きっかけは香港にあった便所の落書き──ヘルシンキ、新作「Good News Is Bad News」をリリース

左から稲葉航大(Ba)、橋本薫 (Vo&Gt)、熊谷太起(Gt)
2018年12月にいままで以上に自らの“やりたいこと”を自由に作品に落とし込み、バンドとしてさらなる進化を遂げたHelsinki Lambda Club(以下、ヘルシンキ)。昨年はスカートやTENDOUJIをはじめ、さまざまなバンドの自主企画に迎えられながら、自主企画も実施。さらにはリーガルリリーとの香港公演やodolとの中国ツアーも行い、海外での活動も果たした彼ら。さまざまな舞台で音楽を鳴らしてきた彼らが1年ぶりにリリースした「Good News Is Bad News」はまさに“原点回帰”なサウンドに。2019年12月に配信シングルとしてリリースされた今作ですが、2020年2月15日(土)からライヴ会場限定で音源付きTシャツが発売。フィジカルのリリースに先立って、2019年を振り返りながら、今作についてじっくりと話を聞いたインタヴューを公開します。
1年ぶりの新作、配信中!
INTERVIEW : Helsinki Lambda Club
リリースするすべての形態を「初」にこだわり作品を発表するなど、リスナーの意表を突く、捻くれまくったやり方で我が道を走り続けるヘルシンキ。そんな彼らが2020年2月15日にライヴ会場限定でリリースする最新アイテム「Good News Is Bad News」は、TシャツにCD-Rをつけてリリースされる(音源は12月11より配信中)。デザインはスペインを中心に活躍するイラストレーター、Cristina Dauraの描き下ろしで、あくまで今作の主役は「Tシャツ」という位置づけだが、そこは当然ヘルシンキ、音源のほうも最高にかっこいい。バンドの原点にあるロックンロール・リバイバルの影響を色濃く感じさせる全3曲は、初期ヘルシンキの特徴だった先達へのオマージュや毒もふんだんに盛り込んだ。初の海外ツアーを経て、いつも以上に自信がみなぎっているメンバーに話を訊いた。
インタヴュー&文 : 秦理絵
写真 : YURIE PEPE
僕のスター性が増しました
──2019年のヘルシンキはライヴ三昧でしたね。
稲葉航大(Ba / 以下、稲葉) : 振り返ってみるとそうですね。
──2018年にリリースした『Tourist』のツアーにはじまり、初の海外ツアーもあり、11月には新しい自主企画も立ち上げて。なかでも、やっぱり海外ライヴは刺激的だったんじゃないですか?
橋本薫 (Vo&Gt / 以下、橋本) : ずっと「海外でライヴをやりたい」って言ってましたからね。2018年末か、2019年の頭ぐらいから、メンバーの間でも、「そろそろ海外でやりたいよね」って本気で考えてたんです。そしたら、具体的に自分たちから動き出す前にそういう話がきたんですよ。「ちゃんと思う」って大事だなと思いました(笑)。

──結成当時から、「いつか海外で」と思ってたのは何かきっかけがあったんですか? たとえば、よく「日本のバンドはドメスティックだよね」って言われることへの反発があったとか。
橋本 : もちろんそれもありますけど。やっぱり、もともと洋楽に憧れてバンドをはじめて、それを楽曲にも落とし込んでるバンドだから、実際にそれが海外でどう受け入れられるだろう? っていう好奇心が大きいです。あとは日本でやっていくなかで…… もちろん、まだまだ日本でも広げていきたいとは思うんですけど、なんとなく自分たちのイメージが固定されてきたから。まったく自分たちを知らない人たちの前で、新鮮な気持ちでやりたいっていうのが強くなってたんです。
──実際、日本のステージとは違いましたか?
稲葉 : 違いました。すごく印象に残ってるのは台湾ですね。
──〈SHOUT OUT FESTIVAL〉ですね。
稲葉 : そう。遊園地みたいな広い会場だったんですけど、日本人が出るからっていうので、すごく人が集まってくれたんです。
橋本 : すごく良い時間でね、夕方ぐらいの。
稲葉 : で、“Lost in the Supermarket”をやったときに、すごく遠くから、金髪のいわゆる外国の女性たちが駆けつけてくれて、最前列でめちゃくちゃ楽しそうに踊ってたんですよ。たぶん僕らのことを知らないと思うんですけど。単純に、音を聴いて観に来てくれた。あれはうれしかったですね。
橋本 : なんか、漫画の『BECK』になった気分でしたね。
──ははは。他にも日本人はけっこう出てたんですか?
橋本 : そのときは、jan and naomiとかthe fin.とか。でも、基本は台湾のバンドですね。
熊谷太起(Gt / 以下、熊谷) : あと、台湾でやって思ったのは、野外で人が多いと、僕らは良いライヴをするなと(笑)。人が多いところで実力を発揮できるちからが身に着いてきたなっていう。
橋本 : 今日のインタヴューはすごい自信がある感じだね(笑)。
──日本のお客さんとは、ライヴの反応も違いました?
橋本 : 反応が素直なのが日本とは違いましたね。予定調和感がないというか。
──日本で盛り上がる曲と、海外で盛り上がる曲は違ったりします?
橋本 : ああ、若干違うかも。さっき出た“Lost in the Supermarket”とかは、日本だと、イントロがはじまると、ワーッてなるんですけど、いざ曲に入ると、ゆったり聴いてくれる感じなんですよ。でも、台湾のお客さんはめちゃくちゃノッてくれて。
熊谷 : (突然、腕をあげて踊り出して)こんなんなってた(笑)。
橋本 : ビートのノり方がわかってる人が多かったですね。日本のお客さんは、腰でリズムをとるのが苦手だったりするから。そういうノリの違いはあったと思います。
──そういう経験をしたことで、日本に帰ってきてからのライヴが変わったりは?
橋本 : 僕のスター性が増しました。
一同 : あはははは!
──どういうこと?
橋本 : 向こうではスターだったんですよ。特に中国では、すごいキャーキャー言われて、アイドルみたいで。調子こいちゃいましたね(笑)。
稲葉 : 一緒にツアーをしていたodolがライヴをしているときに、僕らがふつうにフロアで見てると、お客さんが驚くんですよ。「本物がいる!」みたいな感じで。

──へえ(笑)。ちなみに実際に肌で感じた体感で構わないんですけど、アジアの音楽シーンで、いまどんな音楽が流行ってるとか、そういう部分で感じたことはありましたか?
橋本 : ああ、やっぱり日本と同じで、ロックが主流ではないというか、ポップスとかに比べたら、メインストリームではないなっていう感じでしたね。台湾は、日本と同じか、もっと先にいっちゃってる進歩感があって。日本のシティ・ポップも流行ってるんです。で、中国と香港はその波が一周ぐらい遅れてて、ヘヴィなロックが流行ってるから、僕らみたいなインディー・ロックは、早耳の人は知ってるけど、まだムーブメントになってない。そういう違いは感じました。
──そういうことを情報とか知識じゃなくて、実際に感じられたのも大きいですよね。
橋本 : まだまだチャンスがたくさんあるというか。自分たちは、ここからシーンを耕していく先駆者になれるなと思いましたね。
──じゃあ、海外ライヴはやって良かった?
橋本 : そうですね。呼んでくれた現地のイベンターは、まだシステム化されてなくて、慣れてないというか、手作り感みたいなのがあるんですけど、そのぶん親身にやってくれて。僕らも、海外からアーティストがきたときには、手伝ってあげたいなと思いました。
昔と同じことをやろうとしても、自分たちのオリジナリティは出るから
──いいですね。では、今回リリースされる最新作「Good News Is Bad News」について話を聞かせてください。原点回帰ですね。
橋本 : そうなんですよ。僕いま29歳なんですけど、今年30歳で。20代のうちに鳴らして新鮮味がある音もあるなって考えたときに、最初に影響を受けた音楽をもう1回やりたいなと思ったんです。ギターが変わって、いまのメンバーになってから、いろいろ音楽性も変わって、初期にやってたようなものをやってなかったんですけど。年はとったぶん、昔と同じことをやろうとしても、自分たちのオリジナリティは出るから、気負わずにやってみたっていう感じですね。

──初期のヘルシキンキが影響を受けてたのは、2000年代のロックンロール・リバイバルですよね。
橋本 : このバンドを組んだときは、そこが大きい柱だったんです。
──たとえば、ザ・ストロークスとか?
橋本 : そうですね。あとは、ザ・リバティーンズ、ザ・クリブス、ザ・ヴァインズとか。
──そういうものを作ろうって決めたうえで、“Good News Is Bad News”と“Debora”は、どちらが先にできたんですか?
橋本 : “Good News Is Bad News”です。
熊谷 : これはデモの段階で、(橋本)薫くんが作ってくれたものを、そのままやるっていう感じだったんですけど。久しぶりにこういうのをやると、テンションが上がりましたね。最近の音源では、けっこう自分の音にエフェクトをかけたんですけど、それもあんまりやらないで。アンプに歪みを作って、そのまま入れました。
橋本 : この曲は熊谷のギターを1本しか入れてないんですよ。はじめて僕がギターを弾いてないんです。
──引き算で音を作るやり方は、原点というより、最近のヘルシンキの特徴ですよね。
橋本 : わりと最近は引き算のバンドになってますよね。だから今回は原点に立ち返りつつも、新しいチャレンジを見せたいっていうのがあって。とにかくギリギリまで削ぎ落として、かっこいいものにしたかったから、僕は完全に歌うだけに徹してます。
熊谷 : そのぶんギターがクリアに聞こえちゃうから、ライヴでは緊張感があります。
橋本 : 基本、僕はライヴでは多少ミスってもいいぐらいの気持ちなんですけど、この曲のソロだけは、「絶対にミスらないで」っていうのは言ってるしね。ガレージだけど、演奏はしっかりかっこいいっていうものにしたくて。ジャズのセッションみたいなイメージもあったんです。

──稲葉さんのベースに関しては、どうでしたか?
稲葉 : 僕も、“Good News Is Bad News”に関しては、シンプルにしたくて、ルートをひたすら弾いてます。でも、それを徹底したら、“Debora”のサビでは、わけわからないくらい動いちゃって。
熊谷 : やっぱり、どっかで出さなきゃいけないよね(笑)。
──“Debora”では抑圧されていたものが一気に開放されてますもんね(笑)。
橋本 : 当初、僕が作ったデモでは、もっとド直球な予定だったんですけどね。そのままで終わらなかったのは、さすがこのメンバーだなと思います。そういうところは、変に原点に固執するよりも、自然な流れに任せようとしたんです。まあ、最後はちょっと揉めましたけど。
──最後、どうして、あんな展開になったんですか? ガラッと曲調が変わって激しくなるっていう。
橋本 : 小さいロックオペラみたいな感じのイメージだったのかな(笑)。
熊谷 : ロックオペラだったの!?
稲葉 : めっちゃ小っちゃい(笑)。
橋本 : ひとつの展開から、まったく違う展開にいくっていうことをやりたくて。その速くなるところは、最初ディーヴォの“Uncontrollable Urge”を、ちょっとキーだけ変えて、ほぼまるパクリで入れたんです。でも、訴えられたら怖いなと思って変えました(笑)。
稲葉 : モロでしたからね。
橋本 : 最後の〈yeah yeah yeah yeah……〉だけで残して変えました。そういう意味で、“Debora”は久しぶりに、歌詞においても、演奏においても、めちゃくちゃいろいろなオマージュが入ってるんです。
──他にオマージュで入れたものというと?
橋本 : いろいろありますが、歌詞で言うと、〈君はジェットマシン 片手にアスピリン〉のところは、かせきさいだぁの“冬へと走りだそう”という曲からです。それも、もとを正せば、佐野元春さんの“Happy Man”のオマージュで、かせきさいだぁからスチャダラパーの“GET UP AND DANCE”に受け継がれてっていう流れもあるから、もう僕らで4代目ぐらいですけどね。
──日本語ラップと日本語ヒップホップの文脈を感じられるオマージュになってる。
橋本 : そういうのって最近はやってなかったから、これも原点回帰です。
便所の壁にあった落書き
──なるほど。歌詞について、もう少し詳しく聞かせてください。“Good News Is Bad News”のほうは、日本語に訳すと、「良いニュースは悪いニュース」ですよね。
橋本 : この〈Good News Is Bad News〉っていう言葉が、最初に出てきたんです。世の中って、誰かが良い思いをしたら、そのしわ寄せで、別の誰かが嫌な想いをしたりすることがあるじゃないですか。あとは、バタフライエフェクトというか。どこかで何かが起こったら、遠くのどこかで、それを引き金に何かが起こる。そういう歪みみたいなものを表現したいと思ったんです。で、曲調に切なさがあったから恋愛をモチーフにして、“Good News Is Bad News”を伝えられればと思ったんです。
──相手のことを好きなのに、心のどこかで「このままでいいのか?」って迷っている。そういう恋愛における「良い」と「悪い」の両方が描きたかった。
橋本 : 恋をしたときって、すごく浮足だつ気持ちもありつつ、でも、「フラれたら、どうしよう?」とか、その人の動向が無駄に気になって、落ち込んじゃうこともあると思うんです。うれしい気持ちと同時に、それがしんどかったりする。そういう二面性がタイトルにハマると思ったんですよね。

──この曲、〈便所の壁に書かれた“yes”が答えさ〉というフレーズがいいですね。
橋本 : これは実話なんです。香港に行ったときに、便所の壁に“yes”じゃなくて、「正しい」の“correct“っていう落書きがあって。それを見たときに、「あ、いいんだ」ってハッとしたんですよね。
──いま自分たちが選んだ道が正しかったというか?
橋本 : うーん…… うまく言えないけど、そんな感じなのかな。これは、オノ・ヨーコのイエス(「天井の絵 / イエス(YES)・ペインティング」)ともかぶりますよね。
──ええ、はしごでのぼって、天井を虫眼鏡でのぞくと、「yes」の文字が書いてあるっていうオノ・ヨーコの作品ですね。ジョンとの出会いのきっかけになったっていう。
橋本 : 僕は、あれを、埼玉にジョン・レノン・ミュージアムがあったときに実際に見たんですけど、それまでは正直、オノ・ヨーコのことは、あんまり好きになれなかったんですよ。ジョンを狂わせやがって、みたいな感じがして(笑)。でも、その落書きを見たときに、すごくハッとしたんです。
──“Debora”のほうは、タイトルは外国の女の子の名前ですか?
橋本 : そう、これは『ベイビー・ドライバー』っていう映画から影響を受けて書いた歌詞です。そのヒロインの名前が、デボラなんです。映画のなかで、「デボラっていう女の子の名前の曲はぜんぜんないんだよ」っていう話があって。T・レックスの“デボラ”とベックの“デボラ”ぐらいしかない。じゃあ、俺がもう1個追加しようっていうので、タイトルは“Debora”にしました。
──〈籠の中の鳥は合図を待って 茶ばんでしまった羽を見て首を吊って〉っていう歌い出しにドキっとさせられます。
橋本 : 久々に毒っ気を出しました。これも原点回帰ですね。一見、明るいメロディに、相反する言葉が入るのが好きなので。久々に頭のネジがふっとんだ感じで書きました。
──全体の雰囲気からは、束縛に抗おうとする衝動を感じますけど。
橋本 : ちょっと大げさだけど、自分ではどうにもできない運命のような流れがあるなかで、あきらめるのか、自分で打破するのか、みたいなものが出てると思います。
──そう考えると、“Good News Is Bad News”と“Debora”は通じるものがあるような気がします。自分が何かを選択していくことが、神様とか、運命みたいな、あらかじめ大きなちからによって導かれたものなのか、自分で選んだものなのかっていう運命論的な考え方が奥底に漂ってて。
橋本 : 意識はしてないけど、たぶんいま僕がそういうモードなんでしょうね。

──で、3曲目の“KIDS”は、“Debora”の最後に出てくる〈I saw UFO〉っていうフレーズから、〈ニューヨークの高層ビル 隙間縫うようにU.F.O. 見つけたとさ〉ってつながってるのがおもしろい。
橋本 : 気づかれちゃった(笑)。
稲葉 : あ、そういうこと!? これつながってるんだ、すげえ。
橋本 : だから、“KIDS”は、最後に入れようって言ったんだよ。
──もともと“KIDS”はデビュー前の自主盤に入っていた曲ですよね。
橋本 : そうですね。気に入ってた曲だから、いつかアレンジで復活させたいなと思ってたんですよ。昔作ったときから、アレンジが難しくてネックになってて。でも、ドラムが変わったタイミングで、リズムに対する意識を強く持つようになったから、熊谷がアレンジをしてくれて、ようやく納得できるかたちになったんです。
熊谷 : 僕が蘇生させました。本当はもっと音を抜いて、隙のある、ゆるい感じのサウンドにしたいと思ったんですけど、結局、ファンクっぽい感じになって。前作の“PIZZASHAKE”が、意外とハマってたから、このアプローチでもいけるなと思ったんです。
橋本 : 良い意味でメロディは日本っぽいというか、めちゃくちゃキャッチーだから、逆にアレンジは、どうなっても上手くまとまったような気がしますね。
稲葉 : 最初にデモを聴いたとき、「これは絶対、アース(・ウィンド・アンド・ファイアー)だわ」っていうのがあって。ベースの裏テーマとしては、DJで歌を消して流してほしい。最近、『ゲットダウン』(1970年代のヒップホップの誕生を描いた海外ドラマ)を観た影響も出てると思います。
橋本 : トラックとして聴いてほしいんだよね。
稲葉 : そうそう、踊れるような感じにしたいなって。
ポップなんだけど、グロくて、シュール
──わかります。で、今回の作品は、この3曲が入ったCD-RがTシャツに付属するという形態で。デザインを手がけたCristina Dauraさんには、どういうきっかけでコンタクトをとったんですか?
橋本 : うちの担当が、銀杏BOYZのライヴを(ロンドンに)観に行ったときに、ラフ・トレード(レコード店)に(Cristina Dauraがデザインした)ポスターが貼ってあって、すごく目を引かれたらしくて。「この人のポスターが良かったよ」って教えてもらったんです。で、僕らも「良い!」ってなって、Tシャツのデザインをお願いすることにしました。
──Dauraさんの作品って、色使いが独特ですよね。
橋本 : 色の使い方が不思議ですね。あと、ポップなんだけど、グロくて、シュールなテイストとかも、自分たちとシンクロしてるなと。
──イラストをお願いするときに、何か伝えたことはありましたか?
橋本 : “Good News Is Bad News”の音源を送って、そこに込めた意味も伝えましたけど、あとは自由にやってくださいっていう感じでしたね。
──今回、このイラストがデザインされたTシャツがメインで、CDはそれに付属するものというはじめての形態です。これは、いまの時代にCDを出す意味を考えたうえで?
橋本 : そうですね。もうたぶんシングルっていうかたちでは、普通にCDは出さないんじゃないかなあっていう気はしますね。アルバムだと、まだ盛り込む要素もありますけど。今回のシングルに関しても、フィジカルで出す意味を考えたときに、別のカルチャーとコラボすることで、手に取りたいものにしたいと思ったんです。Tシャツだったら、セレクトショップに置いてもらうことで、ファッションが好きな人にも、僕らの存在が広がっていくんじゃないかっていう狙いもあって。
──昔はCDが売れないことをネガティヴに捉える向きもあったけど、最近は、CDが売れないならどうやっておもしろいものを作れるかっていう方向にシフトして考えるアーティストが増えてますよね。
橋本 : 健全ですよね。売れないものを売ろうとするんじゃなくて、じゃあ、どうしたら売れるんだろう? って工夫して考えるようになってるんですよね。

──資料によると、今回の音源は、次回作の布石になってるそうですけど。もう橋本くんの頭のなかでは、かなりイメージが出来上がってるんですか?
橋本 : そこはまだちょっと話せないんですけど。僕のなかでは、けっこう手応えを感じてます。…… って言うことによって、自分を奮い立たせてます(笑)。
──かなり曲も溜まってる状態ですか?
橋本 : いや、まだ新しい曲は1曲だけメンバーに渡したぐらいです。たぶん次の作品も、原点回帰の流れはありつつ、それプラス、別のものが用意されてるっていうものになると思います。
熊谷 : 彼のなかにはもう明確なビジョンがあるみたいだから、そこに乗っかるのが楽しみですね。
稲葉 : 僕も、薫さんのいちファンとして、早くデモを聴きたいです。「めちゃめちゃ良いよ」とは言われてるんですけど……。
熊谷 : それ、けっこう前から言ってるよね。
稲葉 : なかなか聴かせてくれないんですよ(笑)。もったいぶってるのかな。
橋本 : ふふふ。まあ、次のアルバムは確実に良いものになると思うので、楽しみにしててください。
編集 : 鈴木雄希
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LIVE SCHEDULE
Helsinki Lambda Club presents “Moloko Plus vol.2”
2020年1月23日(木)@下北沢BASEMENT BAR
時間:OPEN 19:00 / START 19:30
出演 : Helsinki Lambda Club / Jurassic Boys / Tomato Ketchup Boys
Helsinki Lambda Club「Good News Is Bad News」release tour
“Good News For You”
2020年2月15日(土)@福岡graf
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※ワンマン
2020年2月23日(日)@仙台enn2nd
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
出演 : Helsinki Lambda Club / ナードマグネット
2020年2月29日(土)@札幌COLONY
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
出演 : Helsinki Lambda Club / No Buses
2020年3月7日(土)@金沢GOLD CREEK
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
出演 : Helsinki Lambda Club / No Buses
2020年3月8日(日)@新潟CLUB RIVERST
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
出演 : Helsinki Lambda Club / No Buses
2020年3月14日(土)@名古屋APOLLO BASE
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※ワンマン
2020年3月15日(日)@梅田Shangri-La
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※ワンマン
2020年3月20日(金・祝)@渋谷CLUB QUATTRO
時間 : OPEN 17:00 / START 18:00
※ワンマン
【詳しいライヴ情報はこちら】
https://www.helsinkilambdaclub.com/live
PROFILE
Helsinki Lambda Club (ヘルシンキラムダクラブ)

2013年夏、西千葉でバンド結成。
「PAVEMENTだとB面の曲が好き」と豪語するヴォーカル橋本を中心とした日本のロック・バンド。無理やりカテゴライズするならば、“ニューオルタナティヴ”といったジャンルに分類される。
2014年12月、〈UK.PROJECT〉から2曲入り1st 8cmシングル「ヘルシンキラムダクラブのお通し」をリリース。
2015年3月、1st ミニ・アルバム『olutta』をリリースし、〈FX2015〉、〈VIVA LA ROCK2015〉、〈MUSIC CITY TENJIN2015〉に出演。同年12月にシングル「TVHBD / メリールウ」をライヴ会場と通販限定で、500枚を即完させる。
2016年6月、1stマキシシングル「友達にもどろう」をリリース。同年10月に1stアルバム『ME to ME』をリリースし、全国8箇所で開催したリリース・ツアーは渋谷WWWでファイナル公演をソールドアウトさせる。
2017年4月、佐久間公平(Gt)が脱退し、あらたに熊谷太起が加入。同年6月、〈UK.PROJECT〉内に新レーベル〈Hamsterdam Records〉を設立し、第1弾としてtetoとの1stスプリットCD(限定盤)をリリースし、9月には〈BAYCAMP2017〉に出演。同年11月、〈Hamsterdam Records〉から第2弾として、1st 7インチ・アナログ盤とUSBをセットにした『Time,Time,Time』をリリースし、即日完売店舗が続出。同年12月、『Time,Time,Time』発売記念ライヴをもち、アベヨウスケ(Dr)が脱退。
2018年6月、1st配信シングル「PIZZASHAKE」をリリース。さらには同年7月、結成5周年を迎えることを記念して、初のワンマン・ライヴツアーを東京、大阪、福岡、名古屋の4公演で行い、大盛況で終了した。8月にはついに初の“2nd”となる配信シングル「Jokebox」をリリースし、12月には2ndミニ・アルバム『Tourist』をリリースした。
そして2019年5月、結成当初から切望していた海外公演を香港で果たし、同年8月には北京・上海にてツアーを、9月には台湾にて開催された〈SHOUT OUT FEST ’19〉へ出演を果たした。
【公式HP】
https://www.helsinkilambdaclub.com/
【公式ツイッター】
https://twitter.com/helsinkilambda