コムアイ、Dir.Fとともに振り返る、水曜日のカンパネラの2013年
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音楽だけにとどまらない多彩な切り口とともに、2013年を駆け抜けたユニット、水曜日のカンパネラ。2作のミニ・アルバムを半年の間にリリース、長野県松本市で行なわれた音楽フェス「りんご音楽祭」に非公式キモキャラ・りんご飴マンと出演、自主企画イベントでは鹿の解体を披露、趣味の映画鑑賞を活かしたレギュラー・ラジオ番組出演、映画からエロスを読み解く連載… などなど幅広い活動をしてきた。そんな水曜日のカンパネラの現在での状態を一言でいえば、ブレイク手前でぐつぐつ小さな沸騰を起こしている最中、といったところだろう。
水曜日のカンパネラのテーマのひとつにあるのは、“違和感”を表現すること。普段出会うことがない要素が組み合わせたときに起こるおもしろさ。例えば、彼らの楽曲は、ジャジー・ハウスをベースにしたトラックに、ひたすらアニメのキャラや地下鉄の駅名をラップしていくなど、ギャップのあるものを組み合わせるスタイルが多い。そこで描かれる違和感こそ、水曜日のカンパネラの根底を貫いているものであり、それこそが新しさを生み出す源流となっている。とはいえ、その違和感をおもしろいと思ってもらうことは一つの課題であり、いまはその最中といったところである。まさに2014年の活動が、このユニットをはっきり形成していくであろう。そんな水曜日のカンパネラの2013年の歩みを、コムアイのインタビューとともに、振り返ってみたいと思う。
取材&文 : ねるねるね〜るね西澤
写真 : 雨宮透貴
CD版とはミックス違いの2ndミニ・アルバムをハイレゾで!!
水曜日のカンパネラ / 羅生門
【配信形態】
HQD(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 200円 / まとめ購入 1,200円
【Track List】
1. モノポリー / 2. 素子 / 3. 星一徹 / 4. シャア / 5. マリー・アントワネット / 6. アリババ神帝 / 7. 不二子 / 8. 竹久夢二
>>コムアイ、Dir.Fへのインタビューはこちら
OTOTOY独占音源 & エロスの連載を振り返っておこう
本連載から生まれた、水曜日のカンパネラのエロス第一弾シングル
水曜日のカンパネラ / モスラ(幼虫Ver.)
【価格】
wav / mp3 : 単曲 200円
水曜日のカンパネラのトラック・メイカー、Kenmochi Hidefumiによるモスラをテーマにしたトラックと、そこに乗っかるコムアイのエロスをモチーフにしたリリック。連載第一弾配信シングルにして、すでに最高傑作ともいえる湿気たっぷりのエロス・ソング!! 怪しくくぐもったサウンドにエモーショナルな鍵盤が絡まるロマンティックでエロティックな楽曲にときめきを感じてみては? 水曜日のカンパネラが羽化していくことを予感させる名曲!!
>>第一回『モスラ対ゴジラ』の考察ページはこちら
本連載から生まれた、水曜日のカンパネラのエロス第二弾シングル
水曜日のカンパネラ / ラオウ
【価格】
wav / mp3 : 単曲 200円
水曜日のカンパネラのトラック・メイカー、Kenmochi Hidefumiによる北斗の拳をテーマにしたトラックと、そこに乗っかるコムアイのエロスをモチーフにしたリリック。連載第二弾配信シングルにして、エロス・ソングとしては最大の問題作。
>>第二回『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章』の考察ページはこちら
水曜日のカンパネラのエロス第三弾シングル
水曜日のカンパネラ / ミツコ(セーラー服ver.)
【価格】
wav / mp3 : 単曲 200円
水曜日のカンパネラのトラック・メーカーKenmochi Hidefumiによる『恋の罪』をテーマにしたトラックと、コムアイのエロスをモチーフにしたリリックが結実した、連載第3弾配信シングル。水カン至上最も難産となった1曲にして、現時点での最高傑作。不穏なイントロとくぐもったサウンドでスタートする本曲は、ぐるぐる城の周りを歩いているように、辿り着きそうでつかない雰囲気が醸し出された内容となっている。水曜日のカンパネラが、新境地を切り開き、次のフェーズへ踏み出すためのきっかけになるであろう作品。
>>第三回『恋の罪』の考察ページはこちら
OTOTOY限定のSPECIAL Editionも配信中!!
ここでしか手に入らない限定版
水曜日のカンパネラ / ノルウェイの盛り
【価格】
wav 単曲 200円 / まとめ購入 400円
mp3 単曲 150円 / まとめ購入 300円
【Track List】
1. モノポリー
2. ものぐさ太郎
3. 素子
正しいことを教えてくれと思っていたから
ーーいろんなところで話していると思うんですけど、コムアイさんは最初ライヴをやりたくなかったんですよね?
コムアイ : そうです。絶対やりたくなかった。
ーー性格的にガツガツ目立っていこうって感じじゃないですもんね。その上で聞きますけど、人より目立ちたいって気持ちはあるんですか?
コムアイ : あります。
ーーあるんだ?!
コムアイ : あります、あります!
ーーでも、ガツガツしているように見える目立ち方はイヤでしょ?
コムアイ : そう、しとやかに目立ちたいですね。いるだけで気になるくらいの感じで目立ちたくて。威勢がいい人はきらいなんで、みんな行こうぜっていうのは違うかな。
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ーー注目してほしいっていう気持ちは子どものころからあるんですか。
コムアイ : 小学生の頃から学級委員には全部手あげてましたからね。やりたい役が2つあったら両方やるって言っていたし、そういう意味で目立ちたがり屋だと思います。あと、塾に行っていると地理とか政治とかよっぽど詳しく勉強しているから、子どものほうが先生より詳しかったりするじゃないですか。そういうところでガツガツつっこんでいって「先生、五箇条の御誓文を取り上げるなら(教科書にはないけど)五榜の掲示は説明しなくていいんですかー?」って。
ーーすごくイヤな子どもですね(笑)。
コムアイ : そう、超イヤなやつ(笑)。正義感がすごく強かったんです。揚げ足とってやるっていうのも、正義感のつもりだったんですよね。正しいことを教えてくれと思っていたから。
ーー周りからはどう思われていたんでしょうね。
コムアイ : すごく疎まれていました(笑)。先生からしたら、学級委員とかやるんで、面倒くさいけど積極的な子って思われていたのかもしれないけど、クラスの悪ガキみたいな人ややんちゃな人からは疎まれていました。
ーーいじめられたりはしなかった?
コムアイ : けっこう背が大きかったから、いじめられるってことはなかったけど、“腐った洋梨”とか“ミサイル”とか、いろいろ言われていました(笑)。靴を隠されたりっていうことはなかったです。
ーー孤立感みたいなものはなかった?
コムアイ : 小中高は全部嫌いでした。そこで過ごさなきゃいけないコミュニティがすごくイヤで。給食を食べるのが遅い子がいたりすると、先生が急かしたりするじゃないですか。「トロいんだよ~」とか言う奴がいたり。そういうのが社会なんですけど、いちいち重荷というか心に残って、ずーんとしたんですよね。いじめとかも観ているのがすごくイヤで、そういう空間にいるのがイヤだったんです。でもなにもできないこともすごくイヤで。
ーー正義感はあるけど、自分から正すまではできないジレンマみたいなものがあったわけですね。
コムアイ : 毎日むしゃくしゃしてました。どっちもできない自分がイヤで。そういう状況に置かれたのもイヤだし、早く大人になりたかった。実際大人になったら、そういうのも減っていきましたし。
ーー高校生のときにキューバに行ったり、ピースボートに参加したり、いろんな大人に積極的に会おうとしていたのはそういうことなんだ。
コムアイ : そうそう。それが一番大きいかもしれない。
ーーそれで、比較的自由度が高くなった高校生でコミュニティが広がっていったんですか。
コムアイ : 中学受験で私立共学に行ったんですが、同じ偏差値と家庭環境でまとめられたから、最初はすごく話も合うし、コミュニティ内での差から生まれるいじめは見なくて済んだ。それで一年くらいはめちゃめちゃ楽しかったんですけど、だんだんつまらなくなっていって。保育園のお母さんが毎日一緒にランチしているじゃないですか。彼らは、子供を産んだらあそこに入れる子たちなんですよ。でもそういう付き合いが私は苦手だった。
つじつまの合わせ方も初めてのセッションみたいな感じだった
ーーなるほど。僕が水曜日のカンパネラを初めて観たのは2回目のライヴだったんですけど、かなり他人事感のあるライヴだったなあと思っていて。
コムアイ : ほんとやらされていて、つられてこられた感はありました。
ーーあと、どうしたらいいのかわからない感じ。どのあたりからライヴのコツを掴んでいったんでしょう。
コムアイ : もしかしたらPVができた時点でやりやすくなったのかもしれないです。来るお客さんが「こういう人なんだ」って認識を持った状態でくるから、鏡みたいに私もイメージを持つことができて。何人か観てくれる人がつくようになってから、設定が定まってきた感じがします。
ーーOTOTOYに初めて来たときは、物静かな感じで、クラスの優等生って感じの女の子って感じでしたよね。
コムアイ : あのときは、超静かにしてました。打ち合わせも途中で飽きていて。「ラブレターね」みたいな感じで。
ーー「水曜日のラブレター」は楽しかった?
コムアイ : おもしろかったですよ。好きな人に手紙を書いて。けっこう読んでくれている人、多いんですよね。肝心の相手に読まれなかったのでボツになりましたけど。
初めて送られてきたコムアイからのラブレター
>>1枚目 池田貴史さんへ
>>2枚目 細野晴臣さんへ
>>3枚目 柄本明さんへ
>>4枚目 大友良英さんへ
>>5枚目 大根仁さんへ
>>6枚目 小山田圭吾さんへ
>>7枚目 岡村靖幸さんへ
ーー1stアルバム『クロールと逆上がり』を出したことに対する気持ちは?
コムアイ : 出ちゃったーって。ジャケットとか、撮影できたのはすごく嬉しかったです。友ヶ島で撮影したのはワクワクしたし。でも大事な撮影のときは、いつも体調を崩しちゃうんですよね。
ーーCDが出たこと自体には、そんなに感慨はなかったんですか?
コムアイ : そんなにはっきりなかったかもしれない。しっくりしない感じがして、私のものって感じがしなかった。関わっているのはわかっているけど(笑)。
ーーでも、それまでメンバーが抜けたり試行錯誤しながら制作してきたわけでしょ?
Dir.F : 取り組み方はいまと一緒だけど、メンバーが最初固まらなくて、コムアイがみつかってから、落ち着いたと思っていて。メンバーに関しては。ミニマムな状態でやりたいと思っていたから。曲がどう広がるかっていうのは出てみないとわからないと思っていて。
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ーー実際の反響はどうでした?
コムアイ : そんなによくなかったですよ。
Dir.F : そんなことないよ。ビレバンでも売れていたし。ただ、トラックにうたが乗っておもしろいって思えるところにはいけていなかった。みんなのテンションもさぐりさぐりだったからそうなったと思うんですよ。コムアイもこのフォーマットで、はまっているのかって。最初のイメージは、ノモトさんの退廃的な写真が絶対にいいと思ったし。でも、それって正解じゃないかもしれなくて、キャラクターをもっと出したほうがいいのかなってのもあって。そこからいろいろな修正点が出て来た感じですね。
ーー1stはかなり探り探りだったわけですね。確かに、僕もよくわからないユニットだなと思っていました。
コムアイ : ぶれぶれだったんですよね。ジャケットも決まらないし、タイトルもすごくみんなで迷ったし。コンセプトもはっきりしないから、なにも決まらないんですよ。なにを決めるにも、全員の意見がまとまらなかった覚えが。
Dir.F : みんなで考えすぎると意見ってまとまらないじゃないですか。つじつまの合わせ方も初めてのセッションみたいな感じで。
ーー水曜日のカンパネラとしてのコンセプトというか方向性が固まっていなかった?
コムアイ : それぞれがなんとなくやりたいことをやって、なんとなくまとめちゃったから、ああいう感じになったのかなって。
多分わたしこれからプロレスにはまると思うんです(笑)
ーーアルバム・リリースのあとから、少しずつ方向性が見えてきたと思うんですけど、りんご音楽祭に出演するって定めてからは、勢いが出てきましたよね。
コムアイ : 目標があったほうがいいから、りんご音楽祭を目指しましょうっていっていたんですけど、それも最初すごくイヤで。目標がないとやらないんだったらやらなくていいと思っていたし、後づけでそうなっていくのが気持ち悪いっていうか。結果、出れたからよかったんですけど。
Dir.F : 自分たちのゴールって漠然とあると思うんだけど、マイルストーンをつくってあげないと、観ている人がわからないってことで目標を立ててあげないとって。
コムアイ : 外側からのね。
ーーぼくが水曜日のカンパネラをおもしろい!! って思ったのは、8月21日にclubasiaで行なわれたりんご音楽祭の「大前夜祭」で。かなりファンキーな女のお客さんがいたじゃないですか。まったく聴いてないのに一番盛り上がっていて(笑)。中央にはりんご飴マンがいるんだけどすごく地味で(笑)。サウンドはクラブっぽい音で異常によくて、そんななかコムアイがちょっとキレそうになりながらライヴをしていた。お客さんは20人くらいしかいないのもよくて、なんかおもしろいことが起きているって興奮したんですよね。
コムアイ : あのときのライヴは、わたしも結構きっかけになっていると思います。初めて脳汁が出た感じがしました。それまで、ライヴはサービスだと思っていたんですよ。お客さんがお金を払っているんだから、わたしも対価を払わないとと思って。それに見合うものが出すためにどうしようって思っていたんですけど、あの日は私がお金を払ってでもやりたいみたいな楽しみ方ができて。お客さんと一緒の側に回れた気がします。
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ーー自分も一緒に楽しもうって感覚を持てたんだ。
コムアイ : 自分がなにをやるかは関係ないんですよ。お客さんが興味を沸くような反応を返してくれないと、わたしも止まっちゃうから。
ーーお客さんがいないと成り立たないってこと?
コムアイ : お客さんの反応は、自分のなかで大きいかもしれない。こう用意しているものを、こう裏切るみたいな。お客さんって、第一印象があって、そのあと何十分かライヴを観るわけじゃないですか。第一印象だけで、30分音楽を聴き続けてもらうって難しいと思っていて。最初普通に出ていって、だんだんおかしくなっていったほうがおもしろいし、最初から狂っていると最後まで持たないし、プロレスみたいな感じかな。多分わたしこれからプロレスにはまると思うんです(笑)。
ーーあははは。コムアイの場合は、30分なりの時間が決まっているし、歌うトラックも決まっている。演奏したり、自分で作った曲だったりしたら違うのかもしれないけど、自由度が低いなかで、どういうことをやるのかに苦労したと。
コムアイ : そうそう。なにをやっても自分の表現じゃないから。でも、そういうのがいいとも思わないんですけどね。
ーーそして目標であった、りんご音楽祭に出演したわけですが、かなり盛り上がったステージでしたよね。
コムアイ : どアウェイのほうが絶対やりやすいと思いました。全然知らない人だったら、最初の3秒が印象になるじゃないですか。その3秒だけ考えればいいんですよ。こういうふうに出ていけば、このあとなにしても大丈夫とか。でも、知られていたら、それぞれお客さんが持っている印象が別々だから大変だと思う。一様にああいう雰囲気のお客さんっていうのがよかったと思う。
ーーやってて楽しかった?
コムアイ : 楽しかったけど、りんご飴マンに助けられました。一緒にやるってことがなかったんで、ステージにもう一人いるっていう安心感は半端なかったです。
伝えたいのは、違和感を感じてほしいってことなんです
ーーそして10月には2ndミニ・アルバム『羅生門』をリリースします。これは1stよりも思い入れの強い作品になったんじゃないですか。
コムアイ : そうですね。1stに比べたら全然あります。『羅生門』は、ものとしてもすごく大切だと思っていて、自分のものって感じは確かにしますね。
ーーなにが違ったんでしょうね。
コムアイ : 『クロールと逆上がり』の曲は好きなんですけど、コンセプトがわからなかった。それにつきますね。2ndは曲がかっこよくて、歌詞はバカっぽくて、ちょっとコケティッシュみたいなところがある。ジャケットもその印象が似ていたから。
ーータワレコメンに選ばれたり、かなり反響があったんじゃないですか。
コムアイ : 『羅生門』の反応はどこにいってもよかったです。その証拠に、1stはあんまりだったって言われることも多くて。はっきりした否定って、ちゃんといいものができたときじゃないときにしか言えないじゃないですか。
ーーコムアイ自身も発売日に自らUstをやろうと発案して生中継しましたよね。
コムアイ : リリースは本当に暇なんですよね。レコーディングのときはすごくバタバタして、撮影とかもあって、歌詞もみんなで見て直して投げたら、商品になるまでは待つしかなくて。あと、当日はイベントがなかったから。
ーーちょっと休もうとかはなかったんだ。
コムアイ : 休みたくないですよ!! そわそわしちゃって、どうしようと思って。あのUst、楽しかったですよね。あみだくじやったら応募してくれる人が多くて、誰が観てくれてるかわかったし。水曜日のカンパネラは、最初YouTubeの配信で始めたから、一番最初に知ってくれたお客さんもYouTube観てくれたお客さんだと思うんですよ。その延長線上でUstでできたのはよかったです。
ーーその盛り上がりが持続していた時期に、初めての遠征で名古屋と大阪にいきましたね。
コムアイ : 楽しかったし、こんなに反応がいいと思わなかったです。ミナホに沢山の人が来てくれたのが嬉しかったです。あと、ライヴ中にちゃぶ台の足が折れたんですよね(笑)。モスラの照明を消すのは二回目だったんだけど、おもしろかったです。最初やり始めたのは9月30日のO-nestでのライブで、懐中電灯をもって全身探検隊みたいな格好でやりたいと思っていたんだけど、懐中電灯やるんだったら消したほうがいいと思って、聞いてみたら会場まるごと暗転してくれて。ライヴハウスの人と演劇を作っているような気持ちになれるのが楽しいです。演出をしてくれているわけじゃないですか。あるタイミングで電気消すだけなんですけど、ちょっと話す時間が増えるので楽しいです。照明さんとかPAさんとも、もう少しお話したいと思うんです。
ーーそしてシブカル祭にでたりライヴを重ねながら、自主企画「りんご飴音楽祭」を渋谷WWWで開催しました。
コムアイ : やりたいことが全部できて楽しかったです。実際にイベントを組んで動いてくれたのはDir.Fなんですけど、やりたいっていったのは私なんで観たいものができました。落語と鹿をぶっこむというのも私じゃないとできないことだったので満足でした。存在価値を示せたんじゃないかと思います。
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ーー鹿の解体をステージ上でやったことでどんなことを思いましたか。
コムアイ : ショーとしておもしろくないとっていうのは本当に学びました。わたし自分だけでやっていたら淡々と鹿に向かい合っちゃうけど、(鹿の解体の師匠である)佐野さんのトークもうまかったから。もっと神聖な感じで観てもいいんだけど、ショーにならないなと思って。
ーーSPAでは「鹿の解体はショーたりえるのか」というテーマで、あのときからいまも追いかけていますね。鹿の解体を見せ物にするっていうのは、どういう気持ちでしたか。
コムアイ : 当日になって、鹿の解体をステージでやることに違和感を感じたんです。当日までなにも思っていなかったし、出せばおもしろくなると思っていたんですけど、当日になって違和感を感じたというか。見せ物にするのはけっこう大変なんだなと。それは自分が見せ物になるのが大変だったのと一緒で、なかなかそのハードルを鹿に越えてもらうのは大変でした。
ーーそれまでは鹿とどう向かい合っていたんですか。
コムアイ : 神聖な空間かもしれない。一対一で向かい合っていたんですよ。そこに周りの目線が入ってくるわけじゃないですか。お客さんに真剣に向かい合っているところを見せるだけだとおもしろくないから。全然考えてなくて、すーって静かになっちゃうんですよ。
ーー鹿の解体はこれからも続けていくわけですし、ステージでもやるわけじゃないですか。それを通じてなにを伝えたいんでしょう。
コムアイ : 伝えたいのは神秘的なこととかじゃなくて、食べ物ってこうできているんですよてことでもなくて、違和感を感じてほしいってことなんです。かわいくて、かわいそうで、でもそれがおいしい、っていうのが違和感じゃないですか。生きている獣と食べられる獣の境目みたいなものが、しこりみたいに残っているんですけど、それを感じてほしいっていう気持ちはあります。あとは単純においしく食べてほしい。興味が湧いてほしいからやっている。
ーー違和感を感じること自体が普通のことで、それを感じてほしいと。
コムアイ : その違和感がおもしろいと思うんです。かわいそうって気持ちから、おいしそうになっていくっていう違和感。好奇心というか、そういう刺激がないと、獣なんかいきなり食べたいって思わないんじゃないかなと思って。だから、興味が湧いている人はいいんですよ。バッシングを受ける時はたいていもう興味が湧いている人からです。まだ知らない人に違和感を感じてほしい。
地下室にまで観に来たくなるものを作らないと
ーーあと、コムアイさんは今年大学の休学を決意しましたよね。水曜日のカンパネラに集中するっていう意味で捉えていいんですか。
コムアイ : 夏くらいに休学を決めたんですけど、わたしは器用じゃなくて。学校のあとにレコーディングとかライヴすれば間に合うんだけど、次の日に学校を休んでしまったり、課題とかもやる気がなくなって、いろんなことに頭をさけないと思って、なあなあになっちゃうんだったらやめようかなと思って。学校もちゃんと行きたいから、しっかり勉強したいと思って。そのためにいま両方やったら勉強する時間が減っちゃうから。あ、うそ、そんなに勉強する気ない。
ーー2つのことは同時にできないと。
コムアイ : いまは新しいものをやるので精一杯なんです。ライヴをやるっていうのは新しいことだから。
ーー言い方を変えると、それってプロとしてやっていくという宣言に近いと思うんですよ。だから、これまでと水曜日のカンパネラとしてのステージへの向かい合い方も変わらないといけないんじゃないかなと思って。
コムアイ : もうちょっといろんな演出をしたほうがいいかなと思っています。いまやっているライヴはつまんなくなってきている気がして。歌っているだけになっているんじゃなくて、大道具を増やしたりしてステージを作りたいです。
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ーーあとは「musicる TV」でライヴ映像が流れて、「すべてがちぐはぐ」という評価をされました。それに対しては悔しい気持ちもあったんじゃないですか。
コムアイ : そんなにおもしろくないライヴをしたつもりはないんですよ。一部だけを切り取られてしまったのは悔しいですね。どこを切り取ってもかっこよく見えるっていうのは必要なのかもしれないけど。
ーーそこは他のアーティストも同じ条件だから、どこを観られても衝撃を与えられるようになっていかないといけないかもしれないですね。WWWのステージで「大きい場所でやることを目標にしてない」って言ってましたけど、その思いに代わりはないですか?
コムアイ : 変わらないです。大きいところにいくのは結果だから、そこが先にあるのは意味がないと思うんですよね。ちっちゃい地下室とかで、おもしろいことをやっていたらすごく意味のあることだと思う。そっちのほうが気になるじゃないですか。ただ、ちっちゃいところでやればいいっていうんじゃなくて、それが大きいところに出てもおもしろいっていうのは、越えなきゃいけないハードルだと思うんです。みんなに受け入れられる音楽を作ってから大きくなるっていうんじゃなくて、地下室でしかできないようなものを作ってから、そのハードルを越えるものを作ったほうがいいと思います。わたしはそうじゃないとやっている意味がないと思っていて。
ーーうんうん。
コムアイ : 地下室にまで観に来たくなるものを作らないと。りんご飴音楽祭のときのライヴは、何やったかはっきり記憶していないくらい楽しかったけど、後半にぺースダウンしたじゃないですか? それが心残りで。アドレナリンがでるのはいいんだけど、その山もコントロールできるようになりたいです。
水曜日のカンパネラのライヴ情報
音楽と鹿の解体再び!! 水曜日のカンパネラによる自主企画の開催が決定!!
水曜日のカンパネラpresents オトトイの地下室
日程 : 2014年3月1日(土)@新宿LOFT
時間 : 調整中
出演 : LIVE、漫読、トーク、解体(詳細は後日発表)
料金 : 調整中
3月はヴォーカル・コムアイがライヴ活動を初めて1周年。この日は、2013年11月以来の水曜日のカンパネラ企画で、今回も水カンが好きなアーティストやコンテンツをガッツリ集めます!「鹿の解体」や「漫読」さらに今回は… OTOTOYで連載しているエロスの最終的な終着点をここで発表予定!!
NO ROOM FOR SQUARES!! Vol.0
2014年1月5日日(日)@新宿ロフト
ロフトプラスワンファン感謝デー2014
2014年1月5日(日)@新宿ロフトプラスワン
Our Shining Idol~今君に会いたい~お正月SP
2014年1月7日(火)@新宿ロフト
ぐるぐる回りたい vol1 ~今年こそ回りたい!!新年会SPECIAL~
2014年1月11日(土)@大塚 Hearts+
BOOKMARK’s vol.0
2014年1月17日(金)@下北沢・ERA
shinjuku LOFT presents おしょくじかい
2014年1月20日(月)@新宿ロフト
水曜日の漫読〜コムアイと東方力丸の漫読会 vol.3〜
2014年1月29日(水)@下北沢ARENA
水曜日のカンパネラpresents オトトイの地下室
2014年3月1日(土)@新宿ロフト
PROFILE
水曜日のカンパネラ
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2012年、夏。初のデモ音源「オズ」「空海」をYouTubeに配信し始動。
「水曜日のカンパネラ」の語源は、水曜日に打合せが多かったから… と言う理由と、それ以外にも、様々な説がある。当初グループを予定して名付けられていたが、現在ステージとしてはコムアイのみが担当。それ以降、ボーカルのコムアイを中心とした、暢気でマイペースな音楽や様々な活動がスタートしている。
コムアイ
担当 : 主演 / 歌唱
1992年7月22日生まれ。
神奈川県出身。
成人しても未だ「クロール」と「逆上がり」ができないという弱点を持つ。
高校生時代には、いくつかのNGOやNPOに関わり活発に動き回る。
サルサ・ダンスに毒され、キューバへ旅し、同世代100人のチェキスナップとインタヴューを敢行。
その後は、畑の暮らしを体験したり、たまに海外へ。
最近は、鹿の解体を習得中。
好物は、今川焼と明石焼といきなり団子。
また、“サウンド・プロデュース”にKenmochi Hidefumi。
その他、“何でも屋”のDir.F。
などが、活動を支えるメンバーとして所属。