「だんじよかれよしの歌声の響 見送る笑顔目にど残る」。天皇陛下が沖縄の人々への思いを込めて作詞され、皇后陛下が作曲された「歌声の響」(うたごえのひびき)を、ソプラノ歌手の鮫島有美子さんが録音した。
長年、日本の美しい歌に取り組んできた鮫島さんは「両陛下が歌に込められたものがあふれ出てきて、不思議な力をもらった。一人でも多くの人に知ってもらいたい」と願っている。
「歌声の響」が生まれるきっかけは、両陛下が皇太子ご夫妻時代の1975(昭和50)年、沖縄を初めて訪問された時のご体験だ。
ひめゆりの塔をはじめ幾つもの慰霊塔に祈りをささげられた後、両陛下は名護市屋我地島の国立ハンセン病療養所「愛楽園」(現在の国立療養所沖縄愛楽園)を訪ね、在園者一人ひとりに温かい言葉を掛けられた。
両陛下がお帰りの際、在園者たちの感謝を込めた合唱が湧き起こった。それが沖縄の船出歌「だんじょかれよし」だ。「だんじょかれよし」はお祝いや旅立ちの歌に使われる言葉で、「誠にめでたい」を意味する。
天皇陛下はこの時の印象を沖縄周辺の島々に伝わる「琉歌」という形式で詠まれ、愛楽園の「でいご琉歌会」に贈られた。陛下の琉歌は「『だんじょかれよし』の歌声の響きと、それを歌って見送ってくれた人たちの笑顔が今も懐かしく心に残っています」という意味になる。
琉歌はそう簡単に詠めるものではない。陛下は沖縄の本土復帰に当たって、沖縄文化を学ばれた。「沖縄の人々を迎える本土の人々にとって、沖縄の歴史と文化を理解することが大切だと考えた」からだ。
新着
オリジナル記事
(旬の話題や読み物)