都内を中心に活動を続けるオルタナティヴ・ロック・バンド、リサ=オフリーが、10月16日に新作アルバム『誰にも言えない』をリリース。これまで以上に気合いの入った同作のリリースに向けて、OTOTOYでは2回にわたりリサ=オフリーを特集。第一弾特集では、「翌朝」「カタルシス」のMV公開とともに、映像監督・土橋慎太郎、アートワーク全般を担当した山崎千尋、リサ=オフリーのフロントマン・中島直都の3人による鼎談を掲載した。そして第2弾となる今回は、リサ=オフリーのメンバー4人へのインタビューを掲載。さらにリリースより先行で、『誰にも言えない』を高音質にて配信スタートする。自分たちの力でロックのシーンを切り開いていこうとしている彼らの声に耳を傾けてほしい。
リサ=オフリー / 誰にも言えない
【配信形態】 HQD(24bit/48kHzのwav)
【配信価格】 単曲 220円 / まとめ価格 1,400円
収録曲 :
1. 翌朝 / 2. カタルシス / 3. 帰ろうよ / 4. Needless / 5. #712 / 6. デスパレード / 7. さよならの前に
前作をHQDで高音質配信中!!
リサ=オフリー / 鳴り止まないエゴイズム
【配信形態】
HQD(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 200円 / まとめ購入 1,000円
【Track List】
1.鳴り止まないエゴイズム / 2.Drain Me / 3.あの頃のまま / 4.午後、目覚め / 5.FADE TO BLACK(ART-SCHOOL cover)
「翌朝」「カタルシス」のMVを初公開
INTERVIEW : 中島直都、久保大志、山中正、東海林恵祐
音楽で食べていくには、楽曲制作以外にもやらなければならないことがたくさんある。特に、いまのようにウェブ上に数多くの音源があふれているなかでは、自分たちの存在に気づいてもらうための工夫が欠かせない。そこに対して、どのようなバランスをとってやっていくのか。少なくとも20代後半以降のバンドマンはそこに対してどれだけ自覚的に、そしてどのように音楽に向かい合っていくかを考えて行動することに迫られている。
バンド・メンバー全員が20代後半を迎えたリサ=オフリーもまた、自分たちの活動に変化を見せ始めているバンドのひとつだ。OTOTOYでの特集第1弾では、映像監督・土橋慎太郎、アートワーク全般を担当した山崎千尋との鼎談をお送りした。それはフロントマンの中島直都が、リサ=オフリーをどのように見せていくのか、どうしたら楽曲を活かすことをできるのか、自分で考えディレクションした結果であり、それを十分に伝える記事となった。特集第2弾となる今回は、リサ=オフリーのメンバー全員へのインタビューを行った。彼らは、いまも音楽で食べていくことをあきらめていない。その根底にあるのは、自分たちの楽曲への自信である。この記事を読んで、彼らの音楽にかける想いを感じていただけたら幸いである。そして、彼らの音源をぜひ聴いてみてほしいと強く願う。
インタビュー & 文 : 西澤裕郎
所詮、音楽、されど音楽
ーーみなさんは、いまおいくつですか?
中島直都(以下、中島) : 全員、今年20代後半です。
ーーバンド活動において、30歳あたりがひとつの境目になってくると思うんですけど、年齢を重ねてきてバンドへの向かい方は変わってきていますか。
中島 : いい意味でも悪い意味でも、焦りみたいなのがありますね。
久保大志(以下、久保) : というよりも、つねに毎年あって、20歳のときから言ってます。
ーーそれって、早く売れないと… みたいな焦りですか。
中島 : そうですね。音楽活動に専念したいんですよ。バイトとか働きつつではなく、音楽 / 制作活動だけをしていたい。音楽で飯を食うってことはプロになるってことだから。
ーーたとえば、仕事がバンド活動にも活きてくるって可能性もあると思うんですけど、仕事が上手くいったとしても、その気持ちに変わりはないですか。
中島 : 死ぬまで音楽だけをやっていられるって言われたら、音楽だけに専念したいです。ただ、所詮、音楽もお笑いもエンターテイメントだから。
ーー中島さんの口から「所詮、音楽」という言葉が出てきたのは意外です。いい意味で、音楽に盲目といった印象を持っていたので。
中島 : 所詮、音楽、されど音楽です。エンターテイメントって意味で、音楽があることで救われる人がいるのも確かじゃないですか。実際、自分たちがそうですし。バンドじゃないと学べないこともあるし、音楽に生かされてるという方がいまは大きいですね。
ーーリサ=オフリーを語るにあたって、ロックという言葉を出されるということはどう思いますか。
中島 : 「ロック・バンドですね」と言われることに関してですか?
ーーというより、ロックという言葉に対してですね。いまのアイドルって、精神的な意味でもロックな部分が多いと思うんですよ。そうなると、これまで使われてきたロックという言葉が少し古いような雰囲気もあったりするのも事実で。
久保 : 日常的に「ロックだねぇ~(笑)」みたいな感じで言うことはあるけど、言われることに関して、そんなに抵抗はないです。
中島 : むしろロック・バンドでいたい。
久保 : 他の人たちに、どんな音楽やってるのって訊かれたときも、ジャンルはロックですっていいますし。
中島 : 外での捉え方と、音楽をやっている人の中の捉え方は違っていて。ロックって、説明する言葉としては簡単じゃないですか。ただ、実際のロックって、別にロックじゃなくてもいいというか、ポップでもロックだったりするんですよ。ありきたりなんですけど、精神論かなと思うんですよ。その作品を作っている人自身とか、音楽との向き合い方とかなんじゃないかなって。
ーーリサオ=フリーは、ロックという言葉に対しては正面から向かい合っていると。
中島 : 真摯に受け止めています、僕らは。
久保 : 結構、考え方は男らしいというか、硬派だと思います。
中島 : ギター・ロックとかオルタナとかの中でも硬派って、言われることはありますね。
ーーそれって、どういうところを見て硬派って言われているんだと思いますか。
中島 : メロがあって、サビがあって、落としどころとか起承転結がある。基本聴かせるタイプの曲なんで、そういうところが硬派なのかもしれないです。実際はわからないですけどね。
インパクトがない分、楽曲が育っていく感覚はあります
ーーでは、ここからは今回のアルバムについてお聞きしたいんですけど、曲作りはどういうふうに進めていったんでしょう。
中島 : 僕が曲の原型を持っていって、あとはそれぞれのパートが付け足しをするって感じですね。
久保 : そうですね。原型は作ってもらって、あとはこれはこういう曲にしたいからといわれて、足していきました。
ーー具体的に聞くと、「カタルシス」では、中島さんからどういうリクエストがあったんでしょう。
久保 : 「カタルシス」に関しては、なにもいわれてないです。3ピースの状態で最初できあがっていて。曲を聴いたとき、テンポも速いし、拍子も6でとってるし、これはどうしたものかと。ウワもので機械的に攻めるのが1番おもしろいんじゃないかなと思って。本当は、僕がいなくても成り立つような曲なんですけど、+αで耳に残るというか、シンセっぽい感じでいけたらなと思って付け加えていきました。
山中正(以下、山中) : 「カタルシス」はリサ=オフリーらしいよね。いつも通りの作り方っていうか。
中島 : 曲の色は全然違うけど、手法は一緒なんですよ。得意なパターン。だから、そういう意味で、なにも説明しなかったんです。
ーー逆に1番得意ではない、自分たち楽曲の壊すような形で作った曲はありますか。
山中 : 「翌朝」かな。
久保 : それと「ニードレス」。ただ、「翌朝」は新鮮でしたね。いままでで、ありそうでなかった雰囲気というか。
山中 : リズムに関しては、絶対にないでしょ。単純に使ったことのないリズムだし。ハイ・ミドルはこれまでなかったし。
久保 : 中島が「これをリードにするから」って言って持ってきたから、「これか!?」と思ったのと同時に「これを一番いいものに仕上げなきゃいけない」と思って、不安がすごくありました。
ーーということは、最初「翌朝」は、リード曲っぽく聴こえなかったということですか。
久保 : そうですね。僕たちのリード曲って、全部テンポが速くて、ザ・ギターロックっていう雰囲気の曲が多かったんです。
山中 : これまでは、試聴で聴いて1曲目でこの曲かっこいい!! ってなるような感じの曲だったんですよ。
久保 : 最初ふわふわした入リ方をして、テンポはハイ・ミドルだし、キメもそんなにないし、イントロも流れている感じだし。これリードか~? って半信半疑でした。
ーー中島さんは、メンバーでさえ疑うような楽曲をリード曲にしようとしたのには、どういう意図があったんですか。
中島 : もともと、あのリズムを叩きたいって言われていて、今回収まりがよかったので使ってみたんです。それまでは、僕自身がずっと曲を作ってきたんですけど、ギター・ロック・バンドって、バッと早くてかっこいい!! みたいなイメージが僕の中で飽和してきてて。昔は、ギター・ロック・バンドとして唯一無二のカッコいいバンドにしたかったんですけど、単純にカッコいいことするだけだったら、他のバンドにもいるなと思って。だったら、最近あんまりきかないスタンスをやりたいなって気持ちになって。
ーー「ただかっこいいだけなら他がやればいい」って発想は、20代前半だと絶対思わなかったと思うんですけど、そこが変化したんですね。
中島 : 今回、そこを目指しました。自分たちも練習すれば上手くなるとか思っていたんですよ。磨けば磨くほど、スーパー・ギター・ロック・バンドになれる可能性はあるじゃないですか。ただ、僕らはそれをやるより、いままで培ってきたものとか自分たちの感性で違う方向を打ち出せるんじゃないかなって。次作るとしたら、そういうことはより考えると思います。
ーー「翌朝」を最初に中島さんが持ってきたとき、メンバーのみなさんはぶっちゃけどう思いました。
山中 : リズムは俺がやりたいっていう感じだったから、すぐにのりました。こういう曲やりたいなって言うのはあったけど、メイン曲でやるってきいたときは、これでやるか!? って驚きました。
中島 : 最初、まとまってなかったし、やり方もわからなかったからできなかったんだよね。
山中 : 何人かに聴いてもらって今までと違うという意見も結構あるので楽しみ。
中島 : 今回僕が、いろんなアーティストにコンタクトをとって、コメントをもらったんですけど、結構感想がばらけてていいかなと。
ーーただ、リサ=オフリーっぽくないものをリードにもってくるって、恐くなかったですか?
中島 : 怖がるほど築き上げていないですからね(苦笑)。
久保 : これで俺たちがそういうバンドだと思ってくれたらラッキーです。いままでの作品よりは聴きやすいと思いますし。
山中 : インパクトがない分、楽曲が育っていく感覚はあります。ライヴで聴かれるうちに、いいよねってなっていく楽曲を目指したいです。試聴機でバッていうのじゃなくて。
止まるときは終わるときというくらいの気持ちでやっています
ーーいま、リサ=オフリーが、バンドとして目指すものは見えていますか。
中島 : キャッチーさだけでは物足りないと思うんですよ。もちろん、そういう要素も必要なんですけど、実際、僕はCDを聴かないことに気づいたんです。聞くとしても、自分が影響受けた昔の好きなバンドを聴いちゃう。
ーーなるほど。オルタナティブ・ロックって、メインの音楽に対するカウンターとして出てきた音楽じゃないですか。いま、そのオルタナティブがメインになって、アイドルなどが、オルタナティブになっていると思うんですよ。そんな中、バンドがどうやって道を作っていくかというのは一つ課題なんじゃないかなと思います。
中島 : 僕も最近そう思っています。
久保 : ギター・ロックじゃなくてオルタナティブな感じで、リサ=オフリー感を出したいですね。
中島 : でも、それにも縛られ合いようにしないとって思います。別にオルタナティブとかグランジとか、そこだけアウトプットしすぎても、また違うことになっていくだろうし。
ーー実際、いまのリサ=オフリーは、バンドとしての変革期だと思うんですね。ソリッドに尖らせるだけじゃなく、新しい場所へ踏み出していこうとしているところに期待をしています。今作はミニ・アルバムですけど、ガツンとアルバムを作る予定はあるんですか。
中島 : そこに意味があればいいんですけど、ぼくたちにはミニ・アルバムのほうがあっていると思っていて。ライヴ主体で考えても1ステージが30分前後だから、出す方もミニ・アルバムが落ち着くんじゃないかなって
ーーなるほど。リサオ=フリーの活動においては、7曲くらいを半年〜1年のペースで出していくくらいのスピード感があっているのかもしれないですね。
中島 : フル・アルバムを作るためにライヴを休んだり、そのために時間を作ったりするのに意味があるのかなと疑問に思っていて。曲を作っている人や、バンドの意向とかはあると思うけど、平行してやれることは全部やるべきじゃないかと思っています。
ーーじゃあ、次の作品についてもコンスタントにリリースを目指している感じなんですね。
中島 : いま、3パターンくらい考えていて、まとめようと思っています。
山中 : 頼もしいよね。
中島 : 作っているときは追い込み作業になるんですけど、終わったらまたインプットしはじめるから、次はなにをしたらおもしろいかなってことばかり考えてます。
ーーそこの制作期間で、長いこと間が空いちゃうバンドもいますからね。ペースをちゃんと保ったまま続けて行くっていうのは素晴らしいですね。
中島 : 止まるときは終わるとき、ってくらいの気持ちでやっています。生活とかいろいろ事情はあると思うけど、それを理由にバンドを辞めて曖昧にするんだったら、やらないほうがいいと思っています。音楽をやるってことは、ある程度日常生活も犠牲にしなきゃって思っていて。いまは、それでいいと思ってやっています。
東海林恵祐(以下、東海林) : その辺が硬派なんだよね。
ーーたしかに!! それがいい意味での焦りにつながっていくのかもしれないですね。
中島 : 僕らの音楽を聴いてほしいです。これからも飽きさせない音楽をやるので、気にして聴いてほしいです。
>>中島直都、土橋慎太郎、山崎千尋による鼎談はこちら
LIVE SCHEDULE
『誰にも言えない』リリース・ツアー
2013年10月23日(水)@渋谷 club乙
2013年10月29日(火)@北堀江 club vijon
2013年11月6日(水)@心斎橋 FANJ
2013年11月7日(木)@岡山 CRAZYMAMA 2nd Room
2013年11月8日(金)@広島 4.14
2013年11月12日(火)@新宿JAM
2013年11月13日(水)@渋谷 Milkyway
2013年11月14日(木)@稲毛 K's Dream
2013年11月18日(月)@仙台 PARK SQUARE
2013年11月19日(火)@郡山 PEAK ACTION
2013年11月22日(金)@名古屋 CLUB ROCK'n' ROLL
2013年11月25日(月)@水戸 SONIC
2013年12月10日(火)@下北沢SHELTER
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抑えきれない感情を振り絞り、小さな光を追い求めもがいていくエモーショナルな歌詞、ギター・ロックというスタイルながらポストロック的なアプローチをみせるサウンドが特徴的なバンド、リサ=オフリー。バンド初となる全国流通盤『鳴り止まないエゴイズム』をリリース。Art-Schoolの代表曲のカバーを収録するなど、意欲的な作品。
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PROFILE
リサ=オフリー
結成2006年、大阪から上京した中島と久保を中心に、山中、藤波を加えた4人で活動を始める。 2012年Ba.藤波が脱退するも同時に東海林が加入、ペースを緩めることなく自らの音楽性を探求し続ける。 これまでに自主で3枚のデモ音源と2枚のミニ・アルバムを制作。ボーカル中島の情念を絞り尽くすような 歌声を中心にライブでは攻撃的なパフォーマンスを魅せる。 2013年1月にリサ=オフリー初の全国流通シングル『鳴り止まないエゴイズム』をタワーレコード先行発売。 そして2013年10月にミニ・アルバム『誰にも言えない』発売決定。
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