【短期集中連載 Bimiの美学 vol.1】Bimiはなぜ音楽活動をスタートさせたのか
俳優・廣野凌大によるアーティストプロジェクト、Bimi。舞台『鋼の錬金術師』、『ヒプノシスマイク Division Rap Battle 』Rule the Stage、ミュージカル『テニスの王子様』など数々の舞台にメインキャストとして出演し活躍する彼は、なぜBimiとして、音楽活動をスタートさせたのか。OTOTOYでは、彼のことを深く知るべく短期集中連載「Bimiの美学」という形でインタヴューを実施。第1回の今回は、Bimiとして活動を始めた経緯や、音楽遍歴、そして、現在配信リリース中の“babel”、“インベーダーインバイト”、“ミツ蜂”の3曲について話を訊きました。
Bimi最新シングル、ハイレゾ配信中
INTERVIEW : Bimi
Bimiの音楽には、とにかく様々なエッセンスがミックスされている。ヒップホップ、EDM、ロック…など挙げていけばキリがないのだが、彼はどのようにしていまのような音楽を作るようになったのか。実際に音楽遍歴について話してみると、とにかく好奇心が強くて、それでいて好き嫌いをすることなく、なんでも雑食に自分のなかに取り入れていることがわかった。しかし、まだまだ隠れた魅力がありそうだ。これからじっくり、彼の生み出す「美味」を味わってみようと思う。
インタヴュー&文 : 西田健
雑食でいろいろ取り入れつつ、それぞれの「美味」を引き出せたら
──Bimiとしては、2021年6月から音楽活動をされていますが、そもそもこういった活動をしようと思ったのは、どういう経緯だったんですか?
Bimi : これまでずっと、役者としての活動をやっていたんですけど、ずっと音楽がやりたかったんです。ずっと独学で音楽の勉強をしながら、悶々としていて。どこかで音楽活動をしたいと思いつつやっと2021年に動き出しました。「お金はこっちが負担するから、何も手垢をつけず乗ってくれないか」と言って始めたら、運よくキングレコードのEVIL LINE RECORDSが一緒にやってくれることになって、今回メジャーデビューが決まりました。俳優の方のスタンスもわかってくれるので、メジャーデビューしてもBimiらしさを失うことはないだろうと思っています。
──悶々としていた時期はご自身で音楽を制作していたんですか?
Bimi : 一応していたんですけど、俳優の方も結構忙しかったので、中途半端になってしまっていて…。俳優は俳優で面白いんですけど、自分のルーツとしては音楽なので、どこかフラストレーションが溜まってしまったんだと思います。音楽に対する気持ちが2年前に爆発して音楽活動をスタートした感じですね。
──どのような音楽を作りたかったんですか?
Bimi : 元々パンクが好きだったんですよ。パンク・ロッカーの、破壊的だけど愛がある歌詞が好きだったので、自分の思うことをオシャレかつ泥臭く伝えたかったですね。まあでも、人前で何かすることでいろんな感情を呼び起こさせたかったので、音楽に触れられるならなんでも、よかったんだと思います。とにかく音楽という表現の場に携わりたかったですね。
──なるほど。どんなパンクバンドが好きだったんですか?
Bimi : セックス・ピストルズ、グリーン・デイ、Sum 41とかが好きですね。あとはブラック・サバスみたいなメタルも好きでしたね。
──いつ頃このような音楽に触れたんですか?
Bimi : 中学生くらいですかね。小学校のときはラップが流行っていたのでヒップホップも聴いていました。今はラップも結構好きだったんですけど、当時は8:2くらいでパンクを聴いていましたね。でもバンドを組むのって大変じゃないですか。一応ギターとベースは弾けるんですけど、メンバーを集めるのが大変だったので1人でできる表現を突き詰めたいなと思って。雑食でいろいろ取り入れつつ、それぞれの「美味」を引き出せたらと思ってBimiという名前で活動しています。なんでもできたら海外に行ったとしても強いかなと。
──結構戦略的なんですね。
Bimi : そうなんですよ。ずっとやりたかった分、勢いが生まれるまで色々考えていました。いまみたいになる前から、Bimiというアーティスト活動の構想を考えることは多かったです。
──他にはどんな曲を聴いていたんですか?
Bimi : 小〜中学生の頃はヒップホップも聴いていましたね。海外よりかは日本のラップですね。レゲエも聴いていたし、RIP SLYMEも聴いていたし、ORANGE RANGEも聴いていました。キングギドラとかも親の車から流れていたと思います。親が作ったプレイリストの曲順を覚えるくらい聴いていました。親も音楽については雑食なので、色々好きになった感じです。他にもおばあちゃんの車に乗れば、氷川きよしとかが流れていて、それで演歌もいいなと思ったり。
──演歌もよいと思える感性をお持ちだったんですね。
Bimi : 歌上手いなと思っていましたね。でも歌詞を見てみると男女のことしか歌ってないんですよね(笑)。どんな音楽に対しても耳馴染みはいいです。
──幼少期から様々な音楽を自然と聴きまくっていたんですね。
Bimi : ニコラップとかも聴いていました。ネットのアングラカルチャーもすごく好きでしたね。あとは、地元のリサイクルショップで面白そうなCDを眺めるのも好きでした。裕福じゃなかったので色々買えなかったですけど、妄想してずっと生きていましたよ。TSUTAYAは僕にとって夢の国で、曲リストから妄想してみたり。でも意外と聴いてみるとあんまり良くなかったり…。そうした妄想を具現化しているのがBimiですね。
──インディーズ時代のときはどのくらい曲を制作していたんですか?
Bimi : 30数曲くらいは作りました。それこそ演歌を取り入れた曲もありました、“軽トラで轢く”という曲というんですけど。
──インパクトのあるタイトルですね。
Bimi : 男女の成れの果てというか。演歌っぽいトラックにラップを入れたり、曲調変えたりして、変態チックなものをインディーズ時代に作っていました。でも今回からはメジャーというフィールドになるので、メジャーらしく、周りの人に飯を食わして自分を商売にしたいなと。自分は自分で音楽の表現の幅を広げて面白い空間を作っていきたいですね。だからいまは「いい曲を書かないと」というプレッシャーもあります。
──ご自身の曲をヒットさせたい気持ちがいまはある?
Bimi : どちらかというと、ぶちかましたいです。ヒットした曲があるのも大事なんですけど、それ以外の曲もやばいみたいな状況にしたくて。かっこいいアーティストに共通していることだと思うんですけど、そういうギャップを作りたいです。まずはヒットを生み出して、自分とも向き合って曲を作っていきたいですね。