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LIVE REPORT : パピプペポは難しいワンマンライブ2024〈このグループの名前は?〉
取材&文 : 西田健
撮影 : endo rika
2024年3月11日。Spotify O-EASTにて、6人組アイドル・グループ、パピプペポは難しい(通称:パピムズ)のワンマンライブ「このグループの名前は?」が開催された。
パピプペポは難しいは、新たなフェーズへと辿り着いたのだと感じたライヴだった。歌やダンスのパフォーマンスや、ビジュアルのキュートさや、楽曲のクールさなどアイドルには様々な魅力の打ち出し方はあるが、バラエティーに富んだライヴこそが、パピプペポは難しいの戦い方なのだと思う。グループが始動してから、様々な試行錯誤を通して、彼女たちはここに辿り着いたのだ。

昨年、2023年1月17日、Zepp DiverCityという夢の舞台に立ったパピムズ。彼女たちはその後も攻めの姿勢を崩すことなく、自身主催のサーキットイベント〈パピムズFES〉を開催したり、バス内でライヴをして文字通り渋谷を走り回ったりと、彼女たちにしかできないスタイルを模索してきたパピムズ。この日のライヴは、もがき続きた日々の答えを提示するものになっていた。様々な不安が渦巻く現代において、「とにかくこの日を全力で楽しんで欲しい」という気持ちが全開だったのだ。
まず驚かされたのはその登場シーン。定刻を迎え、SEが鳴り響いてもステージには誰ひとりいなかった。「パピムズはいったいどこにいるんだ?」と誰もが探すなか、前方スクリーンには、2階席から“一軒家住みたいな”を歌うメンバーの姿が映し出されたのである。そこにいる誰しもがあっけにとられるなか、6人は客席の中を進みステージへ。メンバーはいわゆるジュリ扇を振り回し、札束(ドン・グリの写真が印刷されたパピムズ銀行券)をフロアをばら撒くなど、ギラギラでバブリーな演出を見せた。

続く“パピプペポイズンLOVE中毒”では、いきなり銀テープを照射。通例ならば、銀テープは終盤いちばん盛り上がるタイミングで出されるものだが、パピムズはそんなことお構いなし。序盤からクライマックスということだろう。しかし、この銀テープの演出が文字通り序章に過ぎなかったことを、この時はまだ知る由もなかったのである。
ライヴはさらに“トキメキ♡ゲームオン”では、メンバーのイラストを使った「美少女アドベンチャーゲームのOP」のような映像をバックに、ドン・グリが巨大なダーツを持って縦横無尽にステージを闊歩。次の“スーパーSAMURAI忍者・カラテマン”では、ステージ上で人形劇を繰り広げるなど、かなり自由なステージングを展開。最初のブロックからかなりのサービス精神を見せた。


ちなみにこの日はパピムズとしては、4年ぶりの声出しワンマンライヴ。メンバーはもちろんのこと、ファンの気合いも十分。会場のいたるところで、大合唱が巻き起こっていた。また衣装も今回のワンマンのために用意されたもの。そのメルヘンかつファニーな衣装は、ライヴを盛り上げることにも一役買っていた。
MCでの挨拶を終えると、ここからは1回のソロ曲のブロックへ。まずステージには小枝みゆひとりが立ち、煌びやかなレーザーに彩られながら、“Twinkle Twinkle Twig”を熱唱。続く鈴木めがねは、まだまだ寒い季節にぴったりなバラード“ありがとう”をしっとりと歌い上げていく。それぞれの個性が発揮させるこのブロックだが、やはりパピムズにおいて、ぶっちぎりの個性を見せたのは、ドン・グリのソロ曲。



ステージには、ドン・グリそっくりのキリンの顔のバックダンサーが大量に登場し、“グリちゃんのワンダーランド”を披露。その奇妙かつ不思議な光景に、パピムズの凄みを見た気がした。キリンの群れがステージからいなくなると、ファンタジックな楽曲“ワンダフル・パレード”のイントロが流れ出したのだが、なんとメンバーは客席後方から登場。虹色の光る棒やミラーボールを持ち、テーマパークさながらのパレードでファンを大いに楽しませた。
その後の“ラブげっちゅ! -お誕生日のお歌-”では、ステージにバニーガール(姉妹グループ、キャッチミーの七瀬詩乃)が登場し、さらなる高揚感を高めると、この日2回目の銀テープを発射。ぶち上げのテンションそのままに今度は、滋賀の非公認のゆるキャラ、びわ湖くんがゲストとして登場。新曲の“東京特許許可局”を一緒にパフォーマンス。びわ湖くんの存在は、かなりインパクトがあるのだが、パピムズというグループはキリンのメンバーがいるせいなのか、意外と馴染んでいたのが印象的だった。




びわ湖くんとの愉快痛快なトークを終えると、再びソロ曲のブロックへ。木内小百合がアニソンっぽさを感じさせる“perfect blue”を熱唱すると、白羽根優衣は“I wanna be”のロック・サウンドでそれに続く。さらにカワシマユカは、スタンドマイクを使ってミディアムバラード“5秒前”を披露し、会場をエモーショナルな空気に包んだ。
ライヴはそこからさらに加速。今度は“ビバトーキョー”で、ガラッとイメージを変え、ド派手な照明で視覚的にもバチバチに盛り上げる。ここで歌っていない鈴木めがねコールも巻き起こっていた。そして次に披露した“アイマイニー”では、この日3発目の銀テープが宙を舞う。ちなみにこのワンマンだが、予算の半分が銀テープとのこと。これだけ何発も銀テープを発射し続けるのは、今日を楽しいものにしたいという想いがあってのことだろう。



ここからライヴは終盤戦。“ホニャララ・アンビシャス”で本日の4発目の銀テープが飛ぶ(いったい何発用意しているんだ)。メンバーさらに新曲の“ハッピーエンドから始めよう”を披露。大団円の空気に持っていったからと思えば、本編最後の“シャニムニ”で、Co2ジェットを客にかけまくり、とにかくやりたい放題でステージを後にした。
大きな観客の声に導かれ、アンコールは“charm”でスタート。パピムズのなかでもかなりエモーショナルな楽曲を披露しているバックで、スクリーンにはメンバーが映し出されていたのだが、映像のなかのメンバーはどこか様子がおかしかった。実はこの写真はAI出力されたメンバーで、超リアルなキリンが登場すると、客席は大きな笑顔に包まれた。最後に披露されたのは“ち・ちん・ぷい”。全力なパフォーマンスの向こうで、スクリーンにはカワシマのコメントが流れる。中学時代に芥川賞に応募した、グッズを買って欲しい、というものだったのだが、なぜだかそこの言葉には愛がこもっており、なぜだか心が動かされてしまった。パピムズはその1曲の間に2発の銀テープを放ち、最後の最後まで観客を楽しませた。


本当に最初から最後まで盛りだくさんだった。この日のために用意された新衣装、虹色に輝く棒、札束ばら撒き、6発の銀テープ射出、CO2ジェットの大噴射、人形劇、ソロ曲披露、huezによるステージ空間の演出、ゲストのびわ湖くん登場、AIパピムズ、新曲披露、この日やったことを上げていくだけでもかなりの情報量だ。ライヴを見ながら次は一体何が出てくるのか、本当に曲がはじまるたびにワクワクさせられた。ここまでワンマンライヴを作り込むグループはなかなかいないのではないのではないだろうか。
この演出をやるためにメンバーやスタッフは多くの時間を費やし、多くのお金をかけたはず。そうまでしてなぜ、彼女たちはここまで情報量の多いライヴをやったのか。それはきっと、来てくれた人を楽しませたい、との気持ちが溢れ出ていたのだろう。もちろん自分たちがやりたいやるということが大事だったのだと思うし、それを喜んでくれるだろうというお客さんとの信頼関係があるからこそ、このライヴは成り立っていたのだと思う。
自分たちの戦い方を見つけ、新たなフェーズへと辿りついた、パピプペポは難しい。これから彼女たちは、いままでのアイドルシーンのなかで誰もやったことのないことを見せてくれそうな気がしている。このグループの名前は、パピプペポは難しい。いま一番ライヴが楽しみなアイドル・グループの名前だ。

■セットリスト
パピプペポは難しいワンマンライブ〈このグループの名前は?〉
2024年3月11日 at 渋谷Spotify O-EAST
1. 一軒家住みたいな
2. パピプペポイズンLOVE中毒
3. トキメキ♡ゲームオン
4. スーパーSAMURAI忍者・カラテマン
5. Twinkle Twinkle Twig
6. ありがとう
7. グリちゃんのワンダーランド
8. ワンダフル・パレード
9. ラブげっちゅ! -お誕生日のお歌-
10. 東京特許許可局
11. perfect blue
12. I wanna be
13. 5秒前
14. ビバ・トーキョー
15. アイマイニー
16. ホニャララ・アンビシャス
17. ハッピーエンドから始めよう
18. シャニムニ
En1. charm
En2. ち・ちん・ぷい
びわ湖くんが手がけた最新楽曲!
LIVE INFORMATION
〈パピムズFES 2024〉
■日程:2024年6月8日(土)
■会場:下北沢シャングリラ / CLUB251 / MOSAiC / Flowers LOFT / mona records / 下北沢線路街空き地
■時間:受付 10:00開始(予定)
各会場OPEN 10:30 / START 11:00
■料金:※各+1D
・前売りチケット(A) ¥5,500
・お楽しみVIPチケット(S) ¥15,000
(パピムズFES2024パンフレット / パピムズFES2024Tシャツ 付き)
・超お楽しみVIPチケット(SS) ¥25,000
(優先入場 / 規制時入場できる権力 / パピムズFES2024パンフレット / パピムズFES2024 Tシャツ / パピムズFES2024ネックストラップ / パピムズFES2024タオル 付き)
・当日チケット ¥6,500
■出演者
パピプペポは難しい etc…
〈パピプペポは難しい6th Albumリリース東名阪ツアー「タイトル未定」
2024年8月3日(土)@大須TOYS
2024年9月21日(土)@北堀江 club vijon
2024年11月16日(土)@Shibuya Milkyway
※チケット詳細は後日発表
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PROFILE
パピプペポは難しい
パピプペポは難しいは2018年6月にステージデビューし、都内を中心に活動しているエレクトリック・グループ。メンバーのカワシマユカが運営責任者とプロデュサーを務めており、曲の歌詞も担当している。「パピプペポは難しい」の名前のようにキャッチーで可愛くかっこいい楽曲と癖になる振付のライブパフォーマンスが魅力のグループである。
【公式HPはこちら】
https://www.ppppphm.com/
【公式ツイッターはこちら】
https://twitter.com/ppppphmofficial