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はてなキーワード: 車掌とは

2025-01-28

anond:20250124234444

鉄道会社勤務だけど迷惑行為カスハラ体感でも男性の方が多いし、カスハラのような迷惑行為男性の方が多いのはデータにもなってる。

ただ女性迷惑行為トラブル経験したし、男限定で人を嫌って男全体を悪く言う、というのが自分感覚だとよくわからない。

女性トラブルでも

「駅員時代、おばはんが見知らぬ若い女性に絡んで携帯写真を撮ってまわりに咎められたら騒いでいると通報があり現場へ。撮影は認めたので注意して削除をお願いしたら後日被害者面で後日クレームを入れられた。」

「駅員時代サービスに関する文句ホーム立ちの最中にずっと言われて、本社お客様センターをご案内するもおさまらない女性に遭遇。ホーム安全確認中と説明しても引き下がらない。立会が車掌に旗で乗降終了合図、閉扉確認合図を出す駅だったため作業の妨げになった。」

「駅員時代、周りを見ないで走って人にぶつかって、ぶつかった人に逆上して文句を言う女性に遭遇。その場を見ていたので注意したが私は悪くない、相手がぶつかってきたと主張。ぶつかりおじさんのおばさん版みたいな人。」

車掌時代女性専用車に男性がいて、その男性を車両から降ろせという女性に遭遇。法規で決まってもいないので男なら乗ってはいけないまでは言えず降ろせもしないし、体の不自由男性などは乗ってもらって構わないと公式に表示しているなど事情もあり、男性が乗車するときもあると説明したら怒りだされた。」

車掌時代、ぶつかった、ぶつからないで女性専用車で女性同士が車内で喧嘩をしてお互いに引かないため、車内で対応。駅に応援を頼んだが両方降りない。警察を呼べと言われ、警察を呼ぶよう駅に頼んで、ここでようやく両方降りることに同意したので運転再開電車は遅延。」

運転士時代、酔って車内で嘔吐、尿や便も少量漏らしていると他の利用者から報告。乗務員室を施錠し現場に行って駅に伝え駅の方と掃除しかし糞尿が漏れたまま目的の駅までは行くと言って降りず席から立たないから駅ではゲロしか掃除できない。その後その人が降りたタイミングでまた乗務員室を施錠してその場所に行って簡易掃除と上から座らないよう掲示はりつけ。そのせいで電車遅延。」

など酷い目にあったことがあるし、こういうトラブルの時に男性対処対応に協力してくれたこともあるので、男性だけ嫌いになるというのもどういうことなのだろうと思った。

大きい駅や混雑する路線なら、本当に多種のトラブルに遭遇するため、カスハラ迷惑行為男性が多いとはいても中には迷惑女性客や協力してくれる良い男性客を引くことも絶対あるだろうから

自分は「迷惑客」 「カスハラする客」 「クレーマー」がとにかくこの仕事してから余計にすごい嫌いになったが、そういう人を嫌いになるのではなく男性全体を嫌ったり悪く言うのは認知のゆがみがあるのではないかと思う。

男性でもいい人もいるし、女性でもこういう衝撃のやばい人もいるんだから

もちろん、カスハラなどは男性の方が多いので、嫌いになる客は女性より男性割合が高くなるというのもわかる。

でもだからといって迷惑女性カスハラする女性、良い男性も中にはいるんだから男性全体(または女性全体)に性別で決めつけてヘイトを向けてはいけないなと思う。

今は現場離れてしまったけど現場で駅員、車掌運転士を数年ずつ経験していたときを振り返っても、性別で決めつけてヘイトを向けるのはやはり何か違うんじゃないかな、理解できないな、認知がゆがんでるんじゃないかなと思った。

2025-01-14

年配の車掌さんがなのかの手と間違えて髪と握手してるの何度見てもおもろくて未来永劫笑ってる

https://www.youtube.com/live/xEgzvv1x9pM?si=a1eCBaB4xDcUOfbN&t=141

2025-01-03

【悲】男さん、新幹線家族連れに「窓側席を譲って」と言われるも頑なに断って大喧嘩車掌も駆けつける騒ぎに

https://x.com/TKN_1532/status/1874015992403419325

帰省するのに京都から新幹線に乗車。窓側A席の座席を確保していたが自分の席に子どもが座っていて横にいた親に声をかけたら『家族で並んで座りたいし子どもに外の景色を見せたいから変わってほしい』と言われた。その家族はB/C/Dの席で俺にD席に座れと言う。当然、断ってどけるよう言った。

 

俺は真ん中のB席は気を使うし通路側のC/D席は立客が気になるから窓側を確保したんだしコンセントも欲しい。そもそも俺が確保した座席だし縁もゆかりも無い他人の親子に譲る理由もない。なので退けるよう強めに言ったが逆ギレされた。父親自分たちの言い分ばかり主張してくる始末。

 

父親の大声が他の乗客にも迷惑になりだして母親にそれすら俺のせいにされていたら乗務員がやってきたので事情説明したら、乗務員正規場所に座るよう言ってくれて従わない場合は次の新大阪で降りてもらうことになると強く言ったことで父親が渋々D席へ移り母親子供がB/C席へ座った。

 

新大阪到着前に無事に自分座席へ座れたので、上着を脱いで荷物荷物棚に乗せてスマホを充電してヘッドホンをしたら横の子供がこちらへ身を乗り出してきて外を見ようとしてきたのでブラインドを下ろしたら少しぐずったがしばらくしたらおとなしくなった。

 

家族が下車する岡山まで父親こちらを睨み続けて母親子供に俺の悪口を言っていたようだが気にもせず過ごしていた。色々と迷惑乗客の話は聞いていたが、自分が遭遇するとは思ってなかった。こういう場合、譲る人は譲ればいい。けど、俺は譲らない。

 

家族で並んで座りたいとか窓から外を見たいならちゃんとそれができる座席を確保すればいいだけ。俺は自分の望みをかなえる座席を確保した。あの家族はそれらを捨ててでも乗りたい時間列車に乗って座るということを優先したまでのこと。#新幹線 #車内トラブル #迷惑

 

これどっちが悪いんだ

2024-12-28

anond:20241227221903

車掌ごっこのお兄さんは見かけるけどおじさんはレアだなあ

おじさんになる前に専門の機関に入るのかな

anond:20241227221903

ホーム車掌ごっこしてるおじさんって割と貴重だと思う

専門家ではないが、ガチ勢って感じがして好感度は高い

anond:20241227221903

東京には駅のホーム車掌ごっこしてるおじさんがいるのか。東京怖ぇなぁ。

2024-12-27

増田裁判官気取り、検事気取りのブコメは駅のホーム車掌ごっこしてるおじさんと一緒


増田裁判官気取り、検事気取りのブコメは駅のホーム車掌ごっこしてるおじさんと一緒ってわからないのかな?

素人増田より裁判官の方が信頼できるって当たり前のことだよね、何様のつもりでどんな顔して増田書いてるんだろう

増田のおじさんおばさんがマッチングアプリ恋愛先生ごっこやってるのですらキツいのに、いい年して裁判官ごっこ裁判官批判だぜ、冗談だろ

2024-12-26

ブクマカ裁判官気取り、検事気取りのブコメは駅のホーム車掌ごっこしてるおじさんと一緒

ブクマカ裁判官気取り、検事気取りのブコメは駅のホーム車掌ごっこしてるおじさんと一緒ってわからないのかな?

素人ブクマカより裁判官の方が信頼できるって当たり前のことだよね、何様のつもりでどんな顔してブコメ書いてるんだろう

ブクマカのおじさんおばさんがマッチングアプリ恋愛先生ごっこやってるのですらキツいのに、いい年して裁判官ごっこ裁判官批判だぜ、冗談だろ

2024-12-13

女体好きとたいして変わらぬ、人間嫌いの人体好き

アンチフェミがよく使う言葉で、女嫌いの女体好きという言葉がある。要は女の性格身体が合わさった"女性"は嫌いだけど、自分の言いなりになってくれる柔らかい女体と胸とマンコと膣と喘ぎは好きということだ。

これを見てるのが女子なら女嫌いの女体好きを「うわ…」ってなって当然だろう。ところが、これを男も女も関係なく体験できる場所がある。

そう、会社である

どういうことかって?

企業経営するうえで経営者側の視点に立つと、人件費は抑えたいものである。身近な例だと鉄道ならば車掌のいないワンマン運転最近多いのもそういうことである

鉄道といえば最近組合活動もあまり聞かなくなった。組合活動やストをする人というのは経営者側の視点だと"反抗する性格を持つ人間"ということになる。そういう人間鉄道会社ならクビや左遷や嫌気がさして退職などで潰されてゆく。国鉄分割民営化労組潰しの意図があったという。そして会社に残るのは会社経営者側に従順で、洗脳された従業員だけとなる。

ここに、"反抗する「人間」は嫌いだけど、黙って言う事を聞いてくれる労働力としての人体は好き"という経営者側の考えが透けて見える。ヤリチンからみた「女性」の部分はいらないが、「自分の言いなりでアンアン喘いでくれるあったかオナホとπ」はほしいというのは、経営からみた「従業員性格はいらないけど「知能つきで経営者に従順な手足と目と耳」はほしいというのと何ら変わらないのだ。

残念なことに、中小企業では当たり前だし、大手企業でもこういう考え方の偉い人は非常に多い。

ロボットアームを導入するよりも人件費のほうが安価になるような職業ではこれがよくある。

社員はどうすれば?

まずは洗脳されないようにすること。はい◯◯(企業名)様ありがとうございますと言い出すレベルなら手遅れである。そうでないなら、ひとりで入れるタイプ労働組合に入ろう。あとは別に労組でなくてもよいが、似た境遇の仲間を見つける。

どちらにせよ仲間を見つけることは大事である

2024-12-12

人間嫌いの人体好き

女嫌いの女体好きという言葉がある。要は女の性格身体が合わさった"女性"は嫌いだけど、自分の言いなりになってくれる柔らかい女体と胸とマンコ膣と喘ぎは好きということだ。

これを見てるのが女子なら女嫌いの女体好きを「うわ…」ってなって当然だろう。ところがこれを男も女も体験できる場所がある。

そう、会社である

どういうことかって?

企業経営するうえで経営者側の視点に立つと、人件費は抑えたいものである。身近な例だと鉄道ならば車掌のいないワンマン運転最近多いのもそういうことである

鉄道といえば最近組合活動もあまり聞かなくなった。組合活動やストをする人というのは経営者側の視点だと"反抗する性格人間"ということになる。そういう人間鉄道会社ならクビや左遷洗脳などで潰されてゆく。国鉄分割民営化労組潰しの意図があったという。そして会社に残るのは会社経営者側に従順で、洗脳された従業員だけとなる。

ここに、"反抗する「人間」は嫌いだけど、黙って言う事を聞いてくれる労働力としての人体は好き"という経営者側の考えが透けて見える。ヤリチンからみて「女性」の部分はいらないが、「自分の言いなりでアンアン喘いでくれるあったかオナホとπ」はほしいというのは、経営からみた「従業員性格はいらないけど「知能つきで経営者に従順な手足と目と耳」はほしいというのと何ら変わらないのだ。

社員はどうすれば?

まずは洗脳されないようにすること。はい◯◯(企業名)様ありがとうございますと言い出すレベルなら手遅れである。そうでないなら、ひとりで入れるタイプ労働組合に入ろう。労組でなくてもよいが仲間を見つけることは大事である

2024-12-07

ソープ嬢税金問題が熱そうだったから、いっちょ噛みできないか

税理士から見るソープ嬢納税問題 https://anond.hatelabo.jp/20241205154323

ニセ税理士日本社会の今後について https://anond.hatelabo.jp/20241205195415

これらの記事を、大変興味深く読んだ。興味深くというのは、記事の内容そのものというよりも、それに対するコメント熱量というのが、

なんというか、大変に盛り上がっており、なぜこれほど盛り上がっているのかということが、あまり自分の中でしっくり来なかったから、である

自分は税務や労務プロでもなんでもないので、細かい専門的内容にはコメントのしようがないのであるが、

とはいえ、ここのメインテーマというのは、要は収入が発生しているのであるから、それについて課税すべきかどうかという問題である(と理解した)。

そうすると、これはシンプル税金を払うべし、ということで決着が付きそうな、ただそれだけの話題のように思える。

にも関わらず、数百を超えるブコメがついているという、その事実に興味をもったのである

それで自分なりに色々と考えてみたので、そのことをここに書いてみる。

さて、唐突フィンランドの話をする。といっても、北欧における風俗産業についての話ではない。鉄道料金の徴収の話である

から10年以上も前の話(なので、今もそうか知らないが)、フィンランド首都ヘルシンキ駅での体験だ。

ヘルシンキ駅は非常に大きなターミナル駅である。ちょうど常磐線が発着する上野駅に近いイメージだ。しかし、上野駅、というか日本鉄道全てと大きく異なる点がある。

なんと、改札がないのである

ヘルシンキ駅の駅舎に入ってしばらく歩くと、いきなり鉄道ホームが出てくる。入口も何もなく、いきなり列車に乗り込むことができるのだ。

そして各車両にはICカードリーダのようなものが備わっており、どうやら乗客ICカードをそれらにタッチすることで運賃を支払う仕組みになっているようなのだ

ようなのだ、と書いたのは、当時私は出張ヘルシンキに来ており、予め列車フリーパスカードのようなものを配布されていたので、このあたりの事情について、実はいまだに

正確に把握していない。なので、正確なシステムは、もしかしたらちょっと違うのかもしれない。

ただ一つ言えることは、ヘルシンキ駅には改札がなく、そして下車駅にも改札がなく、つまり目的地に着くまで、一度も料金徴収のチェックを受けることがなかった、ということだ。

支給されたカードフリーパスのようだったので、カードリーダで料金徴収されることもないため、出張の後半になってくると、(これ、かざす意味あるのか。。。?)と思うようになった。

というか、この仕組みなら、乗車運賃を払わなくても、ただ乗りできてしまうではないかフィンランド鉄道は、フィンランド人の善意で成り立っているのだろうか。

とういことを考えた我が同僚は、出張の後半になってくると私と同様に、このカードリーシステムに疑問を持つようになり、というか、シンプルカードを持参することが面倒くさくなって、

手ぶら列車に乗るようになった。

ところがである。ある日、いつものように彼が手ぶら列車にのっていると、突然車掌から声をかけられたというのである。そしてカードを見せろと言われたので、

カードは持っているがホテルに置いてきてしまった、実際は料金は会社が払ってくれているはずだ、と弁明したそうなのだが、有無をいわさず高額な罰金を支払わされたという。

この話をきいて、ははん、と納得した。

まず、車掌は誰がカードを持っているかどうかを判別などはしていないだろう。ある一定タイミングで、適当にその辺の乗客を狙って検札しているのだと思われる。哀れな我が同僚は、

運悪く検札に引っかかってしまったのだろう。

もしも、100%確実な方法で料金徴収を実現したいのであれば、車掌は全員に検札をすればよい。しかし、それは時間的に無理がある。というか、100%を目指すのであれば、そもそも入場ゲートを設置すればよい。しかし、それにはコストがかかる。

そこで、ある一定割合検札実施し、そこで料金未払が発覚した場合に、高額な罰金徴収する、というシステムにしたのだろう。これが私の推測である

車掌無賃乗車がばれる確率と、その場合に支払わなければならないコスト期待値として、それが正規運賃を支払うコストに比べて見合わないほど高額であれば、乗客正規運賃を支払うインセンティブが働く。鉄道会社は、自動改札システムのような高額な設備投資をせずに、車掌おっちゃんに適当に(より正確には、適切な期待値となるような頻度で)検札実施させれば目的を達成できるので、大変賢い仕組みだと関心したのである

とここまで書いておいてあれだが、これは完全に私のデタラメ想像であるそもそも、いまもヘルシンキ駅に改札がないのかも知らない(調べれば分かると思うけど)。

ではなぜこのことを書いた、というか、思い出したかというと、税務調査というのは、このフィンランド鉄道の仕組みに良く似ていると思ったからだ。

税金は必ず払わなければならない。このことは間違いない。納税国民義務であるフィンランド鉄道にただで乗ってはいけないのと同じだ。というか、フィンランド鉄道のようなザルの仕組みであってはならない。しっかりとした改札を設けて、100%確実に徴収すべき性質のものだ。

ところが、国民全員が完全に正しく納税しているかどうかを100%の精度で確認することは、そう簡単ではない(と信じられている)。そこで、結果的フィンランド鉄道のごとく、ランダムピックアップして、脱税しているかどうかを調べるという方法を取ることになる。そして、徴税システムインセンティブが、「効率的徴収」」にあるとするならば、確実に大金を稼いでいて、かつ脱税実態簡単証明できるところから順に調べていくことが合理的ということになる(全乗客からランダム検札するフィンランド鉄道と、ここが大きく異なる点だろう)。

とはいえわたしは税務の素人であるし、ましては税務署人間でもないので、いま書いたことも本当かどうか、何もわからない。

さて、ここでようやく本題に入る。すなわち、冒頭2記事ブコメ諸氏の熱量について、私なりの方法で腹落ちさせる、という試みである

私を含めて善良なる市民たる我々は、キチンと納税(=乗車料金の支払い)をして列車に乗っているのである。その列車に、あろうことか、運賃を払わずに我が物顔で列車に乗り込んでいる輩がいるのである。ところが肝心の車掌は、他のもっと身なりの良い乗客身体検査ばかりしていて、こちらの乗客など構おうともしない。それでは専門家税理士)はなんと言っているのかと聞くと、なんとも怪しい返事しかしない(なんとならば、税金を払わなくてもよいかもと取れるような発言さえしている)。これでは、真面目に運賃を払っているこちらとしては、腹の一つも立てたくなるものだ。

ということで、なんというかフィンランドの思い出まで書いておいて出すような結論でもなかったなと思いつつも、一応、当初の目的を果たしたことで満足するとする。

さて、ここからは余談である

列車料金と納税アナロジーでお気づきの方もいるかとも思うが、この話は給与所得者の場合において、多少の修正を要すると思われる。すなわち、給与所得ほとんどの人は、源泉徴収というかたちで所得税を納めているのであるから、いわば運賃を前払いしているようなものなのである。そこで、給与所得者は、それ専用の列車に乗っている、としたほうが良さそうだ。この列車に乗っている人たちは、あらかじめ会社が複雑な計算をして運賃を支払ってくれているので、あまり難しいことを考えずに列車に乗れる。

一方、風俗嬢をはじめとした個人事業主などは、いわば運賃は後払いだ。今年、2024年所得が確定してから来年2025年春に確定申告をして、税金徴収される。車掌たる税務署職員から検札を受ける可能性があるのは、こちらの列車に乗っている方の人たちだ。

私が一連の記事を見て、いまいち自分ごとのように熱い市民感情を発揮できなかったのは、おそらく自分とは別の列車に乗っている人=自分とは関係のない人、という意識があったからだと思われる。

さて、仮に風俗嬢としての年間収入が500万円あったとして、納税額(=乗車料金)はいくらほどになるのだろうか。経費としてどのくらい控除できるだろう。衣装代やメイク費用など計上できるのだろうか。個人事業主として、家賃分をいくらか按分することはどれほど現実的か。そもそも青色申告できるのか。できたとして、どのような事業として定義されるか。こうしたこと現実的に真面目に考えると、節税として合法的にできそうなことはほとんどなさそうに思われる。シンプルに雑所得として申告したとして、所得税・住民税額は数百万円になるかもしれない。

そして、いざ自分があちら側の列車乗客になったとして、検札にひっかかる可能性が限りなく低い中で、数百万円という乗車料金をキチンと支払う胆力があるものだろうかと、自問自答してみるのであった。

2024-11-25

通勤特急、わざわざ10分前に隣空いてるのを見て座席変更しなくていいなって確認したのに

なんか酒だか加齢臭だか臭いジジイが隣に座った

1区間しか隣空いてないはずだし

多分座席間違えているんだろうなぁ

車掌ーー!!早く来てくれーーーー!!!

2024-11-08

リスカギタギタ女がオタク可哀想

追記論理的なことを端的に言いたいわけじゃないガチ感情日記です。ごめん。


何ヶ月か前、結構前に見かけた同担たまたま電車鉢合わせた。

つの間にかすごく痩せて髪も綺麗になって、前見た時より質のいい服を着ていた。

私の目には彼女が輝いて見えた。あの車両の中で、あの駅の中で、一番可愛かった。



とても綺麗な彼女との正反対にぐちゃぐちゃの自分が恥ずかしくて下を向いて席に座っていた。

きっと相手自分ことなんて認識してもいないだろうけど、バレませんように気付かれませんようにと祈って下を向いていた。降りる駅が近づいてふと見上げると、彼女の腕にはリスカの除去跡があった。そこでもうダメになってしまって、彼女電車を降りたあと、隣の人が移動するくらい無様に大泣きした私は、気がついたらボロボロに崩れた顔で車掌に声をかけられていた。車庫行きの電車だったらしく、ただ降りてくださいとだけ言われて車両を降りた。





私は無様で馬鹿オタクから、信じていた。あの人の前では傷を隠さなくても、恥じなくてもいいと。


自担は元々容姿コンプの村の人間で、今でも体型や顔をとても気にする。

容姿で苦しんできたことが行動や言動の端々からいくらい伝わってくる。

から好きだ。その分優しいから。演技だとしても、優しい言葉をかけられる人は優しい思考を持っている人だと思う。



自担はいわゆる友営(友達営業)だ。アイドルとしてもキャラも、接触時の挙動も、色恋とは程遠い。

私のファンとしての姿勢も(皆に伝わるように言うと)ノンケ女の子ノンケ女の子インフルエンサーファンをやっている感じ。自担ファッションメイクが好きだし、何より容姿コンプからアイドルまで這い上がってきた泥臭い魂がかっこよくて可愛くて、尊敬している。


ブースに入ると、いつも自担は私の名前を呼んで、それから私が座る前にすごいスピードで私のファッションメイクを褒めた。

いつも私が一番見て欲しかったところを褒めてくれて、努力に気が付いてくれたことが本当に嬉しかった。

他のメンバーから「こないだ○○と増田のコーデかわいい、ほしいよねって話したよ」と言われた時は、嬉しくて嬉しくてああ生きていてよかった、死にたくない、とさえ思った。



脱線したけど、本当に自担は誰より容姿コンプというもの理解していた。

いいトシしてそんな服着るな論を否定するつもりで「いいトシしてって言うけどー」と口にしたら、続きの「負けないでかわいい服を着るよ」という文言を聞く前にすかさず低くやけに真剣な声でそんなことないとつぶやいていたのを覚えている。

私に対する言葉が全てお世辞でも、その語彙や思考経験知識がないと出ないと思う。

思い込みだと信じてもらえないかもしれないけれど、確かにそういう人だったのだ。


それに、いつもかすかに摂食障害匂いをさせていた。

したことがある人にしかからない微かな兆候がいつも見え隠れしていた。

流石にそれは私の勘違いかもしれないけれど、少なくとも食に困難を抱えているのは確実だった。

からいいと思ってしまっていた。腕を隠さないでいてもいいと思った。

病的な苦しみを知っている人だから、いいと思った。


私は自分の傷を恥じたことはない。けれどやっぱり否定的な人がいるのはわかっているから、時々隠すこともあった。

人生の進行上好印象を持たせなければならない人の前や、雰囲気を壊しそうな時、悪意を向けてきそうな人がいる時だ。

けれど、自担の前なら出していてもいいと、私は自ら判断したのだ。

もう慣れているので傷をジロジロ見られていたり、逆に見ないようにされているのはすぐにわかる。

けれど自担はそのどちらでもなく、全く大したものでもないような顔でいつも通り喋ってくれた。

しかしたら、詰むオタクなんてリスカギタギタもまあまあいから慣れているのかもしれない。

それでもすごく心地が良かった。哀れみも軽蔑も向けられないことが嬉しかった。


けれどあの日彼女を見て雷が落ちたように私は気が付いてしまった。

普通じゃない」と。

私と同じ人の列に通っている人が傷を直していた。

まり、それが普通なのだ。本当はあの人にだって、こんな傷見せてはいけないのだ。そういうものなのだ、と。

そう思った途端、自分気持ち悪くて最悪で、ダメだった。

見せたかったわけじゃない、隠さないで普通に夏服を着たいだけだった。

けれど、見せちゃダメだった。本当は消さなきゃいけなかった。

不快な思いにさせたかもしれない。そう思うと怖くて、それから接触に行けていない。



もう何ヶ月も経ってしまったし、きっともう存在ごと忘れられていると思う、こんなに通わなかったのはじめてだし、名前なんて存在なんて、こなくなったらすぐに用無しだ。


そうやって気にして行けてないくせに、まだ思ってしまう。どうしても隠さなきゃいけないか?何十万も払って消さなきゃいけない恥か?と。


私はずっと正気を保つためにリスカをしていた。どうしてもやらなきゃいけない勉強仕事があるのに動けない時というのは誰にでもあると思う。そういう何もかもがダメな時、私はリスカをしていたし、今でもたまにする。風呂にも入れず涙を流す肉体も、痛みでブーストしたアドレナリンがあれば無理やり動かせるし、お腹が空いてひもじくてそれでも痩せなきゃいけない日も、リスカをすれば食べすにすんだ。


それなのになんで何十万払って直さなきゃいけない?なんで、私が必死タスクをこなしてなんとか人に馬鹿にされない迷惑をかけないようにするためにつけた傷を恥じなきゃいけない?確かに跡はケロイド状だけれど、きちんと閉じている傷をどうしてそうしなくても生きていける人に配慮して金払って消さなきゃいけない?そう思ってしまう。


ずっと開き直って生きてきたはずなのに、開き直ることにも隠すべきだと思うことにも振り切れず、宙ぶらりんで過ごしている。

元々パフォーマンスが大好きだから見ているだけの今も楽しいけれど、日に日に見せたい洋服が、伝えたい「かわいかった場面」が溜まっている。


私の分もあの彼女が払ってくれているかな、そうだといいな、そうだろうな、ああやってちゃんと傷を消すオタクがたくさんあなたの周りにいたらいいな。普通な日常を過ごしてほしいな。臭くなくて傷なくてめんどくなくて優しい人の相手だけできていてほしいな。会いに行きたいか普通になりたいな。会いたいな。

2024-11-07

anond:20241107232753

アドバイス助かりますありがとうございます車掌さんに相談ですね。

グリーン車会社出張だと差額だけ自費精算って方法はあるかもしれないけど自分ポジションだとハードルが高いです。

可能なら飛行機を使うというのも手かもですね。

2024-11-05

撮り鉄子供を泣かせるのをやめてください

事前に言うがこれは主語がでかい愚痴

先日地方特急電車に乗った。全席指定だ。


ゆるく観光車両になっていて、先頭車両の前のデッキにはちょっとした簡易ベンチがあって、子供大人わず運転席を覗いて歓声を上げたり盛り上がっている。

当日も社内販売などはないものの、駅弁を持ち込む老夫婦や社内で酒を飲んで寝ているお父さんなどもいて、もちろん子供もいっぱいいた。

観光からほど近い終点に向かって、車内の乗員は減っていき、ほどほどに窓の外の景色も廃れていく。

自分旅行ではなく祖母の家への帰省であったので終電の一つ前が終着予定駅だった。(そこも遊園地に行く最寄り駅ではあるので、天気が良い土日などは結構子供最近カップルが多い)

ある水族館真珠が有名な駅をおりてから一気に子供連れが減った。たぶん、この三連休台風が接近していて天気が悪かったからだ。水族館は行けても外の遊園地は行きづらい。

その少し前くらいに男性が一人乗り込んできた。見るから撮り鉄で大きめのカメラ首に下げて、ビデオカメラを手に持っていた。最初から先頭のそのパノラマデッキから風景を取るために乗ってきたのだろう。

その人は全席指定車両ゆえに申し訳程度に一瞬自席に乗り込み、荷物を置いてさっそくそパノラマデッキへと足を向けていた。

なんとなく譲り合う空気はあるものの、占領する空気ではなく、みんなで楽しく見ていて、たまに一駅か二駅分くらいだけ占領できる時間を見つけてはほくほくと嬉しそうな子供たちが可愛かったのだが、特急路線最後のほうは乗客も減ってその撮り鉄男と増田家族(1歳半の子供)だけがそこにいくようになった。そこから問題だ。

子ども喃語交じりの声がビデオに映りこむからと言って「出ていけ!」と睨みつけられた。はっきり指でしっしと払う素振りと、言語外国籍なのかうまく聞き取れないものの、何かしらの非難をされている。

正直、独り言の話しぶりや仕草から健常者じゃないかもと思ってしまって、席に戻るのだが、子供にそんな理屈通用しないのであっちへ行きたいと指さし、行けなければ少し声が大きくなるので、車内で騒がれるくらいならデッキに行くべきとも思ってそっちへ行く。そして撮り鉄に怒られるの繰り返しだ。

けれどこちらは乗車時点から2時間弱、いろいろな老夫婦子供連れご家族、友人連れ旅行者、などとこのデッキ居合わせ、怒られることもなく、話し声程度の声の大きさだと思っている。これが子連れ思考だったら申し訳ない。ちなみに三連休初日の昼ごろだ。

それを見て子どもが怖がって泣き出してしまった。それを見て余計に怖い顔をする撮り鉄たまたま通りかかった車掌さんに手を振ってもらって機嫌を持ち直す子ども。そして車窓さんににこやかに会釈する撮り鉄車掌さんがいなくなった途端睨みつけてくる撮り鉄。反対方向のトイレなどがあるデッキへ行くがそっちじゃないと怒りだす子ども疲れた

楽しい旅行のはずだったのに台無しだった。

子ども連れが一人じゃなかったら、もっと多ければあんなにしっかり抗議してこなかったのだろうか。自分が舐められたのだろうか。

観光車両だぞ。別に子供を優先しろとは言わないが、大の大人子供を押しのけて占有するな。

2024-11-01

初めての国で一人旅フゥ〜〜!!!

寂しいぜ〜

知らない街から知らない街へ

どのバスがいつ来るか、どうやって乗るのか、乗ったバスが正しいのか、どこで降りるのか

相談する相手もいやしない

神経使うのに発散できない

でも書いて発散したら楽しくなってきた!!!

手を挙げて大声で目的地を言うとどこでも止まってくれるバス

知らない音楽爆音流れる車内

意味わからんくらい足開くとなりのおっさん

公共バスでぼろうとする車掌

目的地を言ったら着いた時に教えてくれる向かいのおばさん

3時間乗っても200円しない


バスだけでも色々楽しかった

ちょっと元気出たってか楽しい

疲れたから他人も予定も気にせずベッドでダラダラとスマホイジれるのも良い

ここで話せたし、国に帰ったらまた誰かに話そう

いなけりゃここで

じゃ、また

2024-10-28

石破さんが悶えている様子を見たい

策に溺れた石破さん。

身内を切り捨てて世間的には潔しと評価されるだろうと信じていた石破さん。

総選挙で刻一刻と野党当確を連ねるのをシラフなのか苦悶してるのかわからない白眼で見守る石破さん。

惨敗確定で脂汗を滲ませて呻く石破さん。

官邸で、トイレで、風呂場で、のたうち呻く石破さん。

肌着はもちろん高いオーダーシャツも粘度の高い汗でびしょ濡れの石破さん。

連立を模索して密室で他党幹部土下座する石破さん。

そんなときでもいつものねっとりトークは色褪せない石破さん。

連立云々の前に素で気持ち悪がられる石破さん。

やんわりと断られて部屋を後にする石破さん。

右にも左にも味方のいない石破さん。

鳥取なら。地元鳥取ならば。鳥取に帰りたい石破さん。

帰ってどうなる。首班指名選挙まで時間がない。

帰りたい。5歳のときに帰りたい。時刻表を暗記していたあの頃に。

車掌敬礼して答礼された嬉しいあの頃に。

そんな様子を本人主演でドキュメンタリーにしてほしい。8Kハイビジョンで。

毛穴からふつふつと湧き出る脂汗まで克明に。

2024-10-26

電車鉄道会社社員さんが立ってるのを見るとかわいそうに思う

たまに、車掌さんや運転士さん以外の制服着た社員さんが電車に乗っていたりするが、そういう場合ってすべからく立っている。

会社規定なのかわからないが、席が全然埋まっているのに座れない様子を見ると、私は大丈夫から座りなよ、と思ったりする。

花とゆめ」史上最も重要マンガ10

10/27 27時ごろまでにいただいたブコメトラバをまとめました! お寄せいただいた知見に助けられております。ご興味のある方はぜひ。

anond:20241028032312

<以下本文>

集英社別冊マーガレット」の名編集長・小長井信昌が74年「花とゆめ」創刊編集長就任(のちに「LaLa」「ヤングアニマル」でも創刊編集長を務める)。氏が別マから引き抜いてきた漫画家が、最初期の「花とゆめ」を支えた。

美内すずえガラスの仮面』(1975~)

和田慎二スケバン刑事』(1975~82)

 2作まとめて、令和の今でも作品が生きているな、と思わせる説明不要の名作(前者は「連載中」ではありますが)。月刊誌→月2回刊化の目玉として2作同時に連載スタートコンテンツの息の長さに、編集長の慧眼が察せられる。

魔夜峰央パタリロ!』(1978~)

 主人公マリネラ王国国王パタリロに次いで2番手キャラクターはMI6少佐バンコラン。彼は主に美少年を愛好する同性愛者で、本作はギャグマンガだが 「同性愛であることそのもの」を揶揄していない点に、作者の品格を見る。

 作中に「ドイツギムナジウムで一緒だったんです」「11月ごろ?」というやり取りを挟むなど萩尾望都ファンであることがわかる。82年アニメ化。「花とゆめ」というより白泉社として最初アニメ化

(ここまでが集英社移籍組)

川原泉甲子園の空に笑え!』(1984

 どの作品を推すかが分かれる。世間的には『笑う大天使』(1987~88)が有名で傑作集を出す際のアンケートでも番外編の『オペラ座の怪人』(1988)が2位だが

 ・作者ご本人はまったくスポ根の人ではないのに、スポーツものに傑作がある

 ・甲子園という制度批評視点を投入 と、一歩踏み込んでいる本作をリストアップ個人的には『月夜のドレス』(1984)が好き。

日渡早紀ぼくの地球を守って』(198692)

 メディアミックスとしてはOVAのみであるが「前世ブーム」の火付け役として爆発的な人気を誇った。※ラジオドラマあり。ブコメご指摘感謝

 『スケバン刑事』のような「悪に対する憎悪」ではなく「優秀だが他人を寄せ付けない戦災孤児と品行方正な優等生との、互いに相反する感情」など愛憎の陰影が濃い大人びた作風に、当時の読者(主に10少女)は魅了された。

 「久しぶり 君には心底会いたかったよ 秋海棠」以上にインパクトのある「ひき」を未だに知らない。

佐々木倫子動物のお医者さん』(1987~93)

 こちらも説明不要の名作。菊池規子『わが輩はノラ公』(1973~78)以来人語を話すペットが出てくる作品はたびたび登場したが 「人語は解するけどしゃべれない(しかし主張はする)動物たち」が出てきたところが新機軸。よくない形で「ハスキーブーム」がありました…。

 ※飯森広一『ぼくの動物日記』(1972~75)はノンフィクションなので除外してます

(このあたりで「男性読者も多い花とゆめ時代終焉したと思っている)

羅川真里茂赤ちゃんと僕』(1991~97)

 続く『ニューヨーク・ニューヨーク』(1997~98)、『しゃにむにGO』(1998~2009)と第一線で花ゆめ本誌を支えた大功労者。『赤僕』は白泉社では初めて他社の漫画賞(小学館漫画賞・1994)を受賞。ヤングケアラー立場に置かれた小学5年生が主人公90年代父子家庭活写した作品となった。熱量のあるドラマ巧者。

中条比紗也花ざかりの君たちへ』(1996~2004)

 2006年台湾ドラマ化、2007・2011に日本、2012に韓国ドラマ化。そして今年、初のアニメ化が発表されている。日本ではプライム枠連ドラ案件で『ガラかめ』『スケバン刑事』とは違う、読者ターゲットを広く取れるラブコメが、あの「花ゆめ」から出たのだなぁと感慨。

高屋奈月フルーツバスケット』(1998~2006)

 アラサーアラフォーですかね)のオタク女子から作品名が挙がることが多い。

 2007年に「もっとも売れている少女マンガ」として、ギネスブック認定されているそうで2001年アニメ化・2019~21の再アニメ化・2022の劇場上映の実績は立派。十二支を背景にしたキャラ設定等、往年の「花ゆめ」らしさが光る(私見)。

(ここから00年代デビュー漫画家が飛んでしまます申し訳なし…)

師走ゆき多聞くん、今どっち!?』(2021~)

 連載中のラインナップで、今一番勢いがあると思われる作品アニメ化も決定。男性アイドルキャラ)・推し活…と、イマドキの設定は鈴木ジュリエッタ推し甘噛み」(2022~)でも同様で、ここが今の「花とゆめ」の現在地である

 ※「創刊50周年記念 花とゆめ展」ブックレットでは2人の対談が掲載されている

三原順はみだしっ子』(1975~81)

 選外ってありえないですよね。すみません…。

高口里純『久美と森男のラブメロディ』シリーズ(1979~82)

 『花のあすか組』(1987~95)が代表作でありつつ『グランマの憂鬱』(2015~)が昨年萬田久子主演でドラマ化もされている、息の長い漫画家

 1985年角川書店(当時)がコミック進出して地殻変動が起きた年で、そのタイミングで白泉専属ではなくなってしまった。 「別冊花とゆめ」連載「赤鼻のアズナブル」(1982~83)、別花短編だと「優しい瞳」(1984)が好き。

酒井美羽『マンハッタンサンセット』(1980)

 この方も白泉社を離れ角川へ。『ミミと州青さんシリーズ』(1979~85)が人気&今はなき「シルキー」でレディースたくさん描いてましたが、一瞬ミステリーサスペンスものも手掛けていました。こっち路線もよかったのになぁ。増刊号掲載『異国にて』(1984)がベストですが本誌掲載作ということで『マンハッタン』を。

柴田昌弘『第三の娘』(1980)

 別マ移籍組、和田慎二の盟友。『紅い牙 ブルーソネット』(1981~86)ですよね。とはいえこのシリーズ別マから移籍なので、あえて本誌掲載短編を選んでみました。綾波レイみたいなタイトルですが、まさに綾波のようなお話です(ネタバレ回避)。

河惣益巳ツーリングエクスプレス』(1981~87)

 ヨーロッパ舞台にした華やかな作風。ほかの作品海外モノ多し。

野間由紀パズルゲームはいすくーる』(1983~90)

 制服高校生ミステリもの嚆矢といってよいのでは。近い年次のデビューだと佐々木倫子よりずっと早くブレイクメディアミックスに縁がなかったのが不思議表題作では『消えた肖像画』が大変な秀作。1巻所収。

星野架名『緑野原学園シリーズ』(1983~92

 「花とゆめ」の「80年代後半のSFもの」のストーリーや絵柄の象徴キャラ造形についてはフォロワーがたくさんいた記憶

那須雪絵『ここはグリーン・ウッド』(1986~91)

 代表作はこれだってわかってるけど、白泉社作品なら私は『フラワーデストロイヤー』シリーズ最終編 『ダーク・エイジ』(1991)が好き。

山口美由紀プリンセス症候群』(1988)

 1巻完結の表題作かわいい短編集。所収の『月光夜曲ムーンライトセレナーデ−』がすごくよかったの、思い出しました。ビッグヒットがないの、なんでなんだ…。

山内直実なんて素敵にジャパネスク』(1988~93)

 氷室冴子原作ものの中で、長く支持されたコミカライズ成功例かと。

由貴香織里天使禁猟区』(1994~2000)

 すごく売れてた! 世界観が魅惑的で熱いファンが多く、「ぼく球」以来のビッグタイトルが出たと思いました。絵のタッチも今見ても素晴らしい。

山田南平紅茶王子』(1996~2004)

 代表作はこれだってわかってるけど「赤僕」より少し前にスタートした『久美子&信吾シリーズ』(1990~97)が好き。女子高生小学男子カップル物語大人になった坂田小沢にはハッピーエンドになってほしかったなー。

鈴木ジュリエッタ神様はじめました』(2008~16)

 いずれ『推し甘噛み』の人になるかもですが、まだこちらの方が有名かと。2012・15のアニメ化聖地巡礼企画も出ていました。

安斎かりん『顔だけじゃ好きになりません』(2020~)

 こちらも「推しもので、実写映画化が決定しています

<番外・別冊花とゆめ枠>

都戸利津『嘘解きレトリック』(2012~18)

オリジナルコミックス「環状白馬車掌の英さん」(2009)からずっと、ハートフルストーリーを展開。恋愛重視の作風ではない、往年(年配)の読者が考える「花ゆめらしさ」は別花に残っていたのかも。それがまさか月9原作。やはり時代は変わった。

明智抄サンプル・キティ』(1993~95)

ここまで挙げた白泉社作品の中では一番好き。とはいえ代表作は『始末人シリーズ』(1983~91)かと。このパターン多い。大大大好きな明智抄で(同人誌単行本未収録作品集」全5巻はコンプリート10選にも入れたかったのですが、作品リストを振り返ると『始末人』ですら本誌・別冊を行ったり来たり(後半は別花)、かと思うと「チツケイレン」の「アフロディーテはきずつかない」(1988)が単発で本誌に載ったりして、編集部運用どうしてたん…と。これからも読み続けることには変わりないのですが。

近作に抜け漏れ多くてすみません。明らかな抜けは増田知識アンテナが欠落している箇所です。とはいえ総論として、ガラかめ動物のお医者さんまでは不動かな、と。

もしよかったらブコメでいろいろと教えてください。

※著者名誤り、表記等一部修正しました。ご指摘ありがとうございました(深謝)。

2024-10-09

anond:20241009013637

適当に別の窓側の席に座って車掌になんか言われたら事情説明したら良いだけやん

2024-10-03

anond:20241003193418

日本電車病人事故が発生した際に停止し、その結果ダイヤが乱れたり再開に時間がかかるのにはいくつかの理由があります。以下に主な理由を挙げます

1. 安全確認措置の徹底

日本鉄道システム安全を最優先にしています事故や急病人が発生した場合鉄道会社は乗客安全を確保するため、徹底的な確認対応が求められます事故の状況や急病人状態確認し、必要に応じて救急隊や警察連携するため、その過程時間がかかることがあります

2. 人身事故対応

特に人身事故が発生した場合現場検証遺体搬送安全確認などが行われます。この手順は厳格に行われるため、通常の運行に戻るまでには時間がかかります。また、警察消防鉄道会社の職員が一斉に動員されるため、それぞれの調整にも時間がかかることがあります

3. 急病人への対応

電車内で急病人が出た場合、まずは車掌が急病人状態確認し、必要であれば駅での応急処置救急搬送を行います。急病人が発生した場合、次の停車駅まで運転を続けることもありますが、状況によってはその場で電車を止めることもあります救急対応が迅速に行われる一方、乗客安全を最優先にしているため、再開に時間がかかることもあります

4. 運行ダイヤの複雑さ

日本鉄道は非常に精密なダイヤ運行されており、少しの遅れでも全体のダイヤに影響が出やすいです。特に都市部では多くの路線が密接に連携しており、一つの列車の遅延が他の列車路線にも波及するため、運行再開後もダイヤの乱れがしばらく続くことがあります

5. 乗客対応

病人事故が起こった際に、混雑した車内で乗客が動揺したり、車両から降りるために混乱が生じることがあります。このような場合、再乗車や案内に時間がかかり、ダイヤの乱れに繋がることもあります

まとめ

日本鉄道が停止する際に時間がかかるのは、安全確認対応措置を徹底するためです。また、鉄道運行ダイヤが非常に精密であるため、事故や急病人への対応ダイヤ全体に波及しやすいことも、遅延の原因となっています

2024-09-30

 ふと目を上げると、左手の丘の上に女が二人立っている。女のすぐ下が池で、向こう側が高い崖の木立で、その後がはでな赤煉瓦ゴシック風の建築である。そうして落ちかかった日が、すべての向こうから横に光をとおしてくる。女はこの夕日に向いて立っていた。三四郎のしゃがんでいる低い陰から見ると丘の上はたいへん明るい。女の一人はまぼしいとみえて、団扇を額のところにかざしている。顔はよくわからない。けれども着物の色、帯の色はあざやかにわかった。白い足袋の色も目についた。鼻緒の色はとにかく草履はいていることもわかった。もう一人はまっしろである。これは団扇もなにも持っていない。ただ額に少し皺を寄せて、向こう岸からいかぶさりそうに、高く池の面に枝を伸ばした古木の奥をながめていた。団扇を持った女は少し前へ出ている。白いほうは一足土堤の縁からさがっている。三四郎が見ると、二人の姿が筋かいに見える。  この時三四郎の受けた感じはただきれいな色彩だということであった。けれどもいなか者だから、この色彩がどういうふうにきれいなのだか、口にも言えず、筆にも書けない。ただ白いほうが看護婦だと思ったばかりである。  三四郎はまたみとれていた。すると白いほうが動きだした。用事のあるような動き方ではなかった。自分の足がいつのまにか動いたというふうであった。見ると団扇を持った女もいつのまにかまた動いている。二人は申し合わせたように用のない歩き方をして、坂を降りて来る。三四郎はやっぱり見ていた。  坂の下に石橋がある。渡らなければまっすぐに理科大学の方へ出る。渡れば水ぎわを伝ってこっちへ来る。二人は石橋を渡った。  団扇はもうかざしていない。左の手に白い小さな花を持って、それをかぎながら来る。かぎながら、鼻の下にあてがった花を見ながら、歩くので、目は伏せている。それで三四郎から一間ばかりの所へ来てひょいととまった。 「これはなんでしょう」と言って、仰向いた。頭の上には大きな椎の木が、日の目のもらないほど厚い葉を茂らして、丸い形に、水ぎわまで張り出していた。 「これは椎」と看護婦が言った。まるで子供に物を教えるようであった。 「そう。実はなっていないの」と言いながら、仰向いた顔をもとへもどす、その拍子に三四郎を一目見た。三四郎はたしかに女の黒目の動く刹那意識した。その時色彩の感じはことごとく消えて、なんともいえぬある物に出会った。そのある物は汽車の女に「あなたは度胸のないかたですね」と言われた時の感じとどこか似通っている。三四郎は恐ろしくなった。  二人の女は三四郎の前を通り過ぎる。若いほうが今までかいでいた白い花を三四郎の前へ落として行った。三四郎は二人の後姿をじっと見つめていた。看護婦は先へ行く。若いほうがあとから行く。はなやかな色のなかに、白い薄を染め抜いた帯が見える。頭にもまっ白な薔薇を一つさしている。その薔薇が椎の木陰の下の、黒い髪のなかできわだって光っていた。  三四郎ぼんやりしていた。やがて、小さな声で「矛盾だ」と言った。大学空気とあの女が矛盾なのだか、あの色彩とあの目つきが矛盾なのだか、あの女を見て汽車の女を思い出したのが矛盾なのだか、それとも未来に対する自分方針が二道に矛盾しているのか、または非常にうれしいものに対して恐れをいだくところが矛盾しているのか、――このいなか出の青年には、すべてわからなかった。ただなんだか矛盾であった。  三四郎は女の落として行った花を拾った。そうしてかいでみた。けれどもべつだんのにおいもなかった。三四郎はこの花を池の中へ投げ込んだ。花は浮いている。すると突然向こうで自分の名を呼んだ者がある。  三四郎は花から目を放した。見ると野々宮君が石橋の向こうに長く立っている。 「君まだいたんですか」と言う。三四郎は答をするまえに、立ってのそのそ歩いて行った。石橋の上まで来て、 「ええ」と言った。なんとなくまが抜けている。けれども野々宮君は、少しも驚かない。 「涼しいですか」と聞いた。三四郎はまた、 「ええ」と言った。  野々宮君はしばらく池の水をながめていたが、右の手をポケットへ入れて何か捜しだした。ポケットから半分封筒がはみ出している。その上に書いてある字が女の手跡らしい。野々宮君は思う物を捜しあてなかったとみえて、もとのとおりの手を出してぶらりと下げた。そうして、こう言った。 「きょうは少し装置が狂ったので晩の実験はやめだ。これから本郷の方を散歩して帰ろうと思うが、君どうです、いっしょに歩きませんか」  三四郎は快く応じた。二人で坂を上がって、丘の上へ出た。野々宮君はさっき女の立っていたあたりでちょっととまって、向こうの青い木立のあいから見える赤い建物と、崖の高いわりに、水の落ちた池をいちめんに見渡して、 「ちょっといい景色でしょう。あの建築の角度のところだけが少し出ている。木のあいから。ね。いいでしょう。君気がついていますか。あの建物はなかなかうまくできていますよ。工科もよくできてるがこのほうがうまいですね」  三四郎は野々宮君の鑑賞力に少々驚いた。実をいうと自分にはどっちがいいかまるでわからないのである。そこで今度は三四郎のほうが、はあ、はあと言い出した。 「それから、この木と水の感じがね。――たいしたものじゃないが、なにしろ東京のまん中にあるんだから――静かでしょう。こういう所でないと学問をやるにはいけませんね。近ごろは東京があまりかましくなりすぎて困る。これが御殿」と歩きだしながら、左手建物をさしてみせる。「教授会をやる所です。うむなに、ぼくなんか出ないでいいのです。ぼくは穴倉生活をやっていればすむのです。近ごろの学問は非常な勢いで動いているので、少しゆだんすると、すぐ取り残されてしまう。人が見ると穴倉の中で冗談をしているようだが、これでもやっている当人の頭の中は劇烈に働いているんですよ。電車よりよっぽど激しく働いているかもしれない。だから夏でも旅行をするのが惜しくってね」と言いながら仰向いて大きな空を見た。空にはもう日の光が乏しい。  青い空の静まり返った、上皮に白い薄雲が刷毛先でかき払ったあとのように、筋かいに長く浮いている。 「あれを知ってますか」と言う。三四郎は仰いで半透明の雲を見た。 「あれは、みんな雪の粉ですよ。こうやって下から見ると、ちっとも動いていない。しかしあれで地上に起こる颶風以上の速力で動いているんですよ。――君ラスキンを読みましたか」  三四郎憮然として読まないと答えた。野々宮君はただ 「そうですか」と言ったばかりである。しばらくしてから、 「この空を写生したらおもしろいですね。――原口にでも話してやろうかしら」と言った。三四郎はむろん原口という画工の名前を知らなかった。  二人はベルツの銅像の前から枳殻寺の横を電車の通りへ出た。銅像の前で、この銅像はどうですかと聞かれて三四郎はまた弱った。表はたいへんにぎやかである電車がしきりなしに通る。 「君電車はうるさくはないですか」とまた聞かれた。三四郎はうるさいよりすさまじいくらいである。しかしただ「ええ」と答えておいた。すると野々宮君は「ぼくもうるさい」と言った。しかしいっこううるさいようにもみえなかった。 「ぼくは車掌に教わらないと、一人で乗換えが自由にできない。この二、三年むやみにふえたのでね。便利になってかえって困る。ぼくの学問と同じことだ」と言って笑った。  学期の始まりぎわなので新しい高等学校帽子かぶった生徒がだいぶ通る。野々宮君は愉快そうに、この連中を見ている。 「だいぶ新しいのが来ましたね」と言う。「若い人は活気があっていい。ときに君はいくつですか」と聞いた。三四郎は宿帳へ書いたとおりを答えた。すると、 「それじゃぼくより七つばかり若い。七年もあると、人間はたいていの事ができる。しかし月日はたちやすものでね。七年ぐらいじきですよ」と言う。どっちが本当なんだか、三四郎にはわからなかった。  四角近くへ来ると左右に本屋雑誌屋がたくさんある。そのうちの二、三軒には人が黒山のようにたかっている、そうして雑誌を読んでいる。そうして買わずに行ってしまう。野々宮君は、 「みんなずるいなあ」と言って笑っている。もっと当人もちょいと太陽をあけてみた。  四角へ出ると、左手こちら側に西洋小間物屋があって、向こう側に日本小間物屋がある。そのあいだを電車がぐるっと曲がって、非常な勢いで通る。ベルちんちんちんちんいう。渡りにくいほど雑踏する。野々宮君は、向こうの小間物屋をさして、 「あすこでちょいと買物をしまからね」と言って、ちりんちりんと鳴るあいだを駆け抜けた。三四郎もくっついて、向こうへ渡った。野々宮君はさっそく店へはいった。表に待っていた三四郎が、気がついて見ると、店先のガラス張りの棚に櫛だの花簪だのが並べてある。三四郎は妙に思った。野々宮君が何を買っているのかしらと、不審を起こして、店の中へはいってみると、蝉の羽根のようなリボンをぶら下げて、 「どうですか」と聞かれた。三四郎はこの時自分も何か買って、鮎のお礼に三輪田のお光さんに送ってやろうかと思った。けれどもお光さんが、それをもらって、鮎のお礼と思わずに、きっとなんだかんだと手前がっての理屈をつけるに違いないと考えたからやめにした。  それから真砂町で野々宮君に西洋料理のごちそうになった。野々宮君の話では本郷いちばんうまい家だそうだ。けれども三四郎にはただ西洋料理の味がするだけであった。しかし食べることはみんな食べた。  西洋料理屋の前で野々宮君に別れて、追分に帰るところを丁寧にもとの四角まで出て、左へ折れた。下駄を買おうと思って、下駄屋をのぞきこんだら、白熱ガスの下に、まっ白に塗り立てた娘が、石膏の化物のようにすわっていたので、急にいやになってやめた。それから家へ帰るあいだ、大学の池の縁で会った女の、顔の色ばかり考えていた。――その色は薄く餅をこがしたような狐色であった。そうして肌理が非常に細かであった。三四郎は、女の色は、どうしてもあれでなくってはだめだと断定した。

anond:20240930171536

下女が茶を持って来るあいだ二人はぼんやりかい合ってすわっていた。下女が茶を持って来て、お風呂をと言った時は、もうこの婦人自分の連れではないと断るだけの勇気が出なかった。そこで手ぬぐいをぶら下げて、お先へと挨拶をして、風呂場へ出て行った。風呂場は廊下の突き当りで便所の隣にあった。薄暗くって、だいぶ不潔のようである三四郎着物を脱いで、風呂桶の中へ飛び込んで、少し考えた。こいつはやっかいだとじゃぶじゃぶやっていると、廊下足音がする。だれか便所はいった様子である。やがて出て来た。手を洗う。それが済んだら、ぎいと風呂場の戸を半分あけた。例の女が入口から、「ちいと流しましょうか」と聞いた。三四郎は大きな声で、 「いえ、たくさんです」と断った。しかし女は出ていかない。かえってはいって来た。そうして帯を解きだした。三四郎といっしょに湯を使う気とみえる。べつに恥かしい様子も見えない。三四郎はたちまち湯槽を飛び出した。そこそこにからだをふいて座敷へ帰って、座蒲団の上にすわって、少なからず驚いていると、下女が宿帳を持って来た。  三四郎は宿帳を取り上げて、福岡県京都郡真崎村小川三四郎二十三学生と正直に書いたが、女のところへいってまったく困ってしまった。湯から出るまで待っていればよかったと思ったが、しかたがない。下女ちゃんと控えている。やむをえず同県同郡同村同姓花二十三年とでたらめを書いて渡した。そうしてしきりに団扇を使っていた。  やがて女は帰って来た。「どうも、失礼いたしました」と言っている。三四郎は「いいや」と答えた。  三四郎は鞄の中から帳面を取り出して日記をつけだした。書く事も何もない。女がいなければ書く事がたくさんあるように思われた。すると女は「ちょいと出てまいります」と言って部屋を出ていった。三四郎ますます日記が書けなくなった。どこへ行ったんだろうと考え出した。  そこへ下女が床をのべに来る。広い蒲団を一枚しか持って来ないから、床は二つ敷かなくてはいけないと言うと、部屋が狭いとか、蚊帳が狭いとか言ってらちがあかない。めんどうがるようにもみえる。しまいにはただいま番頭ちょっと出ましたから、帰ったら聞いて持ってまいりましょうと言って、頑固に一枚の蒲団を蚊帳いっぱいに敷いて出て行った。  それから、しばらくすると女が帰って来た。どうもおそくなりましてと言う。蚊帳の影で何かしているうちに、がらんがらんという音がした。子供にみやげの玩具が鳴ったに違いない。女はやがて風呂敷包みをもとのとおりに結んだとみえる。蚊帳の向こうで「お先へ」と言う声がした。三四郎はただ「はあ」と答えたままで、敷居に尻を乗せて、団扇を使っていた。いっそこのままで夜を明かしてしまおうかとも思った。けれども蚊がぶんぶん来る。外ではとてもしのぎきれない。三四郎はついと立って、鞄の中からキャラコのシャツズボン下を出して、それを素肌へ着けて、その上から紺の兵児帯を締めた。それから西洋手拭を二筋持ったまま蚊帳の中へはいった。女は蒲団の向こうのすみでまだ団扇を動かしている。 「失礼ですが、私は癇症でひとの蒲団に寝るのがいやだから……少し蚤よけの工夫をやるから御免なさい」  三四郎はこんなことを言って、あらかじめ、敷いてある敷布の余っている端を女の寝ている方へ向けてぐるぐる巻きだした。そうして蒲団のまん中に白い長い仕切りをこしらえた。女は向こうへ寝返りを打った。三四郎西洋手拭を広げて、これを自分領分に二枚続きに長く敷いて、その上に細長く寝た。その晩は三四郎の手も足もこの幅の狭い西洋手拭の外には一寸も出なかった。女は一言も口をきかなかった。女も壁を向いたままじっとして動かなかった。  夜はようよう明けた。顔を洗って膳に向かった時、女はにこりと笑って、「ゆうべは蚤は出ませんでしたか」と聞いた。三四郎は「ええ、ありがとう、おかげさまで」というようなことをまじめに答えながら、下を向いて、お猪口の葡萄豆をしきりに突っつきだした。  勘定をして宿を出て、停車場へ着いた時、女ははじめて関西線四日市の方へ行くのだということを三四郎に話した。三四郎汽車はまもなく来た。時間のつごうで女は少し待ち合わせることとなった。改札場のきわまで送って来た女は、 「いろいろごやっかいになりまして、……ではごきげんよう」と丁寧にお辞儀をした。三四郎は鞄と傘を片手に持ったまま、あいた手で例の古帽子を取って、ただ一言、 「さよなら」と言った。女はその顔をじっとながめていた、が、やがておちついた調子で、 「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言って、にやりと笑った。三四郎プラットフォームの上へはじき出されたような心持ちがした。車の中へはいったら両方の耳がいっそうほてりだした。しばらくはじっと小さくなっていた。やがて車掌の鳴らす口笛が長い列車の果から果まで響き渡った。列車は動きだす。三四郎はそっと窓から首を出した。女はとくの昔にどこかへ行ってしまった。大きな時計ばかりが目についた。三四郎はまたそっと自分の席に帰った。乗合いはだいぶいる。けれども三四郎挙動に注意するような者は一人もない。ただ筋向こうにすわった男が、自分の席に帰る三四郎ちょっと見た。  三四郎はこの男に見られた時、なんとなくきまりが悪かった。本でも読んで気をまぎらかそうと思って、鞄をあけてみると、昨夜の西洋手拭が、上のところにぎっしり詰まっている。そいつそばへかき寄せて、底のほうから、手にさわったやつをなんでもかまわず引き出すと、読んでもわからないベーコン論文集が出た。ベーコンには気の毒なくらい薄っぺらな粗末な仮綴である。元来汽車の中で読む了見もないものを、大きな行李に入れそくなったから、片づけるついでに提鞄の底へ、ほかの二、三冊といっしょにほうり込んでおいたのが、運悪く当選したのである三四郎ベーコン二十三ページを開いた。他の本でも読めそうにはない。ましてベーコンなどはむろん読む気にならない。けれども三四郎はうやうやしく二十三ページを開いて、万遍なくページ全体を見回していた。三四郎二十三ページの前で一応昨夜のおさらいをする気である

anond:20240930164504

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