OTOTOYフジロック・ガイド2018──平成最後のフジを本当に楽しむための注目すべき5つのトピック
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毎日毎日暑くてどうにかなってしまいそうですが、みんなが待ってた〈フジロック・フェスティバル'18〉の開催も目前に! このタイミングで今年もOTOTOY恒例のフジロック・ガイドをお届け。N.E.R.D、ケンドリック・ラマー、ボブ・ディランといった超豪華ヘッドライナーが注目を集めている今年のフジロックですが、今回の出演アーティストはこれだけではありません! 多様なジャンルの音楽が集まるフジロックならではのメンツの数々を、より楽しむために5つのトピックとしてまとめました。これだけ見ておけば今年のフジロックは本当に楽しめること間違いなしでしょう! それではライター・渡辺裕也によるフジロック・ガイド、スタートです!
FUJI ROCK FESTIVAL '18
2018年7月27日(金)、28日(土)、29日(日) @新潟県 湯沢町 苗場スキー場
時間 : 開場 9:00 / 開演 11:00
料金 : 3日通し券 45,000円 / 1日券 20,000円
出演 : 国内外約200アーティスト
詳細 : http://www.fujirockfestival.com (オフィシャル・サイト)
渡辺裕也がセレクトする、〈フジロック '18〉これだけは押さえろ!!
2018年もいよいよ〈FUJI ROCK FESTIVAL〉の開催が近づいてきた。ここ数年は、90年代から活躍するベテランや大御所をヘッドラインに据えたり、日本人アーティストの比率が増えたりと、そのラインナップ全体の方向性にそのつど賛否両論が上がっていたが、今年の顔ぶれはポップ音楽シーンの「いま」を的確に捉えながらも、フジロックならではの多様性が存分に発揮されている印象だ。少なくとも、今回のフジロックは2010年代以降で最高のラインナップではないだろうか。ということで、OTOTOYではその見所を5つのトピックにわけてご紹介。直前の予習に活用していただければ幸いだ。
1. 近年最高のヘッドライナー3組
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毎年そのラインナップが注目されるフジロックでも、今回のヘッドライナーは近年稀に見る豪華な3組といえるだろう。なかでも最大の目玉といえば、やはりケンドリック・ラマー。彼がフジロックのステージに登場するのは、2013年に続いてこれが2度目。しかし、5年前のホワイト・ステージ出演時と、歴史的な傑作2枚を経て音楽シーンの頂点に立った現在ではあまりに状況が違うし、今回のヘッドライナー決定はまさに快挙だ。ここ一年間の彼はアルバム『ダム』を携えたツアーを長期にわたって実施中だが、その間に自身がプロデュースした『ブラックパンサー ザ・アルバム』のリリース、そしてピューリッツァー賞の受賞などをはさむなかで、ライヴの内容はどんどんアップデート。これまでのツアーで最もエンタテイニングだと噂のパフォーマンスは、間違いなく2018年のハイライトになるだろう。
そしてこちらも事件。いつかは出ると言われ続けていたボブ・ディランの出演が、フジロック開催22回目にしてついに決定。そもそも彼がこうした大型フェスに出演すること自体が相当にレアなことだし、「ディラン、ぶっちゃけ全然聴いたことないんだけど」という方も無問題。代表曲を次々と披露するようなお約束が一切ない上に、その時々で楽曲のアレンジも大きく変わるディランのライヴは、コアなファンだろうが一見さんだろうが、まっさらな状態で向き合うのみ。ということで、今年のフジロックに参加するなら、ディランを観ない理由はまずない。
N.E.R.Dについても、特に説明は不要だろう。2010年代以降も北米メインストリームの最重要人物としてシーンを牽引し続けてきたファレル・ウィリアムス。そんな彼を擁するN.E.R.Dの最新ライヴでは、ミーゴス「スター・フライ」、リル・ウージー・ヴァート「ネオン・ガッツ」、そしてケンドリック・ラマー「オールライト」など、ファレルが制作に携わった楽曲のメドレーも披露。最新作『ノー_ワン・エヴァー・リアリー・ダイズ』の収録曲はもちろん、今回のヘッドライナー公演ではラップ全盛とも言われる北米シーンの「今」を体感できるに違いない。
2. ラップ / R&Bの旬を押さえたラインナップ
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ヘッドライナー3組に目が行きがちだが、もちろんそれ以外にも今年のフジロックは時代の旬を捉えたアクトが目白押しだ。まずはポスト・マローン。彼が今年4月に発表したセカンド・アルバム『ビアボングズ&ベントレーズ』は、当時の最高記録を更新するストリーミング再生回数で全米チャート1位を獲得。さらに収録曲のうち9曲が全米トップ20内にランクインするなど、単純にセールスで測れば、もはや彼はヘッドライナーでもまったくおかしくないのだ。
そして、アンダーソン・パーク&ザ・フリー・ナショナルズ。ドクター・ドレーのフックアップで一躍スターダムを駆け上がったアンダーソンは、そのドレーがミックスを担当しているという新作『オクスナード・ヴェンチュラ』がいよいよリリース間近。今回の公演では最新作モードのパフォーマンスをいち早く体感できることになりそうだ。
今年大注目のR&Bシンガーといえば、もちろんカリ・ウチス。スヌープ・ドッグやタイラー・ザクリエイター、ゴリラズらとの共演でじわじわと評価を高めてきた彼女も、ついに今年ファースト・アルバム『アイソレーション』をリリース。自身のルーツであるレゲトンやボサノヴァなどを包括しながらも実に洗練されたこのデビュー作は、間違いなく2018年屈指の一枚だ。
そして、こちらもアデルなどを手がけたポール・エプワースのプロデュースによるデビュー作『ソイル」を発表したばかりのシンガー・ソングライター、サーペントウィズフィート。幼い頃から地元ボルチモアの聖歌隊に所属していたという彼が放つ、クラシカルで実験的なゴスペルR&Bには、とにかく度肝を抜かれるばかりだ。
ニューヨークのハーレムを拠点とするプエルトリコ系のラッパー= プリンセス・ノキアは、アトランタを中心としてきた近年のラップ・シーンに新たな風を巻き起こしている。彼女が注目されるきっかけとなったミックステープ『1992』は、昨年にデラックス・エディションとして〈ラフ・トレード〉から再リリース。現行のメインストリームとは一線を画したメロウなトラックと、フェミニズムを主題としたコンシャスなラップは、今後さらなる注目を集めるだろう。
3. 北米インディの大物から気鋭の新人まで、大充実のポップ / ロック・アクト
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ニュー・アルバムの続報が待ち遠しいヴァンパイア・ウィークエンドが出演する時間帯は、なんとボブ・ディランのあと。いわば実質上のヘッドライナーとして、彼らは5年ぶりにフジロックのステージに立つことになった。やはりここは新曲にも期待したいところだが、どうやら最近のライヴでは過去3作からの人気曲はもちろん、カヴァーなども織り交ぜたフレキシブルなセットリストが展開されているようで、これは当日まで予想がつかなそうだ。
予想がつかないといえば、少し前に新作『ランプ・リット・プローズ』をリリースしたばかりのダーティー・プロジェクターズは、どうやら新メンバーを加えた6人体制のライヴになりそう。デイヴ・ロングストレスのソロ・プロジェクト状態だった昨年のセルフ・タイトル作を経て、バンド編成で再び動き出した彼らは、一体どんなパフォーマンスを見せてくれるのだろう。
今回が2度目のフジロック出演となるパーケイ・コーツは、デンジャー・マウスがプロデュースした新作『ワイド・アウェイク!』で完全に一皮向けた感じだ。ファンキーなリズムを携えた、このひたすら粗野なガレージ・ロックにはちょっと抗えないものがある。4年前はスルーしていた方も、今回ばかりは見逃さないほうがいいかも。
おなじくプリミティヴなガレージ・ロックを鳴らすマドリードの4人娘= ハインズも一気に見違えた。アラバマ・シェイクスを手がけたエンジニアのもとで制作された最新作『アイ・ドント・ラン』は、4人の勢いにあふれた演奏とウェルメイドな録音が見事に合致。でも、ライヴはやっぱりワイワイガヤガヤした感じなんだろうな。てか、そうであってほしい。
ロサンゼルスから現れた暴れん坊4人組= スタークローラーは、いまやここ日本でもブレイク寸前といったところだろうか。クランプスやブラック・サバスなど、歴代のダーティでヘヴィなロック・サウンドをひと混ぜにしたような楽曲もさることながら、やはり注目すべきはヴォーカリストのアロウ・デ・ワイルド。新世代ロックンロール・スターの佇まいを是非その目で確認してほしい。
ここ日本も含めて世界各地で着々とプロップスを高めているのが、8人組の多国籍なコレクティヴ= スーパーオーガニズム。彼らを前にすれば、各メンバーの出自と年齢はもちろん、ジャンルや旧態然としたバンドの定義などはもはや意味をもたない。あらゆる垣根を越境してみせた新時代のインディ・ポップをぜひお聴き逃しなく。
そしてこちらも完全なる新世代、イギリス出身の10代デュオ= レッツ・イート・グランマ。この二人が織りなす甘美でインダストリアルなエレクトロ・ポップは、まさに英国クラブ・シーンと北米メインストリームのミッシングリンクといえるだろう。リアルタイムの多重録音によるライヴ・パフォーマンスもかなり見応えがありそうだ。
エレクトロ・ポップといえば、もちろんチャーチズも見逃せない。グレッグ・カースティンとの共同プロデュースによる最新作『ラヴ・イズ・デッド』は、グラスゴーのインディ・シーンを出自とする彼女たちが北米メインストリーム・ポップのど真ん中に挑んだ最高傑作。今回のフジロックでは最終日の夜を堂々たるパフォーマンスで締めくくってくれるはずだ。
おなじく3日目のホワイト・ステージに登場するのが、現時点で今年トップクラスの高評価を獲得しているカントリー・ポップ作品『ゴールデン・アワー』をリリースしたケイシー・マスグレイヴス。彼女は今ちょうどハリー・スタイルズとの共同ツアーを終えたばかり。マディソン・スクエア・ガーデンなどの大舞台を経て、今回のフジロックでは完全に仕上がったパフォーマンスを披露してくれるだろう。
4. ボブ・ディランだけじゃない! レジェンダリーな大御所たち
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“クイーン・オブ・メンフィス・ソウル”ことカーラ・トーマスの出演決定は、2018年のフジロック最大のサプライズと言っていい。1960年に17歳でソロ・デビューし、名門スタックスから数々のヒット曲を世に送り出した彼女は、現在75歳。ホッジス兄弟をはじめとした鉄壁のバック・バンドとともに臨む今回のステージは、きっとスタックス黄金期を彷彿させてくれるに違いない。
ダブリンが誇る世界最高峰のアイリッシュ・ロック・バンド= ホットハウス・フラワーズは、なんと17年ぶりにフジロックに降臨。しかも今回は3日目にフィールド・オブ・ヘヴン、そして初日に苗場食堂(!)と2回にわたっての出演とのことで、これは会場のシチュエーション的にも素晴らしいライヴになるのが既に約束されているようなものだろう。
フジロックではお馴染みの天才ギタリスト= マーク・リーボウは、トリオ編成のセラミック・ドッグとして登場。詳しくは後述していくが、彼らの繰り出す灼熱のアフロ・キューバン・ジャズは今年のラインナップ的にもジャスト。その奔放なセッションから生まれるグルーヴでオーディエンスを沸かしまくってくれるに違いない。
5. 今年の裏テーマはキューバ?
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フジロックの醍醐味と言えば、欧米のポップス以外にもアフリカや南米、アジアなどの音楽がたっぷり味わえることだが、特に今年はキューバ音楽がフィーチャーされている模様だ。そこで注目してほしいのが、キューバ・ミュージシャンたちによる不定形のコレクティヴ= インタラクティーヴォ。キューバの伝統音楽とジャズやヒップホップなどをハイブリッドさせた異形のアンサンブルは、観る者に必ずや鮮烈なインパクトをもたらしてくれるだろう。
インタラクティーヴォの中心人物ロベルト・カルカセースはトリオ編成でも出演。さらにはメンバーによる伝統音楽プロジェクト= キュバーナ・フィエスタも登場するなど、今年のフジロックはインタラクティーヴォ関連のプロジェクトが3日間にわたって各ステージを沸かしてくれそうだ。
ここでコロンビアの大所帯バンド= ランチョ・アパルテもぜひ押さえておこう。管楽器を主体としたアフロ・コロンビアン・スタイルの演奏は、近年のラテン・ブームを通過した耳にもジャスト。エレクトロニックなアプローチでコロンビア発のダンス・ミュージック=クンビアを更新させているフレンテ・クンビエーロも、苗場に狂乱の渦を巻き起こしてくれそうだ。
バスクのエスネ・ベルーサはフジロックではすっかりお馴染みだろう。地元バスクの伝統楽器を用いつつ、ラテン、クンビア、ロック、ヒップホップをクロスオーヴァーさせた彼らの情熱的なレベル・ミュージックは、またしても今年のフジロックのベスト・アクトをかっさらっていくかもしれない。
最後にセネガルのジェンベ奏者オマール・ゲンデファル率いるアフロビート・バンド= アフロ・ベゲを紹介しよう。西アフリカの伝統音楽を起点に、オマールが日本人メンバーとともに練り上げたアコースティック・ポップは非常にキャッチー。アフリカ音楽の入り口としてもぜひオススメしたい。
FUJI ROCK FESTIVAL '18
2018年7月27日(金)、28日(土)、29日(日) @新潟県 湯沢町 苗場スキー場
時間 : 開場 9:00 / 開演 11:00
料金 : 3日通し券 45,000円 / 1日券 20,000円
出演 : 国内外約200アーティスト
詳細 : http://www.fujirockfestival.com (オフィシャル・サイト)
今回ピックアップしたアーティストの出演日時はこちら
2018年7月27日(金)
ランチョ・アパルテ(12:50〜 @木道亭 / 16:00〜 @Café de Paris)
レッツ・イート・グランマ(14:00〜 @RED MARQUEE)
パーケイ・コーツ(14:50〜 @WHITE STAGE) ★
マーク・リーボウのセラミック・ドッグ(19:00〜 @FIELD OF HEAVEN)
N.E.R.D(21:00〜 @GREEN STAGE) ★
ポスト・マローン(22:30〜 @WHITE STAGE)
ホットハウス・フラワーズ(23:50〜 @苗場食堂)
エスネ・ベルーサ(3:15〜 @CRYSTAL PALACE TENT)
2018年7月28日(土)
エスネ・ベルーサ(13:10〜 @WHITE STAGE) ★
ランチョ・アパルテ(13:50〜 @FIELD OF HEAVEN / 23:45〜 @CRYSTAL PALACE TENT) ★
ロベルト・カルカセース・トリオ(14:30〜 @Café de Paris)
スタークローラー(14:50〜 @WHITE STAGE) ★
スーパーオーガニズム(15:50〜 @RED MARQUEE)
カーラ・トーマス(19:00〜 @FIELD OF HEAVEN) ★
ケンドリック・ラマー(21:00〜 @GREEN STAGE)
キュバーナ・フィエスタ(21:00〜 @Gypsy Avalon)
プリンセス・ノキア(00:15〜 @RED MARQUEE / TRIBAL CIRCUS)
2018年7月29日(日)
ハインズ(14:00〜 @RED MARQUEE) ★
インタラクティーヴォ(14:10〜 @FIELD OF HEAVEN)
ケイシー・マスグレイヴ(14:40〜 @WHITE STAGE) ★
アンダーソン・パーク&ザ・フリー・ナショナルズ(14:50〜 @GREEN STAGE) ★
カリ・ウチス(16:20〜 @WHITE STAGE) ★
サーペントウィズフィート(17:50〜 @RED MARQUEE)
ホットハウス・フラワーズ(18:00〜 @FIELD OF HEAVEN) ★
ボブ・ディラン(18:50〜@GREEN STAGE)
ダーティー・プロジェクターズ(20:20〜 @RED MARQUEE) ★
アフロ・ベゲ(21:00〜 @Gypsy Avalon)
ヴァンパイア・ウィークエンド(21:20〜 @GREEN STAGE) ★
チャーチズ(22:30〜 @WHITE STAGE) ★
★がついているアーティストはYouTube ライブ配信があります!
https://www.youtube.com/fujirockfestival
出演アーティストの音源は下記から購入可能!!
7月27日(金)出演アーティスト
7月28日(土)出演アーティスト
7月29日(日)出演アーティスト
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フジロック事前特集
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・OTOTOYフジロック・ガイド2014
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・OTOTOYフジロック・ガイド2015
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・OTOTOYフジロック・ガイド2016
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事後レポート
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