「第1期ネハンベースはこれにて終了! そして新章突入! 」
バンドが演奏しながら感じる自由や興奮とは、ある種の幻想を孕んだものだ。複数の人間が同じ場所に集い、初めて「せーの! 」で音を出した時の、まったく思い通りにいかないのに、永遠に続くかのような未知の可能性を感じる瞬間。この時の輝きを失わないバンドにこそ、我々は美しさや儚さを感じるのかもしれない。だが実際にそれを保ち続けるのは難しく、ある者はそれまで築いたものを洗練させる方に向かい、またある者は新たなサウンドを模索し始める。やり方はそれぞれだが、何にせよバンド活動を長く続けていくのは容易い事ではないし、だからこそロマンがある。
昨年末、ネハンベースのメンバーが中心人物のマモルを除いて全員脱退した。彼らが何故そのような決断を下したのか、詳しい経緯を僕は知らないのだけれど、彼らのステージからはまるでニコニコと笑いながら飛礫を投げつけてくるやつみたいな不気味さと無邪気さを感じていた。そしてメンバー間はもちろん、聴衆も含めてとても親密な空気があった。それは決して居心地の悪いものではなかった。
今回リリースされる『アライヴ・アット・ザ・ウォール』は、その旧メンバーでのラスト・ステージとなった昨年11月2日の台北公演を収録したライヴ・アルバムだ。1曲目の「コインゲーム」からラストの「アナーキー・イン・ザ・UK」に至るまで、彼らのスリリングな演奏がぶっ通しで聴ける、正に第1期ネハンベースの集大成と言える内容だ。特に今回初めて音源化された「アナーキー・イン・ザ・UK」が凄まじい。ピストルズが「爆発〜崩壊」なら、ネハンベースは「抑制〜解放」と言ったところか。カバー曲にも関わらず、これぞネハンベースとしか言いようのない名演だ。
ネハンベースは年明けから既に新体制での活動を始めている。旧メンバーによる作品は恐らくこれで最後になるのだろう。だがそんな感傷に浸る隙も与えない程に濃密な本作を、まずは十分に楽しんでほしい。そしてもし彼らの歩みがこれまでの活動をさらに上回るような展開を見せてくれたら、それ以上に喜ばしいことはない。(text by 渡辺裕也)
ニュー・ライブ・アルバム
alive at the wall
彼らの本領であるライヴを、それも旧メンバーによる最後の演奏となった2008年11月2日台北公演を完全収録した初のライヴ・アルバム。現在新メンバーを迎えて、マモルのソロ・プロジェクト的色彩を強めた新たなバンドとして再始動している。ライヴ・バンドとして高い評価を得てきた第一期nhhmbaseの最高の瞬間を永遠に封じ込めた貴重な作品。
ディスコグラフィー
波紋クロス
新世代突然変異バンドの大本命が、衝撃のデビューから2年のときを経て、提示した新しい“ポップス”。川口賢太郎 (54-71)& ヨシオカ・トシカズ(THE STROKES、8otto)プロデュースによって、5日間で全行程を完了。ネハンの魅力の全てが、この全編モノラル・ミックスに封印されています。
nhhmbase
2006年に発売されたファースト・ミニ・アルバム。超高密度で構築されたポップ・ソング。破壊力と繊細さを兼ね備えた楽曲はオルタナティブ・ポップに新たな価値観を生み出した。さらに圧倒的なパワーを持つライブで、TYONDAI BRAXTON(BATTLES)やxbxrxなど海外アーティスト達をも魅了した。奇妙に居心地のよいサウンドは、初の公式音源からすでに確立済みです。
nhhmbase
04年結成。東京を中心に活動。挑発的、破壊的なライブと変拍子や転調を多用するストイックな革新的ポップスであなたに迫る。2006年9月、& recordsよりミニ・アルバム『nhhmbase』にてデビュー。2008年7月、『波紋クロス』をリリース。09年よりマモル(Vo/G/Key)は、ハヤシ(G)、右田眞(B)、 Jimanica(Dr)を迎え、J-POPシーンの中心にいると思い始める。現在楽屋にて再検討酎。
ハヤシは元lotos。ベースの右田眞はnenem、What's Love?、そしてドラムのJimanicaはd.v.dのメンバーでもある。
nhhmbase 新メンバーの別プロジェクトを紹介
d.v.d
Dr. Jimanica参加。個性派ドラム・デュオによる音楽と、映像作家山口崇司による映像との新型トリオ。楽器と映像を同期させることにより、2台のドラムが映像を操作し映像が曲を奏でるインタラクティヴな「ライヴ・インスタレーション」は、音楽を超えた様々な方面で話題を集める。六本木森美術館で行われたインスタレーション出展をはじめ、金沢21世紀美術館、韓国・ソウルのギャラリー”LOOP”での公演など、アート・シーンからも注目を集めている。ドイツ・ベルリンでのメディア・アート・フェスティバル”Transmediare 08”に招待され、公演を行ったのを皮切りにドイツ、オランダ、ポーランド、スイスを回る初のヨーロッパ・ツアー(国際交流基金)を敢行、海外でも非常に高い評価を得る。また、オーストリア・リンツで毎年行われるインタラクティブ・アート・音楽のコンペティション”Prix Ars Electronica 08”にて、Digital Music部門においてHonorary Mention賞を受賞。国内外を問わず高い評価を得ている。
- website : http://www.dvd-3.com/
- myspace : http://www.myspace.com/1000335640
nenem
Ba. 右田眞参加。2008年、1st Album "cool dawn place" をリリースしたインストゥルメンタル・バンド。ライヴはステージ後方に映像を投影するスタイルで活動開始。映画、映像に生で音楽をつけることをコンセプトに2005年に結成。RockをベースにJazz、Funk、Reggae、HipHop、プログレ、Club Music等ジャンルに関係なく、Alternativeなバンド・サウンドから注目を集め、2008年4月には "渚 MUSIC FESTIVAL 2008"に出演し、同イベントには10月にも出演を果たした。そして2009年1月14日には、2nd mini Album "deep shape blue" をリリース。
- website : http://nenemweb.com/
- myspace: http://www.myspace.com/nenemmusic
What's Love?
Ba. 右田眞参加。ドメスティックな色彩の歌謡曲と本格的スカの合体型サウンドを志向する3人組。01年にマキシ・シングル「泣けるほど」でデビュー。スカ特有の小気味良い裏打ちサウンドをバックに、日本人にとって馴染み深いメロディと詞を生き生きと展開していく。今までありそうでなかった、もしくは、初めて聴くのにどこか懐かしい、そんな類の音楽。
- website : http://www.h6.dion.ne.jp/~whats/
- myspace : http://www.myspace.com/whatslovemusicsite
LINK
nhhmbase
- website : http://www.nhhmbase.com/
- myspace : http://www.myspace.com/nhhmbase
& record
- website : http://www.andrecords.jp/
- CATALOGUE page : https://ototoy.jp/them/index.php/LABEL/6248
LIVE SCHEDULE
nhhmbase
- 4/25 (土) 〜26 (日) ARABAKI ROCK FEST.09@エコキャンプみちのく
- 5/4 (月) MUSIC DAY 2009 & SHIBUYA-La.mama 27th anniversary@渋谷La mama
- 5/10 (日) moools presents『第21回モールスまつり』@渋谷O-nest
d.v.d
- 4/25 (土) Liquid Heaven@LIQUIDROOM
- 5/9 (土) REPUBLIC vol.4 〜映像作家100人2009リリースパーティー〜@六本木ヒルズ森タワー52F マドラウンジ
CLOSE UP : 犬式 a.k.a.Dogggystyle