OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.89
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
駆け抜けて……
あれは中学3年生の夏だったと思う。当時契約していたケーブルテレビをつけたら、映っていたのはZepp Tokyoの大きなステージに上半身裸で暴れまわったり、変な顔をしながら演奏をする4人組。メンバー同士でドロップキックをかましたり、客席に唾を吐きつけたり。「汚ねぇな~」なんて思いながらも当時の僕にとっては、彼らの一挙一動がこれまで見てきたバンドのそれとは異なり、ひどく打ちのめされた。気がついたら必死にテレビ画面を見ていた。
思い返すと、ちょっと恥ずかしいけど、好きな子からの連絡が帰ってこないときとか、恋人に別れを告げられたとき、何事もうまくいかなくてなんとなく悶々とした気持ちになっていたとき、いろんなタイミングで彼らの音楽を聴いていた。いま聴き返してもそのときの感情を思い出すことができる。
あれから12年、久しぶりの銀杏BOYZの新作『ねえみんな大好きだよ』にはやっぱりワクワクした。“恋は永遠”にはYUKIが参加しているけど、そういえば中学3年生のときに見たそのライヴ映像は、YUKIとの対バンのライヴだったな~。いまの銀杏はあの4人ではないけど、これまでよりも多くのミュージシャンとともに作り上げた今作には、大人になった峯田がいるようで、僕は嬉しくなった。
まだまだ“いままでの日常”は戻ってこないけど、「いつの日にか僕らが心から笑えますように」。
そんなことを考えながら、ラジオ『空気階段の踊り場』にて、鈴木もぐらが高校時代の銀杏BOYZとの思い出を語る「駆け抜けてもぐら~僕と銀杏の青春時代~」(第103回)をもう一回聞き返そうっと。