愛媛在住の現役保育学生SSW・ちゃんゆ胃が下北沢で語る、音楽スタイルの変化とこれから
愛媛県在住の現役保育学生SSW、ちゃんゆ胃が、TikTokで200万いいねを獲得した話題の楽曲“Dear.a”をバンドver.にアレンジして、新たにリリース。これまで、様々なフェスへのの出演や地元愛媛の応援シンガーなど、多岐にわたる活動を行ってきた彼女。今回のOTOTOYでは、第二の拠点だと語る下北沢にて、彼女が敬愛するKOGAレコーズの代表・古閑裕を交えてインタヴューを実施。これまでの活動で変化したことや、これからの活動に対する展望を語ってもらいました。
話題曲“Dear.a”のバンドアレンジ!
INTERVIEW : ちゃんゆ胃
取材日の数日前、編集部から「すみません! 取材場所を下北沢に変更させてください!」と連絡が入った。なぜ、下北なのか?そこはちゃんゆ胃が初めてライヴをした場所、いわば始まりの地なのだ。しかも今回は彼女が憧れ続けているバンド・KEYTALKの育ての親であるKOGAレコーズの代表・古閑裕も登場。なんと、ちゃんゆ胃は古閑さんに声をかけられて、初ステージを踏み、今もワンマンライヴでお世話になっているという。そんな特別なインタヴューをぜひ!
インタヴュー&文 : 真貝聡
撮影 : 堀内彩香
古閑さんが聴いてると思ったら、もうどうしていいかわからなくて
──古閑さんとの出会いはどういうところから?
ちゃんゆ胃 : わたしがKEYTALK好きをSNSで伝えていたら、ある日、KEYTALKがモデルを務めるブランド・VIRGOの方が私を見つけてくださって。その方が(KEYTALKが所属する)KOGAレコーズの代表・古閑(裕)さんに繋げてくださったんです。私がSNS上でしか音楽活動をしてなかったにもかかわらず、古閑さんが「KOGA MILK BARでライヴしてみない?」と声をかけてくださって、去年の3月からお世話になっています。
古閑裕(以下、古閑) : 先ほど話に出た、VIRGOのスタッフが「すごくSNSで話題になっている子だから、連絡したら良い繋がりになるんじゃないか」と言われたんです。僕も初めて会ったときに「自分の店でライヴをしてもらったら面白いんじゃないかな」と直感で思ったんですね。あとは、名前が面白かったです。
ちゃんゆ胃 : ハハハ!
古閑 : 下北沢が初めてのライヴっていうのもいいなあと思いましたね。気づけばもう1年のお付き合いで、昨日は僕が運営するKOGA MILK BARで4回目のワンマンライヴがありまして。キャパは狭いですけど、ソールドアウトするような話題性になってきたのは、僕としても嬉しかったです。
──今回の取材場所が渋谷にあるOTOTOY編集部ではなく、下北沢になったのはどうしてなんですか?
ちゃんゆ胃 : えっと、私にとっては特別な場所で。中学ぐらいから好きなKEYTALKが主に活動していたのが下北沢なんですよ。はじめてワンマンライヴをやった場所がこの下北沢なんです。今は愛媛在住ですけど、私にとって下北沢は特別な第二の拠点だと思ってます!(笑)
──なるほど。下北沢で行った初ライヴのことって覚えていますか?
ちゃんゆ胃 : 東京初ライヴが初ワンマンだったので、緊張しすぎてライヴの記憶は真っ白なんです(笑)。MCもまったく喋れなくて、あとから反省会をした覚えがあります。
──好きなアーティストを育てた方の目の前で、しかもその方が作られたライヴハウスで初ステージ踏むって、そうそうないですよね。
ちゃんゆ胃 : 古閑さんが聴いてると思ったら、もうどうしていいかわからなくて。SNSだと、誰に聴かれてもそんな気にならないじゃないですか。でも、ちゃんと一人ひとりの顔が見える状況で歌うのはすごい恐ろしいことだなって。それから回数を重ねていくごとに、古閑さんから「歌が上手くなったね」と言われるのが本当に嬉しいです!
古閑 : それこそ昨日のワンマンで新曲を歌っていたんですけど、曲の作り方もだんだん成長してきてるっていうか、おもしろいコード進行を使うようになっていて。あとは歌が上手くなってますし、いい意味でこなれてきた感じはしてますね。
──最近で言えば“ホウセンカ”とか“Forever”もそうですし、初期の楽曲に比べるとアレンジやコードの使い方が、良い意味で複雑になってる感じがしますね。
ちゃんゆ胃 : ちょうどそのタイミングで、アレンジャーが大西俊也さんになったんです。私が単純なコードを使っても、アレンジになると難しいコードを使ってくれたり、すごくおしゃれにしてくれますね。
──曲の幅もちょっと歌謡ロックっぽいものもあって、四畳半フォークではない、新しい味とか色が出てきてる感じがするんですよね。
ちゃんゆ胃 : そうなんだ!(笑)。
──ハハハ! 本人的には「そうなんだ」って感じですか?
ちゃんゆ胃 : 「意識して変えたよね?」と言われることも多いんですけど、自分的には全く考えてない部分が多いので、言われて驚きます。そういう風に聴こえてるんだって、そこで気づかされることが多いです。
──そもそもの話をすると、最初はTikTokで注目されたのがきっかけですよね?
ちゃんゆ胃 : そうですね。私が大学1年生のとき、ちょうどコロナ禍になりまして。とにかく暇すぎて、SNSに投稿してみようと思ってInstagramに毎日投稿を始めました。そのタイミングでTiKTokで弾き語り動画を上げるのが流行ってる、という話を聞いて自分でも挑戦しようと思って。最初みんなに知ってもらったのは、自分のオリジナル曲ではなかったんですけど、今回リリースする“Dear.a”をギターの弾き語りで上げたらTikTok上でワー!となって。今の事務所のマネージャーに声をかけてもらって、今に至ります。
──TiKTokに投稿したところから振りかって、今の現状をどう思いますか?
ちゃんゆ胃 : 全く考えていなかったです。今も大学に通ってるんですけど、周りも驚いてますし、家族も自分も驚いてまして。もともとこういう活動をするのが夢ではあったんですけど、趣味みたいな感じでやっていたので、仕事になってることが本当に考えられなかったです。普通に就職して保育のお仕事に就くつもりだったので……なんて言ったらいいんだろ? とにかく考えもしなかったことが起きてます、ふふふ。
──ラジオ番組のレギュラー(「ちゃんゆ胃の胃袋満たします」)を任されたり、LOVE SAIJO応援シンガーに就任したり、地元の学祭も出たりとか、いろんなことが起きてますよね。 そんな現状に気持ちが追いつかないと。
ちゃんゆ胃 : そう、そうなんですよね(笑)。
──大学卒業も近づいてきましたけど、この先はどうされるんですか?
ちゃんゆ胃 : 卒業したら東京に行って、こっちで今やれることをやりたいなって思ってます。
──音楽一本に注力するっていうことですね。
ちゃんゆ胃 : そうですね、はい。 地元もすごい好きなので、フェスに出たいという思いがあって。今ギター弾き語り一本でやってるので、いつかはバックバンドを入れて香川県の『MONSTER baSH』に出ることが今の目標ですね。
──表現したいことや歌いたいことは変わってきました?
ちゃんゆ胃 : 初期に出していた曲ってストレートで、子供っぽい部分が自分でもあるなって感じてて。今は21歳になって大人っぽいというか、ストレートな歌詞を書くこともやっていきたいんですけど、もっと深掘りできるような曲を作りたいなって思ってます。
──深掘りっていうのは、どういう意味ですか。
ちゃんゆ胃 : つい細かく言葉を並べて説明的になってしまうんですけど、歌詞ひとつとってもいろんな考えがあったり、聴いてくださる人で解釈が違う曲がすごく好きで。特定なにかを示す歌詞じゃなくて、ちょっと抽象的でありながら、考えさせられるような歌詞を最近は書こうと思ってます。