現代音楽とアイドル・ポップスの融合ーーMaison book girl、待望の1stアルバムに込められた美学
コショージメグミ、矢川葵、井上唯、和田輪による4人組アイドル・グループ、Maison book girlが、待望の1stアルバムをリリース!! 楽曲制作、世界観構築など、全面プロデュースを行っている音楽家・サクライケンタによってプロデュースされた同アルバムは、現代音楽とアイドル・ポップスを融合させた独自の美学に貫かれた作品に。わずか8ヶ月ながら〈@JAM〉や〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉に出演するなど、アイドル・シーンでの人気も上昇中の彼女たちのデビュー作をハイレゾ配信するとともに、メンバー4人とサクライケンタにそれぞれインタヴューを敢行。新しき才能の門出にぜひ立ち会ってみてほしい。
ブクガ、待望の1st・アルバムをハイレゾ配信
Maison book girl / bath room(24bit/48kHz)
【配信形態】
24bit/48kHz(ALAC / FLAC / WAV) / AAC
※ファイル形式について
※ハイレゾとは?
【価格】
まとめ購入 2,600円
【トラック・リスト】
1. bath room(intro)
2. bath room
3. my cut
4. 最後のような彼女の曲
5. snow irony
6. film noir
7. Remove
8. last scene
9. water
ブクガ、1st epをハイレゾ配信
Maison book girl / summer continue(24bit/96kHz)
【配信形態】
24bit/96kHz(ALAC / FLAC / WAV) / AAC
※ファイル形式について
※ハイレゾとは?
【価格】
まとめ購入 1,620円
【トラック・リスト】
1. lost AGE
2. blue
3. bed
4. empty
INTERVIEW : Maison book girl
はじめて『bath room』を聴いて、いきなりぶっ飛ばされた。アイドル楽曲が“アイドルっぽい楽曲”を逸脱し飽和しているなかで、この作品は圧倒的な美学に貫かれていた。音楽家・サクライケンタの作る楽曲は変拍子を基調に、そこに乗るメロディのキャッチーさ、クリーンなサウンド・スケープ、メンバーたちの感情を抑えたヴォイス、それらが絶妙なバランスで数学的に組み合わさっているのだ。それでいて、コショージメグミが作詞を行うなどメンバー自身のアーティスト性も加味されている。アイドルという枠組みを持ちながらも、芸術作品としての色合いも強く持った本作について、メンバー4人へのインタヴューとサクライケンタへの単独インタヴューで迫った。
インタヴュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 津田ひろき
最初は、アーティストになりたいアイドルみたいな感じで始まりました
ーーいつ頃から『bath room』のレコーディングをはじめたんですか?
コショージメグミ(以下、コショージ) : 7月くらいだったかな?
和田輪(以下、和田) : 私の声を録ったのはもっと前でしたよね?
コショージ : そうだ。初めてアルバムに入る曲は、みんなで7月に録りました。
ーーサクライさんが作る曲って、一般的なアイドル・ソングとはかなり違うと思うんですけど、歌っている側としては歌いにくいとかありますか?
和田 : とても難しいです(笑)。 AメロBメロとかの音の動きが絶妙に難しいし、しかもリズムも難しいから…。大体の曲は、レコーディングより前にライヴで何回かやっているので大丈夫…。
(他の3人がじっと和田のことをみつめる)
和田 : 変なこと言ってないよね…?
コショージ : 緊張してるの(笑)?
ーーあははは。Maison book girlの4人がどう集まったのかを訊いていきたいのですけど、1番はじめは、コショージさんとサクライさんで新しいプロジェクトをはじめることが、BiS解散ライヴの横浜アリーナで発表されたんですよね。
コショージ : BiSが終わった後、サクライさんと「一緒にやりましょう!」ってことは決まっていたんですけど、その時はグループになるかもソロになるかも分からなくて。4人グループがいいんじゃないかということになり、オーディションを経て集まったのがこの2人(矢川と井上)だったんです。
ーー4人組にしようとした理由はあったんですか。
コショージ : 例えば3人とか5人だとセンターの人ができちゃうじゃないですか? 4人だったら1人1人が同じっていうか、同じ立ち位置でできるし、アーティスト性がでるんじゃないかと思ったんです。だから最初は、アーティストになりたいアイドルみたいな感じで始まりました。
ーーオーディションの中から、この2人を選ばれたのは、どういう部分が決め手だったんでしょう。
コショージ : 唯は、サクライさんがすごく推していたんですよ。その頃、唯は福岡に住んでいたので活動がちゃんとできるのか心配だったんですけど、清楚系で見た目的に唯がいいってなって入れてみたら、すっごい歌が下手くそだったんです(笑)。
一同 : (笑)。
井上唯(以下、井上) : 歌の面接がなくて、15分雑談しただけだったんですよ。
コショージ : 歌いたかったら歌ってもいいよっていう時間を設けていたんですけど、誰も歌わなかったんだよね(笑)。
井上 : 狭いカフェの一角みたいなところで面接をしていたんですけど、あんな威圧感があるところで誰が歌うんだと思ってやっていました。
ーー(笑)。唯さんは、どうしてMaison book girlのオーディションに応募しようと思ったんですか。
井上 : 最初の理由は、コショージメグミがいるからってところです。就活の気晴らしじゃないけど、メールを送ってみたら「面接に来てください」って連絡がきて、受かっちゃったので来ました。自分が何になりたいかとか、本当に就職していいのかとか、相当悩んでいた時期ということもあって、やらなかったら後悔するんじゃないかと思って入ることに決めました。
ーー葵さんがオーディションを受けようと思ったのはなんでだったんでしょう。
矢川葵(以下、矢川) : オーディションの前に「ミスiD」っていうオーディションのファイナリストになったんですけど、私は端のほうにいる地味な子だったので、特にお仕事もなくて。そんなときにサクライさんからメールが来て。元々アイドルにはなりたかったんですけど、歌もダンスも上手くないからオーディションを受ける勇気がなくて。せっかくメールをいただいたから、ちょっと行ってみよう、無理やったら落とされるしと思って行ったら、唯ちゃんと一緒で、歌もダンスも何もやってって言われることもなく、喫茶店でちょっと喋って「東京来れますか?」みたいな感じで、受かっちゃった感じです(笑)。最初に唯ちゃんと初めて会った時にその話さんかったけ?
井上 : 「歌った?」って。
矢川 : 「やばいよね」って話をしました(笑)。私はダンスがめっちゃくっちゃ下手くそです(笑)。リズムがとれない。
ーー(笑)。和田さんは、メンバーがやめたあとのタイミング的での加入ですが、どういう形でMaison book girlに加入することになったんでしょう?
和田 : アイドル・グループでライヴをできる環境にいきたかったっていうのと、グループにつきっきりで曲を作ってくれるって人がいる環境にいきたいと思っていたら、お話をいただいてオーディションに通って入ることになりました。私のときは歌の審査はありました(笑)。
和田は正面の席にいるんですよ。葵は隣にいて、唯はつり革にいる(笑)
ーーあはははは。それじゃあアルバムについて訊いていきたいんですけど、それぞれ本作のなかで思い入れのある曲を挙げてもらえますか?
井上 : 私は「Remove」かな。アルバムの中では1番新しい曲で、歌い慣れてないから難しくて。伸ばすところとか7拍子だし、途中で変わったりするんです。その拍をとりながらレコーディングをしたっていう思い入れがあります。ライヴでだいぶ歌ったんで最近は慣れてきたんですけど、当時はめちゃ難しかった記憶があります。
ーー和田さんはどうですか?
和田 : 「snow irony」です。この曲は私が入ってから1曲目の曲で、作る時に和田っぽい曲を作るって言っていて。これが私っぽいんだと思って(笑)。それもあって印象に残っている曲です。
矢川 : 私も「snow irony」で一緒なんですけど、〈ふふふふんふふふふん知らない〉って歌詞があるんですよ。その「知らない」って部分をライヴで言い切ると、なんとなく気持ちがいいから好きなんです(笑)。〈そんな世界さえ愛すの?〉って難しいことを考えてたくせに〈知らない〉って投げやりになるところが、なんとなく自分もそうなるので「言ってやったぜ!」って気分になりますね(笑)。
ーースカッとするんですね(笑)。コショージさんはどうですか?
コショージ : 「last scene」はブクガで1番最初にできた曲で、そのすぐ後に「bath room」ができて、2曲を同時に披露しているんですけど、この2曲はいろいろ思い出す曲です。あと、「bath room」で始まって「water」で終わるのもいいなと思っていて。「bath room」の自分たちが水みたいな大切なもので終わるっていう。
ーーコショージさんは、「最後のような彼女の曲」と「water」の2曲で作詞をしているんですよね。歌詞に関して、方向性みたいなことをサクライさんと話しながら書いているんですか?
コショージ : 全然自分の好きなように書いてます。「最後のような彼女の曲」は、三拍子の曲が好きなので「作ってください!」って言ってできた曲で、それに「歌詞を書きます!」って言って出来てきた曲なんです。
ーー三拍子が好きっていうのは、BiSの時も言ってましたよね?
コショージ : あ! 言ってました!! そうですよね。BiSの時も三拍子の曲で作詞したんですよ。
ーー「water」はどうやってできた曲なんですか。
コショージ : 「water」は最初に詞だけできて、詞も先にレコーディングして、サクライさんが後からピアノとか弾いて音を付けているんですよ。詞ができた段階で「水の中でいる感じで水の音を入れてください」「最初ノイズから水に入ってください」ってリクエストをして、出来上がったのを聴いた時にすごいちゃんと伝わってるな、言いたいことが伝わってやってくれたなって感じがすごくしました。
ーー最初ノイズが聴こえたとき、音源トラブルかと思ってドキッとしました(笑)。それくらい明瞭なノイズなんですけど、これはどんなイメージで作ったんですか?
コショージ : 『bath room』っていうアルバムになることは知らなくて、サクライさんから詞を書いてくれって言われたんですけど、書いているうちに水の中でしゃべっているイメージを感じて。最後に朗読が入るんで、それまでの楽曲と分けたいというか、1回曲が続いてく流れを変えたいと思って。ザーザーって入ってノイズで「ん?」って思わせるような感じがいいかなと思って入れました(笑)。
ーーポエトリー・リーディングの部分で誰がどこを歌うかっていうのは、3人のイメージごとに言葉を分けていたんですか?
コショージ : そうですね。例えば、電車に乗っている人がいるじゃないですか。和田は正面の席にいるんですよ。葵は隣にいて、唯はつり革にいる(笑)。
ーー… メンバーにも伝わってないですけど(笑)。
コショージ : たぶん伝わってないと思います(笑)。
矢川 : 難しいですね(笑)。
ーー抽象的なイメージがあって、振り分けられたって感じですけど、3人としては言われてみれば感じることってあります?
矢川 : すごいなと思ったのは、私が「給食の牛乳をトイレに流したのは僕です」って言ってるんですけど、実際に私、給食の牛乳流したことあるんですよ(笑)。で、「なんで知ってるの!?」って言ったら、「コショはなんでもわかるんだよ」って言われたことがすごい!って思いました(笑)。
和田 : 私も理科室の試験管を割ったことあるんですよ(笑)。「理科室のビーカーを割ったのは僕です」って詞があるんですけど…。
井上 : あー、私も死ねって書いたことありますね(笑)。
小会議があったんですけど、SEKAI NO OWARIになろうって言ったんです(笑)
ーー(笑)。自分たちではMaison book girlってアイドルだと思いますか?
コショージ : 思います?
矢川 : アイドルですね。
和田 : 思います。
井上 : アイドルよりのアーティストみたいな。でも、アイドルかな。歌が下手くそなので、アーティストとは言えないなという。アイドルとも言えないだろうけど。
矢川 : 結局なんなんだ(笑)?
ーーかっちりしたアイドル・グループじゃないってこと?
コショージ : MCが決まっているのがアイドルっていうイメージがあって、こういう曲の前にこういうことをっていう台本があるみたいな。それがないから、外からみたらアイドルだけど、内側からみたらなんだろなっていうのは確かに感じていますね。
ーーそれじゃあ、これからMaison book girlをどういうグループにしていきたいですか?
コショージ : この前、小会議があったんですけど、SEKAI NO OWARIになろうって言ったんです(笑)。ヴォイトレに最近通っているんですけど、熱い先生が多いんですよ。みんなすごい心配してくれて。「あなたたちは何になるの?」みたいな。「SEKAI NO OWARIかな」ってコショージがボソって言ったら「すごいいいじゃん!」ってなって。
矢川 : 唯ちゃんがすごい共感しだしてね(笑)。
井上 : それまで自分でも何になるのかが全然分からなかったんですけど、セカオワって言われた瞬間、なるほどな! って。
矢川 : あの人たちのあれを真似したいんじゃなくて、ああいう人たちにしかないサーカス団的な感じを私たちも作りたいねって感じやんな(笑)?
コショージ : かな。感覚的なところ。
ーーそれでいて、ちゃんと多くの人に届くようなところですよね。
コショージ : 売らなければ意味がないですもんね。多くの人に見られるようにやっていきたいと思います!
INTERVIEW : サクライケンタ
4分の4拍子も5拍子も4分の7拍子も全部自分の中では同じ感覚
ーーメンバーの話を聞いて意外だったのは、明確にサクライさんのコンセプトがあって、それを演じているのかと思いきや、全然そんな感じじゃないんですね。
サクライケンタ(以下、サクライ) : そうですね。ガチガチにはやっているんですけど、例えば、ジャケットの表面をメンバーにするかどうかとかは相談していて、メンバーの意見も取り入れようとはしていますね。
ーーMaison book girlって、サクライさんの美意識をすごく感じるグループなんですけど、どういうコンセプトのもと作ったグループなんでしょう。
サクライ : もともと「いずこねこ」っていうアイドルをやっていたんですけど、その次にやるプロジェクトに関しては、音的にもヴィジュアル的にも、もっと洗練されたものをやりたい気持ちがあって。楽曲については、極力音数を減らして、シンプルだけどかっこいいものを作りたくて。自分の元々持っている好きな世界観は昔から変わってないんですけど、その世界観の中でシンプルで、なるべく必要最低限のものだけで作ろうという意識ではじめました。
ーー楽曲に関しては変拍子に着目する方が多いですけど、それ以上にクリーンな音作りというか、無菌室な感じの音づくりがすごく印象的でした。
サクライ : そこは自分の音の好みで、うるさい曲がそんなに好きじゃないんですよね。このアルバムの中だと「my cut」はエレキ・ギターとかが入っていて、お客さんにはすごく評判がいいんですけど、盛り上がる曲が1曲くらいないとまずいかなと思って作ったところもあって。リズム楽器とアコースティック・ギター、クラシック系の楽器を元にアレンジをして、自分が聴いてて気持ちいいところを考えて作っています。拍子に関しては、自分がドラムから楽器を始めたこともあってリズムが好きなだけで、特に変拍子であることはあまり思っていなくて。わりとナチュラルに気持ちよさで決めてるみたいなところはあります。4分の4拍子も5拍子も4分の7拍子も全部自分の中では同じ感覚というか。
ーー気をてらっているわけではない?
サクライ : そうですね。普通に聴いていて気持ちいいものを作ろうとしたら、そういうふうになったって感じですね。
ーーサクライさんは、楽曲作る上でのリファレンスを立てたりするんですか? Maison book girlの曲って、そこがあまり見えないなと思って。
サクライ : 本当に1つのアイデアから膨らませて作っていっていますね。「最後の彼女のような曲」でいうと、コショージが三拍子の曲の歌詞を書きたいってことで作ったんですけど、三拍子っていうこととサビで4分の4拍子になるっていう構成を軸に、ドラムのフレーズ、ギターの一小節のフレーズ、このコードとこの楽器が絡まるみたいなイメージを想像して作り始めました。あとはそこから勝手に広がっていったり、作りながら考えるみたいな感じですね。作りながら続きを考える感じなので、何何っぽい曲にしようっていうのはまったくないです。
ーーサクライさんの楽曲の特徴として、メロディがキャッチャーっていうのも特徴ですけど、メロディは最後の方に当てていく感じになるんですか?
サクライ : いつもピアノで作りはじめるんですけど、それも作りながらAメロから作ったり、サビから作ったり。ただ、ほぼイントロから作ることが多いですね。
ーーイントロから作るんですか?
サクライ : はい。イントロから作って、そこから繋げて考えて作っていくみたいな感じですね。
ーーそういう作り方ってあんまり聞いたことないので面白いですね。
サクライ : そうですか(笑)。イントロって、曲の雰囲気が決まるじゃないですか。その雰囲気に沿って続きを作るみたいな感じです。
僕の場合は、ひょっとしたら数学的なのかもしれないですね
ーー自分の中で、ここは絶対に崩さないという軸になる部分はどういうところでしょう。
サクライ : 変拍子だけど綺麗に聴こえるというか、聴き心地がいいメロディになるように作っているつもりです。シンプルだけどパズルみたいな感じというか。メロディと各楽器の繋がりにちゃんと意味があって、それを綺麗にまとまるように意識して最終的には作っていますね。
ーーパズルという言葉がでましたけど、Pro Toolsなどのソフトって、波形を見て切り貼りすることがメインなわけで、目で見て作る作業が多いわけじゃないですか。わりと視覚的に考えてる部分ってあるってことなんですかね。
サクライ : そこはあると思いますね。ただ、僕の場合は、ひょっとしたら数学的なのかもしれないですね。ギターは生で録った音を入れたりしているんですけど、どのコード音を使うかは決まってるじゃないですか。そのコードだけを録って、パズルみたいに並べたりとかはします。音がぶつかるのがそんなに好きじゃなくて、一つ一つの音が、なるべく大切にされるように作っていますね。
ーーもともと理系の勉強をされていたんですか?
サクライ : いや、全然。小4くらいからまともに学校にも行ってなくて(笑)。
ーーじゃあ独学で?
サクライ : そうですね、音楽は独学です。
ーーちなみに、どういう音楽を好んで聴いていたんでしょう。
サクライ : 小学生の時とかは、テレビで流れてるとような音楽を聴いていて、中学生になった時は、姉の影響で渋谷系とかを聴いたりしていました。そのあと、現代音楽を聴き始めて、アイドルとかアニソンも好きになって。最近のアイドルってアイドルっぽくない曲が多いじゃないですか? 言ったら、アニソンもアイドルっぽい。そういう曲とかと現代音楽が好きで、中間が抜けている感じですね。
ーー現代音楽で特に好きなミュージシャンは?
サクライ : 最初に聴き始めたのがスティーヴ・ライヒで、いまも本当に好きですね。
ーー現代音楽のどういうところに惹かれるんですか?
サクライ : やっぱり、聴いてて飽きないというか。オリジナリティがある。クラシック楽器だけで何かを表現しようとしていて、メッセージ性だけじゃなく、このリズムで何かをしたかったんだなっていうのが伝わってくる。昔の絵画を観るのと同じような感覚だと思うんです。絵画を観るのって、考えながら観るじゃないですか。僕は、それと一緒の感覚で楽しんでますね。
ーー聴けば聴くほど、サクライさんが、なぜアイドルをプロデュースしているのかっていうのが疑問なんですよね。
サクライ : アイドルが好きっていうのもあるんですけど、間口が広いというか、入り口として、すごくやりやすいんですよね。アイドル好きな方も、とても音楽的に聴いてくれる人が多いので、全然そこは問題ないかなと思っていて。
未完成な4人が歌っているのが面白いのかなって
ーーMaison book girlは、コショージさんありきではじまったところがあると思うんですが、彼女の魅力ってどういう部分でしょう。
サクライ : コショージに関しては、感覚的に好きなものが似ている部分があって。話していても、やりたいことに関して、意見の食い違いとかは本当にないというか。僕のことも分かってくれてるなと思うし、やりたい方向性っていうのを理解してくれていると思いますね。
ーーこれは1番衝撃だったんですけど、最初のメンバー・オーディションに歌唱審査がなかったそうで(笑)。どういうところを見て評価していたんですか?
サクライ : 人間性とかオーラとかですね。あとアイドルなんで、普通に可愛い子がいいじゃないですか。曲は僕が作っているから、歌の部分とかはいろいろいじれる(笑)。なので、まずはその子の雰囲気とか、見た目とか、持っているオーラを重視して選びましたね。
ーーMaison book girlはファッションだったり、音楽以外の部分でも細部にこだわりを感じますけど、歌だけのグループって感じでは捉えていないんですか。
サクライ : アイドルには、物販があるじゃないですか。僕は本当にブランドとしてやっていきいから、同じものを再生産しないんですよね。1回作って売り切れたら新しいのを作るって形にしていて。Tシャツ一つに関しても、ちゃんとタグから作って、ちゃんとしたものを作ろうと思って、こだわっていますね。そこで手を抜いたら、やりたいことがズレるんじゃないかと自分では思っています。
ーー写真もPVもそうなんですけど、4人以外の存在が見えないというか、世界の中に他の他者が見えないような世界観を感じるんですけど、それは意図的ですか。
サクライ : 外からみたらそう感じるのかもしれないですけど、歌詞についても、自分で書いてるものに関しては嘘は書いてないんですよね。本当のことしか書いていない。ジャケットで説明すると、裏面には4人がいるじゃないですか。表には誰もいないじゃないですか。そんな感じですかね(笑)。
ーー全然わからないです(笑)!! 僕の印象としては、サクライさんの脳内世界が全面的にヴィジュアル化されて、音になって、形になっているのかなと思ったんです。
サクライ : 今回は、コショージが2曲作詞していますけど、自分の世界観と違っていたら、ボツにしたと思うんですよ。そこは偉そうな意味じゃなくて、自分の世界観の範囲で収まるものだったので使っていて。だから、僕の世界観を作るっていうのは、いずこねこの時よりも今の方が強いかもしれないですね。いずこねこの方が、まだアイドル性が強かったと思う。自分もそういうのを意識して曲を書いたりっていうのがあったんですけど、今回はそういうものも無視して、自分の作りたいものを作るっていう感覚だったので、完全にわがままというか(笑)。
ーー僕はこのアルバムがすごい名作だと思ってるんですけど、それはサクライさんのやりたいことを全部出し切ってるからだと思うんです。そこにメンバー4人の予期せぬ影響があって、それが交わることでおもしろくなっているんじゃないかって。そういう意味で、サクライさんがメンバーに期待するのはどんなことですか?
サクライ : 経験はあるといえ、コショージもBiSに半年いただけですし、和田が一番経験があるんですけど、あとの2人は歌もダンスも経験がない。そういうところで、その成長を見たいっていうのはすごくありますね。お客さんもそれを見て楽しんでくれればなと思います。自分も、歌上手くなったねとか、ステージングがちょっとよくなったねとか、そういうところを見て勝手に楽しんでるところはありますし。
ーー確かに、いずこねこは完成している感じがありましたよね。
サクライ : あの子は、もとから歌も上手くてダンスもできたんで、また違うと思うんですけど、成長過程を見てもらったりっていうのも面白いのかなって思います。Maison book girlに関しては、余白の部分というか、そういう部分が欲しかったっていうのもあるかもしれないですね。未完成な4人が歌っているのが面白いのかなっていうか。
ーー僕は、このアルバムを聴いて、意識がすごく変わりました。これから、すごくおもしろくなっていくんじゃないかって期待しています。
サクライ : ありがとうございます(笑)。アルバムをいろんな人に聴いて欲しい気持ちはもちろんあるので、ライヴでメンバーが好きってだけの人が来てくれてもいいし、アイドルが好きって人が来てくれてもいいし、曲もアイドルも好きって方が来てくれるのも嬉しいです。はじめて全国流通盤として出すので、これを機にちょっと売れてほしいなと思います。
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仲睦まじく行儀よく、音楽に遊ぶ5人組の「戦国時代を知らないアイドルたち」、その名もHauptharmonie(ハウプトハルモニー)。UK ROCK、SKA、GUITAR POP、ANORAK、EMO、BALKAN BEAT、BLUEGRASS、SHOEGAZER等を好み、2014年7月より活動をスタート。プロデューサーは、100% JAPANESE ROCK DJ & LIVE Party〈TOKYO BOOTLEG〉をオーガナイズするO-ant。これまでコンサートを中心に活動を行なってきたが、待ちに待った1stアルバムが完成!! OTOTOYではハイレゾ配信を予定。
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BELLRING少女ハートが、2015年1月23日に恵比寿リキッドルームで行なった「黒い羽集金ツアー」最終公演のライヴ音源をハイレゾ配信。本作品は、2月28日をもって卒業した、仲野珠梨、美月柚香の在籍時に行なわれたベルハー史上最大キャパでのワンマン・ライヴを収録したもの。全29曲、2時間越えの音源がまるまるハイレゾにて蘇る。
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LIVE SCHEDULE
2015年9月24日(木)@タワーレコード渋谷店インストア
2015年9月27日(日)@新宿LOFT
コショージメグミ生誕イベント 第弐拾弐歳「せめて、人間らしく」
2015年9月28日(月)@阿佐ヶ谷LOFT
2015年10月1日(木)@タワーレコード新宿店インストア
2015年10月3日(土)@月見ル君想フ
2015年10月4日(日)@代々木第二体育館
2015年10月6日(火)@新宿motion
2015年10月11日(日)@東京予定
2015年10月12日(月)@音楽実験室・新世界
2015年10月16日(金)@タワーレコード渋谷店インストア
2015年10月17日(土)@タワーレコード新宿店インストア
PROFILE
Maison book girl
音楽家・サクライケンタが総合プロデュースするアイドル・グループ。 メンバーは、コショージメグミ、ミスiD2015ファイナリスト・矢川葵、そして井上唯、和田輪の4人。 2015年3月14日(土)にはグループとして初のCD『white』『black』をイベント会場限定で2枚同時リリースし、各1000枚が完売。 2015年3月27日に渋谷チェルシーホテルにて、ほぼワンマンで開催された所属事務所ekoms主催によるイベントもチケットが完売した。
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