コーネリアス、11年ぶりのオリジナル・アルバムーーメロウとゆらぎに満ちた大傑作『Mellow Waves』
Cornelius(コーネリアス)が、『sensuous』以来、11年ぶりとなるオリジナル・アルバムを完成させた。その間、salyu × salyuのプロデュースやMETAFIVEでの活動、『デザインあ』、『攻殻機動隊』のサウンドトラック制作など、様々なプロジェクトに関わってきた小山田圭吾が作り上げた至高の作品。坂本慎太郎を作詞に迎えた「あなたがいるなら」、「未来の人へ」をはじめ、“メロウ”と“ウェイヴ”に満たされた全10曲。銅版画家の中林忠良によるモノクロームのジャケットも含め、2017年ひいてはテン年代の代表作になるであろう本作を配信開始する。この作品を聴かない人生はもったいない!
Cornelius / Mellow Waves
【配信形態】
AAC
【価格】
単曲 257円(税込) アルバム 2,160円(税込)
【収録曲】
1. あなたがいるなら
2. いつか / どこか
3. 未来の人へ
4. Surfing on Mind Wave pt 2
5. 夢の中で
6. Helix / Spiral
7. Mellow Yellow Feel
8. The Spell of a Vanishing Loveliness
9. The Rain Song
10. Crépuscule
REVIEW : 聴き手の心を揺さぶる最高傑作
ストイックに重く鳴り響くバスドラム、左右にゆらゆらと行き来するエレクトリック・ピアノ、上下左右前後と立体的に配置されたサウンドの数々、小山田圭吾によるメロディックな歌声… アルバムを再生すると最初の数秒で脳天を揺さぶられ、平衡感覚が失われるような気分になる。が、次第にめくるめく音の探検へとリスナーは駆り立てられていく。そのメクルマールとなっているのが小山田圭吾の“うた”だ。
『sensuous』以来、11年ぶりとなるコーナリアスのオリジナル・アルバム『Mellow Waves』は、疑いようのない傑作だ。求道的でいてポップ。幾何学的でいて、あたたかみを持つサウンド。その1音1音が鳴ると同時に、その音以外の空気を浮かび上がらせるような立体的な作りは、VR体験をしているようでもある。アルバムを通して別の世界を覗き込んでいるかのような、そんな感覚とでも言おうか。
2006年にリリースされた『sensuous』のツアーを終えた小山田は、7、8年前から楽曲制作を開始していたという。ただし、その時々で手がけていたプロジェクトに合いそうな曲はそのプロジェクトに回しており、選抜から外れた曲たちが本作のテンションの基となっていると、いくつかのインタヴューで語っている。
その期間のプロジェクトというのが、salyu × salyuのプロデュース、高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井によるスーパー・バンド、METAFIVEでの活動、NHK教育の児童番組『デザインあ』のサウンド・プロデュース、『攻殻機動隊』のサウンド・トラック制作など。それぞれ方向性こそ違えど、小山田の音楽家としてのキャリアをより多彩なものとしている。
『Mellow Waves』には、坂本慎太郎・作詞による楽曲が2曲収録されている。そのきっかけとなったのが、salyu × salyuの作詞であり、『攻殻機動隊』のトラック制作である。「ブルース・ロックをやってみたら」という坂本の一言ではじまり、ラヴソングというテーマのもと作曲されたのが、1曲目「あなたがいるなら」である。実際ブルース・ロックではないが、途中ブルージーさを感じるギターが入っているのがおもしろい。
また、前々作『POINT』が点と線を意識して作られているのに対し、今回は曲線が大きく関わっているという。音の配置という点で変わりはないけれど、その音に揺らぎがある。特にエレピのトレモロは聴き手の心を揺さぶりながら、心地よさへと誘っていく。
そしてもう一つ大きな特徴が、小山田圭吾の“うた”である。ミニマルでストイックな音の配置や揺らぎがあろうとも、聴き手の目印となるうたが芯に存在している。その侘び寂びともいえるサウンドを楽しみながらも、ポップ・ソングとしてアルバム全体を楽しむことができるのは、小山田による“うたもの”であることも大きな要因であろう。
『Mellow Waves』は、これまでのコーネリアスの作品において、もっともポップで温かみがあり聴き手の心を揺さぶる最高傑作である。聴けば聴くほど新しい発見がある。音楽の可能性はまだまだ底知れない。そんなことを素直に思えるアルバムの誕生をぜひみなで共有したい。
>>2014年に行った、小山田圭吾 × 美島豊明のインタヴューはこちら
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LIVE SCHEDULE
Cornelius Mellow Waves Tour 2017
2017年10月9(月祝)@新潟・新潟 LOTS
2017年10月11(水)@宮城・仙台 Rensa
2017年10月13(金)@北海道・札幌 PENNY LANE 24
2017年10月14(土)@北海道・札幌 PENNY LANE 24
2017年10月19(木)@香川・高松 festhalle
2017年10月21(土)@大阪・なんば Hatch
2017年10月22(日)@愛知・名古屋 DIAMOND HALL
2017年10月25(水)@東京・新木場 STUDIO COAST
2017年10月26(木)@東京・新木場 STUDIO COAST
2017年10月28(土)@神奈川・横浜 Bay Hall
2017年11月3(金祝)@広島・広島クラブクアトロ
2017年11月4(土)@福岡・DRUM LOGOS
チケット :
スタンディング 6,800円(税込) 1Drink別
2F指定席 7,800円(税込) 1Drink別 *東京・大阪・福岡のみ
チケット一般発発売日 : 2017年7月22日(土)
PROFILE
コーネリアス / 小山田圭吾
1969年東京都生まれ。'89年、フリッパーズギターのメンバーとしてデビュー。バンド解散後 '93年、Cornelius(コーネリアス)として活動開始。現在まで5枚のオリジナル・アルバムをリリース。自身の活動以外にも、国内外多数のアーティストとのコラボレーションやREMIX。プロデュースなど幅広く活動中。