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次の時代に重い課題、「平成と高校野球」

甲子園人気の陰で、部員減少進む

 昭和の時代、人気スポーツとして輝き続けた野球。しかし近年は少子化を背景に球児が急激に減っている。この30年の高校野球の動きを振り返り、次の時代に向けた取り組みを紹介する。(2019年4月配信)

◇甲子園人気の陰で、部員減少歯止めかからず

 昨夏の第100回全国高校選手権は大会史上初めて入場者が100万人を超えた。記念大会で史上最多の56校が参加したことに加え、好選手をそろえた大阪桐蔭(大阪)の春夏連覇や、東北勢初優勝にあと一歩と迫った金足農(秋田)の快進撃も大会を盛り上げた。

 しかし、この熱気をもってしても野球部員の減少に歯止めをかけるのは容易ではないという。

 岩手県高野連の佐々木明志理事長(55)は「県内の野球人気は、甲子園の人気に比例しない」と明かす。約70の加盟校のうち3割は部員不足で、連合チームの形を取る。「県土が広いので(学校を)統廃合しづらく、合同練習ができるかどうかという距離の学校も多い。場合によっては4~5校の連合になる」

 部員が減ると何が起きるか。県大会などの観客の多くは球児の家族で、部員が減れば入場料収入の減少に直結する。これは県連盟の主要財源であるため、指導者や審判を対象とした講習会などの事業開催に支障が出てくる可能性もあるという。

 日本高野連の統計によると、硬式野球部が最も多かったのは2005年(4253校)で、そこから減り続けて昨年は3971校。部員数は14年に約17万人でピークに達した後、急激に減って昨年は約15万3000人だった。年に4000人以上減った計算となる。

 岩手県は菊池雄星(マリナーズ)や大谷翔平(エンゼルス)の故郷。佐々木理事長は「スターが出ると盛り上がるけれど、部員が増えない。できるだけ事業を続けるために、大会日程でもお客さんが入りやすい日、エリア、球場などを考えざるを得ない」と話す。

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