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2012年に発表された最新作『sky was dark』から、リリース・ツアー、そして赤坂BLITZでのワンマン・ライヴを大盛況で終えたDE DE MOUSEによる主催レーベル、not recordsの第2弾が24bit/96kHzの高音質音源で登場。DE DE MOUSEの音楽の根源となる楽曲群を、インスト・ヒップ ・ホップ・ジャズ・バンドRFによって生演奏&再構築。DE DE MOUSEと共に2012年の「not vol.04」への出演で話題となった『The Selection of DE DE MOUSE Favorites performed by 六弦倶楽部 with Farah a.k.a. RF』が楽曲制作を手掛け、あの有名なクラブ・アンセムも収録されるミックス仕様となってリリース! しかもOTOTOYでは、Revolution 909のRAPUNZEL8083のリミックス音源を限定で販売。高音質、そして限定リミックス! OTOTOYで買わない理由はない!!!
not recordS第2弾音源は、生演奏ミックス仕様で配信
The Selection of DE DE MOUSE Favorites performed by 六弦倶楽部 with Farah a.k.a. RF / vol.1
【配信価格】
HQD(24bit/96kHz) 単曲 200円 / アルバムDL1,800円
【TRACK LIST】
1. Radio Attack(Prefuse73) / 2. Tong Poo(Yellow Magic Orchestra) / 3. Revolution 909(Daft Punk) / 4. The Bells(Jeff Mills) / 5. RAINBOW RAINBOW(TM NETWORK) / 6. My Favorite Things(Richard Rodgers) / 7. 人生のメリーゴーランド(久石譲) / 8. Squarepusher Theme(Squarepusher) / 9. Floats & Falls(DE DE MOUSE) / 10. Revolution 909(RAPUNZEL8083 remix)(OTOTOY限定) / 11. 人生のメリーゴーランド(DE DE MOUSE wither & bloom mix)(久石譲)
【ダウンロードに関して】
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INTERVIEW : DE DE MOUSE、成川正憲、DJ Farah
The Selection of DE DE MOUSE Favorites performed by 六弦倶楽部 with Farah a.k.a. RF。ギタリスト成川正憲率いる六弦倶楽部と、元レコード・ショップのバイヤーでDJ / コンポーザーのFarahのユニットRFにDE DE MOUSEがプロデューサーとして関わるチーム名だ。長い... (笑)。このチームは、Prefuse73やDaft Punk、久石譲等を恐ろしいテクニックときらめくアイデアでカヴァーし、ミックスCDのようにノンストップで繋いでいくからたまったもんじゃない。生バンドによる、スーパー・フロア仕様音源の完成である。DE DE MOUSEはご存知だろうが、六弦倶楽部やFarahの名前を初めて聞く人も多いだろうってことで、六弦倶楽部のリーダー成川正憲とFarah、そしてDE DE MOUSEをよんで、このチームの成り立ちから、未来、そして苦労までをも話してもらった。インタビューを読んだ後にこの音源を聴くと、さらにまた好きになる。
インタビュー & 文 : 飯田仁一郎(Limited Express(has gone?))
もっと一緒にやりたいと強く感じました(DE DE MOUSE)
——六弦倶楽部はどのように結成されたんでしょう。
成川正憲(以下、成川) : 個人的に色々あってすごく落ち込んだ時期があって、その時に、自分が中学生の時、ジョージ・ベンソンがランキングのトップ100に入って、インストは世界で通用するって思ったことを思い出したんです。僕は外国語コンプレックスだったんですが、世界にいきたいっていう思いはあって。英語を喋れなくても世界規模で活躍できるってことが凄く画期的に感じたんですよ。インストできゅんとする音楽、映画音楽とかが好きだったので、お金とか関係なく本当に純粋に自分が好きなのをやりたくて、六弦倶楽部を立ち上げました。景色が見えるような音楽をやりたかった。
——なるほど。立ち上げたのはいつ頃?
成川 : 7年くらい前かな。そこにFarahが来てくれたんです。
DJ Farah(以下、Farah) : RFの最初のリリースはレコードで、ザ・ファーサイドの「ランニン」のカヴァーを出したんです。イギリスのレコード・ショップで1位になったりして反響があったのでとても可能性を感じました。それまではプロデュース業はやっていなくて、DJをやりながらレコード屋で働いたんですけど、正直どういう風に作品を流通にのせるのかが分からなくて、そこは開始当初は手探りでしたね。
成川 : 彼はDJなんだけど、サンプリングを使わないで自分のアイデアを作っていく人なので、新しくて面白いなって思ったんです。若い人と絡みたかったし、古い音楽はやりたくなかった。今回もそうですけど、若い人と一緒にやると面白いし、僕にとってはすごく可能性が広がるじゃないですか。
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——成川さんとFarahさんはどのような繋がりがあったんですか?
Farah : 元々六弦倶楽部をサポートしているドラマーが知り合いだったので、誘われて六弦倶楽部のライヴを見に行って、そこで成川さんと初めて会いました。レーベルを立ち上げる当初から海外に作品を流通させたいと考えていたので、成川さんにその話をしたら意気投合して、このメンバーで何ができるだろうかなって考えたんです。
——RFは元々どのような音楽を目指していたんですか?
Farah : ただ単にヒップ・ホップをやりたかった訳ではないんですよ。ヒップ・ホップはロックだったりラテンだったり、様々なジャンルをネタに構築されているじゃないですか。だからヒップ・ホップをテーマに掲げれば、いろんな音楽をやれるし、世界に打って出るって意味でも、すごくいいなと。でもただミックスするだけじゃなくて、いろんな音楽をやった結果、最終的にこれがRFだよねってなればいいなと思います。これだけ演奏力のあるバンドで、敢えてラップはなしで、ジャズとかソウルに近い感じのインスト・ミュージックをやったらすごく新しいんじゃないかって思ったんです。特に日本にはいないんじゃないかなと。
——最初から海外を見据えて活動していたんですね。
Farah : インストだからこそ日本だけじゃなくて世界中の人に聴いてもらいたいので、今年から来年にかけては海外にどんどん出て行こうと思ってます。知り合いのミュージシャンがいるロンドンやドイツ、ハワイ在住で、ラッパーのMeisou君もRFが好きで是非一緒にやりたいって言ってくれていて。海外の現場の人の反応って、はっきりしてるじゃないですか、良ければものすごい乗ってきてくれるし、駄目だったらブーイングして金返せみたいな。そういうところで僕らはどんな反応が得られるのか楽しみです。
——なるほど。成川さんが立ち上げた六弦倶楽部があり、5年くらい前にFarahさんがジョインしてRFが生まれたと。DE DEさんにはいつ頃会ったんですか?
成川 : DE DEさんのボス(社長)がたまたま俺たちのライヴを見て、えらく気に入ってくれたんです。そういう人と知り合いたかったので仲良くなって、後からそのボスがDE DEさんとやってることを知りました(笑)。
DE DE MOUSE(以下、DE DE) : 2011年にWWWのカウントダウン・イベントに僕が出た時、RFもラウンジでやっていて、その時に初めて会えたんですよ。演奏を聴いた時に「楽曲で絡めたら面白いんじゃないか」って感じました。でも、その時ボスにはまだ早いって反対されて。
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——まだ早いって言われたの(笑)?
DE DE : ボス怖いんですよ(笑)。基本的に何を言ってもまだ早いって言われますね。でも、去年の10月にリリースした『sky was dark』を演奏するなら、彼らはイメージがぴったりだったので、使いたいと思ったんです。ボスに話してひとまず一回きりでやってみたら、やっぱりもっと一緒にやりたいと強く感じました。12月のワンマンが終わってすぐだったかな。
——実際動き出したのは結構最近なんだね。
DE DE : そうですね。12月末から動き出して、急ピッチでFarahと相談したりしました。六弦倶楽部の3人に対しては、強制的にやらせようって(笑)。
——動き出しからリリースまで3ヶ月弱ですか、すごい勢いですね。それだけRFに可能性を感じたということですよね。
DE DE : not recordsは基本DE DE MOUSEのプライベート・レーベルですけど、面白いものがあれば出したいって気持ちもあって。みんないい年齢で演奏力があるから一緒にやるのも面白いかなって思った。ヒップ・ホップとは違うシーンで、こういう曲もやってほしいとか、こういう曲も合うんじゃないかとか、想像が膨らみましたね。
1日で10曲、ノンストップで録るって言うんです(成川正憲)
——今回のコラボレーションではDE DEさんの立ち位置がすごく新しいですよね。一体誰が何をするのかわからなかった(笑)。
DE DE : 元々僕がミックスCDを出したいと思っていたんだけど、それって完成型がないような気がしていたんです。自分でミックスしていても頻繁に方向性が変わっていくから。それに僕のファンの方ってテクノとかハウスにどっぷり浸かっている人達というわけじゃなくて、もう少し一般寄りの音楽好きの人たちがいるから、普通のミックスCDでは反応しないだろうとも思った。じゃあ好きな曲をバンドに生演奏してもらって、それを繋げるのは面白いかなって。僕の名義じゃないけど、僕の好きな曲をカヴァーしてもらう形で。
——DE DE MOUSEの音源を、カヴァーなり新しい形として演奏してもらうことについては、どういう認識でやっていたんですか?
DE DE : ライヴ・バージョンの再構築と捉えていましたね。前作は踊るっていうよりは聴く感じの楽曲が多いから、ちゃんとライヴでも聴かせたいと思ったらフュージョンの要素と映像を導入したいと考えたんです。映像を打ち出すDJって既にいるけど、また違う形で自分の表現を押し進めたいって思いました。オーガニックというか生演奏なので、自分のルーツの町をスクリーンで映しながら演奏するとか。自分のパーソナルな部分を出す時に、RFのルックスと適度な年齢は説得力があるし、見ていて安心出来る。基本、成川さんのルックスは女性受けがいいなとも思ったし(笑)。
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——Farahさんは当初から関わっていたんですか?
DE DE : Farahは元々プロデューサーって立場で少し遠かったんだけど、六弦倶楽部と音源を作る時に「こういう風にRFを使わせてもらいたい」っていう話をして、去年1年間をかけて少しずつ近づきました。実際にレコーディングが始まったのは今年の1月からなんだけど、今振り返ると企画の大枠は去年の頭にあったなって思いますね。
——やっぱり決定的なのは『sky was dark』をバンドでやったことだったんですか?
DE DE : そうですね、その時に3人のキャラクター性も含めてすごく面白いと感じたから。RFって結構クールに、人間性はあまり見せない感じがあるんですけど、実際は地方の小さい町工場で、昼休み中のくだらない井戸端会議が永遠繰り広げられている感じ(笑)。たぶん年齢もあって、体力も落ちてるから疲れるんでしょうね。空元気出さないとやっていけないっていうくらいの大笑いをよくしてるんです。でも人間性を出すことはRFの本来の方向性とは真逆に行く訳だから、きちんと話し合いに行きました。
成川 : ほっといてくれよ(笑)。
——なるほど、その話を聴くと今回の作品のド頭がやっと理解できますね。Fuckin' assholeから始まるっていう(笑)。メンバーそれぞれの性格を尊重してますよね。
DE DE : この仕事はある意味人気商売なわけで、今はすごくパーソナルな部分を表現する機会と場所に恵まれているから、間口を広げるっていう形で、自分はここでやってみたらどんな反応があるかっていうのにすごく興味があった。海外でやるんだったら話は違うけど、引き寄せられるものは引き寄せといて損はないと思うし、こっちの方がかっこいいじゃんってなったら、それはそれで面白いから。
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——なるほど。DE DEさんから話を持ってこられた時、Farahさんはどう思いましたか?
Farah : 最初は方向性が違うと思って、意図的にボスが近づけないようにしてたんです。でもDE DEさんと実際に話してみたら「これはRFにとっても面白いきっかけかな」と思えました。彼の音楽を好きな人たちって普段RFとか聞かない人がほとんどだと思うけど、こういう機会を通して生演奏にもっと興味を持ってもらいたいって思います。あと、RFは普段どっちかというと時間をかけて曲を作るんですけど、今回は制作期間がすごく短かったので、そこは新たなチャレンジだなとも思いました。
——Farahさんは今回どのような立場で作品に関わっていったんですか?
DE DE : 僕がプロデューサーで、彼がディレクターって感じですかね。現場監督みたいな。で、六弦倶楽部がプレイヤー。レコーディングがまた大変だったんですよ(笑)。結局1曲目にFarahにスクラッチやってもらいました。
Farah : そうですね。選曲だったりおおまかなアレンジの方向性だったり。DE DEさんと最初にミーティングした時にアレンジについて話しながら議題を決めて、今回の曲のリストが決まっていきました。
——レコーディングの期間が短かすぎますよね(笑)?
DE DE : 3月にnotをやるから、それに間に合えばいいっていう意識はあって。全国流通はイベントの1ヶ月くらい後で考えてたんだけど、去年の大晦日辺りに2月に入ったら完パケですって言われた。だからやる曲だけ決めて一応Farahに曲順とかを相談して、その日にメンバー3人に渡したんです。ギターが一番大変なのは分かってるから、成川さんにはフォローのメールを送りましたね(笑)。
成川 : いきなり1日で10曲、ノンストップで録るって言うんですよ。たまんないっすよ(笑)。しかもアレンジまで含めてどうするか考えなきゃいけなくて、プレイヤーは3人しかいないのですごく難しかった。正月の駅伝を見ながら準備していました。
——1曲1曲でもなく、一気にですか(笑)?
DE DE : とりあえずがんばってもらおうと思って(笑)。最初はFarahに現場を全て委ねて、自分は自分の作業に集中しようとやってたんですけど、普通のレコーディング方法だと時間がかかり過ぎるし、船頭が沢山いても収集つかなくなるから、一つまとめた方がいいなと思い始めて。でも選曲も含めて今までのRFとニュアンスも全然違うものだし、自分も既にイメージがあったんです。リハーサルも6回くらいしかない中で、全曲のデモを作ってレコーディングをしなきゃいけなかったから、1日に2、3曲のデモを完成させて、アレンジを組んでいかないといけなかった。
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——なるほど。
DE DE : それでやっぱり僕が行くしかないと。一気にみんなで合わせるというよりも「このフレーズを弾いて」とか「こういうリズム叩いて」ってお願いして、PCに録音したものをコピー・アンド・ペーストでループさせたりして、大まかな構成を構築していきました。曲によってはシンセの音とかを入れながら合わせて弾いてもらったり。演奏自体は実際6日くらいしかしてなくて、僕はアレンジを詰めないといけないから、3人が得意な感じの曲は任せたりもしたかな。「My Favorite Things」、「人生のメリーゴーランド」とか。「Radio Attack」が鬼門で、成川さんが方向性を見失ってましたね。
成川 : 今までいろいろやってきたけど全くわからなかったね。
DE DE : あとTM NETWORKの「RAINBOW RAINBOW」もどんなアレンジがいいか分からなくて。実際にギター、ベース、ドラムが入ると想像と違ってかっこ悪くなったりもしたので、僕がデモを組んでくることになりました。当初、僕はプロデュースって立場で、ちょこちょこ口出すくらいで任せようかなとか思ってたんだけれども、結局がっつり参加してましたね。でもそれがまた大変だった(笑)。
——どう大変だったんですか(笑)?
DE DE : 船頭だらけで、みんな意見を言うから進まなかったんです。だから自分がこうやりたいっていうのがあったら、とりあえずやってもらいました。「せーの、ジャーン!」ってやってるのに、本人が把握できないっていうのはどうなのかなって気持ちもあったけども、効率的にやるにはやっぱりPCを使って別録りするしかなかった。三者三様に仕事してるから3人が合う日もあまりなかったし。ただ最終的に結構まきな感じで組めて、ただ結局1曲1曲録っていく形にしたんです。
いろんな見え方が出来る多面的なものにしたかった(DE DE MOUSE)
——成川さんは今回DE DEさんとやってみて、どうでしたか?
成川 : 全くジャンルが違うから、自分はDE DEさんと絡めるのかなって不安にもなりましたね。だけど一回ライヴをやった時に、俺のロマンチストなところと、DE DEさんのロマンチストなところで、奥の方に共通点があったんですよ。その一致が見えた時に「あ、これはやれるかな」と思って、そこから自分の中ではDE DEさんとの繋がりを感じることができました。進行していく中で、彼が何を欲しているのかを何となく感じ取れるようになったし、面白いなと思うようになりました。
——Prefuseとかはデモを基にやってみて、なんとかいけたという感じですか?
成川 : そうですね。そこはもう彼を信じて、まな板の鯉です。でも作っている時もきっと面白いものができるだろうなって思ったし、案の定完成したものも面白かった。
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——やっぱり成川さんの経験でも、こんなにタイトな企画は初めてですか?
成川 : ぶっちゃけスケジュールが無理ですよ(笑)。時間をかければいいってものでもないし、瞬間に生まれたものを基に録っていくことでいいものが出来るっていうのも知っているんですけど、今回に関してはみんなが集中していたことで、結果的に録れちゃった。
——できてしまうのが怖いですよね。Farahさんとしては今回のタイトさはどうでしたか?
Farah : 完成させなきゃいけないっていうのが第一にありました。みんなの意見の中から最終形を導きだすのは、普段からやっているので癖になっているんです。でもやっぱり間に合わないぞっていうところでDE DEさんが来て、瞬間瞬間にジャッジして進めてくれる。発売日も決まっているし、アナウンスもされていたので、みんなが集中して作業していく中で、さらにDE DEさんが引っ張ってくれたことで、すごくいいものができたんじゃないかなと思います。
——時間がなかったのが逆によかったと。
Farah : そうかもしれない。逆にそういう条件があることによって、目標に向かって全力出すっていう。
DE DE : 見ているといつもつまらない話でゲラゲラ笑ってるの(笑)。みんな疲れてるから、笑うしかないんだなって思ってましたね。
成川 : いや、本当に楽しかったよ!
——(笑)。ミックス音源、声のサンプリングなど、最後曲順も含めてトータルなアルバムとして仕上げたのは、DE DEさんですか?
DE DE : 最初に曲とアレンジの大まかなアイデアと曲順を決めて、この流れだったら多少コアな音楽が好きな人の中で有名な人で、キャッチーな曲が2曲くらい欲しいなって思ったんです。それで入れたのがスクエアプッシャーと、プレフューズでした。2つを要にして曲順も確認して、最初に決めたものに合わせていく感じでまとめていきました。毎回やってその通りになるとはもちろん思わないけど、今回は最初に決めたものに全部当てはめられて、とりあえず安心したかな。
——なるほど。ノンストップにするってことは最初から揺らがなかったんですか?
DE DE : そうですね、1回ノンストップで作ってみたかった、70年代のディスコのアルバムみたいな。ただのカバー・アルバムとは一線を画したいと思った。あと、自分が初めてプロデュースするのがおじさんのバンドっていうのは面白いけど、フック的には弱いなと思ってたから、そこでミックスCD的な見せ方もできるっていうのは面白いでしょ? それにRF自体が注目されれば、絶対もっといろんなジャンルのイベントとかに出れるだろうと思って、そのプレゼンの場にも出来たらいいとも思いました。ミックスCDでもあり、RFの変名のアルバムでもあり、僕のプロデュース作品でもありっていう。いろんな見え方が出来る多面的なものにしたかったかな。
今回の経験はこれから僕らが作っていく音やライヴにも影響する(DJ Farah)
——DE DEさんは今回生まれた楽曲について、自分の作品だっていう思いはあるんですか?
DE DE : そこは距離を置きたいと思いましたね。僕のカヴァー・アルバムってなると世界感は全然違うし、一応プロデュースにしないと「僕の新作ですよ」ってなって話が変わってきちゃう。そこでうまく線を引くために、カヴァーとかミックスって言葉を置きました。これがシリーズ化して、フランフランとかで流れればいいなって(笑)。
Farah : 僕としては、DE DEさんとコラボして作ったコンセプト・アルバムっていう認識ですね。今回の企画がRFの音楽を聴いてもらうきっかけになれば面白いかなって思います。
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——なるほど。コンセプト・アルバムというと、すごく収まりがいいですね。
成川 : 演奏する側からすると、可能性を広げるための作業なんです。名前って不思議なもので、どんどん枠を作っていくので、どこかで意図的に外していかないと、可能性って広がっていかないと思うんです。そういう意味で違う人とやるっていうのは自分にとって非常に面白い作業でしたね。今回は自分の中にも新しいものを見つけられた気がします。
——やっぱりそれはRFとしてただずっとやっていく中では見えてこないものなんですね。
成川 : そうだと思う。価値観って、違う軸を入れないと他の視点が入んないんですよ。女の人と付き合ってて他に付き合ったらまずいかもしれないけど、音楽ならいいんじゃないですかね(笑)。新しくて、最終的にすごく楽しい作業でした。DE DEさんは違うかもしれないけど。
DE DE : 楽しかったっていう風にもできますけど、正直いうと、きつかったよね(笑)。でも自分の現場以外で外に出ることってなかなかないから新鮮だったし、そこで「よしできた!」ってなると頑張った甲斐があったなと思う。ただプレッシャーの方が先に立ってたかもしれないですね。スケジュール通りに進むかなとか、自分の性格もあって細々と心配になったりして。いろんな話をしながらみんなで時間を共にして作品を作っていくのは楽しくて貴重な経験だったけど、今思い返すと楽しかっただけで、やってる時はきつかったなって。でも次もやりたいし、とりあえず売りたいから、もっとちゃんと自分たちがアーティスト+プロモーターとか営業マンであることをみんなが学んでくれないと、またこの次作るとしても1ヶ月で作ったりすることになるよ(笑)。
——vol.02、vol.03を見越しているということですね?
DE DE : また違うやり方でやりたいですね。notレコードで始めたけど、DE DE MOUSE関連の作品ばかりリリースしても閉塞感が強いから、そのバランスはうまくとって続けていきたいですね。まあ応援してくれる人がいればの話ですけど。やろうって決めたときから一回限りではなくて、年に1、2枚のペースでシリーズ化して、毎回違うテーマで作れたらいいなっていうのがあったし。それを見越してvol.01っていうタイトルにしたのでvol.10くらいまで出せたらいいなと思ってます。
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——最近の作品からは、DE DEさんの中で生楽器とか生演奏の魅力がどんどん上がってきているように感じますね。
DE DE : そうですね。年齢のせいかもしれないけど、今の自分にとっては電子音楽ってあまり刺激的でないんですよね。若い子たちにはいいと思うんですけど、僕は自分のアイデンティティがある程度固まっているから、またそれを壊す時期かなと思っていますね。今は自分のやりたい事と、リスナーが求めている事の距離をどうとっていくかが面白いです。最近は作曲家や編曲家としての自分のスキルを高めて、普遍的なものを作りたいっていう気持ちが強くて、もう自分が流行を追うっていう事をやるつもりはDE DE MOUSEではないんです。自分が見せたい世界をどうやって音にして伝えるかが、今の自分にとっては大事です。
——具体的にはどんな音楽を作っていきたいんですか?
DE DE : 先鋭的で刺激的な音よりも、曲としての根本的なものの良さをフィルター無しで音として届けたいって思います。もちろん生楽器に関しても流行はありますけど、歴史のあるものって説得力は必然的にあると思うんです。楽器の音って聞いただけで何の音かわかるじゃないですか。そういうものを使いながら、どれだけ自分らしさを出せるかっていうのは一つの挑戦ですよね。電子音楽だったら自由に音を作れちゃうけど、そこでごまかしたくない。雰囲気も含めた作品よりかは、ちゃんと音符に変えた時にきれいに直せるものだけを使う方が新鮮なんです。
——生楽器という制限があるものを使うというのはDE DEさんにとって新しい表現方法なんですね。
DE DE : そうです。50歳くらいになったらギラギラな格好してDJやってるかもしれないけど、僕はできるだけ等身大がいいと思うから、やっぱり最終的には作曲家の遠藤大介でいたい。死んだ後でも何人かの人は覚えてくれているような作品を残したいなっていう気持ちもあります。
——なるほど。お2人はこの作品が、自分たちの作品や演奏に影響がありましたか?
成川 : 最初はやった事がないようなタイプの曲が多くて正直不安だったんです。でも太鼓とギターでループをしてるだけでも十分盛り上がるし、DE DEさんの手法には人を抑揚させるエネルギーがあるんだなって思いました。自分はそこを探求したいなと思ってます。
Farah : 僕もこういう作品を現場で作るのは初めてだったんで、DE DEさんの仕事ぶりはすごく勉強になりました。RFでもループの曲をやってるんですけど、また違うテクノの要素が入っていたりして。最近のライヴでは3人に自分がサンプラーで加わっているんです。演奏ってどんどん影響を受けて変化するから、今回の経験はこれから僕らが作っていく音とかライヴにも少なからず影響していくだろうなと思います。
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——本当にいい巡り会いだって思いますね。
DE DE : そうですね。ただRFはある程度年齢もいってるし酸いも甘いも経験してるから臨機応変にやってくれるだろうって思っていたら、とんでもなかった(笑)。それくらいは許容してくださいよってことが結構あって、変に揉めないようにしているところだけ大人になってて(笑)。お互いへのエゴとかも出し合って、根本的なものをぶつかっていった方が、レコーディングもスイスイ進むんじゃないかなって思った。
——そういうぶつかりも時には必要ですよね(笑)。
成川 : DE DEさんは突っ込むんですよね。自分にはない世界なので面白かったですよ。追い込んで追い込んで…みたいな。
DE DE : 僕は誰に嫌われようがどうでもいいし、いい人ぶるのはつまらないって思っているから。無意識的なものもあるかもしれないけど、結構みんな自分を守るしプライドが高いんだなって感じて、結局新人やるって面倒くさいんだなって結果が出た(笑)。
成川 : そういうことだよ(笑)。
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PROFILE
The Selection of DE DE MOUSE Favorites performed by 六弦倶楽部 with Farah a.k.a. RF
ギタリスト成川正憲率いるRokugen Club (六弦倶楽部)と、元レコード・ショップのバイヤーでDJ / コンポーザーのFarahのユニットRF。DJ Farahが厳選したHIP HOP CLASICSやR&B、Jazz、Soulの元ネタ・サンプリング・ソースを卓越した演奏能力・自在なアレンジ・ワークによって独自の世界感へと昇華させる彼らが、DE DE MOUSEのクリエイティブの根源となる楽曲群を生演奏&再構築するという仮想ユニットを結成。2012年に開催されたDE DE MOUSE主催イベントnot vol.04にて一夜だけ披露。絶賛を浴びたライヴ・セットはその後、限定ユニットということで封印された。しかし、DE DE MOUSEのライヴ・サポートとしてRFのメンバーが赤坂ブリッツ・ワンマンに出演した際に、再結成をある種、勢いで決定。 しかも今回はライヴだけでなく、生演奏ミックスCDとしてnot records第2弾としてパッケージ化。 DE DE MOUSEとしては初のプロデュース。RFファンにとってはこれまで作品とは又違った一面を垣間みれる作品がここに完成した。