を開始する旨、スタッフ宣言をすると一気に列形成地点へと人がなだれこんだ。結果的に、禁止されていた事前列形成に限りなく近い位置にいた者が優位となった。「押すな」などの怒号が飛び交う、ちょっとしたパニック状態と言って良いだろう。幼稚園の柵を乗り越えて侵入する者も現れた。ガードレールから歩道内が列として認識され、横入りを防ぐためスタッフガードレール沿いを守る形に。その後、列先頭から抽選開始。

15:15ごろ:最後当選者が出て、抽選は終了。まだ多くの人が列内、列外にいたが、解散を命じられる。

15:20ごろ:現場パトカーが到着。

15:38:パソコン工房秋葉原パーツ館は公式Xにて、16時から予定されていた5080シリーズ抽選販売を中止すると発表。

16:59:ソフマップAKIBA パソコンデジタル館が公式Xにて、事前に発表していた31日の店頭抽選販売を、ウェブ抽選へ変更すると発表。

〜〜

考察

混乱の原因は、パソコン工房の販売方法と考えられる。

抽選販売にする最大のメリットは、早い者勝ちではないため、店舗へ人が同時に殺到するのを防げることにある。にもかかわらず、パソコン工房はその抽選権を先着100名と限定してしてしまった。さらに悪いことに、15時から先着100名と告知をしたことにより、11時の開店時点よりさらに多くの人を集める結果になった。

こうした方法をとった理由は、1.店舗オペレーション最適化 と2.適度なお祭り感の醸成にあると考えられる。1だけならば、ツクモのように完全ウェブ抽選で済む話であるしかし、店舗殺到しすぎてしまっては、オペレーションに支障をきたすだけでなく、今回実際に起こったように、トラブルの原因ともなる。

そこで、抽選時に人数を限定しつつ、即座に結果発表、そして事前会計、という流れを組むことにより、結果発表当選後のキャンセル処理、再度抽選などの手間を省略し、店舗オペレーションを円滑にし、さらお祭り感も醸成しようと考えたのだろう。

しか結果的には、100名という、需要よりはるかに少ない抽選しか用意しなかったため、混乱を引き起こすこととなってしまったわけだ。

<考えられた対策

では、店舗側はどのような対策をとるべきだったのだろうか。

まず、前述のようにトラブル回避けが目的ならば、深夜販売の有無にかかわらず、ウェブ抽選のみにすればそれで済む。店頭に人が来る諸効果を合わせて得ることが要件となる。

最も単純な方法は、時間指定抽選券を無限配布することだろう。例えば11時〜14時まで店頭にて抽選権を配布、15時に結果発表と告知すれば、多少の行列はできるだろうが、押し合いへし合いの大混乱は避けられたはずだ。この方法では、抽選結果発表及びキャンセルが出た場合の処理などが必要となるが、16時までに来店、などと条件をつけておけば最小限にできる。たった10枠の当選無駄にする人がそう多く出るとは思えない。

総論

今回の事態は、抽選券への需要を見誤った点が直接の原因と考えられる。(ここでは客のモラルに関してはスコープ外とする)

しかし、問題は朝の時点での人の集まり、及びその後の店舗前の状況を見れば、予測を超え100人では済まないと考え、急遽対応を変更することは、十分に可能だったと思われる。(実際に、昼の時点で懸念するXの投稿がある)

にもかかわらず、当初通りに進めたことが、混乱を招いたと言えるだろう。

また、顧客コミュニケーションの拙さも副次的な要因と考えられる。前夜のXでは、「明日開店時以降に告知致します。近隣住民のご迷惑になりますので、開店前にお並び頂かない様お願い申し上げます。※お並びになられても無効とさせて頂きます。」と投稿している。

この投稿では行列禁止しているだけで、早い者勝ち否定していないため、結果的に、早い者勝ちに備えて、開店前に人が殺到する状況を作ってしまっている。店舗スタッフが「並んでも確率変わんねーんだからよ」と乱暴な口調で説明していたが、その内容こそ、事前に知らせるべきものであり、「店舗に当日来させて」知らせるものではなかっただろう。

現場からは以上です。

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