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千賀滉大(せんが こうだい、1993年1月30日-)とは、愛知県出身のメジャーリーガー(投手)である。現在はニューヨーク・メッツに所属。
概要
ニューヨーク・メッツ #34 | |
---|---|
千賀滉大 | |
基本情報 | |
国籍 | 日本 |
出身地 | 愛知県蒲郡市 |
生年月日 | 1993年1月30日 |
身長 体重 |
187cm 89kg |
選手情報 | |
投球・打撃 | 右投左打 |
守備位置 | 投手 |
プロ入り | 2010年育成ドラフト4位 |
経歴 | |
国際大会 | |
代表チーム | 日本 |
WBC | 2017年 |
五輪 | 2021年 |
メジャーリーガーテンプレート |
地元の蒲郡高校に進んでから投手に転向。2年からエースになり、身長が伸びるにつれ球速も上がり最速144km/hをマークしたが、3年夏も県大会3回戦止まり。
全くの無名と言っていい存在だったが、2010年の育成ドラフト4位で福岡ソフトバンクホークスに指名され入団。背番号128。
ソフトバンクのスカウト部長(当時)の小川一夫が地元のスポーツ用品店経営者から存在を知らされ、練習を見学した結果、育成枠での指名に至ったそうである。また同年の育成ドラフトでは5位で牧原大成、6位で甲斐拓也も指名されている。
ソフトバンク時代
入団当初は全くストライクが投げられないような制球だったが、倉野信次コーチのもと三軍で魔改造を施された結果、最速152km/hをマークする剛速球投手に生まれ変わる。
2012年(2年目)、キャンプから結果を残してA組に昇格しオープン戦でも登板。開幕後の4月23日、支配下登録を勝ち取った。
背番号は和田毅のつけていた21を与えられ、本人も驚く。4月30日の千葉ロッテマリーンズ戦(QVCマリンフィールド)でプロ初登板、3回までノーヒットの投球を見せるが、4回に入って自滅し3失点でKOされた。
5月11日のロッテ戦(QVC)で登板するも1回4失点を喫し二軍落ち。そのまま二軍でシーズンを終えるが、二軍では先発ローテーション入りし、21試合に投げて防御率1.33をマークしてウエスタンの最優秀防御率を獲得、11勝した二保旭と共にチームのウエスタン優勝の原動力となった。
2013年は岩嵜翔と背番号を交換する形で背番号を41に変更。
中継ぎとして開幕一軍入りを果たし、4月17日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦で1点リードの7回に登板し、プロ野球史上15人目となる1回4奪三振を記録するなど、リリーフでありながら奪三振ランキング上位に顔を出すという異常なペースで三振の山を築く。
5月12日の埼玉西武ライオンズ戦で同点の7回から2イニングを投げ、その間にチームが勝ち越しプロ初勝利を挙げた。そのまま前半戦は27試合連続無失点、連続イニング無失点のパ・リーグタイ記録(34回1/3)をマークする大活躍を見せるが、ブライアン・ファルケンボーグの離脱で抑えのポジションが回ってきた6月26日の北海道日本ハムファイターズ戦で味方のエラーから連続無失点が途切れ敗戦投手となると、そこから4試合連続で同点の場面で登板して失点し4連敗、登録抹消となった。オールスターゲームには監督推薦で初出場、第2戦で4者連続を含む5奪三振を記録して敢闘賞を受賞。
後半戦もリリーフとして投げたが前半戦ほどの安定感はなく、9月に左脇腹の肉離れで戦線離脱、そのままシーズンを終えた。最終的に51試合に登板、1勝4敗1セーブ17ホールド、防御率2.40。
2014年はデニス・サファテの加入もあり開幕から便利屋中継ぎのポジションで投げていたが、6月に右肩の違和感で戦線離脱。そのまま後半のシーズンを棒に振った。19試合の登板で1勝1敗3ホールド、防御率1.99だった。
2015年は先発に再転向。二軍では好投を続けていたが、一軍先発陣に空きが無く、なかなか昇格のチャンスがなかった。8月18日のオリックス・バファローズ戦でシーズン初登板、7回無失点の好投で一軍先発初勝利を挙げる。結局シーズンでは4試合に登板、2勝1敗、防御率0.40(22回1/3で自責1)と翌年へ期待を抱かせる数字を残した。
ポストシーズンはリリーフとして待機し、クライマックスシリーズでは第1戦と第3戦で完璧なリリーフを見せCS突破に貢献。日本シリーズでは初登板となった第3戦で山田哲人に3打席連続の3発目となるホームランを打たれて敗戦投手となったが、第4戦では2イニングを無失点に抑えた。
2016年は開幕から先発ローテーション入りし、1年間ローテーションを守った。4月13日の西武戦ではプロ初完投勝利を挙げるなど、安定したピッチングで7月まで無敗の開幕8連勝を記録。
9月3日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦では1失点完投勝利で12勝目を挙げ、読売ジャイアンツの山口鉄也の持っていた育成出身選手のシーズン最多勝利記録を更新した(なお、山口は通算ホールドの日本記録を持つ救援専門の投手である)。
その後の3試合で0勝2敗に終わり、13勝目を挙げられず最高勝率のタイトルは逃したが、初めて規定投球回数に到達し、12勝3敗、防御率2.61(リーグ3位)の好成績を挙げた。
CSではロッテとのファーストステージ第1戦に先発し7回2失点の好投も勝ち負けつかず。日本ハムとのファイナルステージでは第3戦に先発したが、初回の4失点(自責0)が響き敗戦投手となった。
2017年はWBC日本代表(侍ジャパン)に選出され、オーストラリア戦では6回から登板し、勝利投手となる。アメリカ戦の8回に1失点を喫し、敗戦投手となった。最終成績は4試合1先発1勝1敗、11回、16奪三振(菅野智之と並んで全体で最多)、防御率0.82(10イニング以上を投げた投手では二番目)となり、先発中継ぎでフル回転し無失点とも言える活躍を見せ日本の決勝ラウンド進出に大きく貢献、侍ジャパンから唯一WBCのベストナイン(投手部門)にも選出され、育成選手出身ながら世界にその名を知らしめた。
レギュラーシーズンでは22試合に登板し、13勝4敗(勝率.764)、防御率2.64の成績を挙げ、最高勝率のタイトルを獲得した。
日本シリーズでは第1戦で7回1失点の好投で白星を挙げたが、背中の痛みで第6戦は登板を回避した。
2018年は育成出身選手として史上初の開幕投手を務める。8月17日のオリックス戦ではプロ初完封を達成し、8月は4勝0敗、防御率0.86の成績で月間MVPを獲得(育成ドラフト出身選手ではパ・リーグ初)。最終的に22試合で13勝7敗、防御率3.51の成績を残したが、春先から右腕の張り、右肘の違和感、右肩の違和感などで短期間の登録抹消を繰り返したため、規定投球回数には届かず終わった。
2019年は2年連続の開幕投手を務め、開幕戦で自己最速の161km/hをマーク。開幕から好調で、5月、6月と2ヶ月連続で月間MVPを獲得した。7月からやや調子を崩し、8月17日の西武戦では3回9失点という大炎上もあったが、9月6日の千葉ロッテマリーンズ戦では令和初・育成出身初のノーヒットノーランを達成した。球団では1943年の別所昭(別所毅彦)以来76年ぶり。最終的に13勝8敗、防御率2.79、227奪三振で奪三振王のタイトルを獲得。規定投球回数到達での奪三振率11.33は歴代最高記録となった。また自身初のベストナイン・ゴールデングラブ賞を受賞。
日本シリーズでは堀内恒夫・山田久志以来史上3人目となる3年連続開幕投手を務め、7回1失点で白星を挙げ3連覇に貢献。オフはプレミア12の侍ジャパンに選ばれていたが、右肩違和感と蓄積疲労のため辞退した。
2020年はキャンプから右ふくらはぎ、右前腕部などの故障で出遅れるが、新型コロナウイルスの影響による開幕延期で出遅れは最小限で済み、開幕から2週間ちょっとで復帰。8回148球完投負けなど球数がかさむことが多く、9月までは勝ったり負けたりだったが、10月以降は5試合34回1/3を投げて自責0(2失点)を記録。規定投球回数にも無事間に合わせて9月まで3点台だった防御率を最終的に2.16まで下げ、11勝6敗、149奪三振で最優秀防御率・最多勝(涌井秀章、石川柊太とタイ)・奪三振王(山本由伸とタイ)の投手三冠を獲得した(パ・リーグでは2006年の斉藤和巳以来)。ベストナイン・ゴールデングラブ賞を2年連続で受賞し、甲斐とともに最優秀バッテリー賞も受賞。また11月4日の千葉ロッテマリーンズで通算1000奪三振を達成、855回1/3での達成は野茂英雄を上回ってパ・リーグ最速記録となった。
2021年も両ふくらはぎのコンディション不良で開幕に間に合わず、4月6日の北海道日本ハムファイターズ戦で復帰。しかしその試合の6回、渡邉諒のピッチャーライナーを捕球した際に左足首を捻った体勢で転倒、そのまま立ち上がれず担架で運ばれ緊急降板。左足首の靱帯損傷で長期離脱となった。
6月17日に三軍で実戦復帰し調整していたが、なんと一軍復帰前の7月5日に追加招集で東京五輪の日本代表に選出される。翌日の千葉ロッテマリーンズ戦で一軍復帰したものの、3回途中10失点と爆発大炎上。
いくらなんでもこの状況で代表入りは無茶なのでは?という不安の中迎えた東京五輪だったが、本番ではノックアウトステージのアメリカ戦で炎上した青柳晃洋の後を受けて4番手として登板、2回5奪三振無失点の快投で流れを断ち切り逆転勝利に繋げると、決勝でも2番手として1回無失点。きっちりと金メダルに貢献してみせた。
レギュラーシーズン再開後は先発ローテーションに復帰。チームが苦戦する中、復帰後はQS率100%の安定した投球に加えて、援護率5.80と援護にも恵まれて快調に白星を積み上げ、最終戦できっちり6年連続2桁勝利に間に合わせた。最終的に13試合で10勝3敗、防御率2.66。
2022年は開幕前に新型コロナウイルス濃厚接触者の疑いで隔離されたが、陰性だったためすぐに復帰。3年ぶりに開幕投手を務めたが勝敗は付かなかった。右肘の故障、8月には新型コロナウイルス感染による離脱があったが、22試合に登板し11勝6敗、防御率1.94を記録した。オフに海外FA権を行使した。
メッツ時代
2022年12月10日にニューヨーク・メッツと5年契約で合意が発表され、メディカルチェックを経て12月18日に正式に獲得が発表された。背番号は34。
2023年4月2日に行われたマイアミ・マーリンズ戦で先発に起用され初登板。そこから2試合2連勝、2試合で14奪三振を奪う快投を見せ、この時点で防御率1.59を記録[1]。夏場にはマーカス・ストローマンがMLBオールスターゲームの出場を辞退したことで出場選手に選出された。29試合の先発登板で12勝7敗、202奪三振、防御率2.98を記録した。ルーキー・オブ・ザ・イヤー投票では2位だった。
プレースタイル・人物
最速161km/hの力強いストレートと、吉見一起から伝授されたとんでもない落差のフォーク(通称:お化けフォーク)が武器。
育成選手時代から、その素材としての魅力には他球団からも注目が集まり、埼玉西武ライオンズは帆足和幸の人的補償として真っ先に検討し(育成選手は人的補償対象で無いため移籍は免れた)、中日ドラゴンズの地区担当スカウトが地元の逸材を見逃していたことに大目玉を食らったほど。
2010年代のソフトバンク黄金時代の投手陣を創りあげた倉野信次投手コーチの最高傑作と言うべき存在である。その一方、とにかくストレートの球速と球威を上げることを重視する倉野式育成術で育った速球投手の常として四死球が多い。
無名だった高校生が育成枠から日本代表に、というサクセスストーリーは、2018年に「千賀物語」というタイトルで「月刊コミックゼノン」で漫画にもなった(作画は山田俊明)。
パ・リーグの投手ゆえ打席に立つ機会は少ないが、意外とバッティングは得意で、2021年終了時点の通算打率は.250(16打数4安打、1二塁打)。本人もバッティングが好きで、ファンフェスティバルのホームランダービーの常連であり、野手顔負けの打球を披露している。
2022年の正月には『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』の名物企画「リアル野球BAN」に侍ジャパンのメンバーとして参戦。投球の機会がないバッティングのみのルールにもかかわらず、前述の通りの野手顔負けのスイングで9打数5安打の活躍を見せ、ホークスファンからは「千賀の先発のときはDHなしでいいんじゃ?」「二刀流いける」「代打やれ」などの声が上がっていた。
同期入団で同級生、同じ育成出身でバッテリーを組む甲斐拓也とは、周囲から「仲が良すぎて気持ち悪い」(by五十嵐亮太)と言われるレベルの大の仲良し。
「SENGA」&お化けフォークアニメーション演出
ニューヨーク・メッツ移籍後、ホームであるシティー・フィールドで千賀が登板する試合が行われた際、千賀が三振を取ると、球団から千賀のためだけに制作された特別演出がバックスクリーンに映し出される。
その内容は、某青いロゴのゲーム会社を彷彿とさせるようなレトロゲーム調のフォントで「SENGA」の文字が映し出され、そのあとにベビーサタンフォークを持った白いお化けがドロンと登場するアニメーションとなっている。
このアメリカンジョーク風の粋な演出に、日米双方から発想が面白すぎる演出として話題を呼んでいる。このアニメーション演出に対して、千賀は「最初はビックリしましたけど、そうやって名前というかイメージがつくことはなかなか選手としてないと思うので、非常にありがたいと思ってうれしい気持ちです。」と試合後のインタビューで記者に答えている。[2]なお、このアニメーションは、SNY Mets[3]の公式Twitterでも紹介されている。
さらに、このアニメーションだけでなく、一部の現地メッツファンからも独自の粋な演出を試合で披露しており、千賀が三振を取った際にフォークを持ったお化けのイラストを掲示している。この模様はニューヨーク・メッツの公式Twitterでも紹介されている。
千賀モデルのグローブについて(メッツ移籍後)
ニューヨーク・メッツ移籍後、千賀は蒲郡の地形図とアニメーション演出にも登場するフォークを持ったお化けの刺繍が入ったグローブを使用してプレーしている。これについても、「お化けの刺繍がかわいい」、「蒲郡市の地形図が世界に発信されてる」などと日米双方から粋なデザインのグローブとして話題を呼んでいる。
応援歌
球団 | レス | No | プレイヤー |
---|---|---|---|
ソフトバンク | 応援歌のピコカキコ一覧#826 | 11316 |
成績
年度別投手成績
年度 Year |
球団 Team |
登板 G |
先発 GS |
完投 CG |
完封 SHO |
勝利 W |
敗戦 L |
セーブ SV |
ホールド HLD |
勝率 W-L% |
投球回 IP |
与四球 BB |
奪三振 SO |
失点 R |
自責点 ER |
防御率 ERA |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2012年 | ソフトバンク | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .000 | 4.2 | 8 | 1 | 7 | 5 | 9.64 |
2013年 | 51 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 1 | 17 | .200 | 56.1 | 26 | 85 | 16 | 15 | 2.40 | |
2014年 | 9 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 3 | .500 | 22.2 | 5 | 28 | 5 | 5 | 1.99 | |
2015年 | 4 | 3 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | .667 | 22.1 | 10 | 20 | 2 | 1 | 0.40 | |
2016年 | 25 | 25 | 3 | 0 | 12 | 3 | 0 | 0 | .800 | 169.0 | 53 | 181 | 52 | 49 | 2.61 | |
2017年 | 22 | 22 | 0 | 0 | 13 | 4 | 0 | 0 | .765 | 143.0 | 46 | 151 | 47 | 42 | 2.64 | |
2018年 | 22 | 22 | 1 | 1 | 13 | 7 | 0 | 0 | .800 | 141.0 | 58 | 163 | 57 | 55 | 3.51 | |
2019年 | 26 | 26 | 2 | 2 | 13 | 8 | 0 | 0 | .619 | 180.1 | 75 | 227 | 60 | 56 | 2.79 | |
2020年 | 18 | 18 | 1 | 0 | 11 | 6 | 0 | 0 | .647 | 121.0 | 57 | 149 | 37 | 29 | 2.16 | |
2021年 | 13 | 13 | 0 | 0 | 10 | 3 | 0 | 0 | .769 | 84.2 | 27 | 90 | 25 | 25 | 2.66 | |
2022年 | 22 | 22 | 1 | 0 | 11 | 6 | 0 | 0 | .647 | 144.0 | 49 | 156 | 37 | 31 | 1.94 | |
2023年 | NYM | 29 | 29 | 0 | 0 | 12 | 7 | 0 | 0 | .632 | 166.1 | 77 | 202 | 60 | 55 | 2.98 |
NPB:11年 | 224 | 153 | 8 | 3 | 87 | 44 | 1 | 20 | .664 | 1089.0 | 414 | 1252 | 345 | 313 | 2.59 | |
MLB:1年 | 29 | 29 | 0 | 0 | 12 | 7 | 0 | 0 | .632 | 166.1 | 77 | 202 | 60 | 55 | 2.98 |
タイトル・表彰・その他
タイトル | |||
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NPB | 最優秀防御率 | 1回 | 2020年 |
最多勝利 | 1回 | 2020年 | |
最高勝率 | 1回 | 2017年 | |
最多奪三振 | 2回 | 2019年、2020年 | |
表彰 | |||
NPB | ベストナイン | 2回 | 2019年、2020年 |
ゴールデングラブ賞 | 2回 | 2019年、2020年 | |
月間MVP | 3回 | 2018年8月、2019年5月、6月 | |
最優秀バッテリー賞 | 1回 | 2020年(捕手:甲斐拓也) | |
WBC | 最優秀投手 | 1回 | 2017年 |
その他 | |||
NPB | 開幕投手 | 2回 | 2018年、2019年 |
オールスターゲーム出場 | 3回 | 2013年、2017年、2019年 | |
ノーヒットノーラン | 1回 | 2019年9月6日 | |
MLB | MLBオールスターゲーム選出 | 1回 | 2023年 |