社会的信用が高い公務員向きの副業といわれる不動産投資。しかし、関心がありながらも副業禁止の規定が気になり、なかなか踏み出せない人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、公務員の不動産投資は副業規定違反になるのかについて徹底解説します。公務員が不動産投資を行うメリットや注意点についても紹介するので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
一定条件を満たせば、公務員が不動産投資を行うことは副業規定違反になりません。
公務員の副業禁止については、国家公務員法・地方公務員法いずれにも盛り込まれており、公務員が営利企業の役員や顧問になって収入を得ることや、自ら営利事業を営むことを禁止しています。これは、公務員という職業の性格上、一部の企業や人に癒着しないようにするためです。
しかし、あくまでも自分の不動産で利益を得る不動産投資に関しては、所轄庁の長に申し出て承認を得れば行ってもよいとされています。
承認の条件は、公務員としての業務と特別な利害関係がないこと、業務に支障がないこと、公務の信頼性を損なわないことの3つ。これらを満たせば副業規定違反になることなく、不動産投資を行うことが可能です。
公務員が不動産投資をする際には、副業規定違反にならないための具体的な条件が定められています。ここでは、国家公務員に関する諸ルールを定めた人事院規則に基づいて解説します。
なお、投資規模に規制がある不動産は、賃貸物件だけではないので注意。たとえば、土地の賃貸は契約数が9件まで、駐車場の賃貸は9台までの上限があります。不動産投資を行う場合には、規模に細心の注意をはらい、規定を超えないようにしましょう。
また、上記を満たしていても、ゴルフ場のような娯楽施設や、旅館・ホテル運営などを目的とする場合は承認が必要です。
年間の賃貸料収入が500万円未満に収まることも、公務員が副業規定違反にならないための条件です。
ここで注意すべきは、最終的に手元に残る利益ではなく、年間の賃貸料収入が対象となること。たとえば、家賃収入が月5万円のワンルーム9室を賃貸している場合、年間の家賃収入は540万円となり、人事院による承認が必要です。たとえ経費などを差し引いた純利益が赤字であっても、例外ではありません。
なお、年間の収入が500万円未満の場合でも、毎年1月末日までに不動産の種類や管理方法を記載した自営兼業承認申請書を提出しなければならないので注意。年間でどれくらいの賃貸料収入が見込まれるのか、事前に計算しておくとよいでしょう。
さきほども説明のとおり、公務員の職務に支障をきたさないことが不動産投資を承認する条件になっています。実際には支障がないとしても、自分で管理していることで自営兼業とみなされてしまう場合があるので注意が必要です。
管理会社は、契約業務から住人のクレーム対応や賃料の徴収まであらゆる業務を代行してくれます。副業規定違反に抵触しないためだけでなく、不動産管理の負担を軽減するためにも、管理会社への委託は公務員として働くオーナーにとってメリットが大きいでしょう。
以下の記事では、おすすめの不動産投資会社を紹介しています。管理業務の代行を委託できるかどうかもわかるので、ぜひ参考にしてください。
1つ目は、2009年に税務署職員が実体のない管理会社を設立し、マンション経営で年間2,500万円の家賃収入を得ていた事例。税務署職員は、3か月にわたって10分の2の減給処分となりました。
2つ目は、2016年に教師が都内のマンションで民泊営業を行い、2年間で約660万円の家賃収入を得ていた事例。教師は、6か月にわたって10分の1の減給処分となりました。
最後は、2019年に仙台市職員が仙台市内のアパート3棟から年間約600万円の家賃収入を得ていた事例。職員は3か月にわたって10分の1の減給処分となりました。
定期的または長期的に行っている場合や、公務員としての信用を損なう場合は処分が厳重になる傾向にあるので注しましょう。
公務員の不動産投資が職場の同僚や上司にバレてしまう理由について解説します。
不動産投資で収益が出た場合に、自治体から勤務先に住民税額の通知が行くことによって、給与以外に収入があることがバレる場合があります。
住民税の徴収方法には、普通徴収と特別徴収があり、普通徴収とは納税通知書をもとに個人が自分で納める方法。特別徴収とは、勤務先が給与から住民税を天引きして納める方法です。
公務員が給与以外の所得の申告を行う場合には、その分の住民税の支払い方法を選択できます。勤務先にわからないようにしたい場合は、自分で納める普通徴収を選ぶとよいでしょう。
TwitterやInstagramなど、SNSにうっかり不動産投資の情報を流してしまうと、誰に見られるかわからないので注意。たとえ名前や顔を隠していたとしても、職場の同僚や上司であれば気づかれる可能性があります。
SNS上では情報が拡散されやすく、一度拡散されてしまった情報は、取り消すことができません。少しでもバレるリスクを減らしたいのであれば、不動産投資の話はSNSには投稿しないようにしましょう。
職場以外であっても、どこで誰が会話の内容を聞いているかわかりません。職場の関係者が直接聞かなくとも、人伝いにバレることもあるでしょう。
飲み会や会食など、飲酒シーンではとくに注意が必要です。普段は気をつけていたとしても、アルコールが入れば気がゆるくなるもの。人によっては声が大きくなることもあるので、注意しましょう。
不動産投資の事実がバレたくないのであれば、基本的には誰にも話さないことがベストです。
公務員が不動産投資をするメリットを解説します。
公務員は一般企業のように勤務先が倒産するリスクがなく、収入も安定。返済能力が高いと判断される条件を備えています。融資の審査において、公務員の社会的ステータスは有利にはたらくでしょう。
金融機関によっては借入時の金利を優遇してくれる場合もあるので、融資を受ける際には、公務員ならではの信用度の高さをフルに活用しましょう。
毎月の収入が安定しており、将来の投資計画が立てやすいことも、公務員が不動産投資をするメリットです。
初期投資の金額が大きくなりがちな不動産投資で利益を出すには、ローン返済をはやく終えることが重要。そのためには、事前に入念な投資計画を立てておく必要があります。
公務員は給与が安定しているだけでなく、毎年賞与を安定的に期待できるのもポイント。収入を予測しやすいので、繰り上げ返済のタイミングも計画しやすいでしょう。
このように事前に投資計画を立てやすいことは、不安要素を少なくする意味でも大きな強みです。
最後に、公務員が不動産投資する際に、知っておくべき注意点について解説します。
投資額が大きく、長期的にわたる不動産投資には、さまざまなリスクがあることを理解しておきましょう。リスクを知らずに投資をすれば、場合によっては取り返しがつかない損失をかかえることもあります。
たとえば、人事院による承認なしに一定の基準を超えた不動産投資をすれば、減給や停職処分になるリスクがあります。ほかにも、空室リスク・入居者の家賃滞納リスク・修繕リスク・火災リスクなど、不動産投資にはリスクがつきものです。
いざというときに落ち着いて対処するためにも、あらかじめ起こりうるリスクは確認しておきましょう。
不動産会社のなかには、公務員の社会的な信用度の高さを利用して、高額物件を買わせる悪質なものも。不動産会社の儲けは、いかに高い物件を契約させるかにかかっています。高額物件でも融資が通りやすい公務員は、悪質な不動産会社の標的になりやすいので注意しましょう。
不動産投資に関する知識が少ないと、自分が騙されていることにも気づけません。不動産会社の言いなりにならず、適切な判断ができるようになるためにも、自分で知識を身につけましょう。不動産投資におすすめの本やセミナーも、上手に活用してくださいね。
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