アンダーグラウンドからオーバーグラウンドへ突き抜ける――撃鉄、1stフル・アルバム先行配信!!
ヒョウ柄のタイツ姿に鍛えられた肉体を全面に出したビジュアルに、まさに獣のような身体能力でステージを暴れ回るライヴ・パフォーマンスで度肝を抜きその名を周知の上とさせたオルタナティヴ・シーンの猛獣、撃鉄。彼らが約1年6ヶ月ぶりのニュー・アルバム『NO UNDERGROUND』をリリース!! 今作はこれまでお世話になっていた中尾憲太郎のもとを離れ、MO'SOME TONEBENDERの藤田勇をプロデューサーに。打ち込みやシンセを導入するといった新しいアプローチも取り入れた最新型の撃鉄がここに。OTOTOY1週間先行配信です!!
撃鉄 / NO UNDERGROUND
【配信価格】
alac / flac/ wav / mp3 : 単曲 216円 まとめ購入 2,160円
【Track List】
01. coolなとき忘れたJapanese / 02. 渋谷 / 03. てんやもん / 04. 高速になりたい / 05.やっちゃおう / 06. 瞬間 / 07. とおくへ〜Don't stop〜 / 08. まるで世界は… / 09. とどめ / 10. ハイウェイ / 11. かも / 12. 漕ぎだした / 13. ろっぽんぎ
INTERVIEW : 撃鉄
オルタナティヴ・シーンの盛り上がりは一昔前に比べると…。そんなこと言ったら怒られてしまうだろうか? 僕はオルタナティヴ・ロックやバンドが好きだ。しかも、かなり。だからこそ、現状のシーンに対して腹が立っている。だって、カッコいいバンドがいなくなったわけじゃないんだぜ。そうした音楽を好きな人がいなくなったわけでもないんだぜ。ちくしょう。このバンドだって、もっともっと盛り上がっていいはずだ。めちゃめちゃカッコいいんだぜ。そう、撃鉄である。彼らは神聖かまってちゃんのマネージャー、劔樹人が誰よりもはやく見初めたバンド。そして、ギャング・オブ・フォーなどのポスト・パンク期を思い起こさせる硬質なギターとエッジーなサウンドを鳴らす4人組だ。本作では、MO'SOME TONEBENDERの藤田勇がプロデューサーをつとめ、新しいビートとリズムパターンも加わり、エッジーさにアレンジの広さも加わった。そしてよりポップさも増している。聴けば聴くほど、切れ味があって耳馴染みがいい。見事なバランス感。タイトルは「NO UNDERGROUND」。アンダーグラウンドでありながら、オーバーグラウンドへ挑戦していこうという野心に満ちている。驚いたことに、これが彼らの1stフル・アルバムとなる。これが盛り上がらなかったら、おかしいだろ。いや、マジでさ。coolなときを忘れたのかい、Japanese?
インタビュー&文 : 西澤裕郎
ポップな曲に走ったりしていた時期があったんですけど、その時期には迷いが生じた
――撃鉄はバンドをはじめて何年目になるんですか?
天野ジョージ(以下、天野) : 今年で7年目ですね。
――それじゃあ、『NO UNDERGROUND』はバンド結成7年目にして待望の1stフル・アルバムということになるわけですよね。ミニ・アルバムを2作出されているとはいえ、リリースするにあたっての気負いみたいなものもあるんじゃないですか?
天野 : 気負いは彼(森岡)が1番ある気がしますね。もちろん、前作より売り上げ落ちたら困っちゃうわけですし。
――森岡さんは、メンバーのなかでも音楽に対してかなり真摯な方だと思うんですけど、言ってみれば良い作品=売れる作品じゃないってこともあるわけじゃないですか。そういったむずかしさもあるなかで、作品作りのスタンスは変わらないですか?
森岡義裕(以下、森岡) : そんなに難しいことをやっているつもりもないから伝わると思うんですよ。みんなかっこいいと思ってくれると思って。
――田代さんはどうですか?
田代タツヤ(以下、田代) : 気負い… ですか? 他のメンバーはわかんないですけど、気負いは前回の方があったような気がしますね。やっと音源を出せて「これでいくでしょ!」みたいな気持ちがあったけど、逆に今回は自分たちを見つめ直す時間があったから。自分たちのよさを形にできたと思うので、肩の荷が降りたみたいな感じですね。
――ちなみに、自分たちを見つめ直した結果、なにが見えたんでしょう?
田代 : 自分たちの長所っていうんですかね。ポップな曲に走ったりしていた時期があったんですけど、その時期には迷いが生じたり、メンバーそれぞれ思いが違ったりとかして、ライヴが上手くいかなかったりもしたんですよ。今回は最初に12曲入りのデモを(森岡が)持ってきたんですね。そこから半分くらいボツになったりしながら形にしていったんですけど、無駄を削ぎ落としてやってみたらライヴも盛り上がって、バンドの均整がとれていったような感じがしたんです。そういう曲がバランスよく入っているので、いまのバンドの状態を上手く表せていっているような気がします。
――天野さんはいかがですか?
天野 : んー… 2年前とかはフェスとか出ていて、いい感じだったと思うんですけど、傍から見たらペースが落ちたようにも見えるかもと思っていて。それはリリースをしなかったからっていう原因もあるのかなって。そういう意味での気負いはあるかもしれないですね。やっぱり音源を出し続けないと、という状況で出す作品なので。でも、前作よりいいものができたって自信はあるので、やることをやりきったかなって思っています。
――近藤さんはいかがですか?
近藤駿(以下、近藤) : 今回はメロディーも強かったり、シンセとかもすごい入っていたりして、知り合いからは「昔の方が良かった」とか言われることもあるんです。でも、こっちのほうがいいと思いますし、作った人も「自信がある」って言ってるし…。
森岡 : 作った人って俺のことでしょ?
近藤 : そう。ちょっと申し訳ないとは思ってるんですけど。
森岡 : 何言ってんの(笑)?
近藤 : いや、制作にあたって、みんなちゃんと合わせてこなかったりとかするから、怒ってたりとかしてたんですけど。最終的にいいのができてよかったです。
レッチリの『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』が好きで、ああいう流れを作りたいと思って
――(笑)。アルバムを制作するにあたり、なにかしら方向性はあったんですか?
森岡 : いや、方向性はなくて。いいアルバムを作るっていう、ただそれだけでした。
――今回、森岡さんが歌詞も書いてるっていうのには、どんな理由があるんですか?
天野 : いろんな理由があるんですけど、けっこう現実的な理由として、急に12曲渡されて困惑したっていうか。
――困惑(笑)。
天野 : デモの時点で歌詞もあったんで、それがよくなかったら変えようと思っていたんですけど、よかったんで。若干テーマでもあったよね? 歌詞をちゃんとするっていうか、歌詞を長くするっていうのは。
森岡 : 歌詞を長くするっていうか、意識して歌詞を書こうっていうのはあったね。
――前作に比べて、ストーリー性がありますもんね。
森岡 : そう。なんか曲と歌詞が合うものにしたかったというか。だって、言葉があると風景とかイメージが沸くじゃないですか? いままで、そういう曲をやったことがなくて、歌詞はわりと「なんでもいいや」とか、サウンドに勢いがあればかっこいいと思ってたんです。だから、今回は曲との絡みみたいなものも意識して書きました。
――ちなみに今作を作る上で参考にした音楽とかってありますか?
森岡 : 今回はヒップホップの曲も聴いたし、エレクトロニカみたいなやつも聴いたし、わりとなんでも聴きました。でも、レッチリの『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』が好きで、ああいう流れを作りたいと思ってやってました。
――「ああいう流れ」っていうのは?
森岡 : いろんな曲が入っているんだけど、それが自然に繋がっていくところですね。飽きないんですよ。いろんな曲の流れを吸収していて、けど、らしさは残ってて…。ああいう流れを作りたいとは、いつも思ってました。
あんまりポップなものに影響を受けすぎてそういう曲ばっかになるともったいない
――今回はMO'SOME TONEBENDERの藤田勇さんがプロデュースをされていますが、どういう経緯でプロデュースしてもらうことに決めたんでしょう?
天野 : 家が近かったのは、相当でかいと思います(笑)。でも、うちらの音楽を気に入ってくれて、『撃』と『鉄』とかも勇さんの家で聴きながら、「俺だったらこうするな」とかも言ったりしていて。だから、かなり撃鉄のことをわかってくれていて、なおかつ仲もよかったのでお願いしました。もちろんそれだけじゃなくて、同じことやってても仕方ないというか、自分たちがもっともっと進化していくためにお願いしたんです。
――プロデューサーが変わることで、アレンジが大幅に変わることもあると思うんですけど、変わった部分はありますか?
森岡 : ドラムはけっこう変わったんじゃないかな。勇さんは、いまもART-SCHOOLでドラムをやっていたりするんで、ドラムにはうるさいというか。
天野 : あと、自分も参加しっちゃったりとかしますからね、演奏しながら。
森岡 : リハの段階というか、うちらで練習してるときからスタジオにも来てもらって聴いてもらっていたので、けっこうアイデア出してもらってましたね。
近藤 : 「ちょっと俺に叩かせて」「こんなのどうかな?」って。
森岡 : だから、けっこう一緒に演奏しました。言葉でこうとかじゃなくて、やってくれながら。
――近藤さんの持ってなかったリズム・パターンとかも入ったことでアレンジの幅が広がっていった、と。森岡さんが学んだことはどういう部分でしょう。
森岡 : 俺はわりといろんなことが好きだから「これもやりたいし、あれもやりたいし」みたいになっちゃうんですけど、勇さんが「この方向がかっこいいんだよ」みたいに定めてくれて。「撃鉄はとがってる部分がかっこいいから、あんまりポップなものに影響を受けすぎてそういう曲ばっかになるともったいない」っていうことを言ってもらいました。やっぱりそこが撃鉄のコアな部分なんだなって。
――撃鉄の持っているエッジーさだったり、とがった部分を再認識したんですね。田代さんは何かしら言われたり、変えたりしたことってありますか?
田代 : 僕自身は、演出とかに関しては何にも言われなかったです。ただ、レコーディング中にジョージと僕と勇さんの3人で飲みにいくことがあって、「森岡くんすごい頑固だって(前作プロデューサーの中尾)憲太郎から聞いてたんだけど、実はすごい柔軟性あるんだよね」なんて話が出てきて。そういう話がおもしろかったです。それぐらいですかね(笑)。
森岡 : そんなこと言ってたんだ(笑)。
でもさ、撃鉄とミスチル似ているよね?
――あははは。天野さんはいかがでしょう。
天野 : 収録した楽曲のピッチがズレていたときがあって、それがライヴ感あって男らしくていいよねって意見もあったんですけど、気になって直したりしました。勇さんは基本直すのが嫌いみたいな感じの人だったので、そういうやりとりはありました。
――天野さんは、かっちりやりたいんですね。意外です。
天野 : そうですね。かっちりやらないといけない気がするんですよね。例えば、ちょっとヴォーカルを伸ばす部分が短かったなとか、どうでもよさそうなところが気になっちゃって。特に、今回はライヴ盤ではないから、しっかりやりたくて。
――いまって、オルタナティヴ・シーンが厳しい状況だと思うんですよ。だからこそ、撃鉄にはエッジーさとポップさを持って突っ張っていってほしいなと思っていて。それこそより広いところに切り込んでいくためのきっかけとして、アイドルに曲を提供するなどしたらいいんじゃないかって思うんですけど、そのあたりどうですかね。
天野 : そしたら、DPGいっちゃうか?!
――劔さん(撃鉄、神聖かまってちゃんマネージャー。DPGのプロデュースも手がける)に話をつけてもらえばいいかもしれないですね。ただ、アイドルではないですけど(笑)。
天野 : 玉ちゃん(玉屋2060% / Wienners)も楽曲制作やっているしね。
森岡 : チャンスがあればやっていきたいんですけど、いままで1回か2回くらいしかなくて、そういうのあれば教えてほしいです。
――あと、今作はアルバム・タイトルも象徴的ですね。「NO UNDERGROUND」っていうのは、プライドみたいなものを感じますね。
田代 : ただ、こういうタイトルにしちゃったら、アンダーグラウンドを否定しているって意見をすごく言われたんですよ。「あのタイトルはなんですか? ちゃんと説明してください!!」みたいな。「アンダーグラウンドからオーバーグラウンドにも通用する楽曲を発信していくってことです」って説明したら「それなら納得ですね」って。
森岡 : 納得したんだ(笑)。
天野 : 聴けばわかると思うんですよね。ミスチルが「ノーアンダーグラウンド」ってタイトルで出しても違うじゃないですか。アングラといわれるかもしれないけど、自分たちのやりたいことをそのままやって、上に押し上げていけるアルバムができたと思うんで、自信はあります。
――森岡さんは、アンダーグラウンドかどうかってところにこだわりはありますか。
盛岡 : 俺はとくにこだわりを持っていないんですよ。アンダーグラウンドでもそうでなくても。けど、ノーアンダーグラウンドって、いろんな意味にとれるからこれはいいなと思ってつけました。俺はどっちでもいい、どこでもいい。
――そういう姿勢を貫く撃鉄がいうからこそ説得力がありますもんね。
天野 : でもさ、撃鉄とミスチル似ているよね?
森岡 : いや、全然似てないよ!
RECOMMEND
金田康平 / NATSUMI
THEラブ人間の歌い手、金田康平の3年ぶりとなる3rdアルバム。全編アコースティックの前作『young apple』から打って変わりトラック・メイキングを主軸に金田のベッドルームで極々個人的に録音。自身のテーマである“起こったことをそのまま歌う”を貫き、ドキュメンタリーであることに固執したエゴと愛欲にまみれた1枚。
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撃鉄 過去作
【特集ページ】
>>デビュー・アルバム『撃』リリース&天野ジョージ インタヴュー
LIVE INFORMATION
撃鉄1stフル・アルバム「NO UNDERGROUND」 release tour
~バーいってバーやっちゃおうよ~
2014年5月10日(土)@下北沢THREE
w/ 6eyes、YOLZ IN THE SKY、SIKA SIKA
2014年5月18(日)@仙台PARK SQUARE
w/ QOOLAND、バックドロップシンデレラ
2014年5月31日(土)@札幌SPIRITUAL LOUNGE
w/ KING BROTHERS
2014年6月13日(金)@十三Fandango
w/ Awesome City Club、SUPER BEAVER
2014年6月14日(土)@池下CLUB UPSET
w/ 四星球、THEラブ人間
2014年6月21日(土)@代官山UNIT(ワンマン)
HOTSTUFF presents ~
2014年4月19日(土)@下北沢SHELTER
w/ Dr.DOWNER、さよなら、また今度ね
COMIN'KOBE14
2014年4月29日(火祝)@神戸ポートアイランド
VIVA LA ROCK
2014年5月4日(日)@さいたまスーパーアリーナ(※GARDEN STAGE)
ザ50回転ズ「全国47都道府県全県ツアー『KEEP ON ROLLIN' TOUR~全国くまなく50本!!編~』」
2014年5月13日(火)@鹿児島SR HALL
w/ ザ50回転ズ、人性補欠 and more!!
2014年5月14日(水)熊本DRUM Be-9 V2」
w/ ザ50回転ズ and more!!
Gacharic Spin presents
「僕だけのシンデレラ&WINNERリリースツアー『ガチャレンジ2014』」
2014年5月24日(土)@松本Sound Hall a.C
w/ Gacharic Spin、THE冠 and more!!
2014年5月25日(日)@厚木Thunder Snake
w/ Gacharic Spin、THE冠、Jikki、OA:USUGI and more!!
PROFILE
撃鉄
天野ジョージ(Vo) / 森岡義裕(Gt) / 田代タツヤ(Ba) / 近藤駿(Dr)
高校のサッカー部時代の友人であった天野、森岡、田代に、同じく高校時代の友人であり、ストリート・サッカー仲間であった近藤を加えて結成。2007年より本格的にライブ活動を開始。2009年、全くの無名ながらFUJI ROCK FESTIVAL 2009 ROOKIE A GOGOに出演し、その年のFUJI ROCK FESTIVALで最も怒られたバンドとして話題になる。2011年2月、中尾憲太郎プロデュースのもとミニアルバム『撃』にてCDデビュー。同年11月にはミニ・アルバム『鉄』をリリースし、渋谷QUATTROでの初ワンマンを成功させた。その後は大型フェスやイベントの常連として、「ARABAKI ROCK FEST」「OTODAMAヤングライオン」「RISING SUN ROCK FESTIVAL」「RUSH BALL」等に次々と出演するほか、the telephones、髭、N'夙川BOYSなどのツアー・サポートも務め、ライヴハウス・シーンに独自の存在感を刻み続けている。2014年、新プロデューサーにMO'SOME TONEBENDERの藤田勇氏を迎え、遂に待望の1stフル・アルバムをリリースする。