新編成になって初めてのオリジナル・アルバムを日本先行リリース
2009年のサマーソニックや同年の年越しイベントでメイン・アクトとして登場したことも記憶に新しいSchool of Seven Bells。昨年キーボード/ヴォーカルのClaudia Dehezaが脱退し、Alejandra DehezaとBenjamin Curtisの2人による新編成になって初のオリジナル・アルバムを日本先行リリース!
4曲のボーナス・トラックを追加した全11曲を収録
School of Seven Bells / Ghostory
オリジナル・アルバムとしては3作目にあたる本作。サウンド的にはこれまでの流れを汲むものだが、これまでよりもさらにポップに仕上がっている。80年代的なテイストが強まった印象のシューゲイズ・アンビエント・エレクトロニック・サウンドが神聖な空気感を漂わせている快作! My Bloody Valentine、Cocteau Twins、New Order、Joy Division、Lush、M83が好きな方はマストでチェックすべし!
<Track List>
01. The Night / 02. Love Play / 03. Lafaye / 04. Low Times / 05. Reappear / 06. Show Me Love / 07. Scavenger / 08. White Wind / 09.When You Sing / 10. Unnature / 11. Low Times (Lafaye's Brain Mix) / 12. The Night (Rewards Remix) / 13. Lafaye (Creep Remix)
背筋がゾクっとするほど美しい
風呂場で頭を洗っていると、後ろに人の気配がする。慌てて振り返ってみると誰もいない。こんな経験は誰にでもあるだろう。これは、視覚や聴覚が遮られ外部の情報がシャット・アウトされている状況において、普段内在的に抱いている恐怖心や不安などが、「幽霊」という形で自分の外側に放り出されることによって起こる現象だと、私は思う。
本作は『Ghostory』と名付けられたSchool of Seven Bellsのサード・アルバム。GhostとStoryをかけた造語なのだろう。ラファイエという少女と彼女に取り憑く幽霊とのストーリーを描いたコンセプト・アルバムと、メンバーは語る。
School of Seven Bellsはプログレ・バンドSecret Machinesの元メンバー、Benjamin Curtisと、元Oh!Air!Library!のAlejandra Dehezaの2人ユニットだ。ファンの方ならご存知だろうが、かつてメンバーだったClaudia DehezaはAlejandraとの双子姉妹。しかし彼女は2010年、セカンド・アルバム『Disconnect From Desire』のリリース後突然脱退し、2人組になって初のオリジナル・アルバムが本作というわけだ。このバンドの特徴は、双子姉妹の透明感あるハーモニーにあった。その歌い手の片方が抜けてしまった今作は、一体どのような音を奏でているのだろうか。
聴いてみると、躍動感あるビートとレイヤーを何重にも重ねたように幽玄なギター。そしてCocteau twinsのElizabeth Fraserを彷彿とさせるAlejandraの質感ある美しいヴォーカルが絡んでいく。うっすらとした影をもつミステリアスな作品だ。ところで、同じく双子姉妹がいたバンドと言えば、思い出すのはアイスランドを代表するエレクトロニカのバンド、mumだ。初期のこのバンドも、メロディアスなエレクトロ・サウンドに乗る女声2人の絶妙なハーモニーが特徴的だった。しかし、その声の主である双子姉妹が脱退し、新たなメンバーを迎え7人の大所帯バンドに。どうなったものかと聴いてみれば、それまで彼らが持っていたエレクトロの手法にまた別の味がプラスされ、よりのびやかでポップなサウンドを奏でるようになっていた。対してSchool of Seven Bellsは3人から2人へと人数は減ったが、1対1で行われる相互作用によって、お互いの空想の世界が共鳴、相克。その結果、前作より内省的な精神世界を描いた作品となった。
「天上へと昇華していく」「神話のよう」などと神聖な音楽に例えられてきたSchool of Seven Bells。本作は、2人の内的な世界をよりストイックに追求していき「音」という形でアウト・プットを果たした作品である。そこに描かれた空間は、背筋がゾクッとする程美しい。(text by 碇 真李江)
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PROFILE
School of Seven Bells / スクール・オブ・セヴン・ベルズ
シークレット・マシーンズのベンジャミン・カーティス(後に脱退)が、インターポールのツアーで、オン!エアー!ライブラリー! のメンバーであった、アレハンドラとクラウディアの双子のデヘーザ姉妹に出会い結成。2007年にシングル「My Cabal」でデビュー。その後プレフューズ73の傑作『プレパレイションズ』のリード・トラック「The Class Of 73 Bells」にフィーチャーされ一気に話題となり、プレフューズ73やブロンド・レッドヘッドなどとツアーを共にした。12インチや7インチのリリースを経て、2008年にデビュー・アルバム、『アルピニズムス』を発表。リリースから間もなく代官山UNITの年越しイベントに出演、翌年にはサマーソニック'09にも出演し、日本でも大きな注目を集めた。しっかりとしたビートと重層的でよく練り込まれたプロダクションのトラックに、双子姉妹の幽玄的で美しいヴォーカルが絡み合うサウンドが持ち味。キャッチーなメロディとポップな質感、そしてオルタナ感が程よく同居するサウンドは、インディー・ロック / ポップ系のリスナーからポストロックやエレクトロニカ系のリスナーにまで、幅広く受け入れられている。昨年セカンド・アルバム『ディスコネクト・フロム・ディザイア』をリリースするも、キーボード / ヴォーカルのクラウディア・デヘーザが脱退。現在は2人で活動している。
School of Seven Bells official web