「好きを貫く」よりも、もっと気分よく生きる方法 - 分裂勘違い君劇場
前から思っていたが、分裂勘違い君の書く文章には、意識的に多くの仕掛けが施されている。
今回、あまりに手放しの賞賛が多いので、ちょっと違った視点(意地悪な視点)から斬ってみたいと思う。
それにしても、名文である。
これだけ罠や仕掛けが多い文章を、誰にでも読みやすく書ける才能には脱帽。
このエントリの罠はいくつかあって、全てがはてなブックマークにハマってしまうタイプの人に、向けられてる。
つまり、ウェブについての知識や興味があるが、いわゆる一個人として「コトを成していない人」。
つまり、自分の境遇にあまり満足していないが、努力の方向が良くわからず、情報収集ばかりを病的に繰り返してしまう人。
第一の罠が、そう言うはてなマニアが素直にこのエントリを批判する文を書こうとすると、自分が無能なことを
少なくとも、一度は筆者を持ち上げないといけない罠。
第二に、このエントリは、馬鹿馬鹿しいくらいの「正論」を、巧みに味付けしてみせただけの文章だということ。
中身は、これだけ。
「その時々にやりたいことを、好きなようにやれるのが一番幸せ。俺、出来てるし」
後半の「出来てるし」の部分でさえ、履歴書チックにそれなりの成果があれば、主観的なことを判断基準にしているから、
外部の人間が「やれてねえだろ」と証拠をあげて突っ込むのが難しい。
「それ、好きじゃないから」「その時点で飽きたから」っていわれたら終わりだし。
あと、手抜きしてもこんだけ出来るぜ自慢は、がむしゃらになれる人への嫉妬の裏返しだよね。
第三に、繰り返される「好きなステーキでも毎日食ってたら飽きる」という極端な比喩。
これは、この程度の比喩で素直に納得してしまうレベルの人をメインターゲットにした上で、
おかしいと見抜いてもそこをツッコむと、ツッコんだ人がレベルが低そうに見えてしまう、
という二重の罠。
とりあえず、馬鹿っぽく見えることを承知で、真っ正面からツッコんでみる。
そもそも、食事の比喩は、感覚的に強烈でわかりやすい錯覚を覚えるが、大抵において的確ではない。
何故なら、食事は毎日繰り返される本能的な欲求で、習慣や仕事や趣味と同次元で語れるものではないから。
つまり、一生ステーキしか食えない、って聞いた時のウェッと来るような感覚的な気持ち悪さは、
一生プログラマーの仕事を続ける、と言う感覚と、全く関係ないってこと。
それを前提にした上で、レベル感の違い、構成要素の複雑さの違い、そもそもステーキを毎日食べたい、
と言う言葉自体が誇大表現のレトリックであるということ、などなどツッコミどころが多すぎる。
レベル感ってことで言えば、「ステーキ」って「プログラマー」に対して、範囲狭すぎるでしょ。
そもそも、「プログラマー」などの「業種」を、「ステーキ」という「素材そのものの一品料理」と
一緒にするのがおかしい。そりゃ、想像するだけで気持ち悪くなるよ。
せめて、「肉料理をメインに一生食べ続ける」、くらいのもんでしょ。
それくらいなら、実践している人も山ほどいる。
それに仕事なら、役割も内容もどんどん変わって行くわけで、成長も変化もある。
テトリスを一生やり続けるのと、FFオンラインを一生やり続けるのと、くらいの違いがある。
ああ、やっぱり馬鹿らしい反論になってる気がする……。
正論や極端な比喩に、とって付けたような(しかし、批判の対象になるプログラマー層が小耳に挟んだことはあるが
詳しく知らなそうな分野のネタを広範囲から)引用や巧みなレトリックをまぶして、見事な文章に見せかけている。
第五に、褒め殺し。
ポストモダンで解決案を提示出来なかった課題にも、梅田さんなら何らかの解決策を出してくれるかと
期待した、なんて誉め殺しもいいとこ。もともと趣旨違うし。
そうすることで、自分が解決策を提示出来るわけでもないのに、相手を褒めつつ批判することが出来る。
勘違い君も、「自分は好きな時に好きなことをやる人生が実現出来てるよ」ってことは言えていても、
多くの人が実現出来るような解決策を何も提示出来てない。そしてそれを巧妙に隠しているってことだ。
今までのエントリがそうだったように、「はてなブックマークで話題になること」である。
つまりこのエントリは、自分を持ち上げつつも、自分よりも自己実現が出来ていない層から共感や賞賛を
得るために書かれたもの、ということになる。
繰り返し言うが、「その時々にやりたいことを、好きなようにやれるのが一番幸せ。俺、出来てるし」ってこと。
まず、梅田望夫が自ら名言しているように、「ウェブ時代をゆく」は、あなたのようにウェブの世界に精通し、
それをわかっていながら、こきおろしている。
まるで、ベテランが新人の基礎研修を見に来て、古典的で四角四面な内容に茶々を入れてるみたいだ。
けものみちの生き方を目指しつつ、ひろゆきや梅田望夫になれず、はてブのヒーローに留まってしまうのは、
論破出来そうな権威に噛み付いて、自分より格下の相手の称賛だけで満足しているだけの器の小ささではないかと思う。
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20071209/1197232409
※ブクマ数が100ぐらいになったら、↓このへんに 書き手が現れる予感。
「わたしが書きました」 くろいぬ(Shields-Pikes)
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「そうすることで、」の後に何を書こうとしていたのか気になる。
第三に、繰り返される「好きなステーキでも毎日食ってたら飽きる」という極端な比喩。 まあねえ。 それがステーキじゃなくてお米だったら、 「毎日食っても飽きないよ」って話に...
あの劇場ってラノベと一緒じゃないの? 無駄な描写と全能感あふれるキャラクター。 だからブクマされるんだよなあ。 小説 「後ろで大きな爆発音がした。俺は驚いて振り返った。」 ...
良かったな、100匹のザリガニが釣れたぞ。
http://anond.hatelabo.jp/20071211154902 おれらってまるでせいちょうしてないな