マイクロフォン担当のサイプレス上野とターンテーブル担当のロベルト吉野、横浜生まれドリームランド育ちの2人組「サ上とロ吉」が新作『MUSIC EXPRES$』をリリースした。本作にはMIC大将、NONKEY、Fragmentの馴染みのヒップ・ホップの面々に加え、SPECIAL OTHERS、サイトウ“JxJx”ジュン(YOUR SONG IS GOOD)、後藤まりこ(ex.ミドリ)が参加し、5曲目「ready to drunk」のプロデュースは渡辺俊美(TOKYO No.1 SOULSET)ことTHE ZOOT16が手掛けている。お、THE ZOOT16? 先月ベスト盤『Z16』をリリースしたばかりではないか! ということで、サ上とロ吉×渡辺俊美で対談を実現した。
『MUSIC EXPRES$』を聴く人は、必ず最後の曲「日本語ラップKILLA★」で立ち止まることになると思う。ヒップ・ホップの色を薄めないままにエンターテイメント色の濃いパフォーマンスを魅せてきた彼らだが、この曲では特有のせつな明るい音や言葉を捨て、ヒップ・ホップと共に過ごしてきた思春期から今に至るまでを赤裸々に告白している。また、THE ZOOT16の名前の由来も「ずっと16歳」から来ているという。互いの出会いの話から始まり、最後の対談のテーマは「16歳」に着地。『MUSIC EXPRES$』『Z16』両作共に聴きながら、あなたが16歳だった時のことを思い出しながら、この対談を楽しんでほしい。
インタビュー&文 : 水嶋美和
SPECIAL OTHERSやYOUR SONG IS GOODのサイトウ"J×J×"ジュン、後藤まりこ等とのコラボ曲も
サイプレス上野とロベルト吉野 / MUSIC EXPRES$
ジャンル、世代を問わず様々な現場から支持を受けるサイプレス上野とロベルト吉野。2011年9月にミニ・アルバム『YOKOHAMA LAUGHTER』を発表、またSPECIAL OTHERSとのコラボ作品集への参加など話題を振りまいていた彼らが、約3年ぶりとなるフル・アルバムを完成させた。そのSPECIAL OTHERSやYOUR SONG IS GOODのサイトウ"J×J×"ジュン、後藤まりこをフィーチャーした楽曲や渡辺俊美プロデュースの「ready to drunk」を収録。
これまでリリースされた作品と未発表曲をピック・アップしたTHE ZOOT16初のベスト・アルバムも配信中
THE ZOOT16 / Z16
時の記す鐘を鳴らせ! THE ZOOT16 / since 2002 TOKYO No.1 SOUL SET 渡辺俊美のソロ・プロジェクト、THE ZOOT16。自身のレーベル、ZOOT SUNRISE SOUNDより発売された3枚のアルバム+アルバム未収録の各種EP等(全て廃盤)から選曲したベスト・アルバム。
INTERVIEW -サイプレス上野とロベルト吉野 × 渡辺俊美-
——本作『MUSIC EXPRES$』収録の「ready to drunk」は渡辺さんがプロデュースを手掛けたということで、出会いはいつ頃なんですか?
渡辺俊美(以下、渡辺) : うちの従業員だったナオヒロックが先輩面してサ上を連れて来たんだよね。
サイプレス上野(サ上) : 2004~2005年ですね。
——従業員というと、渡辺さんが経営していたアパレルのお店?
渡辺 : そう。ラッパーのくせにアニエスベーが好きな変な奴なんです。あ、でもその前に大阪の友人に勧められて聴いてはいたんだよ。
——音の第一印象はどうでした?
渡辺 : 面白い! 写真だけ見ると怖そうじゃない? でもかわいいんだよね~ 。男ってかわいいのが一番なんだよ。そっちの方がモテる!
——ロ吉さん、渋い顔をされてますが(笑)。
渡辺 : ロ吉はさ、そうめんも作ってくれるんだよ。
——そうめん?
渡辺 : 美味しいよ。かわいい上に料理も出来るんだから! … すいません、僕にインタビューするとめちゃくちゃになるんですけど大丈夫ですか?
——大丈夫です(笑)。
渡辺 : 真面目な話をすると、アメリカのコスプレHIP HOPじゃなくて、一度かっこいいものはかっこいいものとして吸収して、それをちょっと茶化して吐き出すことが出来る子たちだなと思ったんです。HIP HOPって日本に入ってきた時は文化系だったんだけど、どんどん体育会系になってきて、サ上とロ吉はそのちょうど中間にいるよね。
——お二人はTOKYO No.1 SOULSETを聴いてましたか?
サ上 : もちろん。だから最初に会った時は緊張しましたね。っていうと、今は緊張してないみたいになっちゃうけど。
渡辺 : してないしてない。それでいいんだよ。
サ上 : してますよ(笑) 中学の頃からレコード買ってたんですから。で、俊美さんと「ザンジバルナイト」の打ち上げで隣の席になって、ずっと日本酒飲みながら「お前らの曲で歌ってやるからな~ だから飲め~ 」「オス! 」みたいなやりとりをしてて、「イエーイ! 俊美さん歌ってくれるって! 」ってみんなに言いふらしてました(笑)。
渡辺 : お酒は入ってたけど、フェスでありがちな調子のいい「今度一緒に何かやりましょうよ」的なことは絶対言わないですよ。
——じゃあ、サ上とロ吉と一緒に曲を作りたいと思ったんですね。
渡辺 : 僕はTHE ZOOT16を一人でやっていて、そこにラップが入ったらかっこいいだろうなってずっと思ってたんです。でもみんな勝手に僕の事を大御所だと思っちゃって、近寄ってこないんですよね。
——それは… 思いますよね。
サ上 : そりゃそうですよね。
渡辺 : でもこの通り、すっごく気さくな人なんですよ? でさ、ロ吉はトラック・メイカーというよりブレイクビーツ担当で、僕もHIP HOPにはラップじゃなくてDJから入ったんだよ。今まで上手いDJはいっぱい見てきたけど、彼みたいに面白いDJはそうそういないよ。ほら、いるじゃん。上手くて真面目ですぐヨダレたらすDJ。
一同 : (笑)。
——ヨダレたらすって何ですか(笑)。
渡辺 : まあさ、練習すりゃ誰でも何でも上手くなるよ。でもロ吉のDJはすごいセンスがいい。すごい好きです。
お互いのバランスをよくしないと一緒に作ってることにはならない(サイプレス上野)
——一番最初に一緒に作品を作ったのは、昨年9月リリースのミニ・アルバム『YOKOHAMA LAUGHTER』に入っていた「BUMP」ですよね? その際にAmebreak(HIP HOPに特化したウェブ・マガジン)のインタビューで「俊美さんが作るモノは男前だから、それを俺らがどう崩すかって戦いだった」と話されていましたが、これは具体的にはどういう作業だったのでしょう?
サ上 : スタジオで俊美さんが作るのをずっと見てて、「やべえ、この曲かっけーな」ってなったんです。
——トラックで完結しちゃって、入る隙がなかった?
サ上 : そうですね。俺たちが「ヤサ」って呼んでる家兼作業場があって、そこに持って帰ってみんなに聴かせた時に「やべえな」ってなって、その曲を自分達の色に寄り合わせる作業をしないと、俺らが俊美さんに乗っかったことになっちゃうじゃないですか。お互いのバランスをよくしないと一緒に作ってることにはならない。
——渡辺さんは完成した音源を聴いた時、どう思いました?
渡辺 : 歌を入れたり楽器を入れたり、僕の作り方は常に足し算なんですよね。でもHIP HOPはその中からどれをチョイスするかが重要。引き算なんですよ。SOULSETをやっている時も僕がてんこもりにした音を(川辺)ヒロシが抜いていくんです。僕の全部入りラーメンを特製サ上とロ吉ラーメンにしてもらった感じだね。
——引き算がHIP HOP。では、足し算は?
渡辺 : ロックじゃない? HIP HOPは引き算だからちょっと仲が悪くても続けられる。バンドは足し算だから仲が悪くなると解散しちゃう。
——サ上さんとロ吉さんの距離感はどうですか? サ上さんが一個上で、団地が同じだから、付き合いはかなり古いのでは。
ロ吉 : 喋ったことがない時から小学校の中で「あ、いるな」って認識はしてました。
——初めて喋ったのは?
ロ吉 : 小学2、3年の頃に買い物をしてたらカツアゲされたんです。
渡辺 : 小学生で、カツアゲ? すごいねえ!
ロ吉 : ミニ四駆の備品ですけどね。油井くんって子にカツアゲされて、上野くんが来て「ちょっと止めろよ」って。
サ上 : カツアゲ止めてんじゃん! いい奴じゃねえかよ! ! その油井って奴もDJで、最初は一緒に組んでたんだけどいかんせんヘタだから吉野と交代したんです(笑)。俺と吉野の世代は特に距離が近いんですよ。俺が今一緒に住んでる奴も一個下だし、作業してる時も周りに誰かいるし、俺と吉野で2人というよりは大勢いる中の2人って感覚ですね。俊美さんに曲を貰った時も俺らだけじゃなくてみんなでジャッジしたし。ガテン系の奴は「超かっけーよ! 俊美さん男だよ! 」つって、曲聴きながらずっと酒飲んでましたね。俺らが引き算した後の曲を聴かせると「何でだよ」って怒ってきて、でも別にそいつ音楽知らないんすよ(笑)。
——一緒につるんでいるのは音楽界隈の人だけじゃないんですね。
サ上 : ああ、全然いないですよ(笑)。でもHIP HOPが引き算なのって後でラップを足し算するからじゃないですか。完成した曲を聴かせた時は「来たなコレ」ってわかってくれました。
——今回もそういう作業はありましたか?
サ上 : 今回はそのまんまでラップがはまったんで、ほとんど俊美さんにお任せしました。
——渡辺さんは、サ上とロ吉をプロデュースする上でどこに気を付けましたか?
渡辺 : 変にコアな感じにしない。2人の方が若いHIP HOPは詳しいだろうから僕はHIP HOP側には立たずに、「こういうのが好きなんだけどどう? これにラップを乗せたら面白くない? 」って提案する感じで作りました。ちなみにこの曲は僕の中で「浜ボーイ・浜ガール」というテーマです。タンタカタンタカタンタカタン♪ みたいな。
——渡辺さんって愉快な方ですね(笑)。
サ上 : そうなんですよ(笑)。
渡辺 : サ上とロ吉の魅力って「人」だと思うんですよ。ライヴを見たら絶対わかると思うんだけど、人が人を好きになる感じがあるんだよね。特有のせつな明るさとか、そういう所をちゃんと出したかった。でも彼らが持っていない僕の魅力もあるはずだから、そこを出せば面白いものを作れるなと。あとさっきも言ったけど、サ上とロ吉のいいところはコスプレじゃないところ。そういう人とやりたいんだよね。似てないモノマネほど見てて辛いものってないじゃないですか。クリカンとか。やっぱりコロッケのロボット森進一ぐらいしてくんないと、きついんすよねえ。
一同 : (笑)。
ようやく一緒に曲作れたなあって感慨深い(サイプレス上野)
——本作では渡辺さん以外にも多くアーティストが関わっていますが、異ジャンルの方が多いですね。元々お知り合いだったですか?
サ上 : ジュンくん(YOUR SONG IS GOOD/サイトウ“JxJx”ジュン)は元々友達先輩みたいな関係で。
——後藤まりこさんは? 一番意外な組み合わせでしたけど、すごい良かったです。
サ上 : 七尾旅人さんの「百人組手(即興セッション・イベント)」で初めて会って、その後にライヴ見てもらって「一緒に曲作ろうやー」って話になって進めていったんですけど、まあ大変だったなあ(笑)。
——どう大変だったんですか?
サ上 : バンドの人と一緒に音楽をやる大変さを思い知りました。今までもバンドと関わることはあったけど、何だかんだみんなダンス・ミュージック好きだったからHIP HOPにも対応できてたんですよ。でもまりちゃんはループがダメで、気持ち悪いって。それ否定されたら俺たちもう何もできない(笑)。ベースもSLY MONGOOSEの笹沼(位吉)さんに怖れ多くも「ループでお願いします」って言って、そしたらまりちゃんが「あかんやん! 」って笹沼さんを注意し出して、カオスすぎて誰の意見も通らなくなっちゃった。でもそこは笹沼さんの大人のエロ話を突破口にして(笑)。
渡辺 : やっぱり底力あるなあ。
サ上 : いや、まりちゃんは沈んだままだったんですけど。
——突破口になってないじゃないですか(笑)。
サ上 : 一回止めて飲みに行くことになったんです。そこで俺たちがどうしたいのかをちゃんと説明して、まりちゃんもわかってきてくれて、「じゃあわかった、もう一曲作ろう! 」ってなったんですよ。そっちはもっと後藤まりこワールドを全開にしていこうって。「じゃあカンパーイ! 」で、解決したんです。
——じゃあ、もう一曲生まれるってことですね?
サ上 : 諸事情で止まってます(笑)。でも俺たちも甘かったなって。昔はHIP HOPとバンドの人たちってもっと相容れない関係だったけど、もうバンドの上でラップするのは普通の時代になってきたじゃないですか。ていうか、出来なきゃダメなぐらい。でもまだそれが通用しない、強烈に自分を持っている人はまだまだいるんだなって思い知らされました。
渡辺 : 一回思ったことを全部やっちゃって言っちゃって、後戻りできなくなって2、3日経って反省することってあるんだよ。僕もそうなんだけど、まりちゃんもそうなんじゃない? 自分のことを勘で信じるタイプなんだよね。
——なるほど。SPECIAL OTHERSとも一曲共演していますが、これはどういう経緯で?
サ上 : スペアザは横浜の昔からの先輩であり友達です。桜木町の駅前でライヴしてた頃から知ってるし、横浜でやっていた10人くらいしか居ないスペアザのパーティーで、スペアザの演奏でフリースタイルをやったこともあったし、ようやく一緒に曲作れたなあって感慨深いですね。
——高いところで待ち合わせできた感じ?
サ上 : あの人たちの方が全然高いところ行ってますけどねえ(笑)。けど人は変わってない。アノ頃のまんまで良い意味でしょうもない人間ですよ。
——しょうもない… 。
サ上 : 信じられないぐらい最高でしょうもない人間ですよ。書けないので言いませんけど(笑)。
何かを作って発信することの意味とか責任とか、それが大事だなってスペインで感じた(渡辺俊美)
——じゃあ聞かないでおきます(笑)。俊美さんにTHE ZOOT16の話を聞きたいのですが、「ずっと16歳」ってことなんですよね?
渡辺 : 今、俊美って言ったね。いいんだよ。距離が近くなっていいね。
——すいません(笑)。俊美さんが16歳だった頃、どんな時代でしたか?
渡辺 : 高校1年か。テレビから流れてた音楽でいえば、シャネルズ、長渕剛、もんた&ブラザーズの「ダンシング・オールナイト」、久保田早紀の「異邦人」、沢田研二の「TOKIO」、あとYMOでしょ。ロックでいえばRhapsody、Blondie、CRASH、Billy Joelもこの時代か。パンク全盛期が70年代で、それ以降ビッグ・アーティストがみんな元気なくなっちゃったんですよ。そこからディスコに人が流れて、ダンス・ミュージックになっていったんです。パンクはニューウェーヴに移行して、アンダーグラウンドが超面白かった。お姉ちゃんの彼氏からレコード借りたりギターを教えてもらったりして、好きな彼女に毎晩テープを作って。剣道小僧で、バンドもやりつつ、彼女とちちくりあってました(笑)。
——充実してますね(笑)。
渡辺 : 高校生活、すごい楽しかったんですよ。
——ソロ・プロジェクト名に「16」というワードを入れるぐらいだから、思い入れがある年齢なんだろうなと思いました。
渡辺 : いや、そこはそうでもない。SOULSETが活動休止期間に入った時に、スチャダラパーのANIとBOSE、タケイグッドマン、かせきさいだぁ≡と「おもちゃ箱みたいなものを作ろう」って言って、CDとバッグとTシャツをプラモデルの箱に詰め込んで売ったんです。その名前を決める時に、僕の原宿のお店が「ZOOT」って名前だったのと、ANIくんが「高校生みたいで面白いから」って「16」を付けて、「じゃあ俺もその名前でバンド作って7インチ出すわ」で、始まったのがTHE ZOOT16。
——遊び心から始まったんですね。最初はバンドで活動してたのに今のスタイル(片手にアコギ、足元にバスドラ)になったきっかけは?
渡辺 : スペインに旅行に行った時に、そういう形で演奏してる人がいたんだよね。これだったら俺もできるなって。
——前作『ヒズミカル』のセルフ・ライナーノーツにはバルセロナへ行ったことが大きな機転になったと書かれていましたよね。
渡辺 : 大きいですね。例えば僕がガウディのグエル公園でギターを弾き始めると、すぐに警察が来るんですよ。そこでライヴしちゃだめだから。でもすぐに注意するんじゃなくて、ある程度演奏が終わったところで「ダメだよ」って説明してくれる。あったかいし、音楽や絵を愛してくれてるんですよね。こりゃアートも育つわって思って、感動して帰ってきました。そういうものに対して歌を作りたいなあと思って、やる気が出て来た。
——そういうものとは、音楽を作る上での環境?
渡辺 : うん。ただただ作って売れればいいという訳でもないし、何かを作って発信することの意味とか責任とか、それが大事だなってスペインで感じました。でも「完全逆様な世界」はスペインに行く前の曲だし、前からちゃんとそういうことは歌ってたんですよね。内容は変わらないけど姿勢は変わった。世の中チャラい音楽が多いので、それには負けないぞって。
——よりストイックに。
渡辺 : うん! ビッグになりたいんじゃなくて、スモールでいい。一人でシンプルでもいいんだけど、ちゃんとスマートにやりたい。それは明確になったな。
——サ上さんとロ吉さんは、16歳の頃は何をしてましたか?
ロ吉 : まだDJを始めてなくて、スケーターで上を目指してましたね。上野くんのライヴを見に行って、仲間でたまって、ずっと夏休みみたいな感じでした。
渡辺 : いいね。高校の時にラップとかレゲエがあったら俺も楽しかっただろうな。
——上野さんは?
サ上 : 部活やって、ラップやって、スケボーやって… 。
渡辺 : 彼女は?
サ上 : まだちちくりあうには早かったです(笑)。
——サ上さんは本作最後の曲「日本語ラップKILLA★」でこれまでの自分とHIP HOPのことを振り返っていて、しかも冒頭で「さよなら日本語ラップ」と言っていますよね。ここで一度区切りつけたかったのかなと思ったのですが、作った時の心情を聞かせてください。
サ上 : 振り返り系っていうのはどのジャンルにもあるし、思い出話はやっぱり楽しいじゃないですか。で、96年、俺たちはまさに16歳ですね。ECDのさんぴんCAMPがあって、スチャダラの大LBまつりがあって、衝撃的な年で忘れられないからバッキンザデイ(BACK IN THE DAY)的な曲を作るんですよ。でもその全てが思い出話しだけで、俺たちの世代、過去にとらわれて呪われてんなあって思う。あと、俺の同い年で大学も同じだったSEEDAってMCがいて、今売れてるけど、彼自身は日本語ラップのことを考えて曲を作ってる訳じゃないんですよ。なのに「SEEDAやばいよね。日本語ラップ変わるよね」とか言ってる奴が多すぎて、その空気がすげえ気持ち悪かったんですよ。
——どういうところが気持ち悪かった?
サ上 : SEEDAは孤高の努力をしているのに、それに乗っかろうとしてる奴が多すぎて。あと、スチャダラが一昨年20周年を迎えた時、今になって「スチャダラ実は好きでした」みたいな奴らがどんどん出て来て、それはその時に言っておかなきゃ意味ないでしょって思う。意味ないというか、それを当時本当に思っていてちゃんと外に向かって言っていたなら、今の日本のシーンはもっと楽しくなってたかもしれないじゃないですか。だから振り返りものがやりたかった訳じゃないけど、本も出させてもらったし(「サイプレス上野のLEGENDオブ日本語ラップ伝説」)自分にはラップする以外の役割もあると思うから、区切りを付けたかったというよりも、独白です。この曲を最後に聴いて、何でこのアルバムが出来たのかを知ってほしい。
——今作の中でもかなり重要な位置にある曲なんですね。
サ上 : 同居人が「高校生のグループのまま31歳になっても、多分これを作ってたよ」って言ってくれて、すげえ嬉しかったんですよ。16歳のまんまの気持ちで、今も未だに続けてますよって話。「俺らそうい奴らだよな」っていうのを歌いたかったんです。
渡辺 : うちの息子が17歳で、今日本語ラップにはまってるんです。この曲には感激してましたね。要所要所に重要人物の名前が出て来て、歴史がわかるようになってるじゃん。今、変な意味で音楽シーンはカオスな状況になってきてるから、そういう意味でもこのタイミングで出るべき作品だったと思うよ。
サ上 : 嬉しいですね。ありがとうございます。
サ上とロ吉、HIP HOPイヴェント『40分』出演時のライヴをDSD音源で配信中
2011年6月11日に行われたOTOTOY×MOROHA×新宿MARZ企画によるHIP HOPイヴェント『40分』でのサイプレス上野とロベルト吉野のライヴ・パフォーマンスを、OTOTOYで独占配信します! サイプレス上野による会場の熱を上げるコール&レスポンス。ロベルト吉野の熟練されたターンテーブル捌き。そして40分という長尺だからこそ実現した、普段なかなか聞くことが出来ないロベルト吉野渾身のラップも収録! 横浜ナンバー1モテ男担当、サイプレス上野がライヴに求める一体感が見事に凝縮された本作! これぞワールド・フェイマス! 世界に通用するエンターテインメント・ショウをお楽しみください。
サイプレス上野とロベルト吉野 / 『40分』Official Boot Mix
【配信形態】
1) DSD+mp3(320kbps)
2) HQD(24bit / 48kHz)
★オリジナル・デジタル・ブックレット(PDF)付き
【価格】
各1200円(アルバム購入のみ)
Recorded & Mixed & Mastered by 葛西 敏彦
Recorded at 新宿MARZ
Recorded & Mastering by KORG MR-2000S DSD recorder
Photos by yukitaka amemiya
RECOMMEND
HAIIRO DE ROSSI / HAIIRO DE ROSSI at 新宿MARZ『40分』
OTOTOY×MOROHA×新宿MARZ企画のヒップ・ホップの概念ぶち壊しイベント『40分』で魅せたライヴ・パフォーマンスをOTOTOY独占配信決定! HAIIRO DE ROSSIのレーベル・メイトであるTAKUMA THE GREATも登場したこの日のステージは、当初の予定時間を大幅にオーバーするほど両者のライヴにかける熱い思いがビシビシと伝わってくる圧巻のライヴとなった。彼らに呼応するようにオーディエンスの熱気に包まれた会場の様子とともに臨場感たっぷりにお届けします。
全国各地のパーティーにお邪魔しましてその名の通りブリージンしまくったトーク・ボックス・デュオ、LUVRAW & BTBが今夏もやってまいりました、セカンド・アルバムを皆様にお届けに! 夏のスウィートな思い出をドラマチックに振り返り、彩る、極上のスムース&メロウチューンは勿論の事、脳内宇宙が広がるコズミックなディスコチューン~シュビドゥバ間違い無しの魅惑のレイドバックナンバーが盛りだくさん!ゲストには前作に引き続き、from PS、プロデューサーとしても引っ張りだこのPUNPEE & ソロに加えてSICK TEAMも話題沸騰中のS.L.A.C.K.。要望を多数頂いていた女性ヴォーカルも参戦予定+色々仕込んでおります!またプロデュースにはJAZZY SPORTからgrooveman Spotが珠玉のグルーヴを提供、PPPメンバーも言わずもがなの参加!
SALU / IN MY SHOES
遂に正式始動するBACHLOGIC主催レーベル「ONE YEAR WAR MUSIC」より、第1弾リリースとなるSALU衝撃のデビュー・アルバム『IN MY SHOES』! 何気ない日常や社会の状勢といったテーマを等身大の視点で切り取り、真摯な語り口とフレキシブルなフロウで綴ったSALUの中毒性のあるメロディアスかつエモーショナルなラップとBACHLOGICによる壮大なスケールのトラックが巧く融和した、[ニュータイプ] SALU。
>>>SALU『IN MY SHOES』リリース記念インタビューはこちら
LIVE INFORMATION
IFK presents ENTER
日程 : 2011年03月24日(土)
時間 : OPEN 17:00 / CLOSE 23:00
会場 : CONPASS
チケット : 前売 ¥2,500(W/1D) / 当日 ¥3,000(W/1D)
出演 :
<RELEASE LIVE> サイプレス上野とロベルト吉野、22 B.I.G
<LIVE> 韻踏合組合 / 高槻POSSE / BOIL RHYME / コッペパン、ラード(2012年1月 MC BATTLE CHAMP)
<DJ> DJ KAN / DJ KITADA KEN / DJ 5-ISLAND / DJ PANASONIC
<HOST MC> SEAMAN
and FREESTYLE BATTLE!!!!!!!
サ上とロ吉とGAGLE
日程 : 2012年06月03日(日)
時間 : OPEN 17:00 / START 17:30
会場 : 代官山LOOP
チケット : 3,000円(D別) / 3,500円(D別)
出演 : サイプレス上野とロベルト吉野 / GAGLE
PROFILE
サイプレス上野とロベルト吉野
マイクロフォン担当 : サイプレス上野
ターンテーブル担当 : ロベルト吉野
通称「サ上とロ吉」。2000年にあらゆる意味で横浜のハズレ地区である『横浜ドリームランド』出身の先輩と後輩で結成。『HIP HOPミーツallグッド何か』を座右の銘 に掲げ、『決してHIPHOPを薄めないエンターテイメント』と称されるライヴパフォーマンスを武器に毎年120本近くのライヴを行っている。2007年に1stアルバム『ドリーム』を発表、2009年には2ndアルバム『WONDER WHEEL』を発表。その後、恵比寿リキッドルームでワンマン・ライヴを成功させ、その模様を収録した『ワンダー・ホイール・ザ・ライヴ』を発売。2011年9月には、横浜・神奈川をコンセプトにしたミニ・アルバム『YOKOHAMA LAUGHTER』をリリース。同年11月、SPECIAL OTHERSコラボ・アルバム『SPECIALOTHERS』へ参加。2012年3月7日に約3年ぶりとなるフル・アルバム「MUSIC EXPRES$」をリリース。また、音楽活動以外にもTOKYO FMで放送された不定期プログラム『サイプレス上野の日本語ラップキラッ!』のメインMCや、サイプレス上野に よるbounce.comでの伝説の連載「サイプレス上野のLEGENDオブ日本語ラップ伝説」が書籍化するなど話題を振りまき続けている。更に、ヒップホップ専門USTREAM番組Amebreak presents「RAP STREAM」のメインパーソナリティ、TV番組・CMでのナレーター、ファッション・カルチャー雑誌での連載、モデルとその活動は多岐に渡る。
サイプレス上野とロベルト吉野 official web(PC)
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渡辺俊美 / Toshimi Watanabe
TOKYO No.1 SOUL SETのヴォーカル、ギター、サウンド・プロダクション担当。独自のメロディとカラーを持つヴォーカルは各方面で定評があり、様々なアーティストの作品への参加、近年ではプロデュース・ワークもこなす。2010年1月20日には自身の音楽的好奇心を反映し試みるプロジェクト、THE ZOOT16のメジャー・デビュー・アルバム『ヒズミカル』をリリース。2月24日にはTOKYO No.1 SOUL SETの活動20周年記念ベスト・アルバム『BEST SET』を発売。2011年2月9日には様々な女性アーティストを迎えてのコラボ・カヴァー・アルバム「全て光」をリリース。また平行して、猪苗代湖ズのBassとしても活動中。
TOKYO No.1 SOUL SET official web
THE ZOOT16 official Myspace