【ライヴレポート】新生フレンズは、これからも音楽を届け続ける──〈"UNO!"〉ファイナル公演
東京都渋谷区神泉発 “神泉系バンド” フレンズがワンマンツアー 〈”UNO!”〉を無事完走!新体制4人になってはじめてのツアーのファイナル公演は、ステージも観客席もハッピーな空気に満ちていました。今回OTOTOYでは、熱気と興奮に溢れたライヴの模様をレポートでお届けします。
新体制初の新曲、“急上昇あたしの人生”ハイレゾ配信中
LIVE REPORT : フレンズ〈"UNO!"〉ファイナル公演
文 : 西田健
カメラマン : TAKAHIRO TAKINAMI
「これからも音楽を届け続ける」という覚悟と決意を見せつけられたライヴだった。会場全体を包みこんでいた幸せな空気。それは、フレンズにしか生み出せない特別なものだった。このレポートは渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われたフレンズのワンマンツアー "UNO!"。そのツアー・ファイナルの記録である。
今年2021年4月末にバンドの中心メンバーだったひろせひろせが脱退し、4人での活動を始めたフレンズ。彼らにとって、新たなスタートとなる今回のツアー。「メンバーが減って物足りなく感じてしまったりするんじゃないか」、「これからフレンズは、変わってしまうんじゃないだろうか」。そんな気持ちを抱えていたファンも少なくなかっただろう。これから、どんなステージを見せてくれるのか。開演前の空気は、期待と不安が入り混じっていた。
SEが鳴り響き、メンバーが現れる。その表情は、とにかく晴れやかな笑顔だった。「そうだった。フレンズはハッピーなグルーヴを届けるバンドだった」とさっきまで不安な気持ちを抱えていた自分を恥ずかしく思った。心配など、一切要らなかったのだ。1曲目“ビビビ”がスタートすると、フロア全体から手拍子が鳴り響く。コロナ禍で声出しはできない状態ではあるが、手を挙げ身体を揺らし、思い思いに音を浴びて反応する。お客さんが全身でフレンズの生み出すグルーヴに呼応している。MCでえみそんが「お客さんもみんなフレンズのメンバーですからね!」と冗談っぽく言っていたが、それはあながち間違いではないと思う。ステージだけでなく、客席も巻き込んで作り出す空気感。これがフレンズのライヴの醍醐味だ。
ライヴは“夜にダンス”、“Wake Up BABY”、“あくびをすれば”とご機嫌なチューンを続け様に。26kgものダイエットに成功したという関口塁のタイトなビートに、スーパー・ディスコ・ベーシスト長島涼平のグルーヴィーなベースラインが乗る。えみそんのパワフルかつエモーショナルな歌声が会場を包み込み、ギターの三浦太郎によるハイトーンのヴォーカルが重なっていく。さらには、今回のツアーからサポートで参加したゴメスのキーボードが曲に彩りを加えていく。ライヴは序盤から最高潮の盛り上がりを見せていた。
最初のブロックを終えると、MCに入る。誰かが喋っている間も、とにかく楽しそうなメンバーが印象的だった。バンドとしての仲の良さがフレンズの持ち味であり、それがライヴのグルーヴにも反映されている。次に披露されたのは、新曲“急上昇あたしの人生”。この4人体制になってはじめて楽曲だ。えみそん自らが書き下ろしたリリックからは、これまでにない強い言葉が並ぶ、新体制の第一発目としてこの曲を打ち出していったのは、「これからも目を逸らすなよ」というバンドからの強いメッセージを感じる。そこからさらに“DIVER”を披露し、代表曲“NIGHT TOWN”へ。映画「花束みたいな恋をした」でも重要なシーンで使われたこの楽曲。きっとこの曲を楽しみにしていたお客さんも多かったに違いない。大切に大切に歌い上げていたのが印象的だった。
続いて、ライヴはしっとりしたバラード・ナンバー“約束”へ。サビの「当たり前のことほど大切だと思い出すよ かけがえのない日々のこと」というリリックは、いまのフレンズだからこそ様々な意味をもって響く歌詞だと思う。
フレンズのライヴは常に幸せな気持ちでいられる。そして、そのハッピーなグルーヴを生み出しているのは、メンバーの顔だ。とにかくサポートのゴメスも含め、メンバー全員が楽しそうなのだ。特に、三浦のギターソロは、まるで顔で弾いているかのように表情豊かに奏でている。彼らが楽しそうだからこそ、お客さんも笑顔になる。お客さんが笑顔だからこそ、メンバーも笑顔になる。そういう笑顔の循環が会場中で起こっていた。
ライヴも後半戦にさしかかり、アルバムのリリースとツアーの発表のあと、新曲「東京今夜」が披露された。「東京今夜」はとにかくフレンズらしさのつまった、都会の煌びやかさを感じさせるポップ・ソングだ。この曲はきっとファンの中で大切なナンバーになるだろう。これまでのバンドの持ち味を十分に出しながらも、進化した表情を見せる。メンバーは変わり、少しずつ変化しながらも、グルーヴは変わらない。それはきっと、彼らの軸がブレていないからなのだと思う。
終盤、ヴォーカルのえみそんが時折言葉をつまらせながら、このライヴを行うにあたっての気持ちをMCで吐露した。このツアーを始めるにあたり、多くの話し合いがなされたことだろう。バンドは一時期、解散という選択肢もあったというが、彼らは4人で継続するという道を選んだ。彼らがもし、バンドを止めるという選択肢を取ったならば、これまで生み出してきたフレンズの名曲たちはもう聴くことはなかったかもしれない。久しぶりにライヴに来るファン同士の再会もなかったかもしれない。なぜ、フレンズはバンドを続け、ツアーをやるという選択肢をとったのか。それは、ひとえにお客さんに「笑顔を届けたい」という想いがあったからなのだと思う。
ひとりひとりに寄り添うように、“ベッドサイドミュージック” が演奏される。優しさを感じられるのも、フレンズの魅力のひとつだ。最後の曲「街」では、えみそんがステージの袖から袖まで走り回っていた。ライヴができる楽しさを全身で爆発していたのだろう。本当に最後までハッピーなステージだった。
スペイン語で「1」を意味する“UNO!”と銘打たれた今回のライヴツアー。その名にふさわしく、新生フレンズの第一歩として、とても素晴らしいステージだった。今回のライヴはバンドとしてのターニングポイントとなるだろう。苦難を乗り越えたバンドは強いのだ。この夏リリースされる、彼らのフルアルバムのタイトルは『SOLAR』。フレンズは太陽のように、明るく人々の心を照らしていくだろう。いま、不安に覆われている世界に、彼らのハッピーなグルーヴは必要だ。フレンズはこれからも音楽を届け続けていく。人々の心に優しく寄り添いながら。
フレンズ ワンマンツアー "UNO!" ファイナル公演 第2部
2021年6月5日(土) 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
■セットリスト
M1.ビビビ
M2.夜にダンス
M3.Wake Up BABY
M4.あくびをすれば
M5.急上昇あたしの人生
M6.DIVER
M7.NIGHT TOWN
M8.約束
M9.常夏ヴァカンス
M10.いいんじゃない?
M11.iをyou
M12.東京今夜
M13.地球を超えても
M14.ベッドサイドミュージック
M15.街
過去の特集ページ
LIVE INFORMATION
2nd Full Album「SOLAR」 Release Party〈SOLAR POWER!〉
■東京
10月15日(金)恵比寿LIQUIDROOM
18:00/0PEN 19:00/START
■大阪
10月22日(金)心斎橋 BIGCAT
18:00/0PEN 19:00/START
■チケット
全自由席 ¥5,000
FC先行 2021/06/5(土)20:00~2021/6/13(日)23:59
■問い合わせ先
【東京公演】ディスクガレージ:050-5533-0888 (weekday 12:00~19:00)
【大阪公演】GREENS:06-6882-1224(平日12:00~15:00 水曜日を除く)
PROFILE
2015年6月8日結成 東京都渋谷区神泉発 “神泉系バンド” フレンズ
えみそん(Vo)、三浦太郎(Gt, Vo)、長島涼平(Ba, Cho)関口塁(Dr, Vo)からなる男女混合神泉系バンド。ライフスタイル、友情や恋愛を、独特のユーモアとオリジナリティが絶妙に絡み合った多彩なPOPサウンド、そしてお客さんと一緒に楽しみながら作り上げる、自由で多幸感に溢れるライブが老若男女問わず高い人気を誇る。