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商社退職、夢かなえ最高峰NFLを彩るチアに ジャガーズで4季目の本田景子さん

ロンドンで劇的初勝利

 北米四大スポーツの中でも絶大な人気を誇る最高峰の米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)。日本選手が未到の舞台で、チアリーダーとして活躍する日本人がいる。米フロリダ州ジャクソンビルに本拠地を置くジャガーズの専属チアリーダー「ザ・ロアー」の本田景子さん(38)。10年以上勤めた日本企業を2018年に退職して夢をかなえ、今季で4シーズン目を迎えた。10月17日にロンドン郊外で行われたドルフィンズ戦では、エネルギッシュなパフォーマンスで6万人を超える観衆を魅了。チームを劇的な今季初勝利に導く「女神」の一人となった。(時事通信ロンドン特派員 青木貴紀)

◇ ◇ ◇

 ジャガーが描かれた鮮やかな青緑色の衣装の通り、力強く、華やかにフィールドを彩った。年に1度のロンドンでのホームゲーム。試合のオープニングでは切れのあるダンスを披露し、スタンドを埋め尽くしたファンから大歓声を浴びた。

 約3時間に及ぶ試合中はサイドラインで踊り続け、観客を盛り上げた。チームは序盤こそ劣勢だったが、第2クオーターから流れを引き寄せる。20―20で迎えた第4クオーターの残り1秒。53ヤードのFGが決まり、昨季の開幕戦以来となる白星。拳を突き上げて絶叫する観客、跳びはねて喜ぶ選手とともに本田さんも歓喜の瞬間をフィールドで味わった。

 「夢のようでした。ロンドンのファンの方とスタジアムが揺れるほどの喜びを分かち合えて、本当に感動しました。異国の地でパフォーマンスができる喜びを感じ、チアが好きなんだという気持ちを再認識しました」

35歳で再挑戦を決意

 本田さんがチアを始めたのは、社会人3年目の07年と決して早くはない。4歳からクラシックバレエを10年間習い、大学ではダンスに打ち込んだ。チアは、高校3年の時に東京都内の大学の文化祭でパフォーマンスを見て「これやりたい!とビビッときた」という。仕事に慣れてきたタイミングで富士通チアリーダー部に未経験ながら合格し、念願だったチアの道を歩み始めた。

 商社で貿易事務として働きながら、アメリカンフットボール日本社会人Xリーグの富士通、サッカーJリーグの川崎フロンターレなどで経験を積んだ。10年にNFLチアのオーディションに初挑戦したが、落選。「受かったらいいな、なんて甘い気持ちで行って、本気度が足りなかった。中途半端な気持ちでは駄目だと思い知らされました」

 その後も日本で活動しながら、NFLへの思いが消えることはなかった。17年にバスケットボール男子日本代表の公式チアに合格したことが転機となり、「後悔したくない。世界を目指すしかない」と再挑戦を決意。10年以上勤めた商社の退職手続きをし、35歳だった18年に不退転の覚悟で渡米。厳しいオーディションを突破し、「アメリカンドリーム」をつかんだ。

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