OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.182
毎週金曜日、編集部セレクトのプレイリスト&コラムをお届けする『OTOTOY EDITOR’S CHOICE』。8月は恒例のゲスト月間、OTOTOY Contributorsスペシャルです。第3回は、OTOTOYニュースチームの一員でもある、田代芽生さんです。ひとり映画を観まくっていた大切な時間の記憶、そしてそれとともにあった音楽たちを。
2022 CONTRIBUTORS SPECIAL
私の大切な青春時代と映画と音楽
今から2年前の夏。春から始まるはずだった大学は全面リモートとなり、アルバイト先も休業となってしまったため、私はひたすらに映画を見ていた。好きなレコードやCD、雑誌や漫画を詰め込んだひとり暮らしのワンルームでの巣ごもり映画ライフは、閉塞感漂う外の世界とは違い、とても穏やかなものだった。
好みの脚本家や俳優などを見つけて関連作品を観漁ったり、劇中に流れてくる音楽に魅了されて好きなアーティストを増やしたりと、いろんな角度から自分の感性が刺激されているようで、私は映画にやみつきになってしまった。映画を見ることで自分が満たされていく心地よい感覚を味わう中で、私はふと “この感じ、前にもあったぞ!” と思い出し、忘れかけていた高校時代の思い出が蘇った。
高校時代の私は何か重要な悩みを抱えている訳でもなく、体調が悪い訳でもないのに、あまり学校に通えておらず週に1日出席すれば良い方という健康優良不良少女(!?)だった。では、学校に行かず家で何をしていたかというと、この時もまた私はずっと映画を見ていた。
ひとりきりの部屋で何もしないでいると余計なことばかり考えてしまうから、私は近くのレンタルビデオ屋で面陳されていたおすすめ映画を片っ端から借りることにした。それまで映画などのカルチャーにあまり関心がなかったけれど、さまざまな作品に触れることで今までにない “ときめき” を感じることができた。
正直、高校生活を楽しみながら若さを謳歌しているクラスメイトへの劣等感がなかったとは言えない。でも、私には “私にしか見えない景色” があったと思っている。映画鑑賞を通して、私にしか持つことのできない感性を自分の手で集めたからこそ、今の私がいる。だから、はたからすれば暗い青春時代のように見えるかも知れないけれど、私はあの時間を今でも大切に思っているし、忘れたくない。
そんな淡い思い出に胸を馳せながら聴きたい、私の青春時代のお気に入り曲を今回はセレクト。正体不明のモヤモヤを抱えていたあの頃の私を優しく包み込んでくれる曲、味方になってくれる曲、背中を押してくれる曲を詰め込んでみた。忘れかけていたけれど、今思えば大切だと思える記憶があなたにもあるのではないだろうか。たまには、昔に好きだった音楽を聴いて思い出に想いを馳せてみてはいかがだろう。