2018年10月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長(59)のIOC委員就任が決まった。五輪開催地を決める投票権を持つIOC委員は、現職の日本人では日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長に続いて2人目。20年東京五輪を控え、FIGに続いて要職を担うことになった渡辺氏に今後の抱負や五輪をめぐる課題などについて聞いた。【運動部・山下昭人】
-IOC委員に推薦されたことをどう受け止めたか。
大変光栄なことだと思う。ただ、今までは体操だけが自分の範囲だったけど、世界のスポーツ界全体へと守備範囲が広くなる。5月に(IOC会長の)バッハさんに呼ばれて、委員になってほしいと。瞬間、固まった。プレッシャーを感じているのが正直なところ。
-どんな役割を果たしたいか。
(IOCには)いろんなIF(各国際競技団体)の会長もいるが、実務をやった人はなかなかいないと思う。社会人になって長いこと、小売業に関わっている。小売りはお客様視点。地球全体の人たちの視点から見た時に、スポーツはどうあるべきなのかという未来像をつくっていかないといけない。IOCの基準ではなく、人々がIOCに何を求めているかを思わないといけないと思う。
◇南北問題、まず対話
-FIG会長として北朝鮮の平壌を2度訪問した。南北問題に対して何ができるか。
偉そうなことは考えていない。FIGに加盟しているのは148カ国で、僕は141カ国くらい回っている。北朝鮮は回っていなかった。北朝鮮が制裁を受け、練習環境が困難な状況にあるという報告があったから行ってみましょうと。心を通わすことで何かしら解決できるんじゃないかと思う。
-東京五輪での南北合同チームの可能性について。
向こう(北朝鮮)のスポーツ大臣から「南北合同チームについてどう思うか」と聞かれた。僕から「合同チームをつくったらどうか」と言ってほしかったと思うけど、「あなたの気分を害するかもしれないけど、ストレートに言わせてほしい。それは僕の仕事ではない。北と南がよく話し合ってFIGに提案してくれ」と(伝えた)。世界選手権や五輪はみんなのもの。(他の)参加チームが認めようと言えば、FIGは認める。手順を踏まなくて、いきなりある日、南北チームというのは僕にはできない。
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