被災のソニー仙台が始動 =7月復帰へチーム一丸=
東日本大震災で被害を受けた宮城県多賀城市を本拠地とするサッカーの日本フットボールリーグ(JFL)ソニー仙台が、5月16日から中断していた練習を再開した。7月3日に開幕する後期リーグ戦に復帰することが決まったからだ。
選手25人中22人が親会社仙台テクノロジーセンターの社員。震災後は被害を受けた会社の復旧作業に専念した。ただ、毎日のように空いた時間に選手ら4、5人が同市内の避難所や小学校で子どもたちにサッカーを教えてきた。
練習場が全く使えない状態ではなかったが、前期リーグ戦の出場を見送った。瀬田貴仁主将(25)は「周りはひどい状況で自分たちがサッカーをやるわけにはいかなかった。地域のために少しでも役立ちたい」という気持ちから、選手たちは震災の復興支援を最優先に過ごした。
復帰が決まったものの、チームは大きなハンディを背負う。リーグ下位のチームは地域リーグとの入れ替え戦に回るが、ソニー仙台は他チームより10試合分少ない勝ち点で今季成績を計算されることになったからだ。
1998年シーズンからJFLで戦う。2009年には3位に入ったが、今季は逆境に立たされる。田端秀規監督(40)は「厳しいシーズンになると思うが、チーム一丸となり地元仙台と会社のために底力を見せたい」。復興に立ち向かう地元同様、チームも再び走り始めた。(サッカーボールを使って子どもたちと遊ぶソニー仙台の瀬田貴仁(中央)=4月1日、宮城県七ケ浜町)